教育心理学研究
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48 巻 , 4 号
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  • 桑原 陽子
    48 巻 (2000) 4 号 p. 389-399
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 漢字とその英語翻訳語の対連合学習課題におけるイメージ媒介方略の有効性を検討した。被験者は, 漢字の学習経験のない非漢字圏日本語学習者であった。実験1では, 漢字の形態と英語翻訳語のイメージとがどの程度容易に結びつくかの指標である漢字の「形態イメージ性」とテスト時期との関わりから, イメージ媒介方略群と単純リハーサル群の記憶成績を比較した。その結果, イメージ媒介方略が, 形態イメージ性の高低, テスト時期にかかわらず, 単純リハーサルより成績が良いことが示された。また, 形態イメージ性の高い漢字のほうが, 低い漢字より記憶成績が良いことが示された。実験2では, イメージ媒介方略群として, 検索手がかりのイメージを絵画呈示する群 (外示的符号化群) と, イメージ教示によって生成させる群 (内示的符号化群) とを設け, 非イメージ媒介方略群との比較を行った。その結果, 形態イメージ性の高低によって, 各記憶方略群で記憶成績に異なった傾向が見られた。本研究の結果は, 対連合学習におけるイメージの機能の観点から考察された。さらに, 非漢字圏日本語学習者の入門期の漢字学習において, イメージ媒介方略が有効であることが示唆された。
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  • 南 憲治, 寺見 陽子
    48 巻 (2000) 4 号 p. 400-409
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は2つある。第1の目的は, 両耳分離聴検査において認められる右耳優位性が, 幼児の言語能力とどのように関係しているかについて検討することである。右利きの幼児に言語性の両耳分離聴検査を行うとともに, ITPA言語学習能力診断検査の中から5つの下位検査を選び実施した。重回帰分析の結果, 年少児 (平均年齢3歳11か月) においてのみ, 右耳優位性の強さと「ことばの表現」検査との間に正の関連が見出された。この正の関連は,「ことばの表現」検査の成績がよい幼児の場合, 言語機能の左半球への側性化が強いことを示唆している。また, 年少児において, 右耳優位性の強さと「文の構成」検査との問に負の関連が認められた。この負の関連は, 自動的な水準における言語能力を測定している「文の構成」検査の成績がよい幼児の場合, 言語機能の左半球への側性化が弱く, 言語機能に右半球が関与していることを示唆している。本研究の第2の目的として, 両耳分離聴検査において認められる右耳優位性の程度に発達的な変化がみられるか否かについても検討した。しかし, 右耳優位性の強さが幼児期を通して発達的に変化するという結果は認められなかった。
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  • 岡安 孝弘, 高山 巌
    48 巻 (2000) 4 号 p. 410-421
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, いじめ防止対策およびいじめ被害者・加害者の精神的健康を改善する方法を考案する上での基礎資料を得るために, 中学生のいじめ被害・加害経験と心理的ストレスとの関係について検討した。6,892名の中学生に対するいじめ被害・加害経験の頻度, ストレス症状および学校ストレッサーに関する調査結果から,(a) 中学生のいじめへの関わり方は, 無視・悪口被害群, 全般的被害群, 無視・悪口加害群, 全般的加害群, 非関与群の5つのグループに類型化できること,(b) 全般的被害群にはストレス症状が全般的に高い者が多く, 関係性攻撃の被害者も特に抑うつ・不安傾向が高いこと, また両者とも学業に関するストレッサーの経験頻度が高く, それを嫌悪的と感じている者が多いこと,(c) 全般的加害群には不機嫌・怒りや無気力のレベルが高い者が多く, さらに先生との関係が良好でない者が多いこと, などが明らかにされた。最後に, いじめ被害者および加害者への心のケアのあり方といじめの実態を査定する上での問題点について論議した。
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  • 元田 静
    48 巻 (2000) 4 号 p. 422-432
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 日本国内における日本語学習者を対象とした日本語不安尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討することにあった。調査の結果, 教室内23項目, 教室外22項目の不安項目が選定された。因子分析により, 教室内からは「発話活動における緊張」「状況把握の不確かさに対する不安」「低い日本語力に対する心配(内)」の3因子が得られた。教室外からは「日本人との意志疎通に対する不安」「低い日本語力に対する心配 (外)」「公的場面における緊張」の3因子が得られた。尺度の信頼性は十分に高かった。尺度の妥当性は,「対人不安」「曖昧さに対する耐性」「日本語の自信」との相関を用いて検討した。その結果, 日本語不安は「対人不安」と正の相関関係にあり,「曖昧さに対する耐性」「日本語の自信」とは負の相関関係にあることが示された。このことから, 尺度の妥当性が確認された。
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  • 西田 裕紀子
    48 巻 (2000) 4 号 p. 433-443
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 幅広い年代 (25~65歳) の成人女性の多様なライフスタイルについて, 複数の構成要素からなる心理的well-beingとの関連から検討することであった。まず研究1では, 成人期全般に適用でき, 理論的背景が確認されているRyffの概念に基づき, 人格的成長, 人生における目的, 自律性, 自己受容, 環境制御力, 積極的な他者関係の6次元を有する心理的well-being尺度が作成され, 6次元の信頼性・妥当性が確認された。また, 年代によって心理的well-beingの様相が異なり, 次元によっては発達的に変化することが示された。次に研究2では, ライフスタイル要因と心理的well-being各次元との関連について検討した。その主な結果は以下の通りである。(1) 年代と就労の有無, 社会活動参加度を独立変数, 心理的well-being各次元を従属変数とする分散分析を行った結果, 就労, 社会活動という家庭外での役割は, 成人女性の心理的well-beingとそれぞれ異なった形で関連していることが示された。特にこれまで家庭外役割としてほとんど焦点が当てられてこなかった社会活動が, 就労とは異なった形で心理的well-beingと強く関連していたことから, 成人女性の発達的特徴を考える際に, 就労以外の様々な活動にも目を向けることの必要性が示唆された。(2) 年代別に, 妻, 母親, 就労者, 活動者の各役割達成感と心理的well-being各次元との偏相関係数を検討した結果, 長期にわたる成人期においては, 各年代に応じた役割を獲得し, それによる達成感を得ることが心理的well-beingと強く関連することが明らかになった。この結果から, それぞれの役割の質的側面が成人女性のライフサイクルの中で異なった重要性を持つことが示唆された。
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  • 榎本 淳子
    48 巻 (2000) 4 号 p. 444-453
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 青年期の友人への「欲求の側面」について検討し, その側面が友人への「感情的側面」, 友人との「活動的側面」とどのような関連があるのかを質問紙を用いて検討した。対象者は中学, 高校, 大学生 (計896名) であった。友人への「欲求」として3因子 (「相互尊重欲求」,「親和欲求」,「同調欲求」) が見出され, どの学校段階を通しても「親和欲求」が高く, 逆に「同調欲求」は低く, また「相互尊重欲求」は学校段階と共に高くなっていた。関連を検討するにあたり, 友人に対する感情は欲求に影響し, 欲求は友人との活動に影響を及ぼすというモデルを用いて検討したところ, 友人に対する信頼・安定感, 不安感が全ての欲求に関連しており, また友人への親和欲求が全ての活動と関連していた。このことから友人への信頼・安定感とともに不安感も友人への欲求を引き起こすこと, さらに友人と親しくしたいという欲求が友人との活動を引き起こしていることが示唆された。
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  • 外山 美樹, 桜井 茂男
    48 巻 (2000) 4 号 p. 454-461
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の主要な目的は, 自己認知と精神的健康の関連を探ることであった。そこでまず, 青年 (大学生, 専門学校生) を対象にしてポジティブ・イリュージョンならびにネガティブ・イリュージョン現象を確認し, その結果に基づいて, 自己認知尺度を設定した。本研究でのポジティブ・イリュージョンならびにネガティブ・イリュージョン現象は, 外山 (1999) の結果と同様であった。また, 自己認知が精神的健康と結びついていることが示され, 自己高揚的な認知をしている人々は, 精神的により健康な生活をおくっていることが明らかにされた。自己を平均的だとみなす認知をしている人は, 被調査者集団においてネガティブ・イリュージョンが見られた側面においてのみ, 自己高揚的な認知をしている人と同様に精神的に健康であった。しかし, 被調査者集団においてポジティブ・イリュージョンが見られた側面においては, 自己を平均的だとみなす認知をしている人は, 自己卑下的な認知をしている人と同じくらい精神的に不健康であることが明らかになった。
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  • 平井 美佳
    48 巻 (2000) 4 号 p. 462-472
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 人が“自己”と“他者”の両者の利益にともに配慮しながら, 状況に応じた自他の調整を行うプロセスを実験的に明らかにすることを目的とした。状況の規定要因として, 問題になる他者の種類と問題の深刻度の2要因を扱った。自己と他者の要求が葛藤する3種類の他者 (家族友人, その他の集団) と3水準の問題の深刻度 (レベル1; 低, レベル2; 中, レベル3; 高) に属す9つ [=3 (他者)×3 (水準)] のジレンマ課題を作成した。大学生63名 (男子29名, 女子34名, 18-23歳) を対象として, 各場面について「もし私だったらどうするか」について推論するプロセスを発話思考法によって検討した。その結果, 主に次の3点が明らかとなった。第1に, 推論のプロセスにおいて自己と他者の両者がともに配慮されること, 第2に, ジレンマに関わる他者別に見ると, 家族とのジレンマにおいては自己を優先させる傾向が強く, 友人およびその他の集団との葛藤においては相手を優先させる傾向があること, 第3に, 問題が深刻になるほど自己を優先させ, 問題が深刻でないほど他者を優先させる傾向があることであった。これらの結果から, 状況に応じた自己と他者の調整プロセスについて論じ, さらに, 研究方法と文化差についての理論の問題についても言及した。
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  • 金子 一史
    48 巻 (2000) 4 号 p. 473-480
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 一般情年に見られる被害妄想的な思考を自己関係づけとしてとらえて, 青年期心性の観点から検討することである。研究1では自己関係づけ尺度を作成し, 妥当性と信頼性の検討を行った。被調査者は大学生212名 (男子94名, 女子116名, 不明2名) であった。その結果, 12項目からなる1因子構造の自己関係づけ尺度が作成され, 信頼性及び妥当性がおおむね確認された。研究2では, 自己関係づけを発達的視点から検討した。自己関係づけ, 他者意識, 自尊心, 個人志向性・社会志向性からなる質問紙が高校生465名 (男子237名, 女子224名, 不明4名) と大学生205名 (男子85名, 女子117名, 不明3名) に実施された。その結果, 高校生に比べて大学生が自己関係づけ傾向の高いことが示された。重回帰分析の結果から, 高校生は男女ともに自己関係づけに他者意識と個人志向性が関連しているのに対して, 大学生になると, 男子は他者意識に加えて自尊心が自己関係づけと関わりをもち, 男女によって自己関係づけへの関係のあり方に異なる傾向が見られた。自己関係づけについては, 他者に対する関心の表われであることが示唆された。
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  • 小松 孝至
    48 巻 (2000) 4 号 p. 481-490
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 幼児の幼稚園での経験に関する母子の日常的な会話の特徴を, 母親が会話に見出す意義, 母親から子どもへの働きかけ, および両者の関連から検討することである。質問紙を用いて, 幼稚園児 (3歳児クラス~5歳児クラス) の母親581名から, 会話に対する母親の意義付け (「情報収集」「教育・援助」「経験の共有」の3内容で合算), 会話における母親から子どもへの働きかけ (質問する, なぐさめる他) などについて回答を得た。母親の会話への意義付けは全体的に高かったが, その中でも, 3歳児の母親は5歳児の母親に比べ「情報収集」の意義付けを重視しているなどの差がみられた。また, 特に長子と母親の会話において, 質問やアドバイスといった母親からの働きかけが多く行われることも示唆された。さらに, 会話への意義付けは, それと内容上関連を持つ働きかけとの問で正の相関を示した。これらの結果から, 園と家庭の接点において, 幼稚園での経験に関する会話が母親にとっての意味を付与され, 実践されていることが示された。
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  • 植木 理恵
    48 巻 (2000) 4 号 p. 491-500
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    従来の教育心理学が推奨してきた学習態度として. 「内発的な学習動機」と「理解を重視する学習」の 2点が挙げられる。本研究は, 1人の学習障害児への引き算の個別指導を通して, これらの知見を実践場面で活用していくにはどのような工夫が必要であるか検討したものである。介入方針としては, 課題関与的な動機づけの前に「計算が使えるようになりたい」という実用志向からの動機づけを試み, さらに理解の前段階として計算手続きの獲得を先行させた。また, その手続き教授の際には「相互モデリング」という介入手法を開発し試みた。相互モデリングとは, 教示者と学習者が互いの思考過程を観察し合うことによって正しい手続きを獲得しながら, 効率的に自分の間違いパターンを自覚・修正するための教育的介入法である。本研究では, この新しい介入法の提案と検討も行った。このような指導の結果, 学習者は短期間で引き算の手続きを獲得することができ, 次第にその意味理解も伴うようになった。同時に, 問題解決時の不安を自己調節する動機づけ方略を相互モデリングに取り入れることにより, 自己効力感が低く注意散漫であった学習者が, 最後まで根気強く課題に取り組むことができた。
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  • 有川 誠, 丸野 俊一
    48 巻 (2000) 4 号 p. 501-511
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    この研究は, 中学生に工具の操作技能を指導する場面において, その指導に含まれる「何」が操作技能改善に有効に作用するかを明らかにしようとするものである。まず, 「釘抜き」の操作技能を調べる筆記テストを行い, その技能が劣っていると予測される生徒を選び出した。次に, それらの生徒を3つの群に分け, 個別の面接形式でそれぞれ異なる技能指導を行った。第1の指導方法は, 生徒に「使い方を説明した上で示範操作を観察させる」もの, 第2の指導方法は「釘抜きが『てこ』の原理に基づくことを説明した上で示範操作を観察させる」もの, 第3の指導方法は「第2の方法と同じ説明・観察を聞かせたり行わせたりした上で, さらに生徒自身に操作を行わせて『てこ』の原理を体験させる」ものである。これら3つの技能指導を, 釘抜きの操作技能の改善に有効であったかという点や, 釘抜きではない他の工具の操作技能を改善するのに有効に作用したかという点から比較検討した。その結果, 釘抜きの操作技能については, 3つの群に大きな差は見られなかった。一方, 釘抜きと同じく「てこ」でありながら, 見た目が全く異なる他の工具 (押し切り) においては, 第3の方法で指導を受けた生徒は他の指導を受けた生徒よりも大きな操作の改善が見られた。すなわち, 第3の方法では釘抜きで学習した技能が他の工具の操作に転移する様子が見られた。このことから,「てこ」の説明を聞き原理を理解することや, それを自分自身で体験し納得することが工具の操作技能を改善するのに重要であることが明らかになった。
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