体外循環技術
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44 巻, 4 号
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原著
  • 大下 智也, 永田 和之, 中島 康佑, 村木 亮介, 有道 真久, 平岡 有努, 坂口 太一
    2017 年 44 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/20
    ジャーナル フリー

    背景:人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)後の急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は主要な合併症の一つであり、予後を悪化させると報告されている 1)。しかしながらAKIを予防するためにCPB中にどのように管理するべきか、未だ不明な部分が多い。今回我々はCPBを用いた心臓血管術後のAKIに関して後方視的に調査した。

    対象と方法:2012年から2015年の期間に、当院でCPBを用いて心臓手術を行い、CPB時間が120分以上かつ最低体温が32℃以上であった371例を対象とした。AKIは術後48時間以内に発症したものと定義し、AKIの診断にはAcute Kidney Injury Networkを用いた 10)

    結果:AKIは59例(15.9%)に認めた。AKI群の方がCRRT導入率は有意に高く、ICU滞在期間、術後入院日数においても有意に長かった。多変量解析の結果、体重≧66.1kg、術前推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)<56.9mL/min/1.73m2、術中濃厚赤血球(red blood cells:RBC)輸血≧6 IU、CPB中最低酸素供給量(oxygen delivery:DO2)<259mL/min/m2、CPB中尿量<2.8mL/kg/hがCPB後AKI発症と有意に関連していた。

    結語:手術中は極力RBC輸血を避け、CPB中最低DO2を259mL/min/m2以上に維持し、十分な尿量(2.8mL/h以上)が得られているかをモニタリングすることでAKI発症を軽減できることが示唆された。

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