体外循環技術
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23 巻, 3 号
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  • ― 輸血療法各論―
    小堀 正雄
    1997 年 23 巻 3 号 p. 1-6
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 樋口 浩二, 鈴木 章二, 保坂 茂, 吉井 新平
    1997 年 23 巻 3 号 p. 7-11
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,現在使用している体外循環自動記録システムを発展改良することにより,技士の負担の軽減や体外循環を更に安全に施行できるのではないかと考え,体外循環ナビゲータシステムを開発している。今回,このシステムの一環として,体温変動に関する予測式を作成した。作成した予測式に既存の臨床データを代入して行ったシュミレーションでは,10分後では90%以上,15分後でも75%以上の確率で予測が可能であった。また,このシュミレーションデータの表示をデジタル表示だけでなく,体温経過グラフとともにグラフ表示することで,体温変動の予測をより分かり易くすることが可能であった。この結果は,臨床での使用に対して,予測時間,精度,表示方法ともに充分であり,体温変動に対するトラブルの防止や体温管理を行う上で有用であると考えられた。
  • 野口 悟司, 中田 精三, 増田 行雄, 富田 敬司, 松宮 勝, 竹谷 哲, 市川 肇, 鍵崎 康治, 澤 芳樹, 門場 啓司, 松田 暉
    1997 年 23 巻 3 号 p. 12-13
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    開心術症例の手術成績は,近年著しく向上したが,未だ体外循環の影響は予後を左右する因子であり,その改良が必要である。最近,吸引脱血を行うことにより,体外循環回路を短縮した低容量の体外循環回路が開発され,無輸血開心術が報告されている。今回我々は,低圧制御弁を開発し,吸引脱血下でも安全に,かつ簡便に操作できる低容量体外循環回路を開発したので報告する。実験には成犬を使用した。1時間の落差脱血および吸引脱血の体外循環を施行し比較検討した結果,低圧制御弁を使用することで安定した吸引脱血による体外循環が可能となった。更に回路の短縮化により回路充填量の削減も可能となった。
  • 仲野 孝, 長沼 謙次, 稲葉 晃三, 菅沼 剛, 舩木 哲也, 禰屋 和雄, 福島 祐一
    1997 年 23 巻 3 号 p. 15-17
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    携帯電話による医療機器への電磁干渉が衆目を集めている。当院でも実際にどのような医療機器に,どういった干渉を起こすのか確認を行った。実験は,携帯電話3機種による医療機器への電磁干渉の確認を行い,医療機器21台中に12台に干渉を確認した。確認を行った医療機器は生命を維持するのに重要な機器であり,病院内での携帯電話の使用には適切な規制が必要と思われた
  • 松林 克典, 村上 博宣, 渡橋 和政, 四方 裕夫, 末田 泰二郎, 松浦 雄一郎
    1997 年 23 巻 3 号 p. 18-22
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    胸腹部大動脈瘤手術における常温部分体外循環の腹部臓器血流維持に関し、落差灌流式人工肺を用い、分枝動脈の選択的送血を行い、効果を検討した。対象は1994年1月~96年5月までに行われた8例で、腹腔動脈と上腸間膜動脈に選択的送血を行ったものが3例(SelectiveBranch. A Perfusion: SBP群)、腎動脈に選択的送血を行ったものが2例、肋間動脈単独送血、腰動脈単独送血、選択的送血なしが各1例であった。術後、選択的送血なしの1例に一過性対麻痺を、術前片腎機能の1例に腎不全を認めた。SBP群と他の症例(5例)をnon-SBP群とし、血清生化学検査値を用いて比較した。SBP群のALTは術前から術後1週目にかけ変動せず、non-SBP群では一過性に上昇した。術後1週目にSBP群のAST、LDHは前値に復し、non-SBP群は復さなかった。従って、胸腹部大動脈瘤手術における分枝動脈の選択的送血は、臓器保護の観点から有効と考えられた。
  • ―技士の役割について―
    安野 誠, 中島 勉, 金子 達夫, 大林 民幸, 市川 秀昭, 村井 則之, 萩野 隆史
    1997 年 23 巻 3 号 p. 23-25
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1989年1月から1996年6月までの体重45kg 以下の74例を,同種血無輸血群56例と輸血群18例に分け,同種血無輸血に影響する因子を単変量解析(t検定)と多変量解析(ロジスティック回帰分析)で検討した。t検定ではアプロチニン投与率,最低咽頭温で危険率5%の有意が認められた。またCPB時間,CPB前Hb, CPB開始直後Hb値,最低Hb値,自己血準備量,術中出血量,術後出血量で危険率1%の有意差が認められた。多変量解析では,自己血準備量,術中出血量,術後出血量,CPB開始直後Hb値の4項目のみで有意差が認められた。同種血無輸血手術を達成するための技士の役割としては,安全な低充填量回路を使用すること。血液回収によ出血量を削減すること。体外循環中の温度の変化を穏やかに行うことと,体外循環時間を短くすることで血液損傷の少ない体外循環を行うことが考えられる。
  • 登坂 志保, 玉城 聡, 柴野 豊彦, 山口 敏明, 五十嵐 敦哉, 川崎 義隆, 斎藤 智光, 松山 和子, 松田 睦, 小林 国男, 稲 ...
    1997 年 23 巻 3 号 p. 26-27
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々の施設では,悪性骨腫瘍に対して温熱局所灌流を行ってきたので,体外循環回路の変遷や技術的な問題点などについて報告する。全身麻酔下に大腿動脈には14ゲージ静脈穿刺針を,大腿静脈には金属カニューレを挿入して送脱血管とした。回路内には小児用人工肺,熱交換器,温度プローブを組み込んだ。ターニケットを用いて,体循環と分離後,患肢の局所灌流を250~300ml/minの流量で行った。回路内血液温が43℃ になったところで,シスプラチンを回路内に注入し,60分間の灌流を行った。初期の数年間は血液透析用のポンプと回路を用い,次に特注回路と心筋保護液注入用ポンプに変更してきた。しかし,温度上昇が不十分な点やプライミング量,回路内圧の上昇等の問題点は残った。今回,試作の回路と心筋保護液注入用ポンプに変更することで,局所温熱灌流を有効に行うことができた。
  • ―UNIVOX-IC®との性能比較検討―
    松井 孝拓, 鈴木 溝則, 宮下 昭彦, 安藤 裕之, 折目 由紀彦, 塩野 元美, 瀬在 幸安
    1997 年 23 巻 3 号 p. 28-30
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    現在の膜型人工肺の多くは,熱交換部にステンレススチールを使用しているのが一般的であるが,JOSTRA社製QUADROX®は,熱交換部にポリエチレン中糸膜を使用した新しいコンセプトの外部灌流型膜型人工肺である。今回我々は,当院で使用している人工肺UNIVOX-IC®とQUADROX®との性能比較検討を行った。対象は成人開心術例それぞれ10例に対して,ガス交換能(PaO2,PaCO2),圧力損失,熱交換能について比較検討した。その結果,ガス交換能と熱交換能は,両人工肺とも両群間に有意差を認めず良好な結果が得られた。圧力損失に関しては,有意にQUADROX®の方が低い値を示した。以上の結果よりQUADROX®は臨床使用にさいし有用な人工肺であった。
  • 鷹橋 浩, 窪田 將司, 河田 修一, 黒田 廣, 松本 清貴, 上久保 康弘, 大場 淳一, 石橋 義光, 青木 秀俊, 村上 忠司
    1997 年 23 巻 3 号 p. 31-35
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1996年1月より5月までに行われた開心術のなかで,Jostra社製膜型人工肺QUADROX(以下,QU)を20例に使用し,SORIN社製MONOLYTH(以下,MO)を使用した20例と,人工肺ガス交換能,血液性状,操作性について比較検討した。人工肺ガス交換能は両人工肺とも安定したガス交換能を有していたが,酸素加能においてQUが有意に高く,常温体外循環時でも余裕のあるガスコントロールができるものと考えられた。また,炭酸ガス排出能に有意差は無かったが,若干MOが良いように考えられた。血液性状においては両人工肺に有意差は無かった。安全性はQU,MOとも人工肺下部より送血ラインが出ているため,空気を送る危険性が少ない構造となっており,特にQUは人工肺上部にフィルタ式のガスパージポートが付いているため,安全性の高い人工肺であると考えられた。操作性において,QUの気泡除去は容易であったが,リザーバー一体型が無く人工肺内蔵の温度センサーポートが外気の影響を受け不良であり,今後の開発・改良が望まれる。
  • 樋口 浩二
    1997 年 23 巻 3 号 p. 37-39
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院では,昨年7月より予定灌流量3,500ml/min以下の症例に対して,テルモ社製酸素加装置CAPIOXSX10を使用している。当初は,同社製成人用酸素加装置CAPIOXSX18の小型版という認識でガス流量等を調整していたが,PCO2やBEが経時的に低下し呼吸性アルカローシスを呈する症例が見られた。そこで1996年7月までに臨床使用した28症例から,この酸素加装置の適正なガス流量を検討した。その結果,血液・ガス流量比が40~60%をベースに,それ以上高い場合には呼吸性アルカローシス傾向,低い場合は呼吸性アシドーシス傾向を示した。また,灌流量に対する酸素流量の割合が25~40%以下の場合はSaO2が100%未満を示した。酸素加装置の適正な血液・ガス流量比を把握することは,メイロン投与や送気ガスに炭酸ガスを付加することなく,血液ガスデータを補正することが出来るので,体外循環をより安全に行うことが出来ると考える。一方,体重数kgの症例では送気するガス流量が少量であり,麻酔器に使用しているような低流量域でも正確な流量計を使用することも非常に大事なことであると考えられる。
  • ―Hepcon HMSを使用して―
    鷹橋 浩, 窪田 將司, 河田 修一, 黒田 廣, 森本 清貴, 上久保 康弘, 大場 淳一, 石橋 義光, 青木 秀俊, 村上 忠司
    1997 年 23 巻 3 号 p. 40-44
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Medtronic社製ヘパリン濃度測定装置Hepcon HMSを8例の開心術症例に使用し,従来より当院で使用していたヘモクロンACTと,Hepcon HR ACT(2ch)とを比較検討した。更に,ACT値とHepcon HMSヘパリン濃度との関係について検討した結果,ヘモクロンとHR ACTでは,ACT200秒以下で相関係数,0.68,200以上では0.56と相関は弱く,誤差も平均で16%とかなりのばらつきが見られた。HR ACTの2ch間を比較すると,相関係数はACT200秒以下で0.95,200秒以上で0.98,誤差も平均で3.5%と非常に再現性の良い装置であった。ACTとHepconヘパリン濃度の比較ではヘパリン濃度以上にACTが延長しており,いずれのACT測定装置とも相関関係は見られず,ACTからヘパリン濃度を推測することは困難と考えられた。
  • 三浦 正也, 藤島 良一, 周藤 博隆, 金子 幸裕, 大内 浩, 長田 信洋, 岡部 英男, 何 廣〓
    1997 年 23 巻 3 号 p. 45-49
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回,体外循環時のヘパリン投与量の指標として用いるACT測定装置ヘモクロン401と,Hemotec ACT II の2機種を使用する機会を得たので,比較検討を行った。ヘモクロンに比べACT II は,検体血液量が少なく,新生児などの使用に有用であり,ヘパリナーゼテストによる過剰なプロタミン投与を防止できる利点がある。しかし,カートリヅジの保存や使用前に加温しなければならない欠点がある。ACT測定においては,2機種とも通常の体外循環への使用に,問題はないと思われた。しかし,多量のアプロチニン投与においては,共に指標として用いるのに困難があると考えられた。
  • 河田 修一, 窪田 將司, 鷹橋 浩, 黒田 廣, 森本 清貴, 上久保 康弘, 大場 淳一, 石橋 義光, 青木 秀俊, 村上 忠司
    1997 年 23 巻 3 号 p. 49-53
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    弓部大動脈瘤症例19例を対象とし,当院で行った4方式の脳分離体外循環法について検討した。各方式の内訳は,動脈血リザーバ方式膜型人工肺を使用し,送血に全機ローラーポンプにて行った7例,メイン送血を遠心ポンプに変更した4例,通常の体外循環に用いている人工肺と遠心ポンプを使用する方式を用いた4例,および遠位弓部大動脈瘤症例において,静脈圧を上昇させて送血する逆行性脳分離を用いた4例である。各方式の利点として,ローラーポンプは送血流量の調整が容易であり,遠心ポンプは空気送血,逆行性解離,壁在血栓脱落の危険性が減少すると考えられた。遠心ポンプと通常使用している膜型人工肺を用いた方法は,前述の遠心ポンプの有用性に加えて充填量の削減,回路が簡素化され,また,突発的な脳分離体外循環の移行にも対応が可能であり,本法の有用性が示唆された。逆行性脳分離は静脈圧を利用した簡易的な脳分離体外循環であり,通常の体外循環回路でも施行可能なため,特別な回路を必要としなかった。
  • 上屋敷 繁樹, 染谷 忠男, 吉岡 信也, 中嶋 康仁, 西田 眞一
    1997 年 23 巻 3 号 p. 54-56
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    大動脈瘤は未だにいろいろな要因があるため,手術成績も満足とはいえない成績である。当センターでは脳分離体外循環を基本とし,脳保護は専用リザーバより薬液投与を行い,腎機能低下には術中透析を施行し,術後の合併症を回避できた。
  • ― 落差式脳分離灌流法を中心として―
    舩木 哲也, 長沼 謙次, 菅沼 剛, 稲葉 晃三, 仲野 孝, 禰 屋 和雄, 福島 祐一
    1997 年 23 巻 3 号 p. 57-58
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    脳局所酸素飽和度測定装置INVOS-3100の利便性を検証すると共に,落差式脳分離灌流法施行中の脳組織の酸素化状態を検討した。本法による脳局所酸素飽和度測定は,無侵襲で時間遅れなく計測でき,脳分離灌流中の脳組織の酸素化の指標として有用であった。落差式脳分離灌流中,脳の酸素化状態は良好な経過であった。
  • 鈴木 克尚, 高岡 伸次, 神谷 典男, 北本 憲永, 高橋 幸志, 宮崎 紀男
    1997 年 23 巻 3 号 p. 59-61
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    心臓手術は従来より大量輸血を必要とすることが多かったが,輸血後の合併症予防のため開心術における無輸血体外循環が積極的に用いられている。当施設でも無輸血体外循環を行う機会が増えてきたが,15kg以下の経験はなかった。無輸血の対象を大人から乳幼児まで広げるためには,低充填回路が必要と考え,現在の小児・乳児回路の低充填化を検討・作製・使用した経験を得た。今回,P回路は体重14.6~18kgの12例,PS回路は7.5~13kgの6例,NB回路は体重5.2kgのVSD1例に対して使用した。なお,P回路使用の10例,PS回路使用の2例は無輸血体外循環で行った。小児・乳児用回路を低充填にすることは,乳児に対しても無輸血体外循環の可能性を高め輸血症例に対しても低充填により,使用血液が一人血となり,人工心肺中のブラディキニン等の影響を抑え,術後副作用を最小限に抑えることができる。
  • 高橋 公徳, 中西 秀雄, 杉山 喜崇, 石原 茂樹
    1997 年 23 巻 3 号 p. 62-64
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    新生児,乳児における血液充填体外循環では,保存血液を使用するため体外循環開始後のinitial shockや,電解質異常などの問題があることは知られている。我々は,充填血液に対して血液濾過法(以下,HF)を使用した9例(以下,H群)と,HFを使用しなかった9例(以下,N群)を比較検討した。灌流圧は,N群に対して且群が終始10mmHg前後高く保つことができ,尿量もH群で有意に増量が認められた。また,体外循環開始時のK+値も且群の方が適正であった。その結果,新生児,乳児の体外循環を安全に行うために充填血液に対するHF方は,有用であると考えられた。
  • 高岡 伸次, 北本 憲永, 神谷 典男, 高橋 幸志, 鈴木 克尚, 宮崎 紀男
    1997 年 23 巻 3 号 p. 65-67
    発行日: 1997/05/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    陳旧性心筋梗塞・狭心症のため冠状動脈バイパス術を施行し,体外循環からの離脱を試みると低心拍出量症候群,左室過伸展をおこし離脱困難なため,遠心ポンプを使用した左心バイパスを行った。補助循環時間48時間51分,送血量2.5~3.5l/min,活性凝固時間190~340秒であった。補助循環を施行する際,人工肺,限外濾過回路の組み込み,ドレーン血の回収を行う事は有用な手段であった。
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