体外循環技術
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22 巻, 2 号
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  • 穴井 博文
    1996 年 22 巻 2 号 p. 1-5
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    軸流ポンプは定常流ポンプの中でも特に小型化が可能であり,バイパスのほか,心腔内あるいは血管内に留置する循環補助装置の血液ポンプとして有望視されている。最大の問題点であった溶血も許容範囲に軽減され,抗血栓性を含めた長期耐久性に研究課題が変わりつつある。各種の軸流血液ポンプが開発され,動物実験における検討がなされ,臨床応用も行われている。
  • ―DLP経皮的カニューレ,MENOX人工肺,カメーダパックCCS4回路の観察―
    川脇 雄次, 森 義顕, 松本 克彦, 重光 修, 迫 秀則, 添田 徹, 吉松 俊英, 葉玉 哲生
    1996 年 22 巻 2 号 p. 6-12
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年,抗血栓材およびヘパリンコーティング材等が数多く臨床に応用されるようになった。今回我々は,高度の心機能低下を呈した重症急性心筋炎に,長期の心肺補助循環(PCPS)を行い救命し得た症例に対して用いた,Medtronic社製カメーダコーティング回路CCS4とクラレ社製MENOX AL6000人工肺および経皮的カニューレ(DLP社製)で,F-F.Bypassに連続6日間使用した回路を走査型電子顕微鏡にて観察した。ヘパリンコーティング材CCS4回路のセル,Bio-pump cone,チューブには,血栓形成は認められなかったが,Bio-pump軸部に肉眼的に血栓形成を認めた。非ヘパリンコーティング材である経皮的カニューレには,血栓形成は認められなかった。非ヘパリンコーティング材人工肺に,白色血栓および赤色血栓を認め,走査電顕上にてフィブリン形成を認めた。しかし,臨床上問題はなかった。
  • ―1:4と1:8の比較―
    立原 敬一, 永木 健二, 高地 由紀子, 鈴木 直人, 横室 浩樹, 濱田 聡, 徳弘 圭一
    1996 年 22 巻 2 号 p. 13-17
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Continuous warm blood cardioplegiaに用いる心筋保護液のGIK液と,人工肺酸素加血の混合比について,GIK液を1に対し人工肺酸素加血を4の割合で混合したのち,加温して心筋保護液とする1:4群(以下,1:4群)と,GIK液の組成を変更し混合比率を1:8にした群(以下,1:8群)について比較検討した。対象は,1:4群が19例,1:8群が27例で,両群のGIK液使用総量には有意差を認めなかったが,GIK液の大動脈遮断中における単位時間使用量は,1:8群で有意に減少し,GIK液による晶質成分の体外循環回路内への流入量が削減できた。また,体外循環中のHct値は1:8群で体外循環終了時に有意に高値を示し,血液希釈の亢進予防に有用で,常温体外循環を施行する上でも有利であると考えられた。
  • 堀 辰之, 篠原 宣幸, 大畑 雄咲, 松若 良介, 新谷 英夫, 矢倉 明彦, 榊原 哲男
    1996 年 22 巻 2 号 p. 18-20
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    晶質液のみで構成されるCrystalloid Cardioplegiaを用いたCr.C群20例と,晶質液と人工肺酸素化血液を混合投与したCold Blood Cardioplegiaを用いたCBC群20例とした心筋保護液の組成が,体外循環中の灌流液組成に及ぼす影響を臨床的に検討した。体外循環時間,大動脈遮断時間は両群間に差はなかった。晶質液を多量に要するCr.C群に比して,晶質液使用量,希釈率,Hb値低下率,およびK濃度は有意(p<0.05)にCBC群が低値を示した。体外循環中の水分,K濃度補正を目的として使用した限外濾過法による除水量も,CBC群において有意(p<0.05)に低値を示した。以上より,体外循環中の血液希釈,水分およびK濃度管理の点からは,CBCがCr.Cに比して有利であることが示唆された。
  • 成田 安志, 樗木 等, 堺 正仁, 土井 一義, 井上 次人, 原田 道生, 伊東 正広, 高木 憲二, 安武 真一, 竹森 弘和
    1996 年 22 巻 2 号 p. 21-25
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    開心術時の体外循環(以下,CPB)において,回路内面や人工肺などの異物と血液の接触により,血中の補体が活性化され,これらが術後の臓器不全や異常出血を来たす原因になることは知られている。我々は,CPBを用いた開心術において,通常の塩化ビニール回路使用群(以下,NC群)とヘパリンコーティング回路使用群(以下,HC群)の,CPB前後で各種補体成分および血小板数の計測を行い,臨床的有用性を検討した。対象は1993年11月から1995年5月までの12例であった。C3aはICU帰室時でHC群が低く,血小板数は1PODでHC群が高かった。また,術中大動脈遮断解除からCPB離脱までの時間もHC群で短かった。CPBにヘパリンコーティング回路を用いることで,補体活性化の抑制および血小板の温存傾向が見られた。更に大動脈遮断解除後の補助循環も短時間ですみ,臨床的有用性が示唆された。
  • 松尾 光則, 北田 博市, 飯田 弘美, 末廣 茂文, 柴田 利彦, 南村 弘佳, 佐々木 康之, 服部 浩治, 熊野 浩
    1996 年 22 巻 2 号 p. 26-29
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々は1994年1月以降,通常の開心術症例にヘパリンコーティング回路を使用してきており,その有用性について検討してきた。その結果,ヘパリンコーティング回路の使用は体外循環がもたらす数々の生体侵襲の緩和を意味するものであり,術後における患者状態の早期回復と向上をもたらした。そこで今回,脳分離体外循環にもその適用枠を広げるため回路構成の改良を行った。改良後,ヘパリンコーティング回路の使用に伴ってヘパリンの減量が可能となり,遠心ポンプの採用により安全性の確保と脳灌流操作の簡略化が可能となった。
  • ―加温時のSvO2とHbの関係―
    林 敏江, 福田 豊紀, 鈴木 孝明, 井上 仁人, 秋 顕
    1996 年 22 巻 2 号 p. 30-33
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    無輸血体外循環における血液希釈率は,各施設により異なり安全性の指標となるものが示されていない。そこで今回,当院における血液希釈時のヘモグロビン値(以下,Hb)と静脈血酸素飽和度(以下,SvO2)との相関関係を分析した結果,SvO2=5.544×Hb+29.996の回帰直線が得られ,SvO2を50%以上に保つためには,加温開始時のHb値を4g/dl以上にに保つ必要があることが示唆された。
  • 熊澤 義雄, 吉澤 伸介, 片岡 宏文, 尾崎 洋次郎, 大蔵 幹彦
    1996 年 22 巻 2 号 p. 34-37
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環時のモニタリングにおいて,心電図や観血血圧などはリアルタイムに情報を得ることが出来るが,血液ガス濃度や血液組成等の情報は,一部の機器を使用する以外に連続的に得ることは困難である。今回我々は,患者監視モニタの機能を利用し,人工肺から排出されるガスを連続的に測定して,血液ガスと比較検討した。その結果,良好な測定データが得られ,排出炭酸ガスのモニタは安全な体外循環を行ううえで有用と考えられた。
  • 佐藤 正暢, 又吉 徹, 山下 好史, 杉山 賢司, 森田 雅教, 武田 正則
    1996 年 22 巻 2 号 p. 38-41
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,GISH社製Statsatおよび3M社製CDI100を使用する機会を得たので,当院で行われた体外循環症例に使用し,静脈血酸素飽和度(以下,SvO2)とヘモグロビン値(以下,Hb値),ヘマトクリット値(以下,Ht値)の精度とその操作性について検討した。その結果,2機種とも検体検査の測定値との間に高い正の相関関係を示したことから,体外循環中のモニタとして有用であると考えられた。
  • 山鹿 章, 服部 敏之, 開 正宏, 小林 民男, 戸崎 洋子
    1996 年 22 巻 2 号 p. 42-47
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    昨年より我々は,人工心肺中に再生オプティカテーテルを利用して人工肺の酸素加能を観察しているが,今回,再生オプティカテーテルをPCPS回路の送血および脱血チューブの外表面に取り付け,米国アボット社製オキシメトリーOX-3を2台使用し,送血・脱血側SO2の連続測定を行った結果,人工肺の酸素加能の指標として有用であると考えられた。
  • ―術中HDFの有用性について―
    木下 昌樹, 新田 功児, 西分 和也, 和田 英喜, 佐々木 通雄, 増本 弘, 梶山 真, 浅岡 峰雄, 関 章, 三輪 俊彦, 高山 ...
    1996 年 22 巻 2 号 p. 48-50
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    維持透析患者の開心術7例に対し術中血液透析濾過法(以下,HDF)を施行した。HDFは,個人用透析装置を人工心肺の脱血回路とリザーバ間に組み込み,体外循環開始時より終了時まで後希釈法にて行った。術中HDFを行うことによって,高カリウム血症および高度希釈の予防,低・中分子量物物質の効率良い除去ができ,通常の手技にて手術が行えた。
  • 石曽根 明浩, 曽根 慎一, 大塚 勝哉, 小坂井 一
    1996 年 22 巻 2 号 p. 51-53
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    乳児の無輸血体外循環を行う目的で,充填量370mlの回路を作成し,肺高血圧を伴う心室中隔欠損症(以下,VSD・PH)の無輸血開心術を施行した。体外循環中は限外濾過器(ECUM)で循環血液の持続洗浄を行った。体外循環中の最低平均Hct値は15%まで低下したが,退院前には術前状態にまで回復した。また,Base Excess値も極端なマイナスに傾き続けることは無かった。術後の循環および呼吸動態も良好であった。以上より,5~5.9kgのVSD・PHではPPFを使用したが,6kgあれば蛋白製剤を使用せずに,安全な無輸血開心術が可能と考えられる。
  • ―冠動脈バイパス術での中等度低体温法との比較―
    吉田 雅人, 大塚 徹, 青木 啓一, 朝倉 利久, 田所 雅克, 田中 宏衛, 古田 昭一, 柏木 宏元, 稲田 英一, 岩橋 健
    1996 年 22 巻 2 号 p. 54-57
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス術中の常温体外循環法(W群45例,直腸温37℃)の有用性について,従来の中等度低体温体外循環法(C群46例,直腸温28℃)と臨床的に比較検討した。W群はC群に比べて手術時間,体外循環時間,大動脈遮断解除から体外循環終了までの時間が短縮された。C群とW群の手術死亡は1例で,脳合併症はC群に1例,IABP使用症例は両群ともなかった。常温体外循環法は,中等度低体温体外循環法と比較し,術後合併症もなく安全に行え,手術時間,体外循環時間等の短縮ができた。
  • 斎藤 司, 工藤 英範, 南 茂, 小林 剛志, 高浜 由起子, 細田 泰之, 浜口 淳, 木村 礼未
    1996 年 22 巻 2 号 p. 58-64
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    無輸血にて体外循環を行った虚血性心疾患例より,Capiox SXを使用した50例と,D-703Compactfloを使用した43例を対象とし,ガス交換,PLT,Free-Hb,β-TG,PF4,術後ドレーン出血量,操作性および付属機構について比較検討した。その結果,ガス交換は,両人工肺とも良好で安定していた。また,体外循環中のPLT,Free-Hb,β-TGおよびPF4は,両群間に差は見られなかったが,術後のPLTとICU入室後6時間のドレーン出血量に有意差が見られた。これについて検討した結果,止血操作を行った術者の影響が大きく関与していた。操作性および付属機構の比較では,SXはD-703より血液レベルが見やすく,残血処理が容易で,付属機構の比較でも,SXは付属機構が少なく,血液漏れや誤作動などによるトラブルは見られず,安全な体外循環を行う事ができた。付属機構に関しては,安全性の向上を目的とした場合,必要最小限にするべきであると考えられた。
  • 安野 誠, 金子 達夫, 大林 民幸, 相崎 雅弘, 村井 則之
    1996 年 22 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    体外循環の操作性と安全性の向上を目的にModified PCPS回路を作成し,閉鎖式体外循環を行ったので報告する。冠動脈バイパス術21例と胸腹部全置換術1例について行った。冠動脈バイパス術の場合は,体外循環開始,離脱時の操作・監視が容易なこと,脱血不良などによる突然の血液レベルの変動がなく,安全性が向上したと考える。ポンプ脱血であるためCVPは常に陽圧にし,脱血の陰圧を-50mmHgまでに管理することで安定した体外循環が行えた。胸腹部全置換術の場合は,ヘパリンコーティングPCPS回路に動脈フィルターなどの追加をして,血栓などを送ることがなく,送血圧も監視でき,長時間の急速返血が安全に行えた。血液回収中も人工肺の使用により,膀胱温で35℃ 以上に維持が出来たことから,このシステムは有用であると考える。
  • 工藤 英範, 南 茂, 斎藤 司, 小林 剛志, 高浜 由起子, 細田 泰之, 木村 礼未, 浜口 淳
    1996 年 22 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    遠心ポンプSP-45(テルモ社,14例)とBP-80(Bio-Medicus社,21例)を一般開心術に臨床使用し,血液有形成分(ヘモグロビン量,白血球数,血小板数),Free-Hb,β-TG,PF4,ドレーン出血量,流量計,準備および操作性について比較検討した。その結果,血液有形成分,血液損傷の指標となるFree-Hb,β-TG,PF4,術後ドレーン出血量は両群間に有意差は見られなかった。SP-45の超音波流量計とBP-80の電磁流量計の比較では,電磁流量計を基準とした場合,平均体外循環流量は超音波流量計が5.5%低い値を示し,流量差の絶対値は最大で13.0%,平均で7.3%差がみられた。SP-45は,低い回転数で高い揚程を得る事ができ,臨床例でもBP-80より低い回転数で目的の流量を得る事ができた。しかし,軸シーリング部分の気泡除去が煩雑で,流量計と回転計のデジタル表示の遅延時間が長く,操作性に若干の問題点が見られた。
  • ― non Roller pump ECC System(吸引法)―
    廣浦 学, 仲畑 和彦, 碓氷 章彦, 川村 光生, 日比 道昭, 吉田 勝彦, 村上 文彦, 大島 英揮, 能登谷 淳子, 渥美 貴文, ...
    1996 年 22 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    心臓外科領域における体外循環技術は,目覚ましい進歩と発展を遂げている。今回,従来のローラーポンプによる体外循環法に代わって,補助循環などで使用されている遠心ポンプをメインポンプとして用い,更に,吸引用ローラーポンプに代わり,当院が独自に考案した吸引装置(以下,吸引コントローラ)を用いることで,従来の体外循環法と異なる回路および装置を考案し,臨床に応用した。本方法は送血側からの空気を送る危険がなく,自己を未然に防ぎ得る安全な体外循環が運転できる。また吸引法は,過度な陰圧をかけなければ,臨床使用上問題となるトラブルは認めなかった。
  • 田村 廣明, 瓦谷 義隆, 湯浅 毅, 川口 鎮, 渡辺 孝, 保浦 賢三, 村瀬 允也, 渡辺 宏枝, 中村 智裕, 薗田 誠, 山田 悌 ...
    1996 年 22 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当施設にて使用しているIABP「スーパーバルーンポンプCorart BP-1」において,まれに発生する作動不良の原因究明を行った。その結果,ノイズおよびペーシングスパイクに由来する誤作動,オートモードにおけるカテ先大動脈圧の微小な変動を誤認するために発生するバルーン早期膨張,心内心電図へのアーチファクト混入に由来する誤作動が指摘され,システム改良を行った。システム改良としてノイズに対し,デジタルフィルタを追加した。ペーシングスパイクに対してはペーシングスパイクおよびテールの傾き認識アルゴリズムを付加した。オートモードに関してはダイクロティックノッチ認識アルゴリズムの改良を行った。効果の検討を行った結果,ノイズおよびペーシングスパイクに由来したBP-1の誤作動は認められず,ノイズ除去性能およびペーシングスパイク認識の向上が示唆された。また,オートモードに関してもバルーンの早期膨張は認められず,オートモードにおけるバルーン膨張タイミングも改善し,システム改良によるBP-1の機能向上が得られたものと考えられる。
  • ― チーム医療における臨床工学技士の役割―
    西分 和也, 尾嶋 良恵, 木下 昌樹, 新田 功児, 和田 英喜
    1996 年 22 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,過去当施設において1991~1995年に行った,PCPS22例において,臨床工学技士の役割を中心に検討を行った。22例の内訳は,心臓手術後LOS7例,心臓手術前使用9例(3例は術前および術後使用),肺梗塞1例,急性心筋梗塞4例,心筋炎2例,肥大性心筋症1例,胎便吸引症候群1例であった。22症例中PCPSを離脱し得たのは10例であり,うち8例は救命することができた。新生児(胎便吸引症候群)および小児(心筋炎)の症例も2例経験したが,ローラポンプを使用して補助を行ったため,通常の遠心ポンプを使用した場合とは異なり,回路・プライミングなど工夫を必要とした。また,臨床工学技士がPCPSを行う上で,当院では開始より終了まで24時間体制で管理をしており,今後より多様化するPCPSに対して,過去に行った経験を生かして,より高度な専門的知識を身につけ,チーム医療に貢献したいと考えている。
  • 田畑 喜朗, 関口 敦, 会田 治男, 深谷 隆史, 片倉 健二郎, 森田 高志, 菊池 寛二, 笹川 繁, 吉田 譲, 見目 恭一
    1996 年 22 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当部門で行っている新規購入機器の機器選定法と機器管理の現状を検討した。機器選定手順は,毎日の巡回点検による稼働率,使用状況および各部署スタッフの要望をまとめ,客観的,総合的な「機器評価表」を作成した。これらと予算枠を考慮し選定を行った。機器毎の選定方針として,心電図モニターは稼働率50%以上の部署は長期貸出しとし,50%以下の部署は短期貸出しとした。貸出し機は周波数ゾーン配置に影響のない有線式を主とした。輸液・シリンジポンプは,互換性,使い勝手を重視し専用セットを用いないタイプとした。除細動器は,パドルの互換性と経皮的ペーシング機能の付加を考慮した。機器評価表の特徴は,1)デモ使用を含む総合的な評価,2)各部署のスタッフの意見を尊重,3)毎年更新などであった。その結果,1995年度は心電図モニターを13台削減し,22台買い換えた。輸液・シリンジポンプは20台,除細動器は4台を購入した。ME機器の中央管理は良い評価を得ているが,客観的な機器選定を行うには,稼働率,各部署の要望等の十分な調査が肝要であり,機器評価表の作成は有用であった。
  • 木村 礼未, 浜口 淳, 工藤 英範, 南 茂, 斎藤 司, 小林 剛志, 高浜 由起子
    1996 年 22 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 1996/05/27
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    以前より使用してきた人工心肺装置の保守点検表に,ローラーポンプの軸偏芯(tuberoller,occulusion,race way)と,ベルトの滑りを求める負荷時および無負荷時の回転数測定の項目を加えた,専用の保守点検表を作成した。この点検表に基づき保守管理を行ってきたが,ベルトの滑りを求める回転数設定は,最大回転数で行うのが最良であると考えられた。そのため点検表を改正し,今回,この表に基づき20基のローラーポンプの保守管理を行った。その結果,ローラーの軸偏芯を知るrace wayとベルトの滑りの項目で,それぞれ1基,許容値を超えたものがあり修理を必要とした。また,ベルトの滑りを求める負荷時の回転数測定を行った結果,古いローラーポンプでは,実際の回転数よりデジタル表示値が高く表示される機種があることが判明した。以上の事から,各施設で行う定期的な保守管理の必要性を再認識した。
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