教育心理学研究
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49 巻 , 1 号
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  • 高橋 登
    49 巻 (2001) 1 号 p. 1-10
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 学童期の読解能力の発達過程を縦断的に分析することであった。被験児は大阪府内の公立小学校に通う, 高橋 (1996a) の就学前後の縦断研究に参加した子ども達であった。本報告では1・3・5年生の冬に行われた読解能力と, 関連する諸能力との間の関係が分析された。その結果, 以下の諸点が明らかになった。かな単語の命名速度は1年生の段階ではひらがなの読みの習得時期によって異なり, しかもこの時期の読解能力を規定していたが, 学年が上昇するに従い習得時期による違いはなくなり, しかも読解能力への影響力も少なくなっていった。一方漢字の符号化も5年生の読解能力を規定するものではなかった。従って符号化レベルでの処理の効率性は, 小学校高学年段階では読解能力を規定するものとはならないと考えられた。それに対して語彙は低学年から高学年まで読解を規定するものであり続けた。しかも学童期の語彙は, 前の調査時期の読解能力によっても説明されるものであった。このことはこの時期の子ども達が読むこと, すなわち読書を通じて語彙を増やし, それがまた読解の能力を高めるという相互的な関係にあるものであることを示すものと考えられた。
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  • 岩男 卓実
    49 巻 (2001) 1 号 p. 11-20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 文章の準備書きにおいて, 図的な外的表象である階層的概念地図を利用する効果を検討することである。この時, 文的な外的表象である箇条書きを利用する群および, 準備書きを作成せず, 知識語り方略で文章を書く群と比較することで, 文章生成のプランニングにおける外的表象の働きについて検討した。更に, 準備書きに表現された因果関係が, 文章生成に与える影響を調べた。準備書きにおいて外的表象を利用した2つの群の文章は, 準備書きを作成しない群のそれよりも, 量も多く, 質的にも優れていた。準備書きを作成する2つの群を比較したところ, 図的な外的表象を準備書きとして利用する概念地図群の被験者は, 箇条書き群の被験]者に比べ, より分かりやすい文章をより短時間で書くことができていた。
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  • 山崎 晃男
    49 巻 (2001) 1 号 p. 21-30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 抽象的知識を教訓という位置付けで提示することが類推による問題解決を促進するかどうかを検討した。実験では, 「弱い力の多方向からの集中」という原理によって解決される収束問題とその原理を含む収束物語を用いた。実験1では, ベース領域を以下の4つの方法のいずれかで被験者に提示した。収束物語のみ (統制条件), 収束物語および教訓という位置付けで提示された抽象的知識 (教訓原理条件), 収束物語および問題解決の方法という位置付けで提示された抽象的知識 (方法原理条件), 収束物語およびその物語がある教訓を表わすという考え (教訓のみ条件)。その後で, 被験者に収束問題を解くよう求めた。実験の結果, 自発的類推による正答率に関して, 教訓原理条件が他の3条件よりも有意に高かった。このことから, 抽象的知識を教訓という位置付けで提示することは自発的類推を促進するが, 抽象的知識と教訓という位置付けのどちらかでも欠けるとそのような効果は得られないことが示された。実験2では, 教訓のみ条件とほぼ同じ条件下で, 被験者に教訓を自ら産出することを求めた。実験の結果, 自発的類推による正答率は, 教訓原理条件でのそれとほぼ同程度にまで向上した。
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  • 星野 崇宏, 橋本 貴充, 繁桝 算男
    49 巻 (2001) 1 号 p. 31-40
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    教育心理学研究において, いくつかの群の差異の原因を考える際にはしばしば多母集団の因子分析を行い, 因子平均の差異で観測変量の差異を説明することが試みられる. しかし, 既存の統計的手法による因子平均の群間差の検定では, 群ごとに因子平均が異なるモデルと同じであるモデルの比較をするという間接的なχ2検定を用いる. この検定は漸近理論を用いているため, データが大量に存在することが前提となるが, 教育心理学研究においてはそれが望めない場合が多い. 本研究ではベイズ的アプローチによって, 平均構造付きの多母集団因子分析モデルと, 因子平均の群問差, 線形対比の事後分布を数値的に導出する手法を提案した. 導出された事後分布によって, 点仮説が信頼区間の中に存在すれば保持し, そうでなければ棄却するという有意性検定が可能である. この方法により片側検定も可能になる. またχ2検定では不可能な第一種の誤りの統制が可能であり, ヘイウッドケースが存在しないという利点がある. 既存のχ2検定と今回提案されたベイズ有意性検定を比較するため, シミュレーションによる検定力の比較を行った. 実データへの応用例として, WAIS-Rの素点の横断データを用いて加齢による変化を解析し, 既存の手法では扱えない複合仮説の評価を行った.
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  • 道田 泰司
    49 巻 (2001) 1 号 p. 41-49
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 日常的な題材に対して大学生が, 批判的思考能力や態度をどの程度示すのか, それが学年 (1年・4年) や専攻 (文系・理系) によってどのように異なるかを明らかにすることを目的とした。大学生80名に対して, 前後論法という論理的に問題のある文章3題材を読ませ, その文章に対する意見を自由に出させることで批判的思考態度を測定した。その後で, 「論理的問題点を指摘せよ」というヒントに対してさらに意見を求めることにより, 批判的思考能力を測定した。分析の結果, 全240の回答のうち, 批判的思考能力の現れと考えられる意見は88回答 (36.7%), その中で批判的思考が要求されていない場面でも批判的思考態度を発揮していたものは20回答 (22.7%) と少なかった。一貫した学年差や専攻差は見られなかった。多くの学生は, 情報の持つ論理よりも内容のもっともらしさや自分の持っている信念の観点から文章を読んでおり, この点を踏まえて批判的思考が育成されるべきであることが示唆された。
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  • 島田 恭仁
    49 巻 (2001) 1 号 p. 50-59
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究においては, 軽度知的障害児が文意記憶の課題において関係情報と項目特定情報を有効に利用できるか否かについて検証した。実験は3 (被験者群:知的障害児群・健常-読み達成児群・健常-読み遅進児群)×2 (方向づけ課題:項目特定処理・関係処理) ×3 (テーマごとのセットサイズ: 2文・4文・6文) の3要因計画で実施され, 第1の要因と第2の要因は被験者間要因、第3の要因は被験者内要因にされた。再生率に関する結果から, セットサイズの小さな条件では関係情報と項目特定情報の加算的効果が明らかに生じることが確かめられた。また再認率の結果から, いずれの被験者群でも全般的に項目特定情報の符号化量が多かったことが確かめられ, 絵と文を同時提示した本実験の手続が項目特定情報の符号化を促進するのに有効であったことが確かめられた。テーマ再生率の結果は軽度知的障害児の関係処理の困難性を示していたが, 項目特定情報の強調が関係処理の困難性を補ったため, セットサイズの小さな条件で再生率を高める効果が生起したと考えられた。これらのことより, 関係情報と項目特定情報の加算的効果を, 軽度知的障害児の記憶課題の指導に有効に活用してゆける可能性が示唆された。
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  • 石川 隆行, 内山 伊知郎
    49 巻 (2001) 1 号 p. 60-68
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 5歳児の罪悪感に共感性と役割取得能力が及ぼす影響を検討した。その際, 罪悪感を感じる場面として対人場面と規則場面を設定した。幼稚園5歳児100名を対象として, 罪悪感, 共感性および役割取得能力について面接法で測定した。罪悪感については, どれくらいあやまりたい気持ちになるかを測度とした。また, 共感性はAST (Affective Situation Test), 役割取得能力はSelman課題で測定された。その結果, 共感性は対人場面での罪悪感に影響し, 役割取得能力は規則場面での罪悪感に影響することが明らかになった。したがって, 5歳児では対人場面と規則場面では罪悪感の規定因が異なることが示唆された。
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  • 佐々木 万丈
    49 巻 (2001) 1 号 p. 69-80
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 中学生の体育学習における能力的不適応経験時のコーピング形態を測定できる尺度を開発することであった。まず, 男女中学生827名に対するコーピング記述の因子分析結果に基づいて3下位尺度・26項目 (ストラテジー追求, 回避的認知・行動, 内面安定) の中学生用体育学習ストレスコーピング尺度 (SCS・PE) が作成された。次に, クローンバックのα係数とテストー再テスト法によって信頼性が, 構成概念的妥当性, 基準関連妥当性, 交差妥当性および弁別力の検討によって妥当性の検証がそれぞれ行われ, いずれも満足できる結果が得られた。以上によりSCS-PEはコーピング尺度として信頼性と妥当性を有することが確かめられた。さらにSCS-PEの5段階評価基準が設定され, 尺度としての有用性と今後の課題が討論された。まず, SCS-PEは生徒のコーピング状況を予測・査定でき, また, 体育嫌いや運動嫌いになることを認知的側面から予防する資料を提供できるという点で有用であることが指摘された。次に, 今後の課題として, 実践場面との関連からも信頼性と妥当性の検討が行われなければならないことが指摘された。
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  • 河内 清彦
    49 巻 (2001) 1 号 p. 81-90
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 視覚障害学生及び聴覚障害学生に対し大学生が想起するイメージの意味構造を解明するため, 体育学系の男子学生108名と, 教育・社会学系の男女学生137名にイメージ連想テストを実施した。得られた2686の記述語を, KJ法により分類し, 43項目を選んだ。これらの記述語に数量化理論III類を適用し, 標的概念と記述語の重み係数により相互の関連を検討した。その結果, 障害学生の標的概念は, 障害, 性, 学科を超え,「痛ましさ」と「忍耐力」の軸に囲まれた意味空間に位置していたが, 記述語のレベルではグループ差がみられた。これらの標的概念と最もかけ離れていたのは,「好みの女子学生」と,「学力優秀な学生」の標的概念であったが, ここでは性と学科の影響が推測された。スチューデント・アパシー傾向を示す「自分自身」の標的概念は, 他の標的概念との関連はなかった。障害学生の標的概念について記述語別の出現頻数による考察を行ったが,「視覚障害学生」は努力家で強く素晴らしいが, 大変で苦しいという相反する記述語が共存していた。「聴覚障害学生」も全体的にはこれと類似していたが, 性格面では前者が暗く, 後者が明るいなど, 部分的には障害種別の違いが示された。
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  • 長谷川 真里
    49 巻 (2001) 1 号 p. 91-101
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    児童と青年の「言論の自由」の概念を探るために, 研究1では, 小4生, 小6生, 中2生, 大学生を対象に, 抽象的理解とスピーチ大会場面における制限判断, および両者の関連について調べた。抽象的には小4生でも大部分の者が,「言論の自由」を大切であると考え, 特徴を理解していた。制限判断では, 従来検討されていなかった判断材料として, 自由と抵触する問題の領域と, 受け手 (聴衆の属性) を用意し, 先行研究において整理されていなかった2種類の判断 (「行為の制限」と「法による制限」) について検討した。その結果, 領域を考慮して制限判断がされ, スピーチ内容が道徳以外の領域に属するとき, 小学生から中学生にかけて自由を支持する程度に差が生じた。聴衆の属性は考慮されなかった。また, 小4生, 小6生, 中2生は, 2種類の制限判断を区別して判断しなかった。そして, 学年,「言論の自由」の意義づけの質, および自由を制限する法があっても話してよいかどうかについての判断の差が, 制限判断に関係した。研究2では, 小学生から中学生にかけて, 制限判断において学年差が生じることを確認した。これらの結果を基に,「言論の自由」の概念の発達を支える要因について議論した。
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  • 酒井 恵子
    49 巻 (2001) 1 号 p. 102-111
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 同一の価値が観察者の価値態度如何によって多様に解釈され概念化され得るとするSpranger (1922) の見解に示唆を得て, 価値尺度の作成過程に即して, 価値概念の個人差およびその背景について検討した。心理学を専攻する大学生5名に対し, Spranger (1922) の提唱した6つの価値 (理論経済・審美・宗教・社会・権力) を測る尺度項目を作成するよう求め, 作成された計60項目 (5名×6価値×2項目) を, 各項目作成者個人の価値概念の表現と見なし, 個々の項目の特徴を明らかにするため, 60項目と「価値志向的精神作用尺度」(酒井・久野, 1997) との相関係数を求めた。その結果, 60項目中38項目までは, 「価値志向的精神作用尺度」における当該価値尺度と,. 20以上の相関を持っていたが, 中には, 当該価値尺度とは殆ど無相関で, むしろそれ以外の価値尺度と相関を持つような, 特徴的な項目も見出された。さらに, それらの特徴的な価値概念の形成に際して, 項目作成者自身の個人的な価値態度が関与している可能性が示唆された。価値概念における多様性・主観性に目を向けることは, 各価値の普遍的本質を明らかにしていく上で, 重要な意義を持つと考えられる。
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  • 浦野 裕司
    49 巻 (2001) 1 号 p. 112-122
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    小学校において, 児童が教師の指導に反発し学級運営や授業が成り立たなくなるような「学級の荒れ」(もしくは「学級崩壊」) と呼ばれる現象が増加傾向にある。本研究は, ひとたび荒れてしまった学級に対してどのような介入が有効なのかを, 具体的事例での実践を通して探った。学級の荒れを改善するための介入は, 教師へのコンサルテーションとTTによる支援を中心に行われた。教師の子ども認知や子どもの教師認知に関するアセスメントを行った後, コンサルテーションでは, 教師の子ども認知や子どもとの対応の在り方の変容をめざした話し合いが繰り返された。TTによる支援では, 学級に入りこんだ指導補助者が荒れの中心メンバーを中心に関わりを深め, 学習活動を支えることによって彼らの授業への参加意欲を高めたり, 教師との関係を再構築できるようなはたらきかけを行った。その結果, TTによる支援をフェードアウトした後も介入前のような荒れた状態は消失するとともに, 教師の子ども認知や子どもの教師認知にも変容が見られた。本研究を通じて, 教師と子どもの人間関係に焦点を当てた介入によって学級の荒れを改善できることが明らかになった。
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