ここでは, 学習準備点を構成する要素の抽出と, 準備点の構造を検討することに主眼をおいた。まず, 教材 (α) に対する学習準備点の構成要素を抽出する方法は次のようである。学習の準備に必要な要素を (Si, Si+1, …, Sj) と仮定すると, 教材 (α) の学習後に認められる (α) の達成度fα (s
1, s
2, …, s
n) と, 各要素の理解の型 (s
1, s
2, …, s
n) の関係は, 論理的には,(1)(2) 式のようになると考えられる。また, このような条件のもとでは,(4) 式の値は, Skが学習準備点の構成要素であれば,
(mは準備点の構成要素の数)
となり, 構成要素でないと,
Q
K=0
となる。したがつて, これから, いちおう, 学習準備点の構成要素を,(4)(5) 式によつて抽出することができる。
しかし, 学習準備点は, このような簡単な構造をもつもののみではない。そこで, 上述のような構造は, 教材 (α) に関する学習準備点を構成する要素が, 1つでも理解できていない場合, 教材 (α) に対する学習効果はほとんど期待できないということから, 各要素はこの面で等
しい重さをもつているとみて, このような構造を, equal weight structureと名づけた。これに対して, unequal weight structure考え, これに, Or-structureとAnd-structureを取りあげた。前者は, 学習準備点の構成要素 (Sz+k1) の代わりに (Si+k2),((Si+k2) の代わりに (Si+k1)) をもつてくることができるというような構造をもつものであり, 後者は,(S
i+k
1) が十分に理解されていなくても,(S
i'+k
2) と共働して, ひとつの概念が成立しておればよいという構造をもつものである。
しかし, このAnd-structureは, equal weightstructureと, Or-structureの拡張と考えられるためにここでは, Or-structureをunequal weight structureの主要なものとして検討した。そうして, Or-structureに認められるOr-elementの性格を検討し,(11) 式のような方法で, これを抽出することを考えた。しかし, 学習準備点の構造というものは, このような単純なものばかりではない。そこで, いちおう, このような考えかたを拡張する方法や, 実際に学習準備点の構成要素を抽出する方法, さらに, この場合に考えなければならない問題などを5で考えた。
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