教育心理学研究
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50 巻 , 4 号
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  • 羽野 ゆつ子, 堀江 伸
    50 巻 (2002) 4 号 p. 393-402
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 模擬授業および教育実習を経験することによる教員養成系学生の実践的知識の変容を明らかにすることを目的とした。2年次に模擬授業を行い3年次の教育実習に臨むというカリキュラムで教員養成が行われている滋賀大学教育学部をフィールドとし, 模擬授業前, 模擬授業後 (演習後), 教育実習後の3回に, 同一の学生を対象として,「教材」メタファ生成課題を行った。その結果, 以下の諸点が明らかになった。第1に, 演習および実習と経験を重ねるにつれ「食」メタファが増え, その質は教材開発, 学習, 授業展開など多様な側面に言及されるように変化した。授業を複合的に理解するようになった。第2に, 演習後以降, 授業実践に対する能動性がみられたが自律性は生まれなかった。第3に, 実習後は, 教師が教える内容を子どもが吸収する授業イメージが強まった。同時に, 教材に対する子どもの多様な思考に対応できない不安定さもみられた。第4に, 授業における教材の機能として学生は「認知」と「授業展開」を重視しており, 自己および関係形成の媒体としての教材の機能は重視されなかった。教員養成の課題として, 教材開発演習および実習後の省察の充実が挙げられた。
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  • 藤野 京子
    50 巻 (2002) 4 号 p. 403-411
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    少年鑑別所に入所中の221名の男子少年を対象に, 最近一緒にいる友人一人を思い浮かべさせ, その交友関係について調査した。まず, 大半の少年が, その交友について, 親をはじめとする周囲が認めており, 今後もその関係を断つつもりがないことが示された。その友人と一緒にいる理由については,「信頼・親和」,「被受容・被理解」,「不快回避」の3因子が抽出され, その友人との実際の付き合い方については, 「内面共有」,「防衛」,「享楽」,「独立」の4因子が抽出された。これらの回答結果からは, その交友関係が, うわべを取り繕ったその時その場限りのものではないことが示された。また, これらの因子間の関係を分析したところ, 「内面共有」には「被受容・被理解」及び「信頼・親和」が,「独立」には「信頼・親和」及び「不快回避」が影響を及ぼしていることが明らかにされた。加えて, それぞれの因子に, 非行少年自身の年齢, 非行歴, 加えて, 友人の非行歴がいかに影響を及ぼしているかについても検討した。
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  • 邱 學瑾
    50 巻 (2002) 4 号 p. 412-420
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は意味判断課題を用いて, 同音異義語と形態類似性の干渉の有無から日本語母語話者と日本語学習者の漢字熟語の処理経路を検討した。その結果, 日本語母語話者では, 同音異義語の干渉は形態類似性のある条件にのみ生じたので, 漢字熟語の意味アクセスにおける形態情報及び音韻情報の重要性が示されている。一方, 日本語学習者では, 韓国人日本語学習者は形態類似性による干渉のみ示され, 形態情報に依存する意味アクセスの可能性が大きいと示唆されている。他方, 非漢字圏日本語学習者は同音異義語及び形態類似性の干渉が生じたことが明らかになり, 音韻処理を媒介して意味アクセスすることが示されている。これらの結果は, 日本語学習者は漢字既有知識の有無によって漢字熟語の処理経路が異なる可能性を示すものである。
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  • 由井 久枝
    50 巻 (2002) 4 号 p. 421-426
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    幼児の物語理解能力を規定する要因の1つとして, 作動記憶容量の限界が考えられる。本研究では, 作動記憶容量の限界を補う方略として, 登場人物の意図を明示することによる意図情報の役割に注目し, その効果について検討した。まず, 幼児 (4;5~6;5) を対象にリスニングスパンテストを行い, 作動記憶容量大群と作動記憶容量小群に分けた。次にそれぞれの群の物語理解を, 物語の登場人物の意図を明示した場合と明示しなかった場合とで比較した。その結果, 意図情報の明示によって物語スキーマが活性化されると, 物語の展開の把握が容易になり, 文章の逐語的記憶及び文章全体の理解が促進されることが見出された。これは, 文章処理が効率化されたためであると考えられ, 意図情報は作動記憶容量の限界を補うことが示された。
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  • 高辻 千恵
    50 巻 (2002) 4 号 p. 427-435
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    幼児期の日常的な園生活における保育者評定用レジリエンス尺度を作成し, その構成と信頼性・妥当性について検討した。保育場面への参与観察の記録から抽出した幼児の日常的ストレッサーについて, 保育実践経験者に質問紙調査を実施し, 頻度・不快さの程度ともに高いと評定されたストレス場面をもとに, レジリエンス尺度を作成した。これについて幼稚園・保育園の年長児及び年中児計289名を対象に保育者による評定を求め, そのα係数・再テスト信頼性係数を算出したところ十分な値が得られ, また因子分析の結果から尺度の一因子性の高さが示された。また, 同一児に関する複数の担任による保育者評定から評定者間の安定性が示された。さらに, 保育者評定の得られた幼児の一部に対しソシオメトリック・テスト, 及び2つの対人葛藤場面でのストレス認識度とドールプレイによるストーリーの展開を求めたところ, 保育者による評定とソシオメトリック・テストにおける被指名者数, 約束を破られた場面におけるストレス認識度, ストーリー展開をレジリエンスの観点から評定した反応得点との間に関連が見られ, 尺度の妥当性が示された。
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  • 茅本 百合子
    50 巻 (2002) 4 号 p. 436-445
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 日本語を学習している中国語母語話者が日本語の漢字語をどのように処理しているかが検討された。刺激の漢字語はコンピュータに視覚提示され, 実験1で語彙判断課題, 実験IIで命名課題が行われた。単語の種類は, 形態・音韻・意味において, それぞれ, 中国語と日本語が同じもの (似ているもの) /違うものの組み合わせで2×2×2の8種類であった。語彙判断課題の結果は, 意味の似ているものと形態が同じものが速く判断された。音韻の主効果は見られなかった。また, 命名課題の結果は, 音韻の似ているものと意味の同じものが速く読まれた。形態は同じものが速く読まれる傾向が見られた。これらのことから, 漢字の形態・音韻・意味において日本語と中国語の情報が似ているもの/同じものが強く結びついていることが確認された。また, 漢字を読むとき, その目的が意味を取ることであれ, 音読であれ, 意味情報が活性化していることが示唆された。また, 音韻情報は, 最終出力で音読する命名課題で重要であることがわかった。そして, 最終出力で音韻情報を必要としない語彙判断課題では, 音韻情報はそれほど重要でないことが示唆された
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  • 山名 裕子
    50 巻 (2002) 4 号 p. 446-455
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究での目的は, 均等配分が幼児期に成立するのか, またするならば, どのような発達的な変化があるのか検討することであった。12個のチップを数枚の皿に配分させていく個別実験には, 3歳から6 歳までの幼児288名が参加した。主な結果は以下のようなものであった。(1) 年齢の上昇に伴い正答率は上昇し, 選択される配分方略が変化した。(2) どの年齢においても, チップを何回にも渡って皿に配分する数巡方略が選択されていたが, その方略を正答が導くように選択できる人数は, 年齢の上昇に伴い増加した。この方略は従来指摘されていた方略であったが,(3) 1個あるいは複数個のチップをそれぞれの皿に一巡で配分する一巡方略と, 配分されない皿が残つている空皿方略が本研究で明らかになった。(4) また一巡方略の中でも特に配分前に皿1枚当たりのチップの数を把握する「単位」方略が明らかになった。この単位方略は数巡方略ほど, 年齢の上昇との関係が明確ではなかった。
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  • 熊野 道子
    50 巻 (2002) 4 号 p. 456-464
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, 自己開示の状況的要因の1つで, 自己開示のきっかけとなる要因である尋ねることに着目し, 自ら進んでの自己開示と尋ねられての自己開示の相違を検討することである。315名の大学生を開示内容が社会的に望ましい場合 (159名) と社会的に望ましくない場合 (156名) に分け, 自ら進んで開示する場合と尋ねられて開示する場合のそれぞれに, 自己開示の程度, 動機, 開示後の気持ちについて回答を求めた。その結果, 以下のことが明らかになった。(1) 開示程度については, 開示内容が社会的に望ましくない場合は, 自ら進んでより尋ねられて開示する程度が高かった。(2) 開示動機については, 自ら進んで開示する場合は感情性を動機として開示が行われやすく, 尋ねられて開示する場合は規範性を動機として開示が行われやすかった。(3) 開示後の気持ちについては, 不安といった否定的な感情では, 自ら進んで開示する場合も尋ねられて開示する場合も, 統計的有意差が認められなかった。一方, 肯定的な感情では, 自ら進んで開示する場合は安堵感が高く, 尋ねられて開示する場合は自尊心が高かった。
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  • 高田 利武
    50 巻 (2002) 4 号 p. 465-475
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    日本文化における相互協調的自己観が個人に内面化される過程を発達的に検討するべく, 6つの年齢段階に区分される児童期後期から中年成人期にかけての調査対象者から,(1) 日常生活での社会的比較の頻度と様態,(2) 相互独立/協調性,(3) 批判的自己認識の程度,(4) 自己認識の手段についての認知, の4 種の指標が測定された。各指標の発達的変化について従来の知見が追認された他,(1) 青年中期以降, 他者志向的な社会的比較を通じて, 相互協調性や批判的自己認識, 及び自己認識の源泉の認知における日本的自己の特質が形成される,(2) 成人期以降は日本的自己の特質とは一見矛盾した現象が示されるが, 自己認識形成の過程は青年期と同一である,(3) 青年前期までは, 社会的比較は相互独立性をもたらし, 相互協調性が肯定的自己認識を生む等, 自己認識形成の過程は青年中期以降と異なる, という知見がパス解析を通じて得られた。
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  • 服部 美佳子
    50 巻 (2002) 4 号 p. 476-486
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    平仮名の読みの習得に著しい困難をもつ, 小学2年生の男児A男の認知特性を分析し, 特性に基づいた読みの指導を行った。A男は医学的には読字障害 (reading disorder) と診断され, 認知特性では全般的な知能の水準に明確な遅れはないものの, 継次処理過程のうち特に聴覚性の短期記憶能力の弱さ, および抽象的な視覚刺激の探索や短期記憶の困難さをもっていた。読み困難の要因として指摘されることの多い聴覚処理の問題に加え, 視覚性の能力にも弱さをもっていたため, その特性に応じた指導が必要であった。指導は平仮名文字の形態への認識を高めるとともに, 文字とその読み (音) との間に単語を介在させ, 文字-単語 (意味)-音 (読み) の連合を促した。その後, 特に文字一音対応の処理の効率化によって, 単語の音読・読解を目指すべく, ドリル課題と刺激の瞬時提示課題を行った。これらの指導を通して, A男の読みの困難さから見れば, 比較的早期に単語の読解が可能になったと考えられる。
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  • 松尾 直博
    50 巻 (2002) 4 号 p. 487-499
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    学校における暴力・いじめの問題は, 非常に深刻な問題である。被害者だけでなく, 加害者, 周囲でみている子どもにも悪影響が考えられる。これからのスクールカウンセラーや学校心理士には, 暴力・いじめが起こった後のアフターケアだけでなく, そうした問題を予防するためのプログラムの立案と実行に関わることが期待される。本論文では, 学校における暴力・いじめ防止プログラムに関する研究を概観し, その成果と問題点を考察することを目的とした。最近になつて, 世界各国で数多くの暴力・いじめ防止プログラムが開発されており, 様々な結果が報告されている。それらのプログラムは心理学の基礎理論, 実証的研究の結果を基に開発されており, 問題意識を高める取り組み, 社会的スキルトレーニング, 社会的問題解決, 感情のコントロール, 仲間の力を使った援助などのプログラムが開発されている。最後に関係性攻撃, 能動的攻撃についての対策, 暴力. いじめ防止において学校が果たすべき役割と可能性について考察を行った。
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