教育心理学研究
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52 巻 , 3 号
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  • 若松 養亮, 大谷 宗啓, 小西 佳矢
    52 巻 (2004) 3 号 p. 219-230
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 小・中学生を対象に, 学習意欲と「現在の学習活動が自身の成功や幸福の実現のために有効であるとの認知」(学習の有効性認知) との関係について検討した。学習の有効性認知は,「学習内容や活動の意義や正統性を認める (a)」,「将来の職業や生活で役立つ (b)」,「進学や就職の試験で役立つ (c)」,「有効性を認めない (d)」という4カテゴリーを設定した。分析の結果, 小・中学生どちらにおいても,(1) 学習の有効性認知と学習意欲の間には正の関係があること,(2) 各カテゴリーの有効性認知を強く有する人を比較すると, a, b, c, dの順で学習意欲が高いこと,(3)「好きな教科の多少」で統制しても, 学習意欲は有効性認知a, b, c, dの順に高いこと, が明らかとなった。
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  • 麻柄 啓一, 進藤 聡彦
    52 巻 (2004) 3 号 p. 231-240
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    言語教材は一般に「Pならば (は) qだ」という命題形式で記述できる。こうした命題を具体化する場合, これまでは前件Pを具体化した事例 (代入例) のみが考えられてきた。しかし後件qを具体化する事例を考える必要がある場合を示し, これを象徴事例と概念化した。その上で歴史命題の学習における象徴事例の効果を検討しようとした。小学校5年生を対象とした実験1では象徴事例が意外感を喚起することで学習内容を面白くする効果 (第1の効果) や, 他の象徴事例を受け入れやすくする効果 (第2の効果), もとの命題の理解を促進する効果 (第3の効果) を探った。実験の結果, 第1の効果が確認され, また第2と第3の効果は部分的に支持された。大学生を被験者とし, 第2の効果に限定して調べた実験2では, 象徴事例は類似の象徴事例の受け入れに顕著に現れること, 複数の象徴事例を用いることで広範な象徴事例を受け入れやすくすることを示唆する結果を得た。
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  • 沖林 洋平
    52 巻 (2004) 3 号 p. 241-254
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 認知・教育心理学の研究経験の少ない学部学生が, どのようにして心理学系の学術論文を批判的に読むことができるようになるのか, その過程を明らかにすることを目的とした。本研究では, 被験者の批判的な読みの測定に, 認知および教育心理学の論文の査読課題を用いた。本研究では2つの実験を行い, 実験1では被験者に査読のガイダンスを与えるかどうかで, ポストテストにおける査読成績が条件間でどのように異なるかを検討した。実験2では, 査読のガイダンスの配布とグループディスカッションを組み合わせて行うことによって, ポストテストにおける査読成績が条件間でどのように異なるかを検討した。結果として, 査読のガイダンスを与えることが刺激文の改変箇所に対する批判数を増加させるが, ディスカッションを行う際, ガイダンスが与えられなければ, 刺激文の非改変箇所に対する批判も増加させることが明らかとなった。
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  • 山名 裕子
    52 巻 (2004) 3 号 p. 255-263
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は幼児期における配分行動として,「砂」という連続量をいくつかのプラスチックのコップに配分する課題から検討した。さらに先行研究で行われた分離量の実験手続きを用いて比較することにより幼児期の配分行動を明らかにした。連続量の課題には3歳から6歳までの幼児144名が実験に参加した。その結果, 3歳から5歳では正答率に変化はみられないが, 6歳では正答率が上昇することが示された。またそれぞれのコップの中の砂の量が異なるという誤答が, この時期に減少することが示された。配分方略ではコップに数回にわたって砂を配分する数巡方略が多くみられた。先行研究でのチップを使った分離量課題と比較した結果, 分離量課題の正答率は各年齢間に差がみられたのに対して, 連続量課題では5歳から6歳にかけて差がみられた。誤答で特に傾向が違ったところは, 分離量では1あたり量の誤答の割合が年齢の上昇とともに減少していくが, 連続量では1あたり量の誤答が5歳まで多く, 5歳から6歳にかけて減少することが示された。分離量では1枚あたりのチップの数が明確にされているが, 連続量である砂は数ほど明確に参加者が比較することが困難な可能性が示唆された。
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  • 五十嵐 哲也, 萩原 久子
    52 巻 (2004) 3 号 p. 264-276
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 中学生の不登校傾向と幼少期の父母への愛着表象との関連を検討した。480名の中学生を対象とし, 以下の結果が得られた。1)「別室登校を希望する不登校傾向」は主に母親の「安心・依存」と「不信・拒否」,「遊び・非行に関連する不登校傾向」は両親への「安心・依存」と「不信・拒否」が関連していた。また,「在宅を希望する不登校傾向」では異性親への「安心・依存」と「不信・拒否」が関連していた。一方,「精神・身体症状を伴う不登校傾向」は,「分離不安」との関連が強かった。2) 女子では, 幼少期の母親への愛着がアンビバレントな型である場合や, 父母間の愛着にズレが生じている場合に不登校傾向が高まる傾向が示された。女子はこうした家族内における情緒的不安定性への感受性が強く, 不登校傾向を示しやすいと言える。3) 男子では,「在宅を希望する不登校傾向」得点が高く, 幼少期の父母両者に対する愛着の「不信・拒否」と関連があることが特徴的であった。これは青年期以降の社会的ひきこもりに見られる状況と一致しており, 登校しながらも在宅を希望している男子の中に, 思春期時点ですでに同様の傾向が示されていると言える。
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  • 植木 理恵
    52 巻 (2004) 3 号 p. 277-286
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,「自己モニタリング方略」の重要性および児童生徒への定着の困難さを問題として掲げ, これを解決するための介入方法の提案を目指したものである。一連の実験の結果,(1) 方略志向の学習観を促すだけでは自己モニタリング方略の使用には効果がないこと,(2) 方略知識を教授することによって, 自己モニタリング方略は一時的に使用されるようにはなるが, 教授後3ヵ月以上経過すると使用されなくなること, そして,(3) 方略知識と推論方略を併せて教授すれば, 7ヵ月後の時点においても自己モニタリング方略はよく記憶され使用され続けること, が明らかになった。
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  • 及川 恵
    52 巻 (2004) 3 号 p. 287-297
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    気晴らしを効果的に活用することは, 適応的に抑うつを改善するために極めて重要である。気晴らしの効果的活用に関連する要因として, 情動調節に対する有効性認知の重要性が示唆されているが, 有効性認知と抑うつとの関連は先行研究により必ずしも一貫していない。不適応的に気晴らしを用いることによる依存の問題も指摘されることから, 気晴らしの用い方を考慮した検討が必要であると考えられる。そこで, 本研究では, 有効性認知と抑うつとの関連に依存状態の程度がどのような影響を及ぼすかについて検討した。学期末課題を抱えるストレス状況を対象として, 質問紙調査を実施し, 重回帰分析による検討を行った。従属変数として抑うつを指定し, 独立変数として有効性認知と依存状態, 共変量としてストレス状況に対する脅威性認知, 交互作用項として有効性認知と依存状態との積を投入した。分析の結果, 交互作用が有意であり, 有効性認知と抑うつとの関連は依存状態の程度により異なることが示唆された。交互作用の性質を検討したところ, 依存状態の程度が強まるほど, 有効性認知が抑うつの低減を予測する程度が弱まることが示唆された。
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  • 坂井 明子, 山崎 勝之
    52 巻 (2004) 3 号 p. 298-309
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    小学生の攻撃性 (反応的表出性, 反応的不表出性, 道具的関係性) が社会的情報処理に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし, 1482名の小学4~6年生を対象に, 仲間からの挑発に対する攻撃反応 (表出性攻撃反応, 不表出性攻撃反応, 関係性攻撃反応) について社会的情報処理 (Crick & Dodge, 1994) の第5段階 (反応評価と結果予期) における歪みと攻撃性の関係を質問紙で調べた。各攻撃反応の社会的情報処理について, 高反応的表出性攻撃児・高反応的不表出性攻撃児・高道具的関係性攻撃児・低攻撃児の4群を比較した結果, 低攻撃児に比べ, 高反応的表出性攻撃児は表出性攻撃反応の, 高道具的関係性攻撃児は関係性攻撃反応の社会的情報処理がそれぞれの攻撃反応を容認する方向に歪みを示した。しかし, 高反応的不表出性攻撃児には不表出性攻撃反応を容認する方向への社会的情報処理の歪みはなかった。攻撃性変数と社会的情報処理変数の間の因果関係の存在を確認するために共分散構造分析を行った。反応的表出性攻撃が表出性攻撃反応の, 道具的関係性攻撃が関係性攻撃反応の社会的情報処理に影響していた。高攻撃児, 特に道具的関係性攻撃児への介入の重要性が指摘された。
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  • 竹澤 みどり, 小玉 正博
    52 巻 (2004) 3 号 p. 310-319
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 不適応的・病的な現象として問題視されやすい依存を, 一般的な対人関係においてより積極的で適応的なものとして捉え, そのような依存を測定するための, 情緒的依存・道具的依存からなる対人依存欲求尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを第1の目的とした。さらに, 対人依存欲求尺度と, 肯定的特徴として他者への信頼感がどのように関連するか, これまで依存的であることの特徴として考えられてきた自分への自信のなさや意思決定に対する自己評価の低さとの関連も含めて検討することによって, 依存のより肯定的, 適応的特徴を示すことを第2の目的とした。447名の大学生を対象とし, 調査を実施した。因子分析の結果, 情緒的依存・道具的依存の2つの下位尺度からなる20項目の尺度が開発された。この尺度の信頼性と妥当性の検討を行ったところ, 両下位尺度において十分な信頼性と妥当性が確認された。さらに, 概ね対人依存欲求尺度と自己信頼感との間に有意な関連がみられなかったが, 女性においてはむしろ情緒的依存欲求が高いほど自己信頼感が高く, 依存欲求が高い人は他者信頼感が高いという依存の肯定的・適応的特徴が見出された。意思決定に関する自己評価においては, 情緒的・道具的依存欲求どちらにおいても高い人は, 自己評価が低かった。
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  • 大野 久, 茂垣 まどか, 三好 昭子, 内島 香絵
    52 巻 (2004) 3 号 p. 320-330
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 充実感モデル (大野, 1984) に示された要因に基づき, 多重指標多重原因モデル (MIMIC モデル) を構成し, その構造を吟味することである。このモデルでは,「自立・自信」,「連帯」,「信頼」が潜在変数「包括的アイデンティティ」に影響し, その「包括的アイデンティティ」が,「充実感気分」,「満足感」に影響するであろうことが想定された。調査は, 285名の大学生が充実感尺度 (大野, 1984) と人生満足度尺度 (Diener et al, 1985) に回答した。そこで本研究ではこのモデルに関して, 共分散構造分析の結果, このMIMICモデルのデータへの適合度が高く, 現在でも充実感モデルに示された要因が妥当であること, 男女ともに同じモデルが適合し頑健性の高いモデルであることが示された。また, 充実感が青年期に限らず, 生涯発達を通じての包括的アイデンティティの実感である「満たされた感じ」である可能性が示唆された。
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  • 益川 弘如
    52 巻 (2004) 3 号 p. 331-343
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文では, 大学学部生を対象に学生自身が協調的な活動を通して知識を構成していく2つの授業の実践と評価を報告する。認知科学研究の基礎資料を理解させる1998年度学部3年生の授業では, 学生自身が担当した研究事例を調べて発表し, 互いの研究事例を関連付け, 全体を統合する3つのフェイズが段階的に含まれるカリキュラムで, これらの学習活動を協調活動作業支援ツールで支援した。理想的な協調学習が起きた場合を想定した学習者モデルを作成し, その学習者モデルとシステムログデータを照らし合わせて分析した。結果, 想定していた積極的な他人のノート参照, 関連付け活動が確認された。特に活発なグループは, 個々の研究例の繋がりを挙げつつ問題解決の特徴をまとめた質の高いレポートを提出していた。この授業成果を元に, 2000年度は授業に段階的に関連付け活動を入れて, 幅広い対象領域においても相互に関連付ける活動を促進させる工夫をした。結果, 統合型のレポートを提出する割合が増加した。以上より, 研究事例の関連付け活動をシステムとカリキュラムで工夫して導入したことで学習者自身による協調的な知識構成活動を促進させることができたと言える。
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  • 原田 杏子
    52 巻 (2004) 3 号 p. 344-355
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 法律相談を題材として,「専門的相談がどのように遂行されるのか」を, 実践現場からのデータに基づいて明らかにすることである。データ収集においては, 弁護士及び相談者 (クライエント) の同意を得て, 12件の法律相談場面の会話を録音した。データ分析においては, 質的研究法の1つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチを用い, 分析の途中段階で法律家によるメンバー・チェックを受けた。分析の結果, 15の弁護士発言カテゴリーが見出され, それらはさらに【I問題共有】【II共鳴】【III判断伝達】【IV説得・対抗】【V理解促進】【VI終了】という6つの上位カテゴリーにまとめられた。分析結果からみるに, 専門的相談は, 問題をめぐる様々な情報を相談者との間で共有し, 専門的立場から判断を伝えることを中心として遂行される。加えて, かかわりの基本的態度としての共鳴, 相談者の不適切な解決目標や思い込みに対する対抗, 相談者の理解を促進する働きかけ, 相談の終了を導く働きかけなどが見出された。法律相談の実践現場から導かれた本研究のカテゴリーは, 既存の援助モデルで十分扱われていない専門的相談の特徴を明らかにしている。
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