教育心理学研究
検索
OR
閲覧
検索
47 巻 , 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
  • 栗田 佳代子
    47 巻 (1999) 3 号 p. 263-272
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    検定力分析は使用される統計的検定と同様の前提条件を必要とするが, 教育心理学の研究ではしばしば前提条件が満たされないため, その頑健性に関する研究が数多くなされている。しかし, 従来の研究方法である人工データを用いたコンピュータ・シミュレーションでは現実との対応が不明であるため, これらの研究結果が現実の研究場面において利用ができないという問題があった。そこでまず, 本研究では「観測値の独立性」からの逸脱に対するt検定の危険率および検定力の頑健性について, 実際のデータを母集団とみなしたシミュレーションを行い人工データとの対応を検討した。その結果, 実際のデータによるシミュレーションの結果は, 人工データによるシミュレーションで予測できることが確認された。次に, 項目の尺度化の影響についても検討した。その結果, 尺度に含められる項目数の増加は級内相関係数と母集団効果量に影響し, 危険率に対しては頑健性を低める方向にはたらき, 検定力に対しては本研究で検討した範囲において頑健性を高める方向に作用した。
    抄録全体を表示
  • 塙 朋子
    47 巻 (1999) 3 号 p. 273-282
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は子どもが他者との関係性に応じて, どのように情動を表出するようになるのか, 児童期中期に焦点をあててその発達的変化を検討した。被験者は小学校2年生から5年生, 計1466名である。各人に, 物語中の主人公が怒りや喜び, 悲しみを経験する物語を読ませた。そして母親, 父親, 友達に対して, もしその子が自分だったらどの程度情動を表出するか, 答えさせた。また関係性の指標として, 他者と共にいる時の自己, ソーシャルサポートを取り上げ, それぞれ子どもに評定させた。その結果, 低学年 (2・3年生) と高学年 (4・5年生) とでは, 他者との関係性と情動表出との関連は, 異なることが示唆された。また各情動ごとに, 関係性と情動表出との関連は, 異なる変化を示した。喜び表出は, 低学年で肯定的関係性と相関がみられ, 高学年ではその関連がより強くなった。また怒り表出は, 高学年では関係性との間にほとんど関連はみられなかった。この結果は, 情動の発達における対人関係の役割を重視すること, 及び各情動ごとに, 個別に検討する必要があることを示唆している。
    抄録全体を表示
  • ト部 敬康, 佐々木 薫
    47 巻 (1999) 3 号 p. 283-292
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 授業中の私語の発現程度とそこに存在している私語に関するインフォーマルな集団規範の構造との関係を検討することであった。中学校・高校・専門学校の計5校, 33クラス, 1490名を対象に質問紙調査が実施され, 私語に関するクラスの規範, 私的見解および生徒によって認知された教師の期待が測定された。私語規範の測定は, リターン・ポテンシャル・モデル (Jackson, 1960, 1965; 佐々木, 1982) を用いた。また, 調査対象となった33クラスの授業を担当していた教師によって, 各教師の担当するクラスの中で私語の多いクラスと少ないクラスとの判別が行われ, 多私語群7クラスと少私語群8 クラスとに分けられた。結果は次の3点にまとめられた。(1) 多私語群においては少私語群よりも相対的に, 私語に対して許容的な規範が形成されていたが,(2) 生徒に認知された教師の期待は, クラスの規範よりはるかに私語に厳しいものであり, かつ両群間でよく一致していた。また,(3) クラスの私語の多い少ないに拘わらず, 「規範の過寛視」 (集団規範が私的見解よりも寛容なこと) がみられた。これらの結果から, 私語の発生について2つの解釈が試みられた。すなわち結果の (1) および (2) から, 教師の期待を甘くみているクラスで私語が発生しやすいのではなく, 授業中の私語がクラスの規範と大きく関わっている現象であると考察され, 結果の (3) から, 生徒個人は「意外に」やや真面目な私的見解をもちながら, 彼らの準拠集団の期待に応えて「偽悪的」に行動する結果として私語をする生徒が発生しやすいと考察された。
    抄録全体を表示
  • 下仲 順子, 中里 克治
    47 巻 (1999) 3 号 p. 293-304
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は15年間の縦断調査より, 1) 人格の安定性と変化, 2) 生存や死を予測する自我機能と人格特徴について分析することを目的として文章完成テストとBarronの自我強度スケールが用いられた。第1回調査時の対象者は422名であったが, 15年間中3度の調査が行われ, 調査を完遂した対象者は90名となった。結果1) 人格の変化及び安定性と性差特徴が示された。家庭内の自己認知, 対人交流, 現在の自己や人生に対する価値における肯定的なイメージは女性が男性よりも多かった。人格上の変化は肯定的な方向と否定的な方向が共に示された。肯定的な家庭イメージは加齢と共に増加した。対人交流での肯定反応は徐々に低下したが, 友人イメージでは肯定反応は70歳と80歳間で低下したが80-85歳間では元に回復していた。自己概念の内'過去の自己は加齢と共に肯定反応が増加したが, 未来の自己は年齢が上がると共に肯定反応から否定反応に変化した。結果2) 70-80歳間で自我機能を維持していた群は生存率が高く, 一方70-80歳間で自我機能が低下した群では死亡率が高いことが示された。また, 70-80 歳間での自我機能の低下群では, 維持群にくらべて他者からみられる自己認知, 身体的自己, 現在の自己の肯定反応が減少していた。以上の結果から, 70歳から85歳の高齢期にかけて人格は発達する可能性があることと, 自我機能は肯定的な自己概念の維持や生存に影響を及ぼすことが示唆された。
    抄録全体を表示
  • 夏堀 睦
    47 巻 (1999) 3 号 p. 305-316
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 児童 (小学2, 4, 6年生) の物語創作を, 創造性と関連する「問題―解決」構造を用いて, 教示時の物語の設定との「ずれ」の観点から学齢と性差によって分析し, 創作された物語の内容の変化から児童期の物語創作の発達的特徴を検討することであった。創作された物語は,(1) 解決の種類から4つの解決タイプ (積極的自己解決, 積極的協力解決消極的自己解決, 援助者による解決) と解決不可, その他の 6カテゴリー,(2) 物語の展開に基づき導入部の問題の認知と新たな問題の設定の有無の組み合わせから 3つの解決群に分類された。解決タイプの出現率には有意な学年差がみられ, 6年では有意な性差も存在した。学齢の上昇に伴い他者が介在する解決が増加する傾向がみられたが, 6年男子がこの傾向に該当しない要因として破壊的な表現への嗜好が影響していると考えられた。解決群の出現率には学年差がみられ, 特に女子では学齢の上昇に伴い児童が独自に設定した新たな問題に関連づけて物語を創作する傾向が見られた。
    抄録全体を表示
  • 高井 範子
    47 巻 (1999) 3 号 p. 317-327
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 対人関係性の視点から人々の生き方態度の発達変化を検討することにある。調査対象者は男女1695名 (年齢は18歳から88歳) である。結果は次の通りである。(1) 閉鎖性. 防衛性や, 他者依拠的, 自己優先的姿勢は加齢に伴い弱まっていく傾向にあった。逆に, ありのままの自己を生きる姿勢や他者を受容しようとする姿勢は加齢に伴って強くなっていくことが示された。他者受容は女性の方が男性よりも強い傾向にあった。(2) 閉鎖性・防衛性の強い人は, 自己を受容する度合いが低く, 自尊感情や自己の存在価値意識も余り持つことができていず, さらに人生に目標や意味を見出している度合いも低いことが示された。(3) 他者を受容する姿勢を持っている人は, 意味志向的態度で生き, 常に何かの課題に取り組む姿勢を持ち, 自己の存在価値意識をも持つことができていた。また人生に目標や意味を見出している度合いも強いことが示された。(4) ありのままの自己を生きる姿勢を持っている人は, 人生を主体的に生きることができており, そのような生き方態度は中年期以降の女性において著しく強まっていくことが示された。(5) 社会的活動等に積極的に関わっている人は, 閉鎖的・防衛的でも他者依拠的でもなく, 自己優先の姿勢も弱く, 逆にありのままの自己を生きる姿勢や他者を受容する姿勢を強く持っていることが示された。
    抄録全体を表示
  • 皆川 順
    47 巻 (1999) 3 号 p. 328-334
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    概念地図作成法におけるリンクラベル作成指示の効果を高等学校化学の「原子」単元を用いて検討した。64名の生徒たちを, リンクラベル作成指示の有無で, 性別を考慮しつつランダムに2群に分けた。12問の4肢選択テストが, 概念地図作成の事前と事後に実施された。実験直前に行われた化学小テスト得点の高低をもとに, 各々の群をさらにそれぞれ2群に分割して検討した。2要因共分散分析の結果, リンクラベル作成指示の有無と化学小テスト得点との間に交互作用が見いだされた。無作成条件では4 肢選択テストの得点の高低と, 化学小テスト得点の高低とが一致した。作成条件では化学小テスト得点の低い群も得点の高い群と同様に4肢選択テスト得点が上昇し, 成績上昇に関して統計的有意差は無かった。問題別では化学小テスト得点が低く, かつリンクラベル作成指示の無い群のみ, 定義問題の得点が性質問題の得点の成績より有意に優れた。
    抄録全体を表示
  • 坂田 成輝, 音山 若穂, 古屋 健
    47 巻 (1999) 3 号 p. 335-345
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 教育実習期間中に実習生が経験するストレッサーを継時的に測定する尺度 (教育実習ストレッサー尺度) の開発を目的とした。157名の実習生を対象に, 34の刺激事態項目に対してその経験の有無と不快に感じた程度を実習期間中に計3回評定させた。同時に心理的ストレス反応尺度 (PSRS-50R), 高揚感尺度, 身体的反応尺度に対しても継時的に評定させた。項目分析の結果, 5つのストレッサー・カテゴリー (基本的作業実習業務対教員, 対児童・生徒, 対実習生) から構成される教育実習ストレッサー尺度 (計33項目) が作成された。教育実習ストレッサー尺度で測定された各ストレッサー得点と心理的ストレス反応得点との継時的な関係を検討した。実習開始直後では多くの心理的ストレス反応に作用するストレッサーに共通性が認められた。しかし実習中頃になると反応毎に作用するストレッサーが異なり, 実習が終了近くなると再び多くのストレス反応に作用するストレッサーが共通してくることが示された。以上の結果から, 実習生に生起する心理的ストレス反応へのストレッサーの作用を捉える上で教育実習ストレッサー尺度は有効な尺度であることが示された
    抄録全体を表示
  • 伊藤 寛子, 和田 裕一
    47 巻 (1999) 3 号 p. 346-353
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 非漢字圏日本語学習者の漢字の記憶表象の特性について, 自由放出法を用いて検討した。漢字能力が異なる外国人 (初級者, 中級者, 上級者) および口本人に, 思いついた漢字を15分間できるだけ多く書くように求め, その後, 各々の漢字の想起に用いられた手がかりが何であったかについての質問をした。この手がかりの内容を検討した結果, 初級者の漢字の記憶検索には意味手がかりよりも形態手がかりが多く用いられるが, 漢字能力の向上に伴って形態手がかりより意味手がかりのほうが多く用いられるようになることが明らかになった。この結果は, 第二言語の語彙表象と概念表象との間の直接的な結び付きの程度の変容という点から議論された。また, 日本人よりも外国人の検索において, 部首よりも小さな漢字の構成要素が形態手がかりとして用いられることが多いこと, さらに, 外国人の形態手がかりには, 書き順から考えて不自然な取り出し方をした漢字の部分があることが示された。これらのことは, 外国人の漢字の記憶には日本人とは異なる形態的記憶表象が存在することを示唆するものであると考えられる。
    抄録全体を表示
  • 郷式 徹
    47 巻 (1999) 3 号 p. 354-363
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は幼児がどのように心を理解するかについて, 自己の心的状態の理解と他者の心的状態の理解の比較を通して, 検討することにある。実験1は, Perner, Leekam & Wimmer (1987) のスマーティー課題 (本研究では自己信念変化課題と呼ぶ) と同構造の3課題 (標準課題・状況変化課題・多義図形課題) を3・4・5歳児63人に実施した。また実験2は, 多義図形課題と誤信念課題 (Wimmer & Perner, 1983) を3・4歳児28人に実施した。2つの実験の結果を通して, 自己の心も他者の心も同時期に理解されることが示され,「心」とは表象であり,「心の理解」は「心の理論」に基づいてなされる表象の操作であると考える理論説の妥当性が支持された。また, 幼児が心を理解する際の表象操作に対する知覚的要因や既有知識の影響が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 黒沢 学
    47 巻 (1999) 3 号 p. 364-373
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    外国語の語彙の獲得はその重要性ほどには研究がみられない領域である。ここでは外国語の語彙の獲得を自然概念の獲得の問題として考える。実験1では語彙の学習にはその語の語源的な知識の活用, すなわち派生関係の推論が有用であるという仮説の当否を検討した。実験参加者は外国語としての英語単語となじみのある訳語・新しい訳語を与えられた。90人の実験参加者を派生関係の推論を行う群・イメージを生成する群・頻度を判断する群に無作為に割り当てたところ, 派生関係の推論を行った実験参加者の群が最もよく新しい訳語を再生した。実験2では, 実験1においてよく再生された標的語では訳語どうしが自然なクラス包含陳述を構成していたことが示された。この結果は新しい教授方法に対する含意をもつとともに, 比喩的言語理解研究が外国語理解研究に役立つ可能性を示している。
    抄録全体を表示
  • 外山 美樹, 桜井 茂男
    47 巻 (1999) 3 号 p. 374-382
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の主要な目的は, 大学生を対象として, ささいでポジティブな出来事のもつストレス反応を軽減する効果を探ることであった。そこで, 新たに日常的出来事尺度を作成し, それとストレス反応尺度を用いて, ネガティブとポジティブの両方の日常的出来事が健康状態に及ぼす影響を検討した。日常的出来事尺度は, 因子分析の結果に基づき6つの下位尺度 (自己に関するネガティブな出来事, 対人関係に関するネガティブな出来事, 大学生活に関するネガティブな出来事, 私生活に関するネガティブな出来事, 自己に関するポジティブな出来事, 対人関係に関するポジティブな出来事) 40項目で構成された。日常的出来事下位尺度を説明変数に, ストレス反応下位尺度を基準変数にして重回帰分析を行った結果, ネガティブな出来事が多いと健康を損ねやすいという従来の結果を支持するとともに, ポジティブな出来事が多い者ほど健康であるということが明らかにされた。
    抄録全体を表示
  • 山内 香奈
    47 巻 (1999) 3 号 p. 383-392
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    論文×評定者×観点という3相の論文評定データに, 多相Raschモデルと分散分析モデルを適用し, データの整合性の視点から問題となる特異な評定値の検出結果に関して両モデルを比較検討した。データとしては, 教育心理学の卒業論文の要旨25編を, 大学院生10人が5つの観点について5段階評定したものを用いた。特異な評定値の検出には, いずれのモデルにおいても, 実際の評定値とモデルから期待される評定値との残差が用いられる。得られた結果から, 評定値の特異性のタイプによってモデル間で検出精度にやや違いがみられるものの, 両モデルの残差は非常に高い相関を示し, 両者の性質はほぼ同じものであることがわかった。この類似性は, モデルの適合度を様々に変化させた人工データでも確認された。論文を含む交互作用を考えない多相Raschモデルとの比較のため, 分散分析モデルについては主効果モデルが用いられたが, 実際のデータにおいて論文×評定者の交互作用を調べたところ, 無視できないほど大きな交互作用があることがわかった。そこで, 論文×評定者の交互作用を含む分散分析モデルによって特異な評定値の検出を試みたところ, 主効果モデルでは複数の交互作用が相殺されたために検出できなかった特異な評定値を一部検出することができた。このように分析目的に応じて柔軟に交互作用をモデルに組み込めることや, 分析に必要なデータの大きさ, さらにソフトウェアの利用し易さなど, いくつかの点で分散分析モデルの方が多相Raschモデルより実用的に優れていると判断された。
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top