教育心理学研究
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48 巻 , 3 号
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  • 清水 由紀
    48 巻 (2000) 3 号 p. 255-266
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    幼児が,(性格) 特性・動機・行動の因果関係や, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となるということを理解しているかどうかについて検討した。具体的には, 3, 4, 5, 6歳児の4群を対象に, 動機・行動・結果からなる物語を提示し, 動機情報を用いて行為者の特性をラベリングし他場面における行動予測をすることができるかどうかを調べた。また, 動機・行動・結果の順に提示するか, 行動・結果・動機の順に提示するかということが, それらの推論過程に影響を及ぼすかどうかにっいても調べた。その結果, 特性のラベリングにおける動機情報の使用から, 特性・動機・行動の因果関係は3・ 4歳から理解し始めているが, 5歳からより確実に理解できるようになることが示唆された。そして行動予測における動機情報の使用と〔物語の動機-特性のラベリングー他場面における行動予測〕の回答の一貫性から, 特性は特定場面を越えて一貫した行動の原因となることは, 5歳から理解し始めているが, 6歳からより複雑な場面においても理解できるようになることが示唆された。このような発達過程が見出されたのに加えて, 幼児における特性推論過程には新近効果が見られることが推測された。
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  • 馬場 安希, 菅原 健介
    48 巻 (2000) 3 号 p. 267-274
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文では現代女性の痩身化の実態に注目し, 痩身願望を「自己の体重を減少させたり, 体型をスリム化しようとする欲求であり, 絶食, 薬物, エステなど様々なダイエット行動を動機づける心理的要因」と定義した。痩身は「幸福獲得の手段」として位置づけられているとする立場から, 痩身願望の強さを測定する尺度を構成するとともに, 痩身願望が体型への損得意識を媒介に規定されるモデルを検討した。青年期女子に質問紙による調査を行い, 痩身願望尺度の一次元構造を確かめ, ダイエット行動や摂食行動との関連について検討し, 尺度の信頼性, 妥当性が確認された。また, 体型への損得意識に影響を及ぼすと考えられる個人特性と, 痩身願望との関連性を検討した結果, 「賞賛獲得欲求」「女性役割受容」「自尊感情」「ストレス感」などに関連があることが示された。そこで, これらの関連を検討したところ, 痩せれば今より良いことがあるという「痩身のメリット感」が痩身願望に直接影響し, それ以外の変数はこのメリット感を媒介して痩身願望に影響することが明らかになり, 痩身願望は3つのルートによって高められると考えられた。第1は, 肥満から痩身願望に直接至るルートである。第2は, 自己顕示欲求から生じる痩身願望で, 賞賛獲得欲求と女性役割受容が痩身によるメリット感を経由して痩身願望と関連しており, 痩身が顕示性を満足させるための手段となっていることが示唆された。第3は, 自己不全感から発するルートである。自尊感情の低さと空虚感があいまったとき, そうした不全感の原因を体型に帰属し, 今の体型のせいで幸せになれないといった「現体型のデメリット感」を生じ, さらにメリット感を経由して痩身願望に至ることが示された。これらの結果から, 痩身願望が「女性的魅力のアピール」や「自己不全感からの脱却」を日的として高まるのではないかと考えられた。
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  • 西垣 順子
    48 巻 (2000) 3 号 p. 275-283
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    小学校4年生, 5年生, 6年生を対象に, 文章中の非整合的な部分 (エラー) を検出する課題に関する 2つの実験を行った。その際に要点情報に関するエラー (包括的エラー) と非要点情報に関するエラー (局所的エラー) の2種類のエラー検出課題を用意した。さらに実験2では文脈に基づいて文を解釈する能力を測定するために, 文章中の空欄にあてはまる語を空欄の前後情報をもとに判断する空欄補充課題も行った。空欄補充課題の成績が高い群はエラー検出の成績もよく, エラーの検出には前後の情報から文を解釈できることが関係すると確かめられた。また全体的に包括的エラーの検出成績は局所的エラーよりも高く, 文章中の他の多くの情報と関連のある要点情報は, 非要点情報よりも検索されやすいことが示された。しかし実験2では, 4年生で両エラー条件での検出成績に差は見られなかった。また局所的エラーとは異なり, 包括的エラー検出の学年差には空欄補充成績の高低だけでは説明できない部分があった。これらの結果から, 児童期後半には, 文脈から文を解釈する能力, および検索可能なマクロ構造を生成する能力がそれぞれ発達するということが示唆された。
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  • 上村 恵津子, 石隈 利紀
    48 巻 (2000) 3 号 p. 284-293
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 特別な教育ニーズを持つ子どもの母親に対する教師からのサポートの種類とそれに対する母親のとらえ方の関係を明らかにした。質問紙は, 通常の学級に在籍する子どもの母親199名の調査を基に信頼性と妥当性を検討し作成した。さらに, この質問紙を用いLD (学習障害) およびその周辺の子どもの母親63名を対象に調査を行った。なお, サポートの種類は, 教師からのサポートを道具的サポート, 情緒的サポート, 指導的サポートの3種類でとらえた。その結果, 通常の学級の母親では, サポートへの評価において情緒的サポートや道具的サポートの方が指導的サポートよりも有意に援助的と評価されやすいことが明らかになった。一方, LDおよびその周辺の子どもの母親では, サポートへの評価および行動への意思共に, 3種類のすべてのサポートの間に有意な差が認められ, 道具的サポート, 情緒的サポート, 指導的サポートの順に援助的ととらえられやすいことが明らかになった。以上の結果から, LD およびその周辺の子どもの母親には, 母親を情緒的に支えるサポートだけでなく, 教師が母親と共に行動するような道具的なサポートが有効であることが示唆された。
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  • 竹内 朋香, 犬上 牧, 石原 金由, 福田 一彦
    48 巻 (2000) 3 号 p. 294-304
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    不眠, 不充分な睡眠や付随する疲労は, 行動問題や情動障害に関連し, 二次的な学業問題, 集中力欠如, 成績悪化などに結びつく。そこで本研究では, 睡眠問題発現の予防学的側面をふまえ第1に, 睡眠習慣調査の因子分析により大学生の睡眠生活パタンを総合的に把握する尺度を構成した。第2に, 尺度得点のクラスター分析により睡眠習慣を分類し, 大学生の睡眠衛生上の潜在的問題点を検討した。因子分析により睡眠に関する3尺度一位相関連 (朝型・夜型と規則・不規則関連9項目), 質関連 (熟眠度関連6項目), 量関連 (睡眠の長さと傾眠性関連6項目) 一を抽出し, 通学など社会的要因との関連を示唆した。分類した6群のうち4群は, 睡眠不足, 睡眠状態誤認, 睡眠相後退など睡眠障害と共通点を示し, 時間的拘束の緩い大学生活から規則的な就業態勢への移行時に睡眠問題が生じる危険性を示唆した。また本研究のような調査票による, 医学的見地からみた健常範囲内での睡眠習慣類型化の可能性を示唆した。分類結果に性差を認め, 短時間睡眠で高傾眠群, 睡眠の質が悪いが朝型, 規則的で平均睡眠量の群で女子の, 夜型, 不規則, 睡眠過多な群, 夜型, 不規則で睡眠の質が悪い群では男子の割合が高かった。従来の知見をふまえ生物学的要因の関与を推測した。
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  • 山崎 瑞紀, 倉元 直樹, 中村 俊哉, 横山 剛
    48 巻 (2000) 3 号 p. 305-314
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    山崎・平・中村・横山 (1997) に引き続き, 本研究においては, アジア出身学生の対日態度, 及び対異文化態度と, それらに影響する要因の関係を検討した。態度形成モデルは, エスニシティ (民族性) の観点から構成された。「対日態度」,「対異文化態度」,「友人関係」,「肯定的経験」,「否定的経験」,「自分たちのエスニシティがホスト社会に受け入れられているという認知」といった構成概念が測定された。日本語学校に通う399名のアジア出身学生が質問紙に回答した結果, 以下の点が示唆された: (1)「日本人による受容の認知」は, 肯定的な対日態度'対異文化態度の形成に重要な役割を果たす,(2) 中国出身の学生は, 韓国出身の学生よりも, 日本人と豊かな「友人関係」を形成しており,「肯定的な経験」が多く, 滞在社会は自分たちの民族文化に対して関心を持っている, と感じており, より親和的な「日本人イメージ」を形成している,(3) さらに, 前回, 留学生を対象に行った調査結果と比較したところ, 日本語学校生は留学生よりも,「肯定的経験」が少なく「否定的経験」が多いこと,「日本人との交流意図」,「異文化との交流意図」が低いことが示唆された。
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  • 茅本 百合子
    48 巻 (2000) 3 号 p. 315-322
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    日本語を学習している中国語母語話者 (上級学習者) が漢字を日本語で読み上げるとき, その漢字の音読みが母語の中国語の発音に似ていると, 似ていない発音の漢字を読み上げるときより反応時間が短くなった。また, 通常訓読みで読まれる漢字よりも通常音読みで読まれる漢字のほうが反応時間が短かった。これは, 漢字を日本語で読む際にも母語の音韻情報が活性化するためであると考えられ, 中国語音起源でない訓読みも, 音韻情報の一部として心内辞書に収められていることが要因であると考えられた。そして, 異言語間で共用されている漢字という文字にそれらの言語の音韻情報が備わっていることが示唆された。一方, 日本語学習歴がさらに長く, 超上級と言われるレベルに達している学習者は, エラーも少なく, 反応時間は, 日本語と中国語の発音の類似には影響されなかった。
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  • 数井 みゆき, 遠藤 利彦, 田中 亜希子, 坂上 裕子, 菅沼 真樹
    48 巻 (2000) 3 号 p. 323-332
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では現在の親の愛着とそれが子の愛着にどのように影響を及ぼしているのかという愛着の世代間伝達を日本人母子において検討することが目的である。50組の母親と幼児に対して, 母親には成人愛着面接 (AAI) から愛着表象を, 子どもには愛着Qセット法 (AQS) により愛着行動を測定した。その結果, 自律・安定型の母親の子どもは, その他の不安定型の母親の子どもよりも, 愛着安定性が高いことと, 相互作用や情動制御において, ポジティブな傾向が高いことがわかった。また特に, 未解決型の母親の子は, 他のどのタイプの母親の子よりも安定性得点が低いだけでなく, 相互作用上でも情動制御上でも, 行動の整合性や組織化の程度が低く混乱した様子が, 家庭における日常的状況において観察された。ただし, 愛着軽視型ととらわれ型の母親の子どもは, 安定型と未解決型の母親の子どもらの中間に位置する以外, この両者間での差異は認められなかった。愛着の世代間伝達が非欧米圏において, 実証的に検証されたことは初めてであり本研究の意義は大きいだろう。しかし, さらなる問題点として, AAIやAQSの測定法としての課題と母子関係以外における社会文化的文脈の愛着形成への影響という課題の検討も今後必要であろう。
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  • 岩槻 恵子
    48 巻 (2000) 3 号 p. 333-342
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 説明文理解においてグラフが状況モデル構築を支援する可能性を検討した。デジタルの知識のない大学生に, デジタルのメカニズムに関する説明文を学習させた。その際, 説明文にデジタル化の例を表わすグラフを付加する条件, グラフと同内容の例を文章として付加する条件, 説明文のみを与える条件を設定した。実験1では, 説明文の内容の把握は各条件とも同程度であったが, 学習した情報を利用することを求めた応用問題においてグラフの効果が示され, グラフは深い理解に関わる状況モデル構築に効果があることが示唆された。さらに回答内容の分析より, グラフ条件では説明文に明記されていた情報にグラフから読みとった情報を補って状況モデルを構築していたが, 文章条件では例を状況モデル構築に十分用いていないことが推測された。そこで実験2では, グラフから読みとれる情報を文章中に明記する条件, 質問によって想像する条件を設定したが, これらの条件の効果はなかった。以上の結果は, グラフによる認知的負荷の軽減や空間的な表象を保持することの効果によるものと考えられる。
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  • 小坂 圭子, 山崎 晃
    48 巻 (2000) 3 号 p. 343-351
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 作動記憶容量の違いが就学前児のテキスト理解にもたらす影響を検討した。41名の5-6歳児をリスニングスパンテストの結果から作動記憶-大/小群に分け, 文章検証課題及び推論問題を実施して彼らのテキスト理解レベルを査定した。また, 状況モデルの形態を探るために, 文章検証課題文に現れる単語を含む[ディストラクタ-a]と, そうした単語を含まない[ディストラクタ-b]とを設定した。その結果, 高次レベルの理解を査定する質問文や大局推論の遂行において容量の違いが顕著に現れた。また, 作動記憶-小群は両[ディストラクタ]を誤再認しており, 単語のみならず全体状況を含んだ状況モデルを形成していることが確認された。更に, 局所推論と大局推論とが, 大局推論と[ディストラクタ-a, b]とが, 容量と大局推論, [ディストラクタ-a, b]とが正の相関関係にあった。この結果から, 局所的統合から大局的統合へ, 大局的統合から主旨の把握及び[ディストラクタ]の識別へという活動の流れが想定された。加えて, 作動記憶容量は低次レベルのテキスト処理の決定因とはならないが, より高次レベルの処理において重要な役割を果たすと考察された。
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  • 杉浦 健
    48 巻 (2000) 3 号 p. 352-360
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 拒否不安と親和傾向という2つの親和動機と対人的疎外感との関係, 及びそれらの関係の発達差や男女差を調べることであった。中学生366名, 高校生528名, 大学生233名を対象に親和動機, 対人的疎外感及び自我同一性についての質問紙調査を行った。その結果, 拒否不安と親和傾向は高い正の相関を示すにもかかわらず, 拒否不安は対人的疎外感と正の関係を, 親和傾向は負の関係を示した。また, 結果には男女差, 発達的差異があった。(1) 女子において, 拒否不安は成長に伴い漸減した。 (2) 男子では, 拒否不安は中学生で対人的疎外感と負の関係を示したのに対し, 大学生では正の関係を示した。(3) 拒否不安と親和傾向の相関は, 中学生の方が, 高校生, 大学生よりも高かった。これらの結果から, 2つの親和動機の変化は, 対人関係を適応的に維持していくための発達課題を示しているのではないかと考えられた。
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  • 市川 伸一
    48 巻 (2000) 3 号 p. 361-371
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    学習への不適応感をいだく児童・生徒への相談・指導を通じて, 教育と認知心理学的研究の結びつきをはかろうとする実践的研究活動として「認知カウンセリング」がある。認知カウンセリングでは学習者に対して, 概念, 図式, 手続きなどについての言語的記述を促し, それを通常の学習方略としても行うようにすすめることが多い。本稿では, 中学生のいくつかのケースからこうした方略が生徒にほとんどとられていないことを示した。教育的視点からは, 学習者自身の理解状態の明確化と, コミュニケーション能力の育成という点で重要な学習指導方法と考えられること, また, 認知心理学的な背景としては, 概念獲得と命題的表象の認知心理学的理論があることを述べた。さらに, 数学や理科の学習をとりあげて, 学習者の様子とカウンセラーのはたらきかけの場面を具体的に示した。最後に, 学校の授業やテストに対する提案を行い, また, 言語的記述を促す学習指導についての反対論をとりあげてそれらを批判的に検討した。
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