教育心理学研究
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10 巻, 3 号
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  • 豊田 ふみ
    1962 年 10 巻 3 号 p. 129-138,188
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    The aim of this study is to analyse the patterns of interpersonal perception from the viewpoint of personality. A pattern of interpersonal perception is regarded as a subordinate socio-psychological concept like attitude, opinion and belief. Personality is here deemed as the general behavior-modality which appears in the interpersonal situation and it is reflected on the patterns of perception.
    The writer also tried to use empathy, a fundamental concept in the previous studies, as an independent variable of the perception-patterns. In the present report, Part I, the composition of the scale and the methods of measuring behavior modality and empathy are to be described.
    1. Composition of Semantic Differential Test:
    It is a fundamental problem in the analysis of perception pattern how to describe and classify the relation between oneself and others in the interpersonal situation. In the present study, a new Semantic Differential Test for the group activities and membership was composed, the technique by Osgood et al. being referred to. By means of ten concepts regarding a group, samples of adjectives were collected and scales were arranged on the basis of 25 pairs of opposite adjectives. A group of 54 subjects, second-year high school students, was required to rate eight concepts regarding the group in terms of the above scales. On the basis of these data correlations were obtained between the scales, and in terms of thefactor-analysis three factors, Friendliness-Evaluation,Dominance-Potency,Participation-Activity, were sampled out. The Semantic Differential Test, consisting of a couple scales for each factors was thus composed.
    2. Measurement on the Behavior Modality:
    The general behavior modality indicated in the interpersonal situation was measured by the mutual ratings among the classmates. Eight types of the hypothetical modality were set up by the combinations of three Semantic Differential factors which formed the patterns of the perception of oneself and others. On this basis the data of the mutual ratings were classified and the modality types were thus judged.
    Exp. 1) In order to examine these hypothetical types of modality, a modality-measurement was conducted for the subjects, a total of 180 second-year high school. The results indicated that these actually existed only six among the eight types of the hypothetical modality.
    Exp. 2) In order to clarify the psychological significance of the hypothetical modality, afact-or-analysis was attempted between the actual modality types, 54 third-year high school students serving as subjects. It was evident from the result that three statistically independent were not independent of each other in psychological meaning, and it was consequently verified that there did not exist eight types of the hypothetical modality in practice.
    3. Measurement of Empathy:
    There are two standpoints employed in the method of empathy measurement, that is, phenomenological and depth-psychological. The potential, depthpsychological empathy was here measured, according to the latter standpoint. It was required to rate in terms of the Semantic Differential Scale these sentences which described an outlook of a human being independent of the actual interpersonal relations. The degree of empathy was measured by the deviation of each datum from the averaged norm of all members.
    Exp. 1) In order to investigate whether the appropriate sensibility would be measured for the cue, we examine the relation of the empathy to the patterns of perception, a total 180 second-year high school students serving as subjects. The result indicated that what was measured was not the appropriate sensibility but only the sensitivity for the cue.
    Exp. 2) In the above investigation, we tried to measure the empathy from the deviation of perception the concept and sentence-rating, 260 subjects of second-year high school students.
  • 現実界認識過程としての発生領域の考察
    相川 高雄, 堀内 敏
    1962 年 10 巻 3 号 p. 139-149,189
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    疑問の発達的研究は, 1) 言語の発達過程2) 興味・関心あるいは理科的・科学的興味関心の発達過程3) 思考あるいは科学的思考の発達過程からなされている, 本研究は, 主として2) および3) の発達過程を中心として, これを現実界認識過程と題し, その発生領域を発達・性・時代などの観点から考察した。
    調査の方法は, 愛知県下の保育園・小・中学校の幼児・児童・生徒, 1028名に個別的面接による自由陳述法および集団的な自由記述法を適用して, 得られた結果を疑問の4領域9類に分類し考察した。その結果と考察を要約すると次のとおりである。
    (1) 疑問数からみた発達的傾向は, 小学6年で男女とも疑問数が最高になり, 以後, 中学1年, 3年と減少していく。このことは, 中学の前半から後半にかけて興味・関心が特定対象へ分化, 集中し, 疑問が質的に高次になる過程を裏づけるように考えられる。
    (2) 疑問の発生領域における傾向としては, 幼児期には「物品」に関する疑問が最も多いが, これが年令発達とともに減少し, 逆に, 小学校中学年から「人間生活」の疑問が増加し, 中学後半さらに上昇し, この両者の領域の発達傾向が対照的になつてくる。「生物」の疑問は年令とともにやや減少し, 「自然現象」の疑問は, 小学校中学年に増加し以後, やや減少してくる。発生領域において顕著な傾向は, 「人間生活」に対する疑問が中学3年で疑問総数の64.5%を占め, この領域の疑問に集中することである。この傾向は, 今日における思春期の精神特性を示唆する興味ある特徴と考えられる。
    (3) 本研究における以上のような発生領域の傾向と戦前の傾向とを比較すると,「生物」「物品」は年令発達とともに滅少し,「自然現象」は小学校中学年から中学前半に増加し,「人間生活」は発達ととも増加する, という全般的発達型は類似しているが,「人間生活」と「自然現象」に対する量的優劣に差異がみられる。すなわち本研究では,「人間生活」が小学校中学年以後, 他の領域を一貫してしのいでいる傾向をもつのに反し, 戦前では,「自然現象」が小学校中学年以後, 他の領域を一貫してしのぎ, 両者の領域の発達傾向が入れかわつたようになつている。この点, そこに時代的変容の要因が示唆される。
    (4) 疑問領域の9類に関する発達的・性的傾向としては,「気象」「植物」「人体」の疑問には発達的・性的差異はみられない。「天体」については発達とともに疑問がやや増え, 中学生になつて男子が女子をしのぐ。「地球」では小学校中・高学年で男子が女子をしのぐが発達傾向には差がみられない。「動物」の疑問は, 小学校低学年以下の年令では多いが, その他の年令で差異がなく, また性差もみられない。「用品」については, 年令ととも疑問が減少し, 小学校中学年までは男子よりも女子に多くなつている。「器械」の疑問は, 幼児期にやや多い程度で発達差はみられないが, 男子はすべての年令とも女子をしのいでいる。「生活」の疑問は, 小学校中学年以後, 年令とともに増加し, 同時に, そのころから女子が男子を上まわつている。
    (5)疑問の発生領域および疑問の9類に関する発達的傾向を総合すると,「用品」「器械」「動物」の疑問は小学校低学年以下に多く,「天体」「気象」「地球」が少なく,「生活」「人体」「植物」は, その中間である。しかし, 小学校中学年以後,「生活」「人体」の疑問が増えて最上位を占め,「器械」がこれに次ぎ,「用品」「植物」が減少して最下位になり,「天体」「気象」「地球」「動物」の疑問が中間的位置を占めるようになつてくる。このような疑問の種類の分化過程は, これを現実界認識過程の一因としてみることができ, それはいちおうく幼児後期・児童前期を即物的現実界認識段階としての疑問期児童中・後期を移行的現実界認識段階としての疑問期, 青年前期を社会的現実界認識段階としての疑問期と考えてみることができる。
    以上, 本研究で得られた結果を要約したが, これらはいずれも今後の継続的かつ包括的な研究にまたなければ明確な傾向を得ることができないであろう。ことに, 発達的傾向とそれに及ぼす時代的要因を究明し, その両者の関係を明らかにすることによつて現実界認識過程としての疑問を段階づけることが必要と考えられる。
  • 学習能力系列の解析 (1)
    中嶽 治麿
    1962 年 10 巻 3 号 p. 150-158,190
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    ここでは, 学習能力を学習指導の場合に考えられるものに限ることにし,「どんなことが, どれだけできるか」という観点から観測される能力について, その形成過程に関する系列の解析と, 系列の抽出をねらつた考察を行なつた。まず, 上のような立場から考えられる学習能力系列の模型は,(1) 単一系列模型 (系列(1),(1'))(2) 代替系列模型 (系列(9),(16))(3) 多重系列模型 (§1. 2., §4に示したもの) に大別される。しかし, 実際には, 多重系列模型は, 単一系列模型や代替系列模型が基本的な要素であり, また代替系列模型は, 代替要素 (§4) と単一系列模型が基本的な要素になつていると考えられる。
    今回の報告は, 単一系列模型と代替系列模型に限定しさらに, 代替系列模型に重点を置いた考察を行なつた結果である。
    まず, 単一系列に)を仮定すると, その系列のもつ尺度性から, 系列内の各要素の位置関係が定式化できる ((2)~(5)式)。したがつて, これから逆に, 単一系列が存在すると仮定した場合, 系列内の各要素が示す特性 ((2)~(5)式) を基礎にして, 単一系列を実際に構成することが可能になる((6)~(8)式)。このような考え方は, 代替系列 (10) に関しても, 容易に拡張することができる ((11)~(14)式)。
    しかし, 実際には, 各種の能力が混在しているなかから, 等価要素 (単一系列を構成する要素), 代替要素, 付帯要素 (系列に無関係な要素) を弁別する必要がある。そこでTable 3に示すような模型を中心として, R (ai), Q (ai) を定義し ((15)式), これらがもつ特性 ((17)~(26)式) によつて, 各種の能力を弁別するとともにその系列を抽出することを考えた。
  • 村川 紀子
    1962 年 10 巻 3 号 p. 159-170,191
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    リジディティーが人格特性に起因するか, 場の状況によつて現われるものであるか, 単一な因子か多様な現われ方をする因子であるかの問題については過去20年余にわたつて多数の研究がなされてきたが,その結果は一致せず明確な結論は得られていない。どのような観点からこの現象をとりあげるかが不一致の原因のひとつであると思われる。この混乱を整理する試みの第1段階として問題解決リジディティーをとりあげ, これが一般因子であるかいくつかに分けられる多面的な因子であるか, 分けられるとすればどのように分けられるのが妥当であるかを追求しようとした。またリジディティー因子と性格特性との関係を知ることによつてリジディティーの本質を明らかにしたいと考えた。
    研究に先立つて信頼性のある妥当なテストを得ることが必要であつた。入手できるかぎりの内外関係文献を集めて, テストを詳細に検討した結果, 12のテストを選び数回の予備テストを経て8テストを採用した。被験者は中学1年生と大学2年生女子である。
    8つのテストに知能テスト因子点, スピードの因子, 性格因子を加えて20項目について因子分析し, 4個の1次因子と, 2個の2次因子を得た。4個の1次因子のうち,(1) は知能の因子,(2) は速度の因子,(3) は実験的に導かれたセットからの変化に関するリジディティーの因子 (4) ははつきりと断言できないが, 経験的に導かれたセットからの変化に関するリジディティーの因子であると思われた。2次因子は (1) 精神的平衡を求める傾向に関する因子,(2) 知的エネルギーの因子と命名されうるように思われた。この分析では, あまりに多くの項目を用いすぎて結果がかえつて不明瞭になつたように思われたのでリジディティー・テストだけにつき因子分析を行なつた。その結果, 中学生を被験者とした場合には4因子が, 女子大学生の場合には6因子が抽出された。前者では (1) 自発的変化を要する場面におけるリジディティーの因子,(2) 強制的変化を要する場面におけるリジディティーの因子,(3) 数的能力の因子,(4) 空間的図式を巧みに利用する能力とそれぞれ命名された。後者では (1)(2) は中学生のそれとほとんど等しい負荷を示し,(3)(4) はいくらか異なるが, ほぼそれと思われる因子が見出された。
    以上の分析から, わたしの用いたリジディティー・テストと知的能力との関係は大きいこと, リジディティー因子は単一のものでなく, いくつかに分けられることが認められた。
    次に因子の本質を追求するために, 性格テストとの関係を考察した。質問紙形式, 作業形式等のいろいろのテストを用いて検討した結果, 中学生の場合も女子大学生の場合もほぼ等しい傾向が認められた。すなわち, 自発的変化を要する場面におけるリジディティー因子は, 劣等感, 回帰性気質, 客観性, 公正さ, 興奮傾向, 攻撃性情緒安定性, 自己防御性等に有意な関係を示したのである。
    強制的変化を要する場面におけるリジディティー因子はどの項目とも有意な関係を示さなかつた。これに関してはすでにのべたようにテストの方法, 採点方法に改善すべき多くの点があつたと反省している。
    リジディティーと性格特性との関係は, 知能のよい者とよくない者によつて多少異なることも認められた。
    今後の問題としては, 第1にテスト方法, 採点方法を改善して, 分析を行ない, 強制的変化場面におけるリジディティー因子の性格を明らかにすること。第2にテスト場面にストレスを導入して個人の生得的anxiety傾向との相互関係を考慮しつつ, その変化を考察すること, 第3に, 厳密なサンプリングに基づいて, 発達的な変化を考察することなどが残されている。これらを順次研究し明らかにしていきたいと思つている。
    (この研究について種々ご指導をいただきました倉石教授に深く感謝いたします。)
  • 芳賀 純
    1962 年 10 巻 3 号 p. 171-176,192
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 本研究では英国の小学生第3学年男子50名, 女子50 名, 計100名を被験者にして, 算数問題の難易度を規定すると考えられる要因の中から5要因を選び, これらを含む問題を作成して与えた結果, 加法と乗法 (0), 項数の多少 (N), 文章問題と計算問題 (M), 単位の有無 (U) および数字の大小 (S) の5要因が, 上記の順に難易度を規定していることがわかつた。
    2) 2条件の交互作用が認められたものは, 可能な10組のうち, ON, UN, MU, MN, およびMOの5組である。
    3) 3条件の交互作用は, 可能な10組のうち, UON, ONS, およびMUNの3組である。
    4) 4ないし5条件の交互作用があるということは確かめられなかつた。
    5) 交互作用は, 特にO, M, Uを含む組み合わせに認められるが, このなかでO, M, およびNがO2, M2, N3の条件をとることによつて, 算数問題がより難しくなる傾向がある。しかしUのみは, すでにO2, M2, N2またはS2を含み困難な問題に, U3として加わるとすなわち単位の導入を行なうと, 逆に問題をやさしくする傾向が認められた。
    6) 5要因 (main factors) は困難度に75%の寄与をし, 2ないし3要因の相互作用は全体で17%の寄与をし, 計 92%が実験にとりあげた5条件とその交互作用によつて説明される。残りの8%が実験誤差も含めた残差となる。この実験のわく内で, 交互作用が比較的に少ないという理由から, 上記5要因を, 算数問題の難易度を規定する主要な要因であると考えることができる。
    7) 本研究の被験者が英国の小学生であることから, 同種の方法を日本の児童に適用した研究が必要と考えられる。その際, 問題作成の手続きは同一でよいが, 内容特に単位の採用について配慮が必要である。
    8) 本研究では, 1個の算数問題がその文脈上の複数の要因によつて, 同時にその難易度を決定されている関係の一部を明らかにした。
    〔注〕
    この研究は筆者が, Manchester大学において1961年 3月に提出した論文“On the measurement of difficulty levels of arithmetic sums for junior 3 children”に基づくものである。
  • 1962 年 10 巻 3 号 p. 188
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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