教育心理学研究
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56 巻 , 3 号
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  • 藤澤 和子
    56 巻 (2008) 3 号 p. 303-317
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 視覚シンボルとその意味を文字で併記したもので表現した発信者のメッセージを正確に理解するために, 受信者に与えられた文脈となる事前の予備知識が, どのような理解促進の効果をもつのかを明らかにすることである。大学生96名を被験者とした実験を実施した。刺激材料には文字を併記した視覚シンボルで表記した2つの手紙文を用い, 日本語に解釈する課題を行った。各被験者は各群24名からなる4群のいずれかに割りあてられた。4群は, 文脈を与えなかった群(NC群), 発信者の個人情報と受信者との関係を与えた群 (R群), 話題のキーワードを与えた群(K群), R群とK群の両方の情報を与えた群(RK群)であった。実験の結果, 2課題に共通して, K群とRK群の2群の文脈がシンボルによるメッセージの理解に効果があると考えられた。また, 文脈の内容により解釈に差が認められ, 文脈によって活性化されたスキーマが, メッセージの解読内容に大きく影響していることが考察された。
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  • 田島 充士
    56 巻 (2008) 3 号 p. 318-329
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では学習者が, 科学的概念と日常経験知との関係を, 対話を通して解釈できることを「理解」と捉えた。そして, この理解達成を促進する方法として, 教師が学習者らの発話を引用しながら, より深い解釈を行う対話へ誘導する「再声化(O'Connor & Michads, 1996)」に基づいて作成した介入法を取り上げ, その効果の検討を行った。大学生26名を対象に, 2名1組の実験参加者組に分かれ, 対話を通して課題とした科学的概念と日常経験知の関係を解釈するよう求めた。そして, ここで作成された解釈が両者の関係を十分に説明できないものであった場合, さらに対話を続けてもらい, 同時に調査者が再声化介入法に基づいた介入を行った。その結果, 再声化介入には, 1) 理解の達成に効果があるトランザクション対話 (Berkowitz & Gibbs, 1983) を増加させ, 2) 説明内容における日常経験知のメタファーも増加させる効果があり, 最終的に概念理解を達成できる実験参加者を有意に多く生じさせたことが明らかになった。以上の結果から再声化介入法には, 理解達成を促進する効果があると考えられ, 本介入を活用した新たな授業実践の可能性について考察がなされた。
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  • 原田 宗忠
    56 巻 (2008) 3 号 p. 330-340
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 青年期における中期的な自尊感情の揺れと自己概念との関係を検討した。1ヶ月おきに3回, 大学生243名にTS-WHY及び自尊感情尺度の質問紙を行い, 自尊感情の揺れと, 自己概念との関係を調べた。その結果, 各次元の自己概念の延べ数や領域数などの水準によって, 各次元の自尊感情の中期的な揺れの大きさには差があった。そして, 肯定的自尊感情を高めたり否定的自尊感情を低める際に, 自尊感情の揺れや自己概念へ介入する事が有効である可能性が示唆された。また, 中期的な自尊感情の揺れは, 自己概念を見直し, 重要な自己概念を形成する契機にもなりうるという点で, 必ずしも否定的に捉えられるべきではないと考察された。
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  • 三島 知剛
    56 巻 (2008) 3 号 p. 341-352
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 教育実習生を対象に教育実習前後での授業観察力の変容を授業・教師・子どもイメージとの関連から検討することであった。本研究では, 授業観察力を問題指摘数, 代案生起数, 授業評定力の3観点から捉えることとし, 小学校の算数の授業ビデオを用い, 53名の協力者に実習前後で調査を行った。その結果, 授業観察力に関しては,(1)実習生の授業観察力 (問題指摘数・代案生起数) は全体的に向上すること,(2) 授業観察力 (代案生起数) の向上と実習生の授業・教師に対するポジティブなイメージとの間に密接な関係があること,(3)実習生の授業評定力は, 実習前後で一貫して熟練教師に及ぼず, 授業評定の仕方が甘いこと, などが示唆され, 教育実習の効果に関する示唆と合わせて検討された。
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  • 川島 亜紀子, 眞榮城 和美, 菅原 ますみ, 酒井 厚, 伊藤 教子
    56 巻 (2008) 3 号 p. 353-363
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 青年期の子どもがいる家族を対象に, 両親の夫婦間葛藤が子どもによる両親間葛藤認知を媒介として子どもの抑うつ傾向と関連するかどうかを検討することを目的として実施された。父親, 母親, および子どもを対象に, 質問紙調査を実施し, 両親回答による夫婦間葛藤の深刻さ評価と子ども回答による両親間葛藤認知, 父母への情緒的つながり, および抑うつ傾向を測定した。その結果, 男女ともに両親間葛藤が深刻なほど葛藤への巻き込まれ感が強まり, さらに両親の夫婦間葛藤に対する自己非難や恐れの認知につながっていた。男子については, こうした自己非難や恐れの認知が抑うつに関連していたが, 女子についてはこうした相関は見られなかった。一方, 両親間葛藤の深刻さは両親への情緒的つながり, 特に, 父親への情緒的つながりにより強い関連が見られた。抑うつとの関連では, 同性の親との情緒的つながりが重要であることが明らかになった。母親による夫婦間葛藤認知は子どもの葛藤認知に有意に関連していたが, 父親のそれは有意ではなく, いずれも子どもの抑うつ傾向とは直接関連しなかった。
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  • 谷村 圭介, 渡辺 弥生
    56 巻 (2008) 3 号 p. 364-375
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,(1) ソーシャルスキルの自己認知と他者評定との関係,(2) 自己の印象とソーシャルスキルとの関連,(3) ソーシャルスキルの自己認知と実際の行動との違いを明らかにすることを目的とした。質問紙によって113名の大学生を2つのグループに分け, ソーシャルスキル高群10名, 低群10名 (それぞれ男性5名・女性5名ずつ) を研究対象者とした。研究対象者は実験室で初対面の人物と対面し,「関係継続が予期される初対面場面」として共同作業場面を実験場面とし, 実験を行った。そのやりとりの内容は, ワンウェイミラーを通して観察した。その結果, ソーシャルスキルの自己認知は他者評定とかなり一貫していることがわかった。ソーシャルスキルの高い者は他者評定によっても高く評定されていた。また, 相手の人に対してよい印象を与えていると自負していることがわかった。ソーシャルスキルの高い者は初対面場面において, 質問などをすることによって会話を展開, 維持する傾向にあることがわかった。また, 相手が異性であるか, 同性であるかということが行動に影響を及ぼしたことが推測された。
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  • 大内 晶子, 櫻井 茂男
    56 巻 (2008) 3 号 p. 376-388
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 2年保育の幼稚園における年少児 (4歳児) の非社会的遊び (沈黙行動ひとり静的行動ひとり動的行動) に注目し, その変化および社会的スキル・問題行動との関連を男女別に明らかにすることであった。そのため, 入園直後(Time 1) とその約半年後 (Time 2) に幼児の非社会的遊びの観察を行い, Time 1, Time 2, および卒園直前 (Time 3) に彼らの社会的スキル・問題行動について担任教師に評定を求めた。その結果, 沈黙行動がTime 1からTime 2にかけて減少することが示された。また, 社会的スキル・問題行動との関連において, 沈黙行動は, 男女共に主張スキルの低い子どもに見られた。ひとり静的行動は, Time 2にその行動が多く見られた場合, 女児は協調スキルが低く不注意・多動傾向にあること, 男児はTime 3における主張スキルの低さを予測することが明らかになった。ひとり動的行動は, 行動が見られた時点ではいずれの関連も有意でなかったが, 男児はTime 1のそれがその後の主張スキルの低さを, 女児はTime 2のそれがTime 3における外在化した問題行動を予測した。
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  • 山本 博樹, 島田 英昭
    56 巻 (2008) 3 号 p. 389-402
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高齢者の説明文記憶において, 標識の明示性を高めることが, 体制化方略の変更を支援し, 構造的に体系化する方略を駆動することで, その所産である説明文の記憶をも支援するという仮説を検証した。この検証にあたって, 高齢者 (平均年齢69-77歳) と大学生 (平均年齢21.57歳) に対して, 文配列課題, 再生課題, 再構成課題を行った。結果から次の2点が示された。第1に, 体制化過程で現れる修正的な配列の出現頻度を体制化方略の変更の測度とみなして分析したところ, 標識の明示性に応じて高齢者の方略変更を向上させ, 加齢差が緩和されることが確認された。第2に, 標識の明示性によってもたらされた高齢者の方略変更がその所産である説明文記憶を規定するという効果過程が確認できた。特に, 明示性の高い標識は, 高齢者の体制化のレベルと, 含意された通りに後で再現する再構成のレベルをともに向上させる一方で, 明示性の低い標識ではそれらへの効果が弱まることが示された。以上から, 標識に視覚形式を付加して明示性を高めると, 高齢者の体制化方略の変更を支援し, その所産である説明文の記憶をも支援することが示された。
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  • 奥村 弥生
    56 巻 (2008) 3 号 p. 403-413
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    人は, 自分の怒りを恥ずかしいと感じたり, 自分の悲しみを大切なものと思うなど, 自己の情動に対して評価を抱くことがある。このような「自己が経験した情動に対する肯定・否定の価値づけを伴う評価」について, 本研究では「情動への評価」として取り上げ, 大学生ら558名に質問紙調査を行って検討した。分析1で, 情動への評価を測定する尺度を作成し, 信頼性・妥当性の検討を行った。この情動への評価尺度は,「他者懸念」「必要性」「負担感」の3つの下位尺度から構成された。次に分析2で, 情動への評価と情動認識困難および情動言語化困難との関連について検討した。その結果, 情動への否定的評価 (「他者懸念」と「負担感」) は, 認識困難・言語化困難傾向と正の関連を持っていた。これにより, 情動への評価は, 情動がシグナルとして適応的に機能するか否かに重要な役割を担っていることが示唆された。
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  • 大内 晶子, 長尾 仁美, 櫻井 茂男
    56 巻 (2008) 3 号 p. 414-425
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 幼児の自己制御機能を, 自己主張, 自己抑制, 注意の移行, 注意の焦点化という4側面から捉え直し, 新たにその尺度を作成すること, また, 4つの側面のバランスと社会的スキル, 問題行動との関係を検討することであった。保育園と幼稚園に通う幼児452名の保護者に対し, 子どもの自己制御機能に関する項目に回答を求めた。そのうち保育園の幼児262名の社会的スキル, 問題行動について, 担任保育者から回答を得た。因子分析 (主因子法・プロマックス回転) の結果, 4下位尺度23項目からなる自己制御機能尺度が作成され, その信頼性と妥当性が確認された。次に, 4下位尺度の標準化得点を用いてクラスター分析を行った結果, 6つのクラスターが見出された。各クラスターの社会的スキル, 問題行動得点を比較した結果, 望ましい社会的スキルの獲得には自己制御機能の4つの側面が全て高い必要があること, 内在化した問題行動の出現には4つの側面が全て低いことが関係していること, 外在化した問題行動の出現には自己主張の高さと自己抑制および注意の制御の低さが関係していることが明らかになった。
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  • 多賀 谷智子, 佐々木 和義
    56 巻 (2008) 3 号 p. 426-439
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    小学4年生の学級を対象にした機会利用型社会的スキル訓練 (以下, 機会利用型SSTとする) を実施し, 仲間関係への自己効力感・社会的スキルの促進, 仲間への認知の変化, および仲間関係の改善に効果の違いがあるかを検討した。機会利用型SSTは, 授業中に生起した標的行動を題材にして, その場で学級全体のSSTに移行させる手続きである。標的スキルは,「あたたかい言葉かけ」,「積極的な聞き方」, および「自己コントロール」で, 授業中 (45分) に各10分程度を1セッションとして, 11セッション実施した。変化量 (プレ-ポストテスト) に関してt検定を行った結果, 訓練群では, 待機群と比較して, 社会的スキルの維持, 仲間への認知の肯定的変化, および児童相互のかかわりの深まりが認められた。さらに, 児童が認知した, 担任の指導態度の違いによるクラスター分析の結果, 低群 (非受容的・やや要求的), 中群 (やや受容的・要求的), 高群 (受容的・要求的) の3つの群に分類でき, 仲間関係への社会的スキルの下位項目である配慮的スキルに関して, 低群および中群の得点に有意な増加が認められた。
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  • 関根 和生
    56 巻 (2008) 3 号 p. 440-453
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    これまでの身振りの発達に関する研究では, 主に乳児期の子どもに焦点が当てられ, 身振りの種類や機能, 初語獲得との関係が明らかにされてきた。近年では, 発話に付随する自発的な身振りへの関心の高まりと共に, 幼児以降の自発的身振りに関する研究も蓄積されてきた。だが, 自発的身振りの発達的変化については体系的に論じられることが少なく, どのように出現および変化するのかがよくわかっていない。本稿では, 自発的身振りの発達に関する国内外の研究を概観し, 幼児期以降の自発的身振りの発達と言語発達との関係を論じた。乳児期と幼児期以降にみられる身振りの分類を整理したところ, 1 歳代後半には発話と同期した自発的身振りが出現しはじめ, 初語獲得前後に出現した身振りは徐々に減少していくことがわかった。さらに, 自発的身振りが“発話のための思考”の習得や物語る能力と共に変化していくことから, 自発的身振りは語彙レベルのみならず, 文構造や物語の発達と関連していることが示唆された。以上の知見から, 身振りは複数の発達経路を持つこと, そして, 身振りは単独で発達していくのではなく, 発話と共に発達を遂げていくことがわかった。
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