体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
最新号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
研究論文
  • 田辺 貴幸, 中田 貴丈, 田中 千久, 石田 奈々絵, 山下 雄作, 佐藤 耕一, 田辺 克也, 岩倉 具宏
    2024 年 51 巻 4 号 p. 459-463
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

     低体温を用いた大動脈手術では、冷却と復温が必要であるが、温度管理方法は施設ごとに異なる。今回、人工心肺離脱後の膀胱温度の変化に着目し、影響を与える因子を検討した。2019年から2021年までに循環停止法(脳分離併用)で、大動脈瘤切除術を受けた患者を対象に膀胱温度が人工心肺離脱時から手術終了時に上昇した群をI群(387症例)、低下した群をD群(69症例)とした。評価項目は、膀胱温度は人工心肺中の最低値、人工心肺離脱時、手術終了時とし、手術時間、人工心肺時間、人工心肺中の尿量などとした。傾向スコアマッチングで調整し、69症例ずつの患者が含まれた。I群とD群で、膀胱温度は最低(24.9 vs 24.2℃)、人工心肺離脱時(34.3 vs 35.2℃)、手術終了時(35.3 vs 34.8℃)で、人工心肺中の尿量は(1.8 vs 2.7mL/kg/hr)となった。最低温度が低くなると人工心肺離脱後の膀胱温度は低下しやすく、惰性による過度な冷却は避ける必要があった。また、尿量が十分に得られている場合は、復温時の膀胱温度を過大評価している可能性があると思われた。

  • 原 怜史, 吉田 収, 岡田 和也
    2024 年 51 巻 4 号 p. 464-468
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/13
    ジャーナル フリー

     低侵襲心臓手術における体外循環は難易度が高く高度な管理が要求される。胸骨正中切開時と同様の灌流指数(perfusion index:PI)を維持することは困難であり、PIを基準とした体外循環管理方法には限界がある。今回は酸素供給量(DO2)と酸素消費量(VO2)、乳酸値から患者の酸素需給バランスを考慮した灌流量の決定が可能であるか、術後急性腎障害(acute kidney injury:AKI)との関連があるか検証した。

     高乳酸血症を2mmol/L以上、酸素需給バランスの評価をVO2/DO2としてROC解析を行い、カットオフ値を算出し各因子を比較検討した。

     ROCによりカットオフ値0.245が得られVO2:DO2=1:4となりVO2の4倍以上のDO2が維持できれば高乳酸血症が抑制されることが示唆された。カットオフ値による群間比較では0.245≦の群で術後AKI発症者数が有意に高い結果となりVO2の4倍以上のDO2を維持することにより術後AKI発症を抑制させることが示唆された。

     従来の体外循環管理法に加え酸素需給バランスを考慮した体外循環管理が重要である。

feedback
Top