要旨当施設で緊急時にPCPSが必要な場合,テルモ社製Emergency Bypass System(EBS)を選択している。しかし,長期補助循環を目的とした場合に,人工肺の耐久性が問題となる。そこでEBSの送血側と脱血側の二箇所をそれぞれ二股のループ状にし,更にそれぞれの片側にワンタッチコネクターを採用するなど,回路を改良し,その有用性について検討した。バブルトラップ装着および長期間用人工肺追加などの回路増設や開心術への対応も充分可能となり,ループにすることで片方を遮断しても,もう一方のラインで循環は維持されるため補助循環停止を行わずに対応することが可能となった。また,バブルトラップや人工肺の増設により,安定した循環補助を患者へ提供でき,同一回路で1週間以上の長期使用が可能な回路に改良できた。これにより,患者の状態が循環停止に耐えうる程の回復を待ったうえで,離脱または回路交換の選択ができる点では有用である。しかし,10日以上の使用では遠心ポンプの耐久性を考慮し,回路交換で対応すべきと考えられた。
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