体外循環技術
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28 巻, 4 号
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  • 申 範圭
    2001 年28 巻4 号 p. 1-5
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 菱沼 浩孝, 山崎 隆文, 綿貫 睦
    2001 年28 巻4 号 p. 6-8
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】医療製品を使用するにあたり,製品の安全点検を施行して患者に使用することが,医療行為を行う上で重要となる。メーカー側が製品に対し厳密な品質管理を行っているにも関わらず,発生してしまう製品不良に対しては,使用者である医療従事者が事故防止のために,使用前に点検を行うことは必須である。そこで今回,使用前の点検により発見された製品不良と点検方法についてまとめた。1999年1月~2000年8月の対象期間内に発生した製品不良には,人工肺の血液漏水や,静脈血貯血槽の脱血不良など,重篤な製品不良を経験した。これら製品不良に対しては,メーカーに返品し原因追求と改善を求めた。また点検時には異常はないが,時間経過とともに不良が発生するケースがあり,1回の点検のみではなく,使用中の安全確認も必要であると考えられた。使用前点検を行うとともに,製品に対する正しい知識を持つことが,製品不良の早期発見につながり,未然に事故防止が行えると考えられた。
  • ―St.Thomas第1液と第2液の比較―
    吉岡 信也, 植木 弘一, 西田 慎一, 中嶋 康仁, 上屋敷 繁樹, 染谷 忠男
    2001 年28 巻4 号 p. 9-11
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】St.Thomas液を用いたBlood cardioplegiaで第1液と第2液,および自己心拍再開率低下の問題から,St.Thomas第2液に塩酸プロカインを添加した液とで比較検討を行った。慶応型St.Tho mas第1液を用いてBlood cardioplegiaを行ったA群と,市販製剤のSt.Thomas第2液を用いてBlood Cardioplegiaを行ったB群,St.Thomas第2液に塩酸プロカインを添加した液を用いてBlood cardioplegiaを行ったC群とで,術中術後の臨床経過を比較した。大動脈遮断解除後の自己心拍再開率はB群がA群C群に比べ有意に低かった。術後第1病日のCPK-MBはA群がB群C群に比べ有意に低値であった。慶応型St.thomas第1液はSt.Thomas第2液より心筋保護が良好であった。St.Thomas第2液に塩酸プロカインを添加することにより自己心拍再開率が増加した。
  • 谷澤 勝, 小林 英知, 朝日 亨, 服部 敏温, 山村 晃生, 小櫃 由樹生, 石丸 新
    2001 年28 巻4 号 p. 12-14
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 玉城 聡, 赤地 吏, 山口 敏明, 五十嵐 敦哉, 松田 睦, 稲田 英一, 見目 恭一, 許 俊鋭, 上田 恵介
    2001 年28 巻4 号 p. 15-18
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】弓部大動脈置換手術症例で脳分離体外循環を用いて,膀胱温25℃ で循環停止を行い,15℃脳分離灌流を行った症例について,同時期に埼玉医科大学附属病院で行った同様な手術症例で,平均直腸温22℃ で循環停止を行った症例と比較検討した。体外循環,循環停止,大動脈遮断,脳灌流のそれぞれの時間的な有意差はなかったが,体外循環時間から循環停止時間を引いた差,すなわち冷却加温時間の短縮が認められた。生化学データについては,LDH以外の検査値について有意差は認めなかった。術後の生化学データの経過からも,膀胱温25℃ 循環停止は比較的安全な方法であると考えられた。
  • 河野 光男, 木村 淳子, 西松 諭, 芥川 晃, 堀場 公寿
    2001 年28 巻4 号 p. 19-21
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回我々は,維持透析患者に対して冠動脈バイパス手術(CABG)術後,透析中低カリウム血症が起因し不整脈から心室頻拍に陥り,透析施行困難な症例を経験したので報告する。症例は64歳,男性。平成7年9月冠動脈造影で#1total,#7 90%の狭窄を認め,手術適応と判断されたが拒否され内科的治療を行っていた。今回新たに#11 90%の狭窄を認め,同領域における急性心筋梗塞と診断された。手術を勧めたが拒否されたため経過観察となった。その後,胸痛発作出現し緊急CABGとなった。手術後,持続的血液濾過透析施行し,循環動態安定後透析へ移行となった。透析施行中,心室頻拍を起こしたが心臓マッサージ,電気的除細動の処置にて洞調律に回復したが,その後も透析中心室頻拍を繰り返した。透析による血清カリウム低下が誘因と考え,透析液カリウム濃度を4.0mEq/lに変更し,また透析条件の変更も行った。その後透析液の条件を変更しながら血清カリウムをコントロールすることにより,重篤な不整脈などの出現することなく透析を行うことができ他院転院となった。
  • ―体外循環下における赤血球の凝集―
    鈴木 克尚, 神谷 典男, 西條 幸志, 高岡 伸次, 栗田 智代, 大野 雄三, 北本 憲永
    2001 年28 巻4 号 p. 22-25
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回,MUF終了後に再循環を行い20分経過した頃,人工肺入口側の圧が上昇し,回路接続が突然はずれた症例を経験した。人工肺の入口部は血液塊で詰まり,静脈リザーバのフィルタ表面および液面と動脈フィルタにも血液塊が大量に形成されていた。MUF終了後から待機循環中の血液塊形成が起こるまで,どのように変化するかヘパリン濃度,使用材料・構造,置換液,血液塊の解析,残血の成分より凝固系,蛋白,血液ガスについて検証した。再現実験を行った結果,血液塊はechinocyte化した赤血球の凝集であった。ヘパリンやヘパリンコーティング材料の使用は無効であった。MUFの残血は赤血球が減少しており,緩衝作用が弱まっていることに加え置換液にアルカリ化剤の含まれたものを使用したことなどから,人工肺によるガス交換で容易にpHの上昇を来したと推測された。MUF施行後の残血成分は通常と異なり,pHが上昇しやすい環境にあり,ガス流量を戻し忘れた際など,容易に凝集することが明らかとなった。
  • ―低充填化への更なる飛躍―
    北本 憲永, 神谷 典男, 西條 幸志, 高岡 伸次, 鈴木 克尚, 栗田 智代, 大野 雄三, 小出 昌秋, 野地 智, 国井 佳文, 鮎 ...
    2001 年28 巻4 号 p. 26-28
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】開心術における小児無輸血体外循環の適応体重低下を試みる際,体外循環の充填量は大きな問題となる。今回,当施設において体外循環回路組み込みの特殊ビニールシート(衛生シート)を考案し,トノクラ医科工業社のポンプと操作部が分離可能なCompoIIIを使用することで,術野側の清潔を保ちつつ,体外循環装置の器械部分も含め,全体を術野の清潔領域まで近づけることを可能にした。これにより体重6.5kg以下の充填量は171mlとなった。また,低体重時には動脈フィルタを使用しないことで充填量は136mlとなった。体重別にみても,本システムを使用した体重6~9kgでは充填量190mlとなり,体重8.5~16kgでは充填量は223mlとなった。これにより体外循環による血液希釈を最小限に抑え,小児無輸血体外循環の適応は拡大した。
  • 吉田 秀人, 田崎 昭夫, 小林 靖雄, 二重 実, 橋本 武昌, 杉田 隆彰, 西澤 純一郎, 松山 克彦, 松本 雅彦
    2001 年28 巻4 号 p. 29-33
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    MENOX人工肺がα シリーズとなり従来型に比べ,ガス交換能が向上したが,気相部の形状に改良がないため,結露によるガス交換能への影響が危惧される。我々は,人工肺設置方向を垂直に90度回転させ吹送ガスを上から下に送れば,結露が停滞しないと考えている。しかし,人工肺設置方向の変更がガス交換能を低下させては問題となるため,今回,結露が関与しない条件での設置方向によるガス交換能への影響を検討した。CABG症例に対し,通常の設置方向のC群(4例)と設置方向を90度回転させたR群(4例)にAL6000α を使用し,常温および軽度低体温下完全体外循環中の人工肺出入口の血液ガス分析を行った。なお,血流量,VQ比およびFiO2には差がなかった。結果は,ガス交換能を表す酸素付加量,Qp/Qt,炭酸ガス排出量およびΔCO2/PaCO2において有意差を認めなかった。このことよりMX AL6000α の設置方向によるガス交換能への影響はないことがわかった。今後,結露が発生し易い条件にて,設置方向の変更により結露排出ができ,ガス交換能を維持できることを検証したい。
  • 渡邊 猛, 武田 正則, 杉山 賢司, 佐藤 正暢, 小林 史枝, 石井 和行
    2001 年28 巻4 号 p. 34-37
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】低充填量の人工心肺回路の作製は各施設で工夫されているが,開放型回路では,貯血槽に最低貯血量の保持が必要で,充填量削減には限界がある。そこで今回我々は,貯血量を零にした閉鎖型の低充填量回路を作製し検討したので報告する。作製した閉鎖型回路は,静脈血が直接遠心ポンプへ流入する方式で,貯血槽と体外循環回路の間を遮断し,レベルを零とした。また,脱血回路の径を3/8インチとし,人工肺をベットと同じ位置にし,回路の長さを大幅に短縮した。この作製した回路を臨床使用した結果,充填量が780mlとなり,血流量の調節のみで体外循環操作が行え,安全で特別な技術を要せず容易に行えた。また,落差脱血用カニューレより細い径を使用しても,脱血回路内圧が-30~-50mmHg以下であれば,至適灌流量を維持できた。これにより,低侵襲手術などにも対応でき有用な回路と考える。
  • 渡辺 英樹, 高室 昌司, 西坂 奈穂, 須磨 久喜, 中村 光男, 武山 丞, 磯村 正
    2001 年28 巻4 号 p. 38-39
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】冠動脈バイパス術(CABG)は,近年,日常的に行われ極めて安全で確立された手術となったが,吻合直後にグラフトの開存状態や血流の確保が予定どおりに行われたかどうか,画像的に確認する有効な方法は確立されていない。今回,ベリタス社製赤外線サーモグラフィーモニタIRIS III(IRIS III)を体外循環を用いたCABG20例,拍動下CABG20例の計40例に使用し,グラフト吻合直後の開存状態を画像的にモニタリングした。今回は,そのうちの体外循環を用いたCABGの1症例について報告する。グラフト吻合後に心筋を炭酸ガスや生理食塩水によって冷却し,グラフトにWarm Bloodを灌流して温度差を付けることにより,鮮明な画像が得られ開存状態を確認することができた。IRIS IIIは,吻合直後のグラフト状態や血流の確保を画像的に確認する有効な装置であり,手術直後のトラブルを軽減することができると考えられる。
  • 上屋敷 繁樹, 植木 弘一, 西田 慎一, 中嶋 康仁, 吉岡 信也, 染谷 忠男
    2001 年28 巻4 号 p. 40-42
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回,我々は細径を目的とした挿入用シース8Frを臨床応用し,その有用性を検討したので報告する。方法:今回使用したバルーンを含め各社バルーンのシャフト部分をレーザー測定器で測定し,実測径と公示径を比較した。その他にバルーンの膜圧を調べた。今回,国内で初めて臨床使用したIABPはTMP社製(8Fr)で,無作為に挿入,周術期循環補助として使用し,合併症の有無を検討した。結果:本バルーンを含め各社バルーンのレーザー測定器で測定した実測径と公示径を比較すると,両者間に若干の誤差が存在した。TMP社製バルーンの臨床使用においてはガイドワイヤが0,025インチで,他の8Fr用バルーン付属のガイドワイヤに比べ太いので,ピッシャビリティなどの挿入性に問題を認めず,下肢阻血などの問題もなかった。また,内圧波形のなまり,バルーンカテーテルに起因する問題も認めなかった。結語:本バルーンは挿入時のプッシャビリティなどの挿入性は問題を認めず,今後閉塞性動脈硬化症例など下肢阻血が懸念される症例での臨床的有用性が期待された。
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