体外循環技術
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42 巻, 4 号
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原著
  • ―JaSECTアンケート2013のインシデント報告より―
    高井 浩司, 安野 誠, 薗田 誠, 吉田 靖
    2015 年 42 巻 4 号 p. 381-392
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/07
    ジャーナル フリー
     安全な体外循環に向けて実施した「人工心肺ならびに補助循環に関するインシデント・アクシデントおよび安全に関するアンケート2013」の集計結果を基に人工心肺における安全管理の現状について検討を行ったので報告する。 2011年と2012年に行われた人工心肺使用症例を対象としたアンケートは、552施設中423施設が回答し、回収率は76.6%であった。対象期間中に実施された人工心肺症例数は72,015症例(2011年:35,015症例、2012年:37,000症例)で、患者影響レベルにかかわらず何らかの事象が発生した件数は1,323件でその発生率は1.8%であった。 リスクマネージメントの側面からチェックリスト、ダブルチェック並びに安全装置については、その使用方法が重要であるとともに、アクシデントだけでなくインシデントあるいはヒヤリハットにも目を向け、対策を講じることが重要であると考える。 この集計結果をインシデントの防止に向けた資料の一つとして活用されることを望むとともに、今後も同様の調査を継続して行っていく必要がある。
  • 小松 真也, 二宮 伸治
    2015 年 42 巻 4 号 p. 393-399
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/07
    ジャーナル フリー
     体外循環操作訓練の評価は指導者に委ねられているが、多人数を対象とする場合は、訓練者自ら評価を行える環境が望ましい。この環境を構築して総合的な能力の評価を実施するには、シナリオトレーニングを定量的に評価できる手法を確立し、基本操作手技とシナリオトレーニングの定量評価の関係性を明らかにする必要がある。 本研究では養成校における学生91名を対象とし、シナリオトレーニングにチェックシート手法を導入して達成度の定量評価を行う環境を構築した。次に基本操作手技およびシナリオ達成度評価の関係性を検討するため、血圧維持を課題とする基本操作手技評価の後にシナリオトレーニング評価した群と、逆の順序で実施した群に分類し、それぞれの評価を比較した。 その結果、基本操作手技評価を先に実施した群は、シナリオトレーニング時に有意に血圧維持習熟度が上昇したが、シナリオ達成度評価には有意差が認められなかった。このことより体外循環操作の総合的な能力を評価するためには、基本操作手技とシナリオ達成度の定量評価を統合したトレーニング様式を検討する必要が示唆された。
研究論文
  • 大島 弘之, 東條 圭一, 古平 聡, 武田 章数, 長村 茂太, 有馬 司, 宮地 鑑
    2015 年 42 巻 4 号 p. 400-406
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/07
    ジャーナル フリー
    近年、人工肺圧格差の異常な上昇が発生する症例が散見されている。2012年から2015年に、当院で使用したテルモ社製CAPIOX-FX05、FX15、FX25およびJMS社製OXIA IC neo、OXIA IC 06およびMEDOS社製HILITE2800およびMAQUET社製Quadrox-i small adult、adultについて、人工肺抵抗値を算出し、送血温、血液pH、Hct値、血小板数との関係を検討した。また、添付文書上の圧力損失データより各人工肺の抵抗値を算出し、今回得られた人工肺抵抗値のデータと比較した。更に各人工肺抵抗値の四分位数から、人工肺抵抗値のばらつきを評価し、外れ値を算出した。送血温の低下に伴い人工肺抵抗値のわずかな上昇がみられた。各人工肺の四分位数の結果より、どの人工肺も人工肺抵抗値は添付文書より算出した値に比べて高い値が発生していた。また、外れ値が全データに比較して、送血温の低下時、血液pHの異常時、Hct値の上昇時に外れ値が発生しやすい傾向がみられたことから、人工肺灌流中の各種パラメータと人工肺抵抗値の関係において、低体温時、血液pHの異常値、Hct値が比較的高い時に人工肺抵抗値が高くなる可能性が示唆された。
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