教育心理学研究
検索
OR
閲覧
検索
53 巻 , 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
  • 及川 昌典
    53 巻 (2005) 3 号 p. 297-306
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    近年の研究では, 目標や動機づけが当事者の意図や自覚の外で活性化し, 行動や判断を先導することが示されている。しかし, その調整要因についてはほとんど検討が進んでいない。本研究では, 学年末テストまでの日数が, 達成プライミング効果に及ぼす影響を検討した。105名の学生は, 達成プライミング群と統制群に無作為配置され, その半数は学年末テスト10日前に, あとの半数はテスト前日に実験に参加した。テスト10日前状況においては, 達成語のプライミングによって動機づけられた参加者は, 中性語をプライミングされた統制群に比べ, 否定感情を低く報告しており, また, 自発的な学習課題により多く取り組んでいた。ところが, テスト1日前に達成語をプライミングされた参加者は, 逆に統制群よりも, 否定感情を強く報告しており, また自発的学習課題への取り組みが少なかった。また, 回避動機やテスト成績の予測においても同様に, 達成プライミングと時点の交互作用効果が見られた。この結果は, 同じ語によるプライミングで生じた達成動機づけであっても, 当事者の置かれる状況によって異なる反応を引き起こすことを示すものであり, 自動動機における状況調整因の重要性を示していると考えられた。
    抄録全体を表示
  • 大久保 智生
    53 巻 (2005) 3 号 p. 307-319
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 個人-環境の適合性の視点から適応状態を測定する青年用適応感尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検証すること (研究1), 作成された適応感尺度と学校生活の要因 (友人との関係, 教師との関係, 学業) との関連を検討すること (研究2) であった。研究1では中学生621名, 高校生786名, 大学生393名が, 研究2では中学生375名, 高校生572名が調査に参加した。作成された尺度の因子分析の結果から, 従来の適応感尺度の因子とは異なる「居心地の良さの感覚」,「課題・目的の存在」,「被信頼・受容感」,「劣等感の無さ」の4因子が抽出された。また尺度の信頼性と妥当性を検討したところ, 個人一環境の適合性の視点から作成された適応感尺度は, 十分な信頼性と妥当性を有していると考えられた。学校生活の要因と適応感との関連について重回帰分析を用いて学校ごとに検討した結果, どの学校においても「友人との関係」が適応感に強く影響を与えていた。一方,「教師との関係」,「学業」と適応感の関係の構造は学校ごとに異なっていた。以上の結果から, 青年の学校への適応感について, 各学校の特徴を踏まえた上で研究を進めていく必要性が示された。
    抄録全体を表示
  • 中山 晃
    53 巻 (2005) 3 号 p. 320-330
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    これまで, 英語学習動機と学習方略の関係を調べる研究は行われてきたが, その中間要因として学習観を考慮した研究は少ないように思われる。本研究では, 学習観が英語学習の際の方略選択に影響を与える要因として捉え, 目標志向性とともに学習方略選択を予測するモデル化を試みた。316人の日本人大学生の英語学習 (必修単位科目としての英語学習) を調査対象者とし, 目標志向性と学習観, 言語学習方略の3種類の質問紙を実施し, 共分散構造分析によって提案したモデルを検討した。結果, 遂行目標への高い志向性は伝統的英語学習観を経て, 推測方略の選択に負の影響を与え, 学習目標への高い志向性は自己能力に対する学習観を経てメタ認知方略や発音方略, 体制化方略の選択に正の影響を与えることがわかった。さらに, 学習目標への高い志向性は, 推測方略の選択に直接的に正の影響を及ぼすことがわかつた。以上の結果から, 学習観が学習方略の選択に影響を及ぼすことが確認され, 学習観を考慮した英語学習指導の必要性が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 永田 彰子, 岡本 祐子
    53 巻 (2005) 3 号 p. 331-343
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    重要な他者との関係は, 社会的文脈の中でのアイデンティティ形成について形成する際の最も基本的な単位であると同時に, 全体的な問題にもつながる文脈であると考えられ, この文脈を取り上げることは意義がある。本研究は, アイデンティティ研究として, 重要な他者との関係において構築される関係性そのものの発達を扱い実証的に明らかにすることを目的とする。また, 関係性発達がアイデンティティ発達とどのように関連しているかについても検討を行う。まず研究1では, 成人中期の男女27名を対象に半構造化面接調査を実施し, ライフサイクルを通した重要な他者との関係の中で構築される関係性として, 自分自身の人格や対人関係のあり方への影響の認識について検討した。その結果, 関係性様態として, 再体制化完了型, 現状満足型, 否認・軽視型の3タイプが見出された。様態別にプロセス分析を行ったところ, 3タイプ間でプロセスの進行の程度の違いが確認され, 重要な他者との関係の中で自己自身のあり方が問い直されるという主体的位置づけが重要であることが見出された。研究2では質問紙調査を実施し, 関係性の発達と心理社会的発達課題の達成度との関連の検討を行った結果, 関連が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 茂垣 まどか
    53 巻 (2005) 3 号 p. 344-355
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論の目的は, 現代青年の自我理想型・超自我型人格の精神的健康の違いについて量的・質的に検討することである。研究1: 大学生 (554名, 平均19.68歳) を対象に質問紙調査を行い, 自我理想型・超自我型人格尺度 (EI-SES; 第1因子「志向性」, 第2因子「べきの専制」[以下「べき」]) と違和感尺度 (現在の自分自身に対する違和感) を作成し, 両尺度の信頼性を確認した。精神的健康の指標 (違和感: 逆転自尊心, 充実感) との相関分析では,「志向性」は正の相関を示し,「べき」はおおむね負の相関を示した。またEI型 (「志向性」高かっ「べき」低) とSE型 (「志向性」高かっ「べき」高) とを比較すると, 精神的健康の指標はEI型がSE型より高かった。研究2: EI-SESの下位尺度得点の高低を基準に面接調査を依頼したところ, 16名の協力を得た。「志向性」および「べき」の日常場面における様相と, 理想がかなわない葛藤場面での反応について面接した。その結果, 尺度の妥当性が確認された。また, 同じく「志向性」が高いEI型とSE型人格の間には, 精神的健康という側面で違い (EI型>SE型) が見られることが示された。
    抄録全体を表示
  • 石毛 みどり, 無藤 隆
    53 巻 (2005) 3 号 p. 356-367
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    レジリエンスは, 困難な出来事を経験しても個人を精神的健康へと導く心理的特性である。本研究の目的は中学3年生の高校受験期の学業場面における精神的健康とレジリエンスおよびソーシャル・サポートの関連について検討することだった。精神的健康の指標はストレス反応と成長感を用いた。受験前は538名を対象に, レジリエンス尺度, ソーシャル・サポート尺度, 学業ストレッサー尺度そしてストレス反応尺度を用いて解析した。受験後は, 受験前と後の同一被験者263名を対象に, 上記の尺度に成長感尺度を加えて解析した。その結果,(1) レジリエンス尺度は「自己志向性」「楽観性」「関係志向性」の3因子構造だった。(2) ストレス反応の抑制には「自己志向性」,「楽観性」, 母親, 友だち, 先生のサポートが寄与していた。(3) 成長感には「自己志向性」が強く寄与していた。(4)女子のストレス反応の抑制にはレジリエンスよりソーシャル・サポートの方が大きな影響を及ぼしていた。(5)「関係志向性」および「自己志向性」には友だちサポートが最も高い相関を示した。最後にストレス状況下での精神的健康に対するレジリエンスとソーシャル・サポートの役割について討論した。
    抄録全体を表示
  • 大久保 智生, 加藤 弘通
    53 巻 (2005) 3 号 p. 368-380
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 青年を対象として「環境からの要請と適合した個人の属性を持つときは, 適合しない個人の属性を持つときよりもより適応的である」という適合の良さ仮説を検証することであった。したがって, この視点では, 個人変数や環境変数のみよりも, 個人と環境の適合の変数のほうがより適応を予測すると考えられる。中学生, 高校生, 大学生に心理的欲求尺度, 心理的欲求に対応して作成された学校環境からの要請尺度, 学校への適応感尺度を実施した。個人-環境の適合度を測定するため, 心理的欲求尺度得点から学校環境からの要請尺度得点を引き, 個人-環境の不一致得点を算出した。そして, 各不一致得点の高群, 低群を独立変数とし, 学校への適応感尺度を従属変数としてそれぞれt検定を行った。その結果, 不一致得点が低い群のほうが適合度得点の高い群よりも学校への適応感を感じていた。また, 心理的欲求尺度, 学校環境からの要請尺度, 不一致得点と学校への適応感との関連について検討するため, 相関係数を算出した。その結果, 概して, 心理的欲求尺度や学校環境からの要請尺度よりも不一致得点のほうが学校への適応感との相関係数の絶対値が高かった。以上の結果から, 個人-環境の適合性の視点から適応の問題にアプローチしていく必要性が示された。
    抄録全体を表示
  • 荷方 邦夫, 島田 英昭
    53 巻 (2005) 3 号 p. 381-392
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,類題作成経験が類推的問題解決に与える影響について, 短大, 大学生と大学院生らを対象に検討した。実験1 (n=36) では, 放射線課題の同型問題を用いて検討を行った結果, 事例の学習の際に類題作成活動を行った群は, 統制群と比較して問題解決成績が高かった。実験2 (n=76) では, 割合文章題を用いて検討した結果, 類題作成群は同様に問題解決成績が高かった。また, 複数の事例を提示した類題提示群と比較しても成績が高かった。以上から, 類題作成経験は, 問題解決を促進する効果的な教授介入方法であることが示された。また, あらかじめ作成された類題を吟味することではなく, 主体的に類題を作成することが重要であることが示された。最後に, これまでの認知研究をふまえ, 類題作成活動の認知プロセスが議論された。
    抄録全体を表示
  • 藤田 敦
    53 巻 (2005) 3 号 p. 393-404
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 概念受容学習の教授手続きにおいて, 概念情報を教示するだけでなく, 概念構造を操作する事例の教示を追加し, 概念操作に関する知識を補うことが, 学習した科学的概念の般化可能性を促進するのではないかという仮説を検討することであった。206名の大学生を被験者として, 気圧の力学的性質に関する概念情報の教示に加えて, 属性に対する操作を行う気圧実験事例の説明を追加教示することで, 気圧現象に関する般化問題の遂行にどのような影響が生じるかを調べた。その結果,(1) 気圧 (属性) を操作する事例を教示情報に追加することは, その事例との類似性が低い般化事例に対しても, 学習した気圧概念を適用できる可能性を高める効果がある,(2)このような気圧概念の般化の促進には, 与えられた教示情報から, 気圧の力学的性質に関する概念情報を抽出するだけでなく, 気圧属性間の関係性の変換操作に関する情報を抽出できることが影響している, という2点が明らかになった。
    抄録全体を表示
  • 工藤 与志文
    53 巻 (2005) 3 号 p. 405-413
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    平行四辺形の周長を固定したまま, 角度を変えて変形した場合の面積判断を求める「等周長問題」は平行四辺形の求積公式を適用することによって容易に解決可能であるにもかかわらず, 面積は変化しないという誤判断が多く見られることが知られている。この点に関して, 問題解決時に公式が「不活性」であることだけではなく, 公式に関する知識表象を操作する過程に問題のあることが予想された。そこで, 大学生106名を対象に, 公式使用のヒントのない問題とヒントを加えた問題の解決を求めるとともに, 公式に関する知識操作水準を測定し, 操作水準と問題解決状況との関連を検討した。その結果,(1) ヒントなしで等周長問題を正答できた者の割合は, 高操作群の方が多かった。(2) 低操作群でのヒントの有効性は低く, 単なる活性化では正答に至らなかった。(3) 最終的に正答できなかった者は, 公式を単なる求積手続きとして硬直的に解釈する傾向があった。以上のことから, 概念的知識の適用可能性を検討する上で, 知識表象の操作可能性が重要な要因となることが示唆された。
    抄録全体を表示
  • 豊田 秀樹, 齋藤 朗宏
    53 巻 (2005) 3 号 p. 414-426
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    SDデータは“被験者”,“尺度”,“概念”からなる3相データである。ここで, もし“概念”が上位概念の組み合わせによって表現されるのであれば, そのデータは4相, あるいはそれ以上となる。もし“被験者”がいくつかのグループに分けられるのであれば, そのデータは3相多群となる。本研究の目的は, 豊田 (2001a) を基にして, これらのSDデータに対する探索的ポジショニング分析の手法を提案することにある。本方法の平均構造, 共分散構造はSEMの下位モデルとして表現されるため, この新しい方法はLISRELやCALISのようなSEMのソフトウェアを用いることで容易に実行される。
    抄録全体を表示
  • 谷口 明子
    53 巻 (2005) 3 号 p. 427-438
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ひとつの病院内学級における教育実践を詳細に検討することから, 入院児に対してどのような教育的援助が提供されているのかを明らかにし, 教育実践の特徴カテゴリーを抽出することである。先行研究の少ない分野において有効とされる質的研究法を採用し, 参与観察エピソード及び半構造化面接逐語録をグラウンデッド・セオリー法に則って分析した。分析は概念化からカテゴリー生成, さらに現場教師からのコメントや更なるデータ収集を経て最終的な教育の特徴モデルの生成まで5段階で行われた。結果として, 病院内学級における教育実践が, 通常の教育の枠を超えて, 〈特別支援教育/ 普通校/小規模校/保育/家庭/医療/ソーシャルワーク〉という多様な援助実践の特徴を併せ持っていることが見出された。本研究は, ひとつの病院内学級におけるデータに基づく仮説生成型探索的研究ではあるが, 提示された特徴モデルにより, 従来, 他の特別支援教育と比較してとらえどころがないとされていた病院内学級における教育実践の特徴を捉える新たな視点を提供することができた。
    抄録全体を表示
  • 53 巻 (2005) 3 号 p. 440-
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top