教育心理学研究
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55 巻 , 3 号
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  • 義田 俊之, 中村 知靖
    55 巻 (2007) 3 号 p. 313-324
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 自己複雑性理論に基づき, 抑うつの促進ならびに低減プロセスを自己評価が媒介するというモデルを検証した。大学生と専門学校生計95名を対象に, 自己スキーマの精緻性を測定するために自己記述課題を, 自動思考の頻度と抑うつを測定するために質問紙を実施した。構造方程式モデリングによる分析を行った結果,(1) ネガティブな自己スキーマの精緻性は, ネガティブな自動思考に媒介されて抑うつを促進していること,(2) ポジティブな自己スキーマの精緻性は, ポジティブな自動思考に媒介されて抑うつを低減していることが明らかとなった。これらの結果から, 抑うつの促進および低減プロセスにおいて自己評価が果たす役割が示唆された。また, 検証されたモデルに基づき抑うつへの介入について議論した。
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  • 豊田 秀樹, 川端 一光, 渡辺 徹, 日高 美英子
    55 巻 (2007) 3 号 p. 325-334
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    豊田・川端・松下 (2005) の拡張モデルとして, 社会的望ましさに関する個人差であるf0を導入し, かつ尺度を構成する項目のタウ等価測定の制約を外したモデルを考案した。予備調査で作成された8つのコンピテンシー尺度を用いて一対比較検査を構成し, これをA・Bの2検査に折半し標準検査を作成した。400名の被験者に対して両検査を実施した結果, 検査の信頼性・妥当性が確認された。妥当性研究では標準化検査の反応歪曲への耐性を検討するために, 新測定法とリッカート法による検査が, 選抜的評価場面, 非選抜的評価場面の2場面を想定して, 199名の被験者に対して実施された。その結果, 新測定法は評価場面にかかわらずリッカート法よりも反応歪曲に耐性を持っていることが確認された。
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  • 坪井 裕子, 李 明憙
    55 巻 (2007) 3 号 p. 335-346
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は自己記入式のYouth Self Report (YSR) と職員が評価するChild Behavior Checklist (CBCL) を用いて虐待を受けた子どもたちの行動と情緒の特徴を明らかにするとともに, 臨床的応用可能性を探ることであった。児童養護施設に入所中の子ども142名を対象に, YSRとCBCLを実施した。両方有効だったのは124名 (男子75名, 女子49名) だった。問題行動得点では, CBCLとYSRの間で一定の相関が認められたが, コンピテンスに関しては両者で捉え方が異なる可能性が示された。被虐待体験の有無による比較では, CBCL, YSRいずれにおいても被虐待体験が子どもの行動や情緒の問題に影響を及ぼすことが確認された。職員は子どもが気づきにくい「社会性の問題」や「注意の問題」などを客観的に捉えることが示された。反面, 「身体的訴え」や「思考の問題」など, 子ども側の主観的な問題を捉えにくいことが挙げられた。臨床的応用例の検討からは, 自己評価と他者評価を組み合わせることによって, 虐待を受けた子どもの行動と情緒の問題を, より多面的に理解できることが示唆された。
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  • 中道 圭人
    55 巻 (2007) 3 号 p. 347-358
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    幼児の条件推論, ワーキングメモリ (WM), 抑制制御の関連を検討した。実験1では年長児 (N=25) を対象に, 経験的あるいは反経験的な事柄での条件推論課題, WM課題 (逆唱), 抑制制御課題 (昼夜ストループ課題) の関連を検討した。その結果, 反経験的な条件推論と抑制制御の間に正の相関が見られたが, 条件推論とWMの相関は見られなかった。実験2では年長児 (N=26) を対象に, 課題手続きを改善した条件推論課題とWM課題, 抑制制御課題の関連を検討した。その結果, 実験1と同様に抑制制御は反経験的な条件推論のみと正の相関を示し, その一方, WMは条件推論全般と正の相関を示した。本研究の結果から, 幼児期における条件推論, WM, 抑制制御の関連が明らかとなった。
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  • 東山 薫
    55 巻 (2007) 3 号 p. 359-369
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, Wellman & Liu (2004) の主張する多面的な“心の理論”の発達が, 日本の子どもにおいても同じように見られるかを追試すると共に, 誤答した子どもの説明を分析することによって, より詳細に日本の子どもにおける“心の理論”の発達を検討することにした。すなわち, 誤信念課題において指摘されてきたような通過率の遅れがこの尺度でも見られるか否か, 日本の子どもがWellmanらの結果と同じ順序で段階的に心の理解が進むか否か, 誤答分析によって“心の理論”課題を誤る原因を明らかにすること, を目的とした。3~6歳の子ども120名にWellmanらの多面的な“心の理論”課題を実施したところ, Wellmanらと同様に年齢と共に段階的な発達が見られたが, 誤信念課題において従来指摘されてきたように, 多面的な概念を含む“心の理論”課題においても, 日本の子どもは通過率が低かった。誤答の説明を分析すると, 4, 5歳児の3割近くが信念課題をどのように考えたかうまく説明できない場合と, 理解できていない場合とが含まれていると考えられた。最後に, Wellmanらの課題の可能性と今後の課題について論じた。
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  • 上長 然
    55 巻 (2007) 3 号 p. 370-381
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 思春期の身体発育のタイミングと抑うつ傾向との関連において, 身体発育のタイミング (以下, 発育タイミング) を客観的な発育タイミングと主観的な発育タイミングの2つの観点から捉え, 発育タイミングが直接抑うつ傾向に影響するのか, 媒介要因を介して関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生503名 (男子252名, 女子251名) を対象に思春期の身体発育の発現状況, 主観的なタイミングの認知, 現在の体重に対する評価, 身体満足度, 露出回避行動, 抑うつ傾向について測定した。その結果, 1) 男女とも発育タイミングから抑うつ傾向には直接的な関連はみられず, 媒介要因を介して関連していた。2) 男子は主観的な発育タイミングが, 女子は客観的な発育タイミングが身体満足度と結びついていた。3) 男子は早熟なほど身体満足度が高く, 抑うつ傾向が低いが, 早熟な女子は身体満足度が低く, 抑うつ傾向が高かった。4) 男子では公的自意識の高さは身体満足度, 露出回避行動と結びつき, 抑うつ傾向と関連していたが, 女子の公的自意識の高さは身体満足度と結びつかず, 露出回避行動と結びついて抑うつ傾向と関連していた。
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  • 岡田 謙介, 星野 崇宏, 繁桝 算男
    55 巻 (2007) 3 号 p. 382-392
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    構造方程式モデリング (SEM) では柔軟なモデル構成が可能であるために, モデルの評価・選択が重要になる。統計的モデル選択において基本となる統計量に尤度比検定統計量Tがあり, SEMでもこれが漸近的にx2分布にしたがう性質を利用した検定が可能である。しかし, 標本サイズが小さいとき検定統計量Tの標本分布はx2分布から正方向に逸脱する。逸脱の度合いは1因子あたりの観測変数数が大きいとき, とくに大きくなる。通常得られる教育心理学データの標本数程度では, この逸脱のため, 適切なモデル選択が行えなくなってしまう。また, 適合度指標の大部分はx2分布にしたがうTの関数として構成されるので, Tの分布のゆがみが直接的に波及する。そこで, 我々は今回TにBartlett補正を適用し, そのx2分布への近似精度を向上させる方法を提案する。モンテカルロ実験により, 提案した方法がTの標本分布のx2分布に対する近似精度を大幅に改善していることを確認する。
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  • 齋藤 朗宏, 豊田 秀樹
    55 巻 (2007) 3 号 p. 393-402
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, SEMによる集団AHPモデル (豊田・米村・齋藤, 2004) のいくつかの拡張モデルを提案する。一つが複数の母集団からデータが取られた場合について, 母集団ごとの評価の違いを探る多群モデルであり, もう一つがコンジョイント分析で用いられるような代替案について, 属性の効果を調べる多相モデルである。また, それらを統合した多群・多相モデルについても示される。それらの方法における母数の推定値は, MplusなどのSEMのソフトウェアを用いることで容易に求められる。この方法の注目すべき特徴は, コンジョイント分析とAHPが統合され, さらに結果の群間比較, 交互作用の検討が可能となる点にある。
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  • 中島 由佳, 無藤 隆
    55 巻 (2007) 3 号 p. 403-413
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 就職活動におけるキャリア志向, 就職活動プロセス, 就職達成の関係についての検討を試みた。先行研究に基づいて仮説モデルを構築し, 女子学生394名 (短大2年生222名, 大学4年生172名) を対象とした質問紙調査を行った。キャリア志向として挑戦・対人志向, 就職活動中の意思・認知として選択的・補償的2次コントロール, 求職行動として選択的・補償的1次コントロールがモデルを構成する概念として使用された。構造方程式モデリングの結果, 就職への意思である選択2次の媒介因としての働きが明らかとなった。両キャリア志向は選択2次を介して選択1次・補償2次の求職行動に寄与しており, 特に対人志向は, 選択2次に媒介されてのみ直接的な求職行動である選択1次に寄与していた。また, 選択1次が就職の達成に寄与する一方, サポート希求などを含む補償1次は就職達成に負の影響を持つことが示された。しかし補償1次はまた, 選択1次を高める働きも見せた。短大生と大学生との間には, 各変数間の関係における有意な相違は見られなかった。キャリア志向とともに, 媒介因としての選択2次を高めるような援助を学生に行うことの重要性が, 本研究からは示唆された。
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  • 松沼 光泰
    55 巻 (2007) 3 号 p. 414-425
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 学校現場で指摘される現在完了形の学習の問題点を踏まえ, 教育心理学で得られた知見を生かした授業方法を考案しその効果を検討した。高校1年生の生徒が現在完了について2種類の授業方法で学習した。実験群の授業は,「(1) 現在完了の学習内容を教師の側からあらかじめ体制化して教授する」,「(2) 現在完了の課題を行う際に, 図を用いるという学習方略を教授する」という2点で統制群の授業と異なっていた。また, 補足的に, 教授した学習方略の遂行と学習方略の有効性及びコストの認知の関連性, 介入授業が学習意欲に及ぼす影響, 介入授業に対する生徒の興味という点についても調査した。分析の結果,「(1) 授業直後においても約1ヵ月後においても, 実験群のテスト成績は, 統制群を上回った」「(2) 教授された方略を遂行する生徒は, 遂行しない生徒に比べて, 方略を有効であると認知しており, また, 前者は, 後者に比べて, テスト成績が良かった」「(3) 実験群は統制群に比べ介入後に学習意欲が高まり, 授業に対する興味も高かった」ということが示唆された。
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  • 高垣 マユミ, 田爪 宏二, 松瀬 歩
    55 巻 (2007) 3 号 p. 426-437
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 小学理科5年「ものの溶け方」という特定の科学領域の単元を対象とし, 子どもたちの「溶解現象における質量保存の概念」の獲得を促すために,『相互教授』と『概念変容教授』を関連づけた学習環境を考案した。これらの学習環境下で生成された.特定の個人の一連の発話と行為を追跡し, 認知的および社会的側面における要因の観点から詳細に分析した結果.以下のようなプロセスを経て概念変化が促されていくことが示唆された。(1) 認知的側面: 目に見えない物質の溶解現象を可視化する『自己生成アナロジーモデル (微視的モデル)』を認知的道具立てとして用いながら,「関係ベース」から「モデルベース」へと推論活動が移行していく過程において,『概念変容教授』で提示された「分かり易い」「多くの反証事例に一貫している」という特徴を持った新情報 (科学的概念) が受容されていった。(2) 社会的側面: 参加者相互の理論構築のプロセスを集積した『理論チャート』を文化的道具立て (議論ツール) として用いながら,『相互教授』の「参加者の構造の役割」で責任を担う文脈において,「説得力のある言葉」を巡る「権力」の駆け引きが生じ, 表層的ではない真の概念理解が達成されていった。
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  • 田村 節子, 石隈 利紀
    55 巻 (2007) 3 号 p. 438-450
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 母親がクライエントから子どもの援助のパートナーとなる心理的変容過程のモデルを生成することである。母親が自主的に記録していた手記を分析データとしたが, 手記には, 子どもが1歳から14歳までに起こった出来事や, その出来事に対する自分の捉え方, スクールカウンセラーとのやりとりや母親の心理的な変化について, ありのままに記述されていた。手記は修正版グランデッド・セオリー・・アプローチを用いて分析され, 20個の概念から10個のカテゴリーを見出し, 10個のカテゴリーはさらに4個の上位カテゴリーにまとめられた。その結果, 母親の心理的変容過程はIV期に分かれた。1期において子育てにおける疎外感, 無力感, 徒労感を抱いていた母親は, II期においてSCとの出会いにより心理的な揺れを伴った軌道修正の過程を経た。この過程を経て母親は, クライエントから子どもの援助のパートナーとして心理的に変容し, III期においてパートナーとして援助チーム会議に参加することで親役割の充実がはかられ, IV期においては母親自身の将来への展望をもつことが示唆された。カウンセリングニーズとコンサルテーションニーズの視点からも考察を加えた。
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