体外循環技術
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28 巻, 2 号
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  • 秋元 かつみ
    2001 年 28 巻 2 号 p. 1-9
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • ―当院独自のソフトウェアを開発して―
    中村 直樹, 山村 明弘, 中村 光宏, 柳田 仁, 平岩 卓根, 草川 均, Ise Hideshi, 大村 光廣, 蔵野 研一, 秦 紘
    2001 年 28 巻 2 号 p. 10-15
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】体外循環中の確実なデータの収集を主目的に,独自の体外循環自動記録Systemを開発し,約100症例を対象にその機能および有用性について検討した。体外循環中の人工心肺側および生体側情報が1分間隔で自動記録されることで,確実なデータの収集が行われ信頼性の高い体外循環記録を得ることができた。また,体外循環中の記録が自動化されたことで,手書きによる記録の必要性がなくなり体外循環の操作や周辺機器の操作に集中することができ,業務の省力化および安全性が向上した。機能面においても予想ヘモグロビン値や体表面積からの体外循環灌流量の計算,および体外循環中の水分出納も自動計算されることで,従来より行っていた計算よりも早くて確実な情報を得ることが可能となった。本体外循環自動記録Systemは,PerfusionistをサポートするSystemとして大変有用である。
  • 山鹿 章, 服部 敏之, 開正 宏, 清末 智, 小林 民男, 伊藤 敏明, 西脇 公俊
    2001 年 28 巻 2 号 p. 16-19
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】体外循環を使用しない冠動脈バイパス術(Off-Pump CABG)では,右冠動脈末梢側および左回旋枝領域の手術操作で,心臓を脱転,挙上することにより右室流出路の閉塞が起き,心拍出量が低下し血圧の維持が困難になることがある。我々は,大動脈血管壁の強度な石灰化にて体外循環による大動脈造血および大動脈遮断が困難で,右冠動脈末梢側,左回旋枝領域の手術を必要とする症例に対し右房脱血,肺動脈送血の右心バイパス(RHB:Right Heart Bypass)を用いた心拍動下CABGを行っている。RHBの回路構成は,脱血回路,遠心ポンプ,バブルトラップ,送血回路である。充填量は360mlであった。今回,RHBを用いた心拍動下CABG15例のRHB中の平均橈骨動脈圧,平均肺動脈圧,平均中心静脈圧,混合静脈血酸素飽和度について,RHB開始前,開始直後,冠動脈吻合中,RHB終了直後の変動を観察した。RHB送血流量は平均2.11±0.70l/min,灌流指数は平均1.41±0.50l/min/m2であった。RHB中,経時的にみた各パラメータに有意な変動は認められず,安定した循環動態を保つことができた。また,回路内に気泡混入などの問題はなかった。
  • 芦村 浩一, 山田 佳央, 牛島 一男, 國友 隆二, 上村 晋一, 北村 信夫, 宇藤 純一
    2001 年 28 巻 2 号 p. 20-23
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】多くの施設では,体外循環中の微小塞栓やマイクロバブルによる脳や肺などの合併症を防止する目的で,40μm程度の孔径を持つフィルタが動脈ラインに装着してある。ところがこの動脈フィルターはセッティングに時間を要するばかりか,充填量も多く,しかもフィルタと血液成分の多大なる接触による血小板数の減少,出血量増加などが危惧される。そこで我々は,従来使用してきたヘパリン結合動脈フィルタをバブルトラップに変更し,その安全性と有効性について検討した。体外循環前を100%とした体外循環後,およびICU入室後の血小板保存率は,バブルトラップ使用群で高い傾向にあった。術中出血量,術後ドレーン量はいずれもバブルトラップ使用群で少ない傾向にあった。ヘパリン結合動脈フィルタ使用群およびバブルトラップ使用群ともに,送血側に30μm以上の大きさのマイクロバブルは認められなかった。体外循環中の止血凝固系温存の一因として,人工心肺回路内のバブルトラップ使用が有用ではないかと考えられた。バブルトラップは動脈フィルタと同等のマイクロバブル捕捉能があった。バブルトラップを使用したことにより,準備時間の短縮,充填量の削減が図れた。
  • 木下 真, 仲田 昌司, 畑中 祐也, 山本 奈緒, 岩崎 純子, 篠原 智誉, 江成 美絵, 中村 有志, 酒井 裕紀
    2001 年 28 巻 2 号 p. 24-26
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回我々は,Medtronic社製バランスコーティング膜型人工肺MAXIMAFORTE(M群)10例,およびJOSTRA社製バイオラインコーティング膜型人工肺QUADROX(J群)10例を対象として,ガス交換能,血液学的データ,回路構成について比較検討した。ガス交換能については,人工肺ガス層-動脈血酸素分圧較差(MaDO2)と炭酸ガス排出能による比較検討を行った。その結果,MaDO2および炭酸ガス排出能では両群間に有意差を認めなかった。また,血液学的データの比較ではLDH,CPK,好中球,フィブリノーゲン,FDP,C3,C4,CH50において両群間に有意差を認めなかった。血小板は体外循環開始30分後にM群が有意に低値を示した。GOT,白血球は帰室直後にJ群が有意に高値を示した。当院の回路構成への適応については,血液の流入および流出路が,当施設の人工心肺回路走行に逆らわないQUADROXの使用において,チューブ回路の余分なプライミングボリュームを減少することができた。人工肺の高性能化がすすむ現在,両人工肺の性能に関して,差はほとんどみられなかった。しかし,当施設の回路構成において,QUADROXの有用性に着目された。
  • 上屋敷 繁樹, 植木 弘一, 西田 慎一, 中嶋 康仁, 吉岡 信也, 染谷 忠男
    2001 年 28 巻 2 号 p. 27-34
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回我々は,待機的冠動脈バイパス術を行う50例において,常温体外循環(W群25例) ,中等度低体温体外循環(C群25例)を無作為に分類し,灌流量2.2l/min/m2として,灌流圧W群70mmHg,C群60mmHg以上に維持して比較検討した。その結果は,1)体外循環前,中,後の計3ポイントにて測定されたnor&epinephrine,dopamine,angiotensin IIの推移,elastase値とα1protease inhibitorの推移,thromboxane B 2,serotonin値の推移,C3 & C5,血管収縮物質endothelin値の推移は,すべてにおいてW群とC群の間に差異は認められず,組織適合性の面ではW群とC群に優劣は認めなかった。2)体外循環中の体血管抵抗値はW群にて有意に低く,至適灌流圧(70mmHg)維持にneosynesin投与が必須であった。体血管抵抗値とそれぞれの血管作動性物質との間には相関を認めず,自律神経の抑制された麻酔下体外循環での血管緊張度は,主に温度に依存するものと考えられた。3)ICU入室時の肺血管抵抗値はW群にて有意に低かった。4)体外循環中の水分バランスでは有意差を認め,そのバランスの相違がC群における術後のPO2値を有意に低くし,肺血管抵抗値の上昇を来した原因とも考えられた。5)術後心拍出量は両群に差異を認めなかったが,max CPK-MB値はW群で有意に低値であった。6)頸静脈PvO2 ,lactate値はW群にて低値を示したが有意差はなく,CPK-BB値は有意に低かった。また今回,この研究による脳神経障害は両群間に認めなかった。7)術後24時間出血量はW群にて有意に少なかった。8)近赤外線モニターの経時変化は,体外循環中W群でC群に比べ低値を示したが,両群間に有意な差は認めなかった。9)腎機能(creatinine,BUN)の変化は両群に差はなかった。10)肝機能(ケトン体,肝静脈PvO2,lactate値,ヒアルロン酸)はW群にて低い傾向を示した。
  • 大木 康則, 関口 敦, 森田 高志, 會田 治男, 笹川 繁, 樺澤 寛二, 吉田 譲, 佐藤 智明, 奥村 高広, 小塚 アユ子, 見目 ...
    2001 年 28 巻 2 号 p. 35-37
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】1999年2月から2000年4月までに,東洋紡社製補助人工心臓での左室脱血法を5症例で経験した。灌流指数や全身状態の経過について,過去当院で施行した同型左房脱血方式の5症例と比較再検討した。本法は,左房脱血法に比して十分な高流量が得られることで,早期の抜管および経口摂取が可能となり,術前重篤な病態であったが,術後長距離の歩行が可能になるまで全身状態の回復傾向がみられた。左房脱血法に比しより高流量を得られ,より早期に全身状態が回復した傾向があり,本法は脱血部位としては有用な方法と考えられた。
  • 吉田 譲, 樺澤 寛二, 笹川 繁, 会田 治男, 関口 敦, 森田 高志, 大木 康則, 佐藤 智明, 奥村 高広, 小塚 アユ子, 見目 ...
    2001 年 28 巻 2 号 p. 38-43
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】小児補助循環9例に対し,専用システムを用いた。(1) 回路全体の生体適合性の向上と,ACT値を短縮させ出血のコントロールができるよう,システム全体のヘパリンコート化を図るため,術中使用のノンコートカニューレを補助循環移行時にヘパリンコートカニューレに入れ替えた。ACT値は150秒前後を基本に,出血が問題となる症例では130秒前後にコントロールした。移行に平均2.4分かかり,長時間の人工心肺が予想される場合やハイリスク症例には,あらかじめヘパリンコーティングカニューレを使用するなどの対策が必要である。(2) 補助循環への移行時のinitial drop軽減とヘマトクリット値維持を目的に,充填血液を人工心肺循環血液に置換した。効果的ではあるが,充填置換操作に時間を要し慣れが必要である。(3) 流量500ml/min以下の低流量症例に対し,血流量の安定と血栓発生の予防のため,回路内動静脈を短絡し血液を再循環させた。患者への送血流量に対し,約2倍の再循環血流量を維持し,安定した流量が得られた。血液の人工肺内への再循環のため,PCO2値が低くなる傾向にあったが,正常値を維持できた。ガス流量の注意深いコントロールが必要で,炭酸ガスの付加も検討すべきである。
  • 木下 昌樹, 田中 佑佳, 宇井 雄一, 山本 英樹, 丸山 仁実, 林 哲也, 尾嶋 良恵, 新田 功児, 西分 和也, 和田 英喜, 関 ...
    2001 年 28 巻 2 号 p. 44-46
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】急性心筋梗塞後の左室自由壁破裂は発症後急激に循環虚脱に陥るため,迅速な経皮的心肺補助法(PCPS)補助のもと外科的処置が必要となる。急性心筋梗塞後の心破裂の場合,PCPSを早期に導入し,脳の非可逆的障害阻止を主眼とし末梢循環を犠牲にしてもでもIABP下に血圧を80mmHg以上に保ち,可及的に手術に移行する管理が必要である。
  • 阿部 功, 乾 清重, 大泉 弘幸, 成毛 佳樹, 塩野 知志, 島崎 靖久
    2001 年 28 巻 2 号 p. 47-48
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】肺線維症確定診断目的で,全身麻酔下に肺部分切除を受けた67歳女性が,手術終了後の体位変換時に突然心室細動心停止を来した。心マッサージに対しまったく反応せず,PCPSを実施することにした。循環器外科医への連絡5分後に外科医が手術室に到着。PCPSの準備および送脱血カニューレ挿入を行い,7分後にPCPS送血開始となった。PCPS開始まもなく自己心拍は再開した。翌日PCPSからの離脱に成功し,神経学的な障害はなく,術後第16病日に独歩内科転科した。プレコネクト回路を用いるPCPS装置はワンタッチで回路に装着でき,PCPS未経験医師でもカニューレ挿入担当医師からの指示でセットアップ可能であった。また,充填作業もオートプライミング機構により簡便に行われた。機器,回路,カニューレ,輸液剤などを事前に準備し,手術室の隣に配備することで,手術室内緊急事態に対し極めて速やかに対処可能であった。プレコネクト回路使用PCPS装置は,少ない人員で短時間にセットアップ可能であり,緊急を要する心停止症例に対し極めて有用であった。
  • 山内 尚也, 中尾 一俊, 向山 美果也, 佐藤 勲, 荒川 政美, 今関 隆雄
    2001 年 28 巻 2 号 p. 49-51
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】ACT測定装置5機種を使用し,ACT値とヘパリン濃度および活性化部分トロンポプラスチン時間(APTT)との相関性について,非体外循環下冠動脈バイパス術の症例8例で比較検討した。その結果,ヘパリン濃度との相関は5機種とも相関関係がみられた。その中でも高い相関性を示した機種はヘモクロンとアクタライクで,APTTとの相関は,当院の測定装置の測定範囲内ではヘモクロンとアクタライクは高い相関を示した。
  • ―より簡便な生体情報一元化表示を目指して―
    廣浦 学, 柳沢 安毅, 三井 則和, 戸塚 信幸, 山越 裕司, 井村 昌弘, 松坂 篤, 松永 正彦, 坂本 直矢, 岡本 辰成, 後藤 ...
    2001 年 28 巻 2 号 p. 52-53
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】開心術での人工心肺装置の出力に関して,従来よりこれらのデータを統合するには,出力型式の違う機器ごとにインターフェイスを作製しなければならず,コストやメンテナンス面で問題となっていた。今回,遠心ポンプの出力信号を,術中生体情報モニタに接続している外部機器接続モジュールに入力した。出力信号としては回転数,流量,送血圧である。モニタ画面上には生体情報とともに,遠心ポンプからのデータを数値表示させることが可能で,技士用スレーブモニタに表示させることも可能である。特にトレンド表示においては,血行動態と同時に遠心ポンプ盾報が時系列で表示でき,その臨床的意義は大きい。また術者や麻酔医ヘポンプの運転状況をリアルタイムに知らせることができる。更に血行動態情報に外部情報がリンクできることで,生体情報解析を必要とする研究者には有益である。データは最長24時間分保存されているので,専用の解析ソフトにより,トレンドデータを数値としてフロッピィデスクへ保存でき,ほかのコンピュータでの解析可能である。
  • 岩城 秀平, 山本 泰伸, 小山 美季
    2001 年 28 巻 2 号 p. 54-57
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】小児体外循環システムにおいて,充填量を一番削減できる方法は吸引補助脱血法(VAVR)と考えたが,2リザーバーシステムでは静脈リザーバー,心内血貯血槽それぞれにVOLUMEが残ってしまい,回路全体の充填量が増える可能性がある。しかし,1リザーバーシステムではサッカー,ベント流量がリザーバー内圧に影響する可能性があるため,実験回路を試作し検討した。リザーバー内圧を-60mmHgに維持し,通常臨床で使用されるサッカー,ベント流量2l/minでは-58.3mmHgと問題となる低下でなかった。また,最大脱血量1.2l/minが得られるリザーバー内圧はHt30%の場合12Fr+12Frで-77.5mmHg,12Fr+14Frで-63mmHg,水を使用した実験では12Fr+12Frで-48.8mmHgであった。Htの低い症例では脱血カニューレの細径化は可能と考えられた。また,体重5~7.5kgの臨床3例でVAVRを行った。充填量は従来の270mlから223~231mlに減少した。脱血カニューレは12Fr+12Frで行い,最大リザーバー内圧-46mmHgで,3例とも無輸血手術が可能であった。
  • ―実験回路による検討―
    大塚 徹, 吉田 雅人, 青木 啓一, 朝倉 利久, 榎本 佳治, 稲井 理仁, 古田 昭一
    2001 年 28 巻 2 号 p. 58-60
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】遠心ポンプを用い,機械側回路での脈圧を測定し,良好な拍動流灌流を行うための検討を行った。圧力損失の異なる3種類の人工肺を用い,定常流時の回路および人工肺の圧力損失を測定し,拍動流時の圧力損失の違いによる脈圧の違いを測定した。拍動流は,高速回転を0.4sec,低速回転を1.1sec(0rpm)で行った。同一流量であれば,カニューレ手前の脈圧は,カニューレサイズに規定されることが確認された。圧力損失の低い人工肺,大きいサイズのカニューレは,回路全体の抵抗を小さくすることができ,同一流量時のポンプ回転数を低くできるため,血液に対する損傷を少なくすると考えられた。
  • 赤地 史, 玉城 聡, 山口 敏明, 松田 睦, 稲田 英一, 上田 恵介
    2001 年 28 巻 2 号 p. 61-62
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】人工心肺中の抗凝固療法としては,ヘパリンが用いられ,その効果は活性化凝固時間(ACT)により測定されている。今回,今まで使っていたヘモクロン401と,新しく発売されたヘモクロンJr.IIを比較し,代用できるか検討した。ヘモクロン401とヘモクロンJr.IIの全体的な相関については良好な結果が得られたが,ACT値が400秒を超える値の相関についてはかなりのばらつきが観察された。また,ヘモクロン401のACT値が延長するにつれ,2機種間の測定誤差が大きくなった。しかし,臨床的に問題となる400秒前後の範囲では多少のばらつきはあったものの,臨床的には問題はなく,ヘモクロンJr.IIはヘモクロン401の代用となり得ることが考えられた。また,ヘモクロンJr.IIの特徴から考えると,従来から使っていたヘモクロン401より優れている点があった。
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