教育心理学研究
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52 巻 , 4 号
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  • 伊藤 寛子, 和田 裕一
    52 巻 (2004) 4 号 p. 359-369
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    漢字能力初級, 中級, 上級の韓国語, 中国語を母語とする日本語学習者 (以下, KLCLとする) に漢字の自由再生を求め, この連想に用いられた手がかりの内容を調べた。その結果, CLでは非漢字圏学習者の場合 (伊藤・和田, 1999a) と同様に漢字レベルの向上とともに意味手がかりの利用が増えるのに対して, KL では, 漢字レベルが向上しても, 意味手がかりの利用割合は変わらないことが明らかになった。このことから, 韓国人学習者の記憶におけるL2の語彙-概念間の結び付きの程度は漢字能力が向上しても変容しないことが考えられる。さらに, KLの形態的連想に用いられた“部品”(部首に準じる部分) の利用割合は, 全ての漢字レベルにおいて非漢字圏学習者 (NKL) の場合 (伊藤・和田, 1999a) と同程度であることが明らかになった。NKLと日本語話者 (J) の部品の割合を比較した伊藤・和田 (1999a) では, NKL よりもJで部品がより多く用いられることが示されている。これらのことから, KLもNKLと同様に漢字の小さな部分に着目して漢字の形態を記憶していることが示唆される。
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  • 藤村 宣之
    52 巻 (2004) 4 号 p. 370-381
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 東アジアに位置しながら算数に関する指導内容と指導方法の異なる日本と中国 (普通校, 先進校) の児童の数学的思考の特質を明らかにし, 指導内容・指導方法との関連を検討することを目的とする。日本と中国の小学校6年生632名を主たる対象として, 学習内容と直接関連する課題 (計算課題文章題) と概念理解を問う課題 (乗除法作問課題分数図示課題内包量比較課題) が実施された。児童の解答内容を分析した結果, 数学的思考の水準 (正答率) に関して, 日本と中国の差や中国の校種による差は, 概念理解課題に比べて計算課題や文章題で大きかった。概念理解課題における数学的思考のプロセスに関して, 中国の普通校では, 数と数を関係づける倍による解法や既習の関係式に結びつけた解法が多くみられ, 中国の先進校では, 特に後者の解法の多さが顕著であった。一方, 日本では, 計算結果 (単位あたり) の意味を考慮した判断が多くみられたが, 言葉による方略の意味づけには中国との差はみられず, 中国に比べて無答率が高かった。これらの数学的思考の特質に影響を及ぼす背景として, 教科書の内容などに反映されている指導内容・方法について検討し, 算数・数学教育への示唆について考察した。
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  • 若本 純子, 無藤 隆
    52 巻 (2004) 4 号 p. 382-391
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 30-65歳の中年期男女1006名を対象に, 中年期の多次元的自己概念における発達的特徴について検討した。第1に, 発達的差異の検証によって, 中年期には前期・後期の2つの段階か見出された。中年後期は高自尊感情・低関心・高自己評価という特徴を持ち, 他の時期との間に有意な差を示した。第2に, 自己の諸領域に対する関心と評価の交互作用と自尊感情との関連を検証したところ, 交互作用が有意だったのは男・中年前期における内的自己と社会的自己, 女・中年前期における内的自己, 女・プレ中年期における社会的自己であつた。さらに, 交互作用が有意であつた自己の領域は, 中年期に特有とされる変化の端緒にあり, 内省・葛藤か喚起されやすいものであることが示された。加えて, 中年前期・プレ中年期には, 中年期特有の経験を反映した自己領域に対して, 関心が低い場合に, 自尊感情の不安定性というリスク状況を呈することが示唆された。最後に, 本研究で独自に設定された「関心」という変数の機能と中年期研究に対する意義について議論された。
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  • 豊田 秀樹, 中村 健太郎, 村石 幸正
    52 巻 (2004) 4 号 p. 392-401
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    双生児と一般児を統合的に扱う遺伝ACEモデルが新制田中B式知能検査に適用される。データは中学1年時と高校1年時にそれぞれ採られた縦断データである。本研究では構造方程式モデルの下位モデルである遺伝ACEモデルと縦断的解析を融合したモデルによって, 115組の一卵性双生児と32組の二卵性双生児, ならびに881人の一般児の被験者を分析した。知能点と7つの各下位検査についてそれぞれ母数の推定を行い, 加算的遺伝, 共有環境, 非共有環境の各説明割合が明らかとなった。個々の項目に関する特徴に加え, 全体として中学時, 高校時の双方とも非共有環境の説明割合が比較的大きいことが示された。
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  • 山田 剛史
    52 巻 (2004) 4 号 p. 402-413
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    現代大学生の日常的な活動は, どのようにして自己形成に関わる活動として機能しているかを明らかにするために, 大学生141名に対して質問紙調査を行った。その結果, 第1に, 自己形成的活動に対する肯定的認知評価と自我同一性との関連がみられたことから, アイデンティティの感覚といった内的な同一性の概念が, 外的な活動に対して付与された認知的評価 (自己形成) との関連によって形成・獲得されることが示された。第2に, 遊び・対人関係の成長志向的な文脈や生活習慣の生活重視的な文脈が充実感や自己受容を支え, 授業・講義による将来の見通しの文脈や自己研鑽の成長志向的文脈が自己目標志向性を支えるというように, 自己形成的活動の内容はその文脈によって異なる機能を持つことが明らかにされた。
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  • 三島 美砂, 宇野 宏幸
    52 巻 (2004) 4 号 p. 414-425
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    小学校高学年の児童に, 1学期と学年末の2回,「教師認知」と「学級雰囲気」についての調査を実施し, 教師が学級集団や学級雰囲気に如何に効果的に影響を及ぼすかということを検討した。因子分析の結果,「教師認知」因子として,「受容・親近」,「自信・客観」,「怖さ」,「罰」,「たくましさ」が,「学級雰囲気」因子として,「認め合い」,「規律」,「意欲」,「楽しさ」,「反抗」が抽出され, 重回帰分析の結果, 学級雰囲気と強い関連性をもっているのは, 教師認知因子「受容・親近」,「自信・客観」の2つであることが示唆された。「受容・親近」は主に「意欲」・「楽しさ」の2つの雰囲気に影響を与えており, 早期よりその効果が顕在化していた。それに対し,「自信・客観」は1学期にはどの雰囲気とも関連が認められなかったが, 学年末の学級雰囲気「認め合い」に正の,「反抗」に負の大きな影響力をもつことが示された。
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  • 松沼 光泰
    52 巻 (2004) 4 号 p. 426-436
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 教育的介入の可能性を模索するために, テスト不安, 自己効力感, 自己調整学習という学習者側の適性変数とテストパフォーマンス (以下テスト成績) との関連性を小学校4年生と算数のテストを対象として検証した。本研究では, テスト不安及び自己効力感を予測する変数として教育的介入が比較的容易だと思われる自己調整学習を想定し, 適性変数とテスト成績との関連性に関するモデルを構成し, 共分散構造分析によって検討した。本研究のモデルは,(1) 自己調整学習が, テスト成績に直接影響を及ぼす,(2) 自己調整学習が, テスト不安に関する構成概念を介してテスト成績に影響を及ぼす,(3) 自己調整学習が, 主に自己効力感に関する構成概念を介してテスト成績に影響を及ぼす, という仮説に基づいて構成された。分析の結果, 自己調整学習のテスト成績に対する直接効果及びテスト不安に関する構成概念を介した間接効果は認められず, 自己調整学習は, 主に自己効力感に関する構成概念を介してテスト成績に影響を及ぼすことが示唆された。したがって, テスト成績を改善するためには, 自己調整学習の遂行を通じて, 自己効力感を高める介入方略が有効であることが示唆された。
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  • 河内 清彦
    52 巻 (2004) 4 号 p. 437-447
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では障害者に関する健常学生の抵抗感を軽減させるための手がかりを得るため, 健常学生の自己効力感及び障害者観に及ぼす障害条件, 対人場面, 個人的要因 (障害者への関心度, 性別, 援助経験) の影響を検討した。4障害 (視覚, 聴覚, 運動, 健康) 条件に対応した4下位尺度 (関係, 主張, 教育, 当惑) により658名の大学生に質問紙調査を実施した。因子分析の結果では, 特定の対人場面を表す下位尺度に関し, 4障害条件が共通の因子負荷量を示す「当惑関係」「自己主張」「統合教育」という3因子が抽出された。このことから, 健常学生の意識に及ぼす影響は, 障害条件よりも尺度内容に依存していることが明らかとなった。これら3因子と個人的要因との関連では,「当惑関係」因子は3要因と,「自己主張」因子は性別と関連が認められたが,「統合教育」因子はどの要因とも関連が認められなかった。一方, 下位尺度別障害条件と個人的要因との比較では, 視覚と聴覚の障害条件よりは, 運動と健康の障害条件の方が抵抗感が弱く, 性別の影響は下位尺度により異なっていたが, 関心度と援助経験は障害者と交流しようという積極的な意識を助長することが明らかとなった。
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  • 迫田 裕子, 田中 宏二, 淵上 克義
    52 巻 (2004) 4 号 p. 448-457
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 教師が認知する校長からのソーシャル・サポートに影響を及ぼす要因について検討した。また, これらと教師のサポート認知がストレス反応に及ぼす影響もあわせて検討した。調査対象者は, 公立の学校教師329名である。質問紙でたずねた尺度は, 教師が認知する校長のサポート, 教師が知覚する校長の勢力, エンパワーメント尺度, 校長とのコミュニケーション尺度, 職場でのストレス反応である。その結果, 以下のことが示された。まず教師の校長からのサポート認知についての検討では, 教師が認知する校長の勢力, 教師のエンパワーメント, 校長とのコミュニケーションが道具的サポートと情緒的サポートに異なる影響を及ぼしていた。またストレス反応についての検討では, 教師が認知する校長からの情緒的サポートとエンパワーメントの下位尺度である自己主張が, ストレス反応を減少させること, また, 校長とのコミュニケーションや教師の自己主張, 校長の専門, 報酬, 参照勢力が, 情緒的サポートの認知の顕在化に関わることが示唆された。
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  • 海津 亜希子, 佐藤 克敏
    52 巻 (2004) 4 号 p. 458-471
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    LDへの支援には詳細な実態把握が不可欠であること, LD児は通常の学級という集団の中で多くの時間を過ごすことから, 集団の場において個をみる視点, 個に配慮する支援を可能にするものとして「個別の指導計画」に着目した。特に本研究では, 従来「個別の指導計画」を作成した経験のない (少ない) 教師に対し, 作成するにあたって, いかに支援したらよいかについて提案することを目的とした。そこで, このような教師支援プログラムを受けながら, LD児の個別の指導計画を作成することで, 教師がどのように変容するかについて検証した。対象は6年生のLD児を担任する通常の学級の教師であった。個別の指導計画作成にあたっての支援では, 「個別の支援方針」の提示, マンスリーミーティング, 個別の指導計画作成に関するガイダンス, 書式の提示を行った。個別の指導計画の作成開始前後で比較した結果, つまずきの要因の把握や, 適切な手だてへの見直し等, 教師の意識, 実践面ともに変化がみられた。また, 作成当初は, 「実態」「目標」「手だて」の記述の間で内容的なつながりがみられなかったが, 次第に, 一連のサイクルとして相互につながりがみられるようになった。一方, 対象児童については, 達成度に関するマイナスの評価に減少がみられた。この背景に, 個別の指導計画を通して, 対象児に対し適切な目標が設定されるようになったこと, 対象児の特性を配慮した手だてが講じられるようになったことが示唆された。これらの結果を受け, 個別の指導計画に関する教師支援プログラムの在り方とその効果について論じる。
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  • 高垣 マユミ, 中島 朋紀
    52 巻 (2004) 4 号 p. 472-484
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 小学4年生を対象とした一斉形態の理科授業の協同学習において,「知識の協同的な構成が生じている場面においては, どのような相互作用がみられるのか」また,「そのような相互作用を教室において生じさせる要因は何か」について検討することを目的とした。授業の構成は, ブリッジングアナロジー方略 (Clement, 1993) を教授的枠組みに据え, 学習者の既有知識から出発した「話し合い活動」による協同的探求を中心とし, 解釈上の疑問や問題点を検証する場として実験・観察を位置づけた。理科授業の協同学習における発話事例の解釈的分析から, 以下の結果を得た。1) 知識の協同的な構成には,「個別的」VS.「統合的」の二項対立的な相互作用のスタイル間の揺さぶりによる組織的変化が必要であることが示唆された。2) 科学の基礎概念についての対話者間の解釈上の違い, 及び,「アナロジー」,「可視化」という具体的事象の理解を深める道具立てにより,「操作的トランザクション」の対話が生成され, 相互作用の組織的な変化が生起することが見出された。
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  • 榊原 彩子
    52 巻 (2004) 4 号 p. 485-496
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    絶対音感の発達には臨界期が存在し, 6歳を超えると絶対音感習得が困難であることが指摘されている。加齢にともなう変化が絶対音感の習得可能性を減じていると考えられるが, 本研究では年齢の異なる幼児 (2歳児4名, 5歳児4名) に対し, 同一の和音判別訓練法による絶対音感習得訓練を実践して彼らの絶対音感習得過程を縦断的に明らかにし, 年齢によって習得過程の様相も異なるのか調べることで, 加齢にともなう変化を検討した。音高という属性に「ハイト」と「クロマ」の2次元があるという考えに従えば, 絶対音感とはクロマの特定能力であり, その習得とはクロマの参照枠形成とみなせる。訓練課題のエラーから聴取傾向を記述すると, 習得過程中, 年少児は早い段階でクロマに着目し, 全体的にクロマ次元を重視した聴取傾向を示したのに対し, 年長児はクロマ次元の利用が少なく, 一貫してハイト次元に依存した聴取傾向を強く示した。加齢にともなう変化として, クロマ次元に依存する傾向が減じ, 逆にハイト次元に依存する傾向が増すという変化が示唆され, クロマの参照枠形成である絶対音感習得が, 加齢により不利になる様が示された。
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