体外循環技術
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32 巻, 4 号
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  • 加藤 優, 長谷川 武生, 前中 則武, 大江 祥, 河江 忠明, 奈良 理, 長谷 守, 栗本 義彦, 森 和久, 成松 英智, 浅井 康 ...
    2005 年 32 巻 4 号 p. 395-399
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】PCPS回路は通常の開心術に用いられる大気開放型回路と異なり,貯血槽のない閉鎖型回路が一般的である。そのため,回路内への空気混入により,脳梗塞や組織壊死などの重篤な空気塞栓症を引き起こす可能性がある。我々の施設においては,血液ポンプ流入部にバブルトラップを組み込むことによりPCPS回路内への気泡や遊離血栓の混入防止を行っている。バブルトラップは,送血側に組み込んで使用するよう開発されており,血液ポンプ流入部に組み込んだ場合の性能評価に関する研究報告はない。そこで,バブルトラップ性能評価のため基礎研究として,離脱後のPCPS回路を用い気泡除去性能の比較検討を行った。また,臨床例において,フィルター内の遊離血栓測定による検討を行った。基礎研究結果では,バブルトラップ使用群において,有意に気泡除去効果が認められた。また,臨床例では,フィルター効果としての機能も認められた。このことから,PCPS回路にバブルトラップを用いることは有効であると考える。
  • 小塚 アユ子, 吉田 譲, 斎藤 亮輔, 見目 恭一
    2005 年 32 巻 4 号 p. 400-403
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】乳幼児体外循環における希釈の軽減,有害物質の除去,血行動態の安定などの目的で,2004年より導入したMUF(Modified UltraFiltration)について検討を行った。対象は体外循環時間が60~180分,体重12kg以下の42例である。MUF施行により平均Ht値は26.2%から33.8%に上昇した(上昇率30.2%)。MUF開始時Ht値の高低による上昇率への影響を見るため26%で区分したところ,26%未満で25.7%,26%以上で34.5%の上昇で,開始時Ht値が高い方が上昇率が大きい傾向にあった。収縮期動脈圧は平均52.7mmHgから65.0mmHg(上昇率26.2%)。MUF中の除水量は平均893.3mL,水分バランスは-89.7mLであった。直腸温変化は,平均-0.143℃,体重5kgを境に,体重5kg以上で平均0.14℃ 上昇,体重5kg未満で,-0.63℃と低体重児で低下傾向にあった。MUF施行によりHt値,動脈圧の上昇,水分バランスのマイナス傾向が見られ,MUFは乳幼児体外循環に有用あった。
  • ― JMS社製OxiaLPについて―
    鈴木 雅和, 伊藤 孝彦, 菊地 徹
    2005 年 32 巻 4 号 p. 404-406
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】低充填量かつ最大流量7L/minの成人用膜型人工肺,JMS社製Oxia LPを臨床使用する機会を得たので,当院で現在まで使用してきたdideco社製D-903およびD-705と比較検討した。各人工肺と現在使用している,成人用回路,中人用回路をそれぞれ組み合わせ,体表面積1.5m2を境界として,4通り2対象群に分類し,充填量,体外循環条件,血液濃縮器の使用状況,術後出血,各人工肺の圧力損失,血液ガスデータ,静脈リザーバー性能を比較検討した。対象群の中では,1.5m2以上でOxia LPを使用した症例が血液濃縮器の使用率が有意に低下した。また,血液ガスデータは,人工肺膜面積が大きいほど安定する結果となった。Oxia LPは静脈リザーバーが疎水性フィルターで構成され,高流量時のレベル変動や吸水量が少なく,更なる総充填量の削減となった。成人用人工肺としては,膜面積が少なくなったため,膜面積の大きい人工肺より安定度は劣るが,PaO2に注意すれば,幅広く対応できる人工肺であると考えられた。
  • ― メラNHP,Oxia,Oxia-LPの比較検討―
    安田 英之, 北本 憲永, 神谷 典男, 大越 真紀子, 小出 昌秋
    2005 年 32 巻 4 号 p. 407-410
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】中空糸表面にシリコンコーティングを施した泉工医科工業社製人工肺メラNHPエクセランプライム(NHP)を臨床使用し,ヘパリンコーティング仕様のJMS社製人工肺Oxia,Oxia-LPと比較検討した。2003年10月から2005年9月までに行った成人体外循環48症例を対象に,NHPを使用した16例(NHP群),Oxiaを使用した16例(OX群),Oxia-LPを使用した16例(LP群)を対象に,操作性,酸素化能,ガス交換能,血算について比較検討した。酸素化能はPaO2が開始5分で,OX群がNHP群,LP群に対して有意(P<0.01)に高値を示した。FiO2、は3群ともに開始から離脱まで0.7~0.8で推移した。酸素運搬能,有効肺血流量率は3群間に有意差を認めなかったが開始後と離脱時の変化率はNHP群が酸素化能は高く維持された。血小板保存率は開始5分,60分,離脱時においてNHP群に対してLP群が有意に温存された。NHP群では酸素化能が開始から離脱まで安定して推移しており,シリコンコーティングの効果によるものと考えられ,長期使用の可能性が示唆された。
  • 深谷 隆史, 椎名 盛一, 目黒 勉, 木村 壮介
    2005 年 32 巻 4 号 p. 411-415
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】プレコネクト心肺回路に内面処理に異なる技術を使用した,X-Coating(XC)とHeparin Coating(HC)回路を臨床使用し,ブラジキニン(BK)・顆粒球エラスターゼ(PMN-E)・白血球数(WBC)および白血球増減率,β-トロンボグロブリン(β-TG),血小板数(PLT)および血小板増減率,トロンビンアンチトロンビン複合体(TAT)について比較検討した。CPB回路は,テルモ社製スピードパック仕様とし,人工肺は,XC群にCAPIOX RX-25R,HC群にSX-18HRを使用した。その結果,ブラジキニンが,HC群で有意に上昇していたことから,XC群はCPB中のBK産生が抑制されることが示唆された。また,HC群において,β-TGの有意な上昇とPLT増減率の低下を認め,XC群においてβ-TGの産生が抑制され,PLTの温存効果が望めると考えられた。しかし,XC群においてWBC及びPMN-Eの上昇が有意であることから,免疫活性の抑制はHCが有利になる可能性も示唆された。
  • 古垣 達也, 平松 祐司, 高橋 宏, 馬乗園 伸一, 榊原 謙
    2005 年 32 巻 4 号 p. 416-419
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】Modified Ultrafiltration(MUF)施行中の患者体温低下防止を目的として,以前よりMUF回路に輸液加温装置を組み込み使用していたが,依然体温が低下する症例を経験した。今回,更なる患者体温低下防止効果を有しながらも簡便なMUFシステムを確立することを目的に,心筋保護回路とこれに附属する熱交換器を利用した新方式のMUFシステムを構築しその有用性を検討した。小児開心術27症例を対象に,新方式のMUFシステムを使用したCP群(n=17)と従来の輸液加温装置を使用した加温装置群(n=10)について,MUF施行前後の直腸温,ヘマトクリット値,液量バランスの変化を比較した。直腸温はCP群がMUF後に有意に上昇した。ヘマトクリット値ではMUF前で加温装置群が有意に低かった。液量バランスでは加温装置群では除水量が多い傾向にあった。新方式のMUFシステムはより良好な体温維持効果を発揮し,コスト削減にも有用であった。
  • 小林 靖雄, 曽山 奉教, 橋本 武昌, 二重 実, 吉田 秀人
    2005 年 32 巻 4 号 p. 420-422
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】遠心ポンプのトラブル時のバックアップとして装備されているハンドクランク(HC)の性能評価を行った。HCはバイオポンプ(B),ジャイロポンプ(G),キャピオックス(C),HAP-21(H),セントリヒューガルポンプ(S),ミクスフローポンプ(M),およびロータフローポンプ(R)の7機種とした。(1)HCの遠心ポンプコーンへの装着時間,(2)流量4L/minの到達時間,(3)HCの回転操作,(4)取り回し,および(5) 疲労度について評価した。各項目の順位点を性能評価の指標とした。ポイント合計の平均は高い順にH:29.8,C:26.0,G:22.2,S:20.6,R:16.8,M:15.9,B:8.6となった。HとCはフレキシブルシャフトを採用し,取り回しの良さや装着時間の短縮により評価が高かった。G,S,R,BはHCの構造上回路延長を必要としたため,やや評価が低かった。BはHC操作,取り回し,疲労度の項目で評価が低かった。HCの性能は機種により差があるため,それぞれの特徴を十分に把握する必要がある。
  • ―開心術後の感染防止をめざして―
    古平 聡, 佐藤 正憲, 藤井 正実, 佐藤 栄治, 西川 温, 新保 年弘, 宮地 鑑, 小原 邦義
    2005 年 32 巻 4 号 p. 423-425
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】開心術後の感染原因となりうる浮遊細菌の術野への落下防止を目的とし,手術室の医療機器による気流の影響について調べ,その対策を行った。気流の観察には粒径0.5μmの微細水蒸気ミストをトレースに使い,手術室内の換気気流を観察した。開心術を再現した状態では,医療機器の配置や人工心肺装置の冷却用ファンから影響を受け不潔な気流が術野方向に流れ込んでいることがわかった。このため医療機器の配置方法の変更や人工心肺装置に整流板を取り付けることで対策を行なった。手術室内の換気気流は,医療機器や手術機械などの配置に大きく影響を受けており,高い位置に医療機器を設置している場合や人工心肺装置を術野に近づけている場合,特に注意が必要である。手術後感染防止のためには,CDCのガイドラインに則った標準予防策の励行や,予防的抗菌薬の使用などとともに,術野の清浄空間を維持し手術室環境の質を向上させることが重要である。
  • 斎藤 司, 工藤 英範
    2005 年 32 巻 4 号 p. 426-431
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】Dideco社製自己血回収装置ELECTA(エレクタ)を臨床使用し,回収血の品質および付属センサーの実験的検討を行った。更に,操作性について検討した。症例は2004年4月より10月までに行った心臓血管外科手術14例を対象とした。エレクタは全例225mLボウルを使用し,濃縮・洗浄・返血流量(mL/min)200と400,洗浄量(mL)1500,2000および自動洗浄量,高品質洗浄(BQW)ON・OFF時の回収血について,Ht,遊離ヘモグロビン(F-Hb),残留ヘパリン(HP)の測定を行った。その結果,Htは流量200mL/minが高い傾向が見られた。F-Hbは流量400mL/minが低い傾向が見られ,洗浄量よりも流量の影響が大きいことが示唆された。また,BQWの効果は見られなかった。HPは,洗浄量の影響が大きいと考えられた。Ht,F-Hb,HPの結果では,回収血の評価は良好であった。Htセンサーとウォッシュセンサーの精度評価を行い,Htセンサーの精度はr2=0.449と相関が見られず,ウォッシュセンサーの精度も高くなかったが臨床使用には有用と考えられた。エレクタは,準備は容易であるが,処理操作は,安全機能による確認操作が多く煩雑であった。
  • ―Safe MaxiとD903AVANT―
    菊地 一智, 砂山 篤志, 竹内 千尋, 佐藤 広樹, 海老子 貴弘, 三輪 貴史, 荒道  昭男
    2005 年 32 巻 4 号 p. 432-434
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】熱交換器部にポリエチレンファイバーを使用した,Edwards Lifesciences社製人工肺Safe Maxiを使用する機会を得たので,当院で使用しているソーリン社製人工肺D903AVANTと,熱交換率とともに,血液データ,酸素加能,炭酸ガス排出量について比較検討した。その結果,血液データ,PaO2,PaCO2に有意差はなかった。熱交換器面積はSafe Maxiが約3倍広いのに熱交換率に有意差はなかった。Qp/Qt,△CO2/PaCO2はSafe Maxiが良好であった。なお,プライミング時,アルブミン製剤を500mL使用するとオートパージ機能は働かず,緊急時は注意が必要である。
  • ―CapioxRX-25とOxiaの比較―
    渡辺 哲広, 島田 由香, 菅野 修, 山内 尚也, 入江 嘉仁, 今関 隆雄
    2005 年 32 巻 4 号 p. 435-438
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】OffPumpCABGや緊急手術症例などのような,迅速な体外循環の開始が望まれる症例においてプレコネクト回路は有用である。今回,テルモ社製CapioxRX-25Xコーティング,JMS社製Oxia COAFREEの2社のプレコネクト回路ついて比較検討を行った。人工肺ガス交換能,生体適合性について比較検討した。その結果,炭酸ガス移動能,およびブラジキニンにおいて有意差が認められた。いくつかの有意差が認められたが臨床使用上問題はなかった。またプレコネクト回路の導入にあたり人工肺性能,生体適合性のみでなく,操作性,安全性などを交えた総合的な検討が回路の選択に必要と考えられた。
  • 堀 辰之, 大竹 重彰, 大畑 雄咲, 杉本 憲彦, 加藤 大三, 榊 雅之, 北 貴志
    2005 年 32 巻 4 号 p. 439-441
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】当院におけるselective cerebral perfusion (SCP)は脳循環を中等度,体循環を軽度低体温にて灌流するcool head warm body(CHWB)法を基本としている。今回,更なる脳保護の可能性を探るためステロイド投与の有用性を検討した。1997年2月~2005年9月までにSCP+CHWB法を施行した待期的開心術86例。そのうち,ステロイドを投与した26例(S群)と非投与の60例(N群)の2群に分けた。ステロイドは貯血槽内へ平均523±106mg投与した。両群間で術式,手術時間,体外循環時間,大動脈遮断時間,SCP時間,脳送血量および麻酔薬投与量に差はなかった。ICU帰室後の覚醒時間,抜管時間,ICU stayは両群間に差はなかった。術後脳合併症はS群2/26(7.7%)例(小脳梗塞1例,多発性脳梗塞1例),N群4/60(6.7%)例(覚醒遅延2例,脳幹梗塞1例,多発性脳梗塞1例),病院死亡はS群1/23(4.3%)例,N群1/60(1.7%)例とそれぞれ両群間に差はなかった。今回の検討ではSCP+CHWB法施行時におけるステロイド投与の脳保護への有用性は明らかにできなかった。
  • ―レベルセンサーユニットLScII について―
    倉島 直樹, 塩練 廣美, 高野 一誉, 津田 泰利, 竹村 隆広
    2005 年 32 巻 4 号 p. 442-445
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】体外循環の安全装置として,レベルセンサーなどが使用されているが,市販されているセンサーは固定式で可動性がなく,また,ローラポンプと連動し,ポンプを制御するなどの機能を有しているが,遠心ポンプ装置には使用できない。以上の点から,我々は可動式センサーとそれに連動するチューブクランプを試作し,前回大会にて報告した。今回,トノクラ医科工業社製可動式レベルセンサー(LScIII)の2種類のリザーバーで臨床使用した。また,既存の電動オクルーダと連動させチューブクランプ機能について検討し,試作装置と比較した。LScIIIは,2種類のリザーバーで問題なく機能し,電動オクルーダもLScIIIに連動した。また,オクルーダの設定により試作装置と異なり,任意に閉塞条件を変更することが可能であった。LScIIIは突然の脱血不良においても警報にて認識が可能であり,LScIIIに連動するチューブクランプにより,送血側へのマイクロバブルの混入を最低限に防ぐことができることが示唆された。
  • 奥田 晃久, 田口 英昭, 渡邊 拓也, 新田 郷, 安孫子 進, 安藤 理香, 石井 宣大, 仁田坂 謙一, 橋本 和弘
    2005 年 32 巻 4 号 p. 446-448
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】自己血回収装置の回収,洗浄速度の違いによる回収血中の赤血球数,白血球数,血小板数,ヘマトクリット値,遊離ヘモグロビン値,ヘパリン値を比較検討した。2004年11月から2005年4月までに施行した心拍動下冠状動脈バイパス術を対象とし,回収,洗浄速度を高速群10例,低速群10例で行った。その結果,低速群では赤血球数,ヘマトクリット値において有意に高値を示した。高速群では遊離ヘモグロビン値,白血球数において有意に低値を示したが,赤血球数の欠損,ヘマトクリット値の低減が見られた。このことから回収,洗浄速度は状況に応じた条件設定をする必要があると考える。
  • 工藤 英範, 斎藤 司
    2005 年 32 巻 4 号 p. 449-454
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】胸部下行および胸腹部大動脈瘤手術時の補助手段として,左心バイパスを行ってきた。そこで,左心バイパス法,術中・術後データおよび問題点について検討した。症例は2002年9月より2003年5月までに行った胸部下行大動脈瘤19例,胸腹部大動脈瘤9例とした。左心バイパスには遠心ポンプを使用し,脱血は左房より,送血は下行大動脈または大腿動脈へ行った。灌流指数1.1L/min/m2を基準とし,灌流量にて上肢平均血圧60~90mmHgを維持した。平均灌流量は2,263±335mL/min,左心バイパス時間は76.1±21.2minであった。28例中2例にPaO2が100mmHg以下に,また,1例に吸引用貯血槽のフィルターに血液凝固が原因と考えられる目詰まりを生じた。我々の行った左心バイパスは,回路が若干煩雑で操作に慣れを必要としたが,充填量が少なく血圧調整も容易で,ヘパリン使用量と輸血量を削減でき,体温低下に対しても,平均直腸温を34℃以上に維持でき安全に手術を行うことができた。
  • 門馬 竜一郎, 千葉 健, 尾越 登
    2005 年 32 巻 4 号 p. 455-457
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】低侵襲化を図られたOPCABは,常に安定した状態で手術が進行する訳ではなく,時には血行動態の不安定が生じ問題となる。我々は,心停止による心機能の低下,大動脈の石灰化により遮断時にリスクを伴う症例に対し,安定した状態の維持を目的に,心内血吸引貯血槽なし,心内血吸引貯血槽付き,心内血吸引貯血槽別体の3種類PCPS support体外循環システムについて検討した。心内血吸引貯血槽をPCPSとは別に設けたことにより,循環の補助はもちろんボリュームの管理も容易に行なうことができ,更に,離脱困難時に貯血槽とPCPSが別になっているのでPCPSを装着したまま退室できるなどの利点がある。しかし,PCPS装置と人工心肺装置の両機器を使用すること,返血時の空気混入,ローラーポンプの誤操作などの課題が残るため,更なる検討が必要と考えられた。
  • 田中 聡, 松岡 亮輔, 稲葉 孝志, 永坂 和文, 西村 實
    2005 年 32 巻 4 号 p. 458-460
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】テルモ社製人工心肺自動記録システム(PDMシステム)を導入し,臨床使用したので報告する。PDMシステムを患者監視装置,人工心肺装置と連結し,体外循環中の患者生体情報および人工心肺作動状況を自動記録した。PDMシステムを使用することにより,正確な記録,データの採取が可能となった。また,操作には若干の慣れが必要としたが各種イベント発生時の入力も容易に行えるため,マンパワー不足から起こり得るインシデントの減少にも期待ができ,安全な体外循環操作が可能と考えられた。
  • ―成人および小児用回路の共有化―
    千葉 二三夫, 渡部 悟, 菅原 誠一, 根本 貴史, 小林 暦光, 千葉 直樹, 古川 博一
    2005 年 32 巻 4 号 p. 461-463
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】今回,PCPS回路の標準化を目指し,各施設で共有できる回路を作製した。成人用回路は,人工肺にPlatinum cube NCVC6000を使用し,脱血側回路に補液と脱気用の側枝を設け,遠心ポンプ以外をプレコネクト回路とした。小児用回路は6mmチューブで,成人用と同様に脱血側回路に補液と脱気用の側枝を設けた。人工肺,遠心ポンプは組み込まず,チューブには1/4inchから3/8inchにも変換できるようにし,A・Vシャント回路を設け,各チューブには間違えないように,脱血側,送血側,人工肺出口などをそれぞれに明記した。また,血液充填時に充填用血液を洗浄できるようにヘモコン回路を組み込みとした。2003年2月から2005年3月まで,北海道地区で成人用回路は7施設で共有し,37回路使用した。また小児用回路は3施設で共有し,計7回路使用した。PCPS回路を標準化することで,各施設と共有でき,製品管理上および経済的にも有用と考えられた。
  • 田辺 克也, 石曽根 明浩, 山田 将志, 曽根 慎一, 下川 智樹, 高梨 秀一郎
    2005 年 32 巻 4 号 p. 464-466
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】近年,胸部下行,胸腹部大動脈瘤において人工肺を用いない左心バイパス法が各施設で工夫され用いられている。左心バイパスは人工肺を組み込まないため,通常の体外循環に比べ低いACTで体外循環が可能で,ヘパリン使用量の削減,出血量,輸血量の削減,手術時間の短縮などの利点が報告されている。今回作製した左心バイパス回路は,吸引補助脱血法を用いることにより循環血液量,血圧の調整が容易で体温低下もおこさず,大量出血時や肺機能障害時にも対応でき有用であった。
  • ―長期かつ多人数管理に関して―
    吉田 譲, 見目 恭一, 関口 敦, 佐藤 智明, 許 俊鋭
    2005 年 32 巻 4 号 p. 467-472
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【要旨】長期かっ多人数におよぶ補助人工心臓治療(1985年から全71例,年齢6~80歳,体重16~90kg,補助期間1~1028日,現在9例治療継続中)に臨床工学技士が関与する際,以下のごとく管理した。(1) 駆動条件調整:ポンプ完全充満/完全拍出の「Full Fill/Full Empty」維持のため,駆動回数,駆出時間,駆動圧を調整した。患者ごとの脱血管先端留置部位,予備心機能による生理的変化の影響を考慮し,リハビリなどの体位変化に応じた調整を行った。成人用ポンプ対応の小児症例は,血栓予防と生理的拍出を考慮した調整が必要であった。(2) 安全教育:一回/年の看護師向け勉強会,一回/月の患者・家族向け訓練「手押しポンプ緊急対応」を実施した。(3) 保守管理:装置の一回/年の定期点検(メーカー講習受講),一回/日の日常点検と,移動時のDC稼働時間や,AC電源未接続防止のためのチェックリストでの確認を実施した。また専用壁吸引配管敷設などの設備改善対応も行った。(4)QOL向上:循環動態改善後,早期に通常生活を目指すべくリハビリを実施した。技士は駆動条件調整と装置移動介助を行い,精神的ケアのための散歩などにも積極的に同行した。技士はチームの一員として積極的に関与すべきである。
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