教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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48 巻 , 2 号
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  • 松田 文子, 永瀬 美帆, 小嶋 佳子, 三宅 幹子, 谷村 亮, 森田 愛子
    48 巻 (2000) 2 号 p. 109-119
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の主な目的は, 数と長さの関係概念としての「混みぐあい」概念の発達を調べることであった。実験には3種の混みぐあいの異なるチューリップの花壇, 3種の長さの異なるプランター3種の数の異なるチューリップの花束の絵が用いられた。参加者は5歳から10歳の子ども136名であった。主な結果は次のようであった。(a) 5, 6歳児では, 混んでいる・すいているという意味の理解が, かなり難しかった。(b) 数と長さの問の比例的関係は, 5歳児でも相当によく把握していた。しかし, この関係への固執が, 混みぐあい=数長さという1つの3者関係の形成を, かえって妨げているのではないか, と思われた。(c) 長さと混みぐあいの反比例的関係の把握が最も難しかったが, 8歳児は, 2つの比例的関係と 1つの反比例的関係のすべてを, かなりよく把握しているようであった。(d) これら3つの2者関係を1 つの3者関係に統合することは大変難しかった。8歳から10歳にかけて大きく進歩したが, 10歳でも約 25%の子どもしか統合を完了していないようであった。このような結果は, 小学校5年算数「単位量あたり」が子どもにとって難しい理由を示唆した。
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  • 前原 武子, 金城 育子, 稲谷 ふみ枝
    48 巻 (2000) 2 号 p. 120-127
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は高校生の孫が続柄の異なる祖父母とどのような関係にあるか明らかにすることであった。父方祖父 (n=79), 父方祖母 (n=103), 母方祖父 (n=85), 母方祖母 (n=100) のうちいずれか1人について, 祖父母の役割・機能を孫がどう意味づけるかについて検討した。孫が意味づける祖父母機能として,「伝統文化伝承機能」,「安全基地機能」,「人生観・死生観促進機能」の3つの因子が抽出された。祖父母の続柄による違いを孫の性別で検討した結果, 多くの項目で有意な交互作用が見出された。母方祖母は父方祖父母より, 孫娘から「伝統文化伝承機能」および「安全基地機能」を高く認知されることが明らかにされた。一方, 孫息子は孫娘より, 父方祖父の「伝統文化伝承機能」,「安全基地機能」, および「人生観・死生観促進機能」を高く評価した。これらの結果は, 母方祖母-孫娘というキンシップの存在だけでなく, 父方祖父-孫息子というキンシップ関係も存在することを示唆するものである。
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  • 若林 明雄
    48 巻 (2000) 2 号 p. 128-137
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, ストレスへの対処スタイルと対処方略選択の関係について, 現職教員を対象として検討を行った。研究1では, 288名の現職教員に対し, Marlowe-Crowneの社会的望ましさの尺度とMASを実施し, その結果から4つの対処スタイルに該当する被験者, Repressor24名, Sensitizer 24名, Lowanxious 14名, Defensive-anxious 12名を抽出した上で, この74名に対して日常生活でのストレス状況における対処方略選択を調べるTAC-24を実施した。その結果, 対処スタイルによって日常生活でのストレスに対する対処方略選択にはある程度の違いが認められた。特に, Repressorが問題解決に向けて積極的な対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは責任転嫁や放棄・諦めのような消極的な対処方略を選択する傾向があるというように, 対照的な傾向を示した。研究IIでは, 研究1で抽出された74名の被験者に対して, 学校での職務上のストレス状況を5つ設定し, それぞれの場面での対処方略選択について回答を求めた。その結果, 5つの場面を通じてみると, Repressorが計画, 情報収集, 努力などの積極的対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは, 思考回避や諦め, 正当化などの消極的対処方略を選択する傾向が認められた。また, 5つの場面ごとの対処方略選択の傾向を調べた結果, 場面によって対処方略選択に4つの対処スタイル間で違いがあることが認められた。
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  • 佐田 吉隆
    48 巻 (2000) 2 号 p. 138-144
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 朗読による精神面での積極的休息が知覚-運動学習に及ぼす効果を検討することであった。テスト試行10試行間それぞれの, 1分間の休憩中における3つの技法の回復促進効果が比較された。3つの技法は次のようなものであった。(a) 積極的休息 (筋) 群は, 回転板追跡学習 (右手) の休止期間にタッピング (左手) に従事した。(b) 積極的休息 (心) 群は, 実験とは無関係の書物を朗読した。(c) 消極的休息群は, できるだけ体を動かさず実験に関する思索をしないように休憩した。その結果, 休憩中に朗読することが最も効果的な回復技法であった。朗読群の被験者は, 技能習得試行において, 他の2つの技法よりも接触時間で有意に優れていた。休憩中に朗読することはまた, フリッカー値の上昇をもたらした。しかし, 統計的には認められなかった。覚醒水準の上昇の可能性が考察された。
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  • 尾崎 康子
    48 巻 (2000) 2 号 p. 145-153
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 幼児の筆記具操作における上肢運動機能の発達変化を検討するとともに, それらの上肢運動が筆記具の持ち方や上肢部位の机との接触状態と如何なる関連性を持ちながら推移していくのかを明らかにすることである。2歳6か月から5歳9か月までの214名の幼児を対象に, ペンで円を塗りつぶす課題を行い, その描画時の様子を4方向からビデオカメラで同時記録した。幼児が円を塗りつぶしている間の上肢の動きを関節運動として分類した結果, 年少幼児では近位の上腕や前腕が動く粗大な動きに対して, 年長になるにつれ次第に遠位の指を動かす微細な動きが可能となる発達変化を捉えることができた。このような上肢の関節運動の発達は, 上肢運動系の内的拘束を獲得していく過程であると考えられる。さらに, 筆記具の持ち方や上肢部位が机に接触する状態は上肢運動と互いに絡み合いながら発達的に移行し, 上肢運動発達をさらに強化するように作用して, 遠位の上肢運動をより一層引き出し易くしていくと考えられた。
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  • 小林 敬一
    48 巻 (2000) 2 号 p. 154-164
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は, ノートテイキング (NT) とノート見直し (NR) について, 新しい研究の視点を生成することにある。そのために, 共同作成の場と見なすことができる大学院の演習場面におけるある参加者のNT・NRを事例としてとりあげ検討した。分析の結果, 「NT→NR→U (発言)」という行為連鎖を1つのエピソードとする, 全体で40のエピソードが抽出された。各エピソードをさらに分析したところ, 「NT→NR→U」について次の3つの特徴を見出すことができた。すなわち, 「NT→NR→U」は,(1) 他の参加者に向けた応答過程として組織されている,(2) 共同作成という場の構造やそれへの積極的な参加と密接に結びついている,(3) ノート表現やノート表現にもとつく発言の中に他者のことばと自分のことばの重なり合いを産み出す。最後に, 以上の分析から導き出されるNT・NR研究の新しい視点として, 行為連鎖の中でNT・NRをとらえる視点, 教授学習場面の構造と参加のし方からNT・NRにアプローチする視点, NT・NRの対話的側面にアプローチする視点を提示した。
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  • 水野 治久, 石隈 利紀
    48 巻 (2000) 2 号 p. 165-173
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    アジア系留学生の専門的ヘルパーに対する被援助志向性に関連する社会・心理学的変数を抽出するために, 質問紙調査が実施された。国立大学に在籍する韓国, 中国, 台湾のアジア系在日留学生を対象に調査を行い, 264票の質問紙が回収された。学習・研究, 心身健康, 対人関係, 住居・経済領域の被援助志向性が尋ねられた。分析の結果, 学習・研究領域の被援助志向性には留学生専門的ヘルパーからのサポート経験が有意な関連を示した。心身健康領域では, ヘルパーの呼応性への心配が負の関連, 留学生専門的ヘルパーからのサポート経験が正の関連を示した。対人関係領域においては, 女性であることが正の関連, ヘルパーの呼応性への心配が負の関連, 留学生専門的ヘルパーからのサポート経験が正の関連を示した。最後の住居・経済領域では, 女性であることが正の関連, 配偶者と同居している留学生が負の関連, ヘルパーの呼応性への心配が負の関連, 留学生専門的ヘルパーからのサポート経験が正の関連を示した。研究成果の留学生援助への応用が検討された。
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  • 相良 順子
    48 巻 (2000) 2 号 p. 174-181
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    従来の性役割発達研究では, ステレオタイプの知識の獲得に重点が置かれていたが, 本研究では, そのステレオタイプをどう評価するか, という態度を扱った。本研究の目的は, 1. 子どもの性役割態度の発達を認知的, 感情的側面から明らかにし, 2. 性役割態度の発達に関連する要因を検討することである。542名の小学2年生, 4年生, 6年生を対象に, 質問調査を実施した結果, 1) 2年生から6年生の間, 性役割ステレオタイプに対する認知的態度, 感情的態度は年齢とともに柔軟になった。2) 4年生と6年生について, 男子は, 視聴するTV番組の数, 父親の家事参加が認知的態度の柔軟性と関連し, 親のしつけが感情的態度の柔軟性に関連していた。女子は, 親が男性的な職業を期待することが認知的, 感情的態度の柔軟性に関連していた。
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  • 久保 恵
    48 巻 (2000) 2 号 p. 182-191
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 対人恐怖心性と親子関係像との関連を, 内的ワーキングモデル (IWM) の観点から検討した。親子関係像については, 内在化された体験に接近するため, 認知レベルと投影レベルとから調べた。回答を得た大学生153名の中から, 対人恐怖心性質問紙で対人恐怖心性の高い者 (H群40名) と低い者 (L群39名) とを抽出し, 子どもの頃の親との関係認識質問紙と回想動的家族画法との結果を比較した。質問紙では, H群は母親に対して, 親密さも強いが不信も強いという二重性を示した。父親に対しては, 親密さ, 不信, 怯え全因子でH群はL群より否定的であった。家族画では, H群はL群より交流し難い両親像を描いた。以上より, 対人恐怖心性が高いほど (1) 親子関係像は肯定的なまとまりをもたない,(2) 受容的な親の存在体験が希薄, との仮説が支持された。対人恐怖心性と親子関係像とに特有の関連が認められたことにより, 対人恐怖心性高群を, 不安定な親子関係像を基型とするIWMで捉える妥当性が示された。
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  • 外山 紀子
    48 巻 (2000) 2 号 p. 192-202
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    都内公立幼稚園の4~5歳児の食事場面における, 子どもたちのやりとりを検討した。研究1では, 4歳児クラス秋~5歳児クラス秋まで, 研究2では, 入園したばかりの4歳児クラスの夏までを観察した。結果は, 以下の3つにまとめられる。第1に, 幼稚園の食事場面では, 多様なやりとりがみられた。時間の経過に伴い, 食べることに直接関連したやりとりは減少したが, 一般的な内容のやりとりは増加した。新入園当初でも, 同様の変化があった。第2に, 研究1・2において共に,“……あるひと, てーあげてー”という発問と, それに対する“ハーイ”という応答からなるルーティンがみられた。このルーティンは, 研究1では4歳児クラスに多くみられた。4歳児クラス秋, および新入園当初においては, ルーティンが使われた場合, やりとりの参加者人数が多く, やりとりは持続的だつた。5歳児クラスになると, ルーティンが使われない場合の方が, 参加者数が多く, やりとりは持続的になった。このルーティンは, ある特定の時期において, やりとりへの参加とその維持を助ける役割を有するらしい。第3に,“……あるひと, てーあげてー”のルーティンは, 研究1・2において共に, その構造面における変化がみられなかった。
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  • 安田 朝子, 佐藤 徳
    48 巻 (2000) 2 号 p. 203-214
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Taylor (1989) は, 自己報酬的なバイアスは精神的健康や適応と結びついていると主張している。しかし, それは本当だろうか。自己報告式の尺度のみによって健常者を抽出すると, 「抑圧型」のような過度に肯定的なバイアスを示す群がそこに混入するため, 結果が大きく歪む危険性がある。しかし, 「抑圧型」は身体疾患の罹病率が高く, 必ずしも健康であるとは言い難い。「抑圧型」は, 特性不安尺度の低得点者かつMarlowe-Crowne社会的望ましさ尺度の高得点者と操作的に定義される。他方,「真の低不安群」は両尺度の低得点者である。研究1では, 過度に肯定的な自己評価傾向および非現実的な楽観傾向は「抑圧型」において顕著であり,「真の低不安群」はそれほど楽観的ではないことが示された。また,「抑圧型」では, 当人にとって重要なゴールと現状との不一致が小さく, それゆえ陰性情動の自己報告が低いことが示唆された。研究2の結果から,「抑圧型」において観察された非現実的な楽観傾向は, 実際にゴールと現状との不一致がないことによるのではなく, 現状に関するフィードバック情報が無視されているためであることが示唆された。すなわち,「抑圧型」では, 定期試験前になされた成績予測得点は最も高く, 実際の成績は最も悪かった。また, 予測に比して成績が悪かった場合, 他群では結果のフィードバックを受けて予測が下方修正されたのに対し,「抑圧型」では予測が変わらないか上方修正される場合さえあった。本研究では,「抑圧型」ではそもそも負の結果のフィードバックが適切に評価されないためにこうした楽観傾向が維持されており, それゆえ状況に応じた対処方略の選択と修正が妨げられていることが示唆された。こうした結果から,「真の適応」とは, 状況に応じた適切な対応をなし得る認知構造の柔軟性にあるのではないかと考えられる。
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  • 瀬戸 健一
    48 巻 (2000) 2 号 p. 215-224
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, スクールカウンセラーの実効性ある連携を探索するために, 質問紙調査による検討を行った。スクールカウンセラー配置経験校9校の教師231名を対象とする質問紙は, 以下の4つの内容を含んだ。(1) 生徒数, 進学率, 教職経験などの属性 (2) 所属校の学習充実, 職場満足, 校内研修, 分掌の機能性, 協力体制, 管理職の指導力などの学校組織特性 (3) スクールカウンセラー連携の実践的課題と期待感 (4) スクールカウンセラー連携後の有効度。質問紙調査の結果は, 教師の期待感と同様に組織的支援活動が, スクールカウンセラー連携の有効度に肯定的に影響することを示した。最後に, 将来のスクールカウンセラー連携に関する提案が行われた。
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  • 加藤 司
    48 巻 (2000) 2 号 p. 225-234
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 友人関係を起因としたストレスフルなイベント, すなわち, 対人ストレスイベントに対するコーピングの個人差を測定する対人ストレスコーピング尺度 (hterpersonal Stress-Coping Inventory; ISI) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することである。因子分析の結果から, ISI (34項目) はポジティブ関係コーピング (16項目), ネガティブ関係コーピング (10項目), 解決先送りコーピング (8項目) の3つの下位尺度から構成されていることがわかった。信頼性に関しては, 内的整合性がα=.79-.87, 再検査法による信頼性係数がr=.86-.92であった。妥当性に関しては, 内容的妥当性, 及びラザルス式ストレス・コーピング・インベントリー, 尾関のストレス反応尺度, 抑うつ傾向を測定するCES-D, 友人関係に関する満足感との比較による構成概念妥当性の検証がなされた。その結果, 妥当性に関して幾つかの課題が残るものの, ISIの信頼性と妥当性を確認することができた。
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  • 廣瀬 英子
    48 巻 (2000) 2 号 p. 235-246
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文ではパーソナリティ, 興味, 社会的態度などの心理測定尺度のなかで, 3件法, 5件法などと呼ばれる多段階評定尺度について, 測定方法に関する現在の動きを展望した。はじめに, 現在コンピュータ・テスト化されている心理測定尺度にどのようなものがあるかを概観した。コンピュータ化の際には, 紙筆式の場合との同等性を確認する必要がある。これまでの研究では, その多くは同等性の条件を満たすと判断されている。しかし, 測定内容や測定対象者によっては, テスト形態が結果に影響する場合もあり, コンピュータ式の回答方法が適切かどうかを慎重に判断しなければならない。続いて, 心理測定尺度に対する項目反応理論の現在の適用状況をまとめた。多段階評定尺度に適用できる多値型モデルにはいくつかの種類がある。これまでの研究で, 因子分析で一次元性が確認されている尺度に対してこれらのモデルを適用することによって, さらに細かい項目分析を行うことができ, 項目を精選して尺度の精度を高められることが確認されている。これらのことをふまえて, コンピュータ・テスト化された心理測定尺度に項目反応理論を適用して, それをさらに有効に活用する方法を検討した。適応型テストの形式, あるいは診断型テストの形式を取り入れること, また, 紙筆式の発想にとらわれない新しいテストを考案することなどが今後の課題である。これまで行われてきた, 既存の紙筆式の尺度をコンピュータ・テスト化する手続きは, 将来的に心理測定をコンピュータ上で行うことを考えたときに必要ではあるものの, 単調な作業であった。しかし, この段階でコンピュータ化を止めることなく, 項目反応理論をいかした, 内容面でも方法面でも新しい心理測定尺度づくりにつなげることが重要である。
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