教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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54 巻 , 1 号
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  • 岡田 涼, 中谷 素之
    54 巻 (2006) 1 号 p. 1-11
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 自己決定理論において概念化されている複数の動機づけから個人を動機づけスタイルとして表し, その動機づけスタイルによって, 実際の課題解決場面において課題に対する興味にどのような相違が見られるかを検討することであった。研究1では, 大学生の学習活動に対する動機づけを尋ねる質問紙を作成し, それらの得点から, 4つの動機づけスタイル (高動機づけ, 自律, 取り入れ・外的, 低動機づけ) を見出した。研究2では, 従来の自己決定理論研究において用いられることの少なかった実験的な手法を用いて, 動機づけスタイルが課題への興味に及ぼす影響を検討した。その結果, 非統制的な教示条件下において, 取り入れ・外的スタイルは高動機づけスタイルよりも課題に対する事後の興味得点が低くなっていた。また, 高動機づけスタイルと取り入れ・外的スタイルは, ともに低動機づけスタイルよりも課題遂行中の不安・強制感が高かった。以上のように, 動機づけスタイルによって課題への興味のあり方や課題遂行中の不安が異なるという結果は, 個人の動機づけを動機づけスタイルとして多面的に捉える枠組みの有用性を示すものであると考えられる。
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  • 田島 充士, 茂呂 雄二
    54 巻 (2006) 1 号 p. 12-24
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は日常経験知と矛盾する科学的概念を学習した中学生を対象に, 両者の矛盾関係の解消を目指した説明を求める半構造化面接を実施し, この中で対立する日常経験知をどのように関連づけるのかという視点から, 概念理解の実態を検討したものである。予備調査の質問紙で科学的概念を支持した被験者 (科学群) に対しては日常経験知に基づいた情報を, また素朴概念を選択した被験者 (素朴群) に対しては, 科学的概念に基づいた情報を提示して, それぞれの矛盾を解消するよう求める対話に参加してもらった。その結果, 矛盾を解消できた者 (解消群) とできなかった者 (不解消群) に分かれた。科学解消群では論理的な解釈によって両者の矛盾情報を統合するような説明を, 科学不解消群では日常経験知を無視するような説明を, また素朴不解消群においては科学的概念と日常経験知を適用する文脈を分離させるような説明を行う傾向にあった。本研究ではこれらの傾向を, 日常経験知の「調整」「圧殺」「すみわけ」と名づけ, パフチン理論の立場から「調整」を, 学校教育において目指されるべき概念理解活動として位置づけた。
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  • 山名 裕子
    54 巻 (2006) 1 号 p. 25-33
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文では, 配分結果が見えない場合の配分行動について, 配分結果が見える場合の実験 (山名, 2005) と比較することにより, 何を手がかりに配分を行うのか, また商が見えないことによる方略選択の変化に関して明らかにした。4歳と6歳の幼児各40名ずつが実験に参加した結果, 4枚のチップを2個の箱に配分するような課題では, 配分結果が見えなくて正しく配分できる参加者が4歳でも8割以上みられた。しかし4歳では配分元のチップの数が増えると正答数が減少する傾向が示されたが, 6歳では正答数の減少はみられなかった。方略分析では, 4歳ではほとんど数巡方略が選択されており, 比較的正答率の高い課題では数巡正方略が, またチップの数が増えるに従って数巡誤方略の選択が増えており, 配分先が見えない箱に配分する場合はより確実に配分できる数巡方略を選択しているように示唆された。また配分結果が見えない場合はユニット方略が選択されにくいことが推測され, 配分する前の見積もりを立てにくいことを意味しているように思われた。配分先が箱の場合は4歳, 6歳でも数巡方略を多く選択しており, 皿に配分するときのような選択方略の違いはみられなかった。
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  • 加藤 弘通, 大久保 智生
    54 巻 (2006) 1 号 p. 34-44
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 学級の荒れと学級の雰囲気の関係を検討することを目的として行われた。公立中学校8校の37学級の中学生1~3年生 (男子544名, 女子587名, 計1, 131名) を対象に,(1) 向学校感情,(2) 問題行動の経験,(3) 学級の荒れ,(4) 不良少年のイメージをたずねる質問紙を実施した。(2) の問題行動の経験尺度から, 生徒を問題生徒, 一般生徒に分け,(3) の学級の荒れ尺度から, 学級を通常学級と困難学級に分けた。そして, 一般学級と困難学級において, 生徒がもつ問題行動や学校生活に対する意識=学級の雰囲気にどのような違いがあるのかを検討した。その結果, 全体として, 通常学級に比べ困難学級の生徒のほうが, 不良少年がやっていることをより肯定的に評価し, 彼らに対する否定感情および関係を回避する傾向が低く, 学校生活にもより否定的な感情を抱いていた。この結果から, 学級が荒れることには, 問題生徒だけでなく, 一般生徒の不良少年や学校生活に対する意識の違いが関係していると考えられた。したがって, 問題行動の防止・解決には, 問題行動をする生徒だけでなく, 問題行動をしない一般生徒に対しても関わる必要性があることが示唆された。
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  • 松岡 弥玲
    54 巻 (2006) 1 号 p. 45-54
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,(1) 理想-現実自己のズレが年齢と共に減少していく変化と, 自尊感情が生涯にわたって維持される傾向とが関係しているかどうかを検証すること,(2) 理想自己の実現可能性の生涯発達変化を捉えること,(3) ズレを減少させる方略 (肯定的解釈粘り強さ諦めの早さ) の生涯発達変化をズレとの関わりから探索的に検討することである。調査参加者は15歳から86歳までの男女 (865名)。主な結果は以下の通りである。(1) 自尊感情は生涯維持され, ズレは年齢と共に減少していた。そして青年期から老年期までの全ての群でズレと自尊感情との間に有意な負の相関関係がみられ, ズレが減少していく変化と自尊感情の維持とが関連していることが示唆された。(2) 実現可能性は, 45-54歳に減少する傾向がみられた。(3) ズレを減少させる方略は, 高校生から55-64歳までの間, 対照的な方略が交互に用いられ, 男女差が顕著であった。しかし, 65-86歳群になると男女共にズレと方略との関わりが無くなった。これらの結果について, 性差に焦点をあて, ライフイベントや職業生活との関わりから考察がなされた。
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  • 外山 美樹
    54 巻 (2006) 1 号 p. 55-62
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 中学1年生213名を対象とし, 日頃比較をしている友人の学業成績と学業コンピテンスが, 生徒の学業成績の向上に及ぼす影響を検討することであった。本研究の結果より, 中学1年生においては, 自分よりも幾分優れている同性の友人と学業的遂行の社会的比較を行う傾向のあることがわかった。そして, 中学1年生の学業成績の向上において, 比較をしている友人の学業成績と学業コンピテンスの交互作用の影響が見られ, 日頃学業成績が高い友人と比較をしている人のうち, 学業コンピテンスが高い人は, 学業成績が向上した。一方, 学業成績が高い友人と比較をしている人であっても, 本人の学業コンピテンスが低い人には, 学業成績の向上は見られなかった。そして, 学業成績が低い友人と比較をする人は, 学業コンピテンスの高低にかかわらず, 学業成績の低下が見られることが示された。
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  • 村山 航
    54 巻 (2006) 1 号 p. 63-74
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    空所補充型テストは, 浅い処理の学習方略使用を促進し, 深い処理の学習方略使用を阻害することが指摘されている。本研究では, 学習者が“空所補充型テストには浅い処理の学習方略が有効である”という“テスト形式スキーマ”を持っているために, このような問題が生じると考えた。そして, 実際の歴史の授業場面を用いて,“テスト形式スキーマを変容させる介入を行うと, 客観式テストであっても, 浅い処理の学習方略が促進されない”という予測の検証を行った。具体的には, 中学2年生55人を, テスト形式スキーマに介入するクラス (テスト形式スキーマ+方略介入群) と, 介入しないクラス (方略介入群) の2クラスに分け, 空所補充型テストを実施したときに, 方略がどのように変容するかを検討した。結果, テスト形式スキーマ+方略介入群が, 方略介入群に比べて, 空所補充型テストが実施されたときに, 暗記方略の使用を抑制することが示された。また, 授業ノートへの書き込みも, テスト形式スキーマ + 方略介入群が多くなることが明らかになった。空所補充型テストの予期が学習方略使用に影響を与える背後には,“テスト形式スキーマ”という要因が介在していることが示唆された。
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  • 田村 修一, 石隈 利紀
    54 巻 (2006) 1 号 p. 75-89
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 学校教育サービスの専門家としての中学校教師の被援助志向性を測定するための尺度を作成することであった。Spielberger, Gorsuch, & Lushene (1970) の「STAI (State-Trait Anxiety Inventory; 状態-特性不安検査)」の構造を参考に,「状態・特性被援助志向性尺度」を作成し, 日本の中学校教師250名を対象に調査を実施した。その結果,「状態被援助志向性尺度」は, 一因子構造であることが示された。一方,「特性被援助志向性尺度」は,「被援助に対する懸念や抵抗感の低さ」,「被援助に対する肯定的態度」の2つの下位尺度で構成されることが示された。次に, これら2つの尺度の信頼性と妥当性をそれぞれ検討したところ, 共にある程度高い信頼性と妥当性が確認された。最後に, これらの尺度の活用について, 研究面と実践面の観点から考察した。
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  • 菊池 哲平
    54 巻 (2006) 1 号 p. 90-100
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 3歳から5歳までの状況的手がかりからの情動推測能力の発達過程について, 自己と他者という2者間の違いに焦点をあてて検討する。課題は,「喜び」「悲しみ」「怒り」の3情動が発動される状況文について適切な情動を答える課題からなっており, 主人公が被験児自身の場合である自己情動条件と, 架空の人物の場合である他者情動条件が設定された。その結果, 3歳児においては, 他者情動条件よりも自己情動条件のパフォーマンスが有意に低かった。それに対して4歳児および5歳児においては有意差が認められなかった。反応内容を吟味した結果, 3歳児の回答においては, 自らの特定の経験に基づいた回答が多く, それにより自己情動条件のパフォーマンスが引き下げられていることが示唆された。これらの結果から「時間的拡張自己」といった高次の自己理解の獲得と情動理解の関連が議論された。また, どの年齢群でも「悲しみ」と「怒り」を混同することが多く, 情動を惹起する社会的な表出規則についての理解が未獲得であることが推測された。
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  • 樽木 靖夫, 石隈 利紀
    54 巻 (2006) 1 号 p. 101-111
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 中学生の学級集団づくりに活用される文化祭での学級劇において, 彼らの小集団の体験の効果について検討した。主な結果は次の通りである。1) 文化祭での学級劇における小集団の体験において, 小集団の発展を高く認識した生徒は, そうでない生徒よりも自己活動の認知 (自主性, 協力, 運営), 他者との相互理解を高めた。2) 文化祭での学級劇における小集団の体験において, 担任教師の葛藤解決への援助介入は小集団の発展を促進し, 生徒の自己活動の認知, 他者との相互理解に影響した。3) 文化祭での学級劇における小集団の体験において, 同じ目標を目指しながら異なった活動をする「分業的協力」を高く認識した生徒は, そうでない生徒よりも学級集団への理解を高めた。
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  • 川井 栄治, 吉田 寿夫, 宮元 博章, 山中 一英
    54 巻 (2006) 1 号 p. 112-123
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    ネガティブな事象に対する認知パタンが自己否定的なものに固定化し, それに伴って自己効力感やセルフ・エスティームが低下することを防ぐための授業を考案して, それを小学校高学年の児童に対して学級単位で実施し, その効果について多面的な検討を行った。実験計画はプリポスト・デザインとポストオンリー・デザインを併用した統制群法であり, 自己否定的な認知パタンを固定化させないようにすることの必要性について説明したうえで, 実際にそのための授業を行う実験群と, 前者の説明のみを行う統制群を設けた。得られたデータを分析した結果, 実験群の児童の方が統制群の児童よりも, 自己否定的な認知パタンを否定する方向の信念を抱くようになっているとともに, 自己効力感とセルフ・エスティームが高まっていることが示された。また, このような効果の持続性および日常への般化の存在も示された。
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  • 三浦 正江
    54 巻 (2006) 1 号 p. 124-134
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 中学校において不登校傾向や心理的ストレスに関するチェックリストを実施することによって, 不登校を予防する可能性について検討することであった。まず, 公立中学校1~3年生生徒 (3クラス計109名) を対象に, 不登校感情, ストレス反応, 学校ストレッサー, ソーシャルサポートに関する尺度を実施した。次に, このデータに基づいて, 不登校感情の得点の高い生徒26名を抽出し, 心理の専門家との協働で担任教師がこれらの生徒における心理的ストレス状態の理解と日常の学校生活における働きかけを実施した。その結果, 働きかけを行った後では, 不登校感情, 抑うつ・不安, 無気力反応, および教師関係ストレッサーの得点は有意に低下し, 友人サポート得点は有意に上昇した。また, 担任教師を対象とした事後調査では, 一連のアプローチは, 日常の学校現場で容易に実施でき, かつ効果的な方法だと評価された。最後に, 中学校におけるチェックリストの活用の利点と不登校予防の可能性, および今後の課題が議論された。
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