教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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56 巻 , 4 号
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  • 垣花 真一郎
    56 巻 (2008) 4 号 p. 463-473
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    幼児が拗音表記 (e. g., きゃ) の読みを習得するのに, /Ci/+/jV/→/CjV/という混成規則を利用しているのか, 機械的対連合の方略を用いているのかを3つの研究により検討した。研究1では, 5-6歳の保育園児を対象に, 21個の清拗音表記の習得状況の調査を行った。その結果, 習得数を横軸, 習得人数を縦軸にした分布図は習得数0個と14個以上に分かれるU字型の分布となり, 習得が開始から短時間で上限近くまで進行することが示唆された。研究2では, 習得途上の子どもに創作拗音表記 (Xゅ/dju/) を提示し, 対象児の8割がこれを正しく読めることが示され, 習得途上の子どもが混成規則を利用していることが示唆された。研究3では, 混成規則を明示的に教授し, 6割の子どもがそれを新規の事例に適用できることが示された。本研究の結果は, 幼児の拗音表記の読み習得において混成規則の利用が中心的役割を果たしていることを示唆している。
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  • 島田 英昭, 北島 宗雄
    56 巻 (2008) 4 号 p. 474-486
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 挿絵が文章理解を促進する効果に対して, 動機づけを高める効果と精緻化を促進する効果の2つがあるとする認知モデル, 2段階モデルを提案した。そして, 既存の防災マニュアルを事例として実験を実施し, 2つの効果を確認した。実験1 (N=34) では, 実験参加者に対して, マニュアル中のページを2秒間見ることを求め, その直後に動機づけに関する質問に答えることを求めた。その結果, 挿絵がマニュアルの読解に対する動機づけを高めることを示した。実験2 (N=23) では, 実験参加者に対して10分間でマニュアルを理解することを求め, 挿絵が注視され, 記憶されていることを明らかにした。さらに, 挿絵の記憶が関連するテキストの記憶を促進することを明らかにした。つまり, 挿絵が精緻化を促進することを示した。
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  • 鈴木 有美, 木野 和代
    56 巻 (2008) 4 号 p. 487-497
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 共感性の多次元的アプローチに従い, 他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度 (MES) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し, 質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果, 5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数, I-T相関係数, 再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また, 既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後, 自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが, 共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
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  • 文野 洋
    56 巻 (2008) 4 号 p. 498-509
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 小笠原村父島で行われたエコツアーの参与観察を行い, ツアー参加者へのインタビューにおける語りを社会文化的アプローチによって検討することにより, 環境の学びのプロセスの特徴を明らかにした。持続可能性のための教育の視点からエコツアーにおける環境の学びの4つの側面を導き, これらがいかに語られるかを, ツアー経験の参照, 他者の言及に焦点づけて分析した。その結果, 1) エコツアーにおける環境の学びのきっかけとなるツアー経験の内容は一様ではなく, 各参加者はさまざまな活動において学びを触発されていること, 2) 自分自身の生活環境を含む地域環境の持続可能性に関する語りは, 交流を通じて見通すことが可能になった, エコツアーの活動に従事する人びとの小笠原の地域環境に対する認識や保護に取り組む姿勢を媒介としてなされることが示された。この結果から, エコツアーにおける環境の学びは, 単線的なプロセスモデルでは適切にとらえられないこと, 各参加者の学びのプロセスを把握する上で社会文化的アプローチが有効であることを論じ, 最後に本研究の知見がエコツアーのプログラム編成に与える示唆について考察した。
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  • 寺澤 孝文, 吉田 哲也, 太田 信夫
    56 巻 (2008) 4 号 p. 510-522
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 一般の学習内容の習得プロセスに潜在記憶が関わっている可能性に着目した。特に, 潜在記憶研究で報告されている, わずかな学習の繰り返しの効果が長期に保持される事実から, 一般的な学習の効果が長期にわたって積み重なっていくことを予測し, その予測の検証を目指した。具体的には, 習得に時間がかかり, 何度勉強してもなかなか憶えられないと感じる英単語学習について, 高校生を対象に8ヵ月にわたる長期学習実験を実施した。実験では, 1000を超える英単語の一つ一つについて, 学習とテストがいつ生起するのか, また, 学習とテストのインターバルがほぼ等しくなるよう学習スケジュールをあらかじめ制御する新しい方法論が導入された。学習者はコンピュータを使った単語カード的な学習を自宅で継続した。膨大な反応データを集計, 分析した結果, 自覚できないレベルで, 学習の効果が積み重なっていく様子が明確に描き出された。考察では, この事実と潜在記憶の関係性が指摘され, 新たに導入されたスケジューリング原理の有効性が確認された他, 本研究の教育的意義が示された。
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  • 葉山 大地, 櫻井 茂男
    56 巻 (2008) 4 号 p. 523-533
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 冗談に対して親和的意図を知覚せずに, 聞き手に怒りを感じさせる冗談を過激な冗談として取り上げ, こうした過激な冗談の話し手が, 親和的意図が聞き手に伝わるという期待を形成する過程を関係スキーマの観点から検討した。大学生159名を対象とした予備調査から, 過激な冗談として,“倫理的・性的タブーに関する冗談”,“聞き手の悩みに関する冗談”,“聞き手の外見や行動に関する冗談”,“聞き手の好きな人や物に関する冗談”が同定された。次に大学生251名を対象とした本調査を行い, これらの過激な冗談の親和的な意図が聞き手に伝わるという期待は, 冗談関係の認知 (“冗談に対する肯定的反応に基づく他者理解感”と“冗談に対する被受容感”) に基づいていることが明らかとなった。特に,“冗談に対する被受容感”は全ての冗談において親和的意図が伝わるという期待に正のパスが見られた。“冗談に対する肯定的反応に基づく他者理解感”は性的タブーに関する冗談と聞き手の友人や恋人に関する冗談にのみ正のパスが見られた。また, 本研究から, 冗談関係の認知は, 冗談行動に相手が笑った頻度を背景として形成されることが示唆された。
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  • 海津 亜希子, 田沼 実畝, 平木 こゆみ, 伊藤 由美, SHARON VAUGHN
    56 巻 (2008) 4 号 p. 534-547
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Response to Intervention/Instruction (RTI) を基にした, 通常の学級における多層指導モデル (Multilayer Instruction Model: MIM〔ミム〕) の開発を行った。MIMを用いて小学1年生7クラス計208名に行った特殊音節の指導の効果が, 学習につまずく危険性のある子どもをはじめ, その他の異なる学力層の子どもにおいてもみられるかを統制群小学1年生31クラス計790名との比較により行った。まず, 参加群, 統制群を教研式標準学力検査CRT-IIの算数の得点でマッチングし, 25, 50, 75パーセンタイルで区切った4つの群に分けた。次に, パーセンタイルで分けた群内で, 教研式全国標準読書力診断検査A形式, MIM-Progress Monitoring (MIM-PM), 特殊音節の聴写課題の得点について, 参加群と統制群との間で比較した。t検定の結果, 4つ全てのパーセンタイルの群で, 読み書きに関する諸検査では, 参加群が高く, 有意差がみられた。参加群の担任教員が行った授業の変容を複数観察者により評価・分析した結果, MIM導入後では, 指導形態の柔軟化や指導内容, 教材の多様化がみられ, クラス内で約90% の子どもが取り組んでいると評定された割合が2倍近くにまで上昇していた。
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  • 松沼 光泰
    56 巻 (2008) 4 号 p. 548-559
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    正確な英文読解や英作文には, andが同じ文法的資格の語句を結ぶ等位接続詞である (以下andの本質) ことを知り, 文中のandが何と何を同じ文法的資格で結んでいるかを意識することが不可欠となる。本研究では, 高校生を対象として, andの本質を問う独自の評価問題を作成し, 学習者のandの知識が不十分であることを明らかにすると伴に, 学習者にandの本質を理解させる教授方法を考案しこの効果を検討した。プリテストの結果, 学習者は, andの日本語訳は知っているが, andの本質を理解していないことが明らかになった。本研究では, この不十分な知識を修正するために, ル・バー研究や学習方略研究の理論を援用し,「(1) 学習者の知識では説明のつかない事例を用いてandの本質を教授する」,「(2) 等位接続詞という名称とandの本質を関連づけて教授する」,「(3) 英文読解や英作文の際に, アンダーラインの使用を促す」という3つの教授方針を採用した授業を実施した。その結果, 介入授業後, 学習者の成績は上昇し, 介入授業の効果が確認された。また, 介入授業後, 学習者はandを重要な単語であると認識するようになり, 英文法の学習意欲が高まり, andに対する自己効力感が高まった。
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  • 外山 美樹
    56 巻 (2008) 4 号 p. 560-574
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    近年の自己概念に関する研究では, 人が自己評価する際に用いる準拠枠の重要性が指摘されている。能力的には同様の生徒であっても, 個人が自分自身を評価する際に使う準拠枠によって, 異なった学業的自己概念が形成される。本稿では, 社会的比較という準拠枠を用いた学業的自己概念の形成, つまり Marsh (1987) が提唱した“井の中の蛙効果”に関する研究を概観する。Marsh (1987) は, 個人の学業水準をコントロールした場合, 学業的自己概念は学校やクラスの学業水準とは負の関係にあることを見いだし,“井の中の蛙効果”と呼ばれる概念を提唱した。これは, 同じ成績の生徒であっても, 良くできる生徒ばかりの学校あるいはクラスの中では, 優秀な生徒たちとの比較のために否定的な学業的自己概念を形成し, あまりできない生徒ばかりの学校やクラスの中では, レベルの低い生徒たちとの比較のために好ましい学業的自己概念を形成しやすいという現象のことである。本稿では, Marshが提唱した“井の中の蛙効果”について広く概観した後に,“井の中の蛙効果”研究についての問題点と今後の展望について述べていくことで,“井の中の蛙効果”に関する諸研究を統合的に検討することを目的とした。
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  • 岡田 涼
    56 巻 (2008) 4 号 p. 575-588
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    近年, 友人関係の形成や維持を動機づけの観点から捉えた研究が増えてきている。しかし, これまでの友人関係研究との理論的な統合がなされていないため, 友人関係に対する動機づけという視点の独自性が明確ではない。本論文では, 友人関係研究と近年の動機づけ研究の知見とを統合し, 適応の支えとなる親密な友人関係が形成, 維持される過程を動機づけの観点から捉えるモデルを構築することを目的とした。最初に, 友人関係と適応や精神的健康との関連を示した知見を概観し, これまでの友人関係研究では, 親密な友人関係を築いているか否かの個人差が説明されていないことを指摘した。次に, 友人関係に対する動機づけを捉える概念を, 達成目標理論, 社会的目標研究, 社会的認知理論, 自己決定理論の観点から検討した。その後, 友人関係に対する動機づけを起点として, 適応の支えとなる親密な友人関係が形成, 維持されるプロセスを捉えるモデルを提唱した。このモデルから, 友人関係に対する動機づけ研究の独自性は, 適応の支えとなる親密な友人関係を築いているか否かの個人差を説明し得る点であることが示唆された。
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