教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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57 巻 , 1 号
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原著
  • 高坂 康雅
    57 巻 (2009) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 青年が容姿・容貌に対する劣性を認知したときに生じる感情と反応行動との関連を明らかにすることである。中学生, 高校生, 大学生545名を対象に, 劣性の認知を尋ねる項目, 劣性を認知したときに生じる感情に関する項目, 反応行動に関する項目について回答を求めた。分析の結果, 反応行動は, 他者回避, 直接的努力, 他者攻撃, 気晴らし, 放置, 賞賛・承認希求, 代理補償の7種類に分けられた。また, 直接的努力は憧憬感情と, 他者攻撃と賞賛・承認希求は敵意感情と, 気晴らしは不満感情と, 放置と代理補償は悲哀感情と自己肯定感情とそれぞれ関連しており, 他者回避は中学生・高校生では不満感情と関連し, 大学生では悲哀感情と関連していた。これらの結果から, 容姿・容貌に対する劣性を認知したときに生じる感情と反応行動との間には, 特定の結びつきがあることが確認された。
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  • 田村 綾菜
    57 巻 (2009) 1 号 p. 13-23
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究は, 加害者の謝罪の言葉と表情が児童の謝罪認知(怒りの変化および罪悪感の認知)に及ぼす影響について, その発達的変化を検討したものである。大学生を対象とする予備調査により表情図の妥当性を確認した後, 小学校1, 3, 5年生(N=346)を対象に質問紙調査を行った。仮想場面における加害者の表情(罪悪感あり顔, 罪悪感なし顔)×謝罪の言葉(あり, なし)の4条件を被験者内要因とし, 怒りの変化と罪悪感の認知についての回答を求め, その学年差を検討した。その結果, 加害者の表情は怒りの変化と罪悪感の認知の両方に影響すること, その影響は3年生以降にみられることが明らかになった。他方, 謝罪の言葉は怒りの変化にのみ影響すること, その影響は1年生でもすでにみられることがわかった。これらの結果から, 謝罪を識別することが可能となる3年生以降においても, 「ごめんね」と言われたら「いいよ」と答えるという言葉のやりとりが強く根づいている可能性が示唆された。
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  • 長濱 文与, 安永 悟, 関田 一彦, 甲原 定房
    57 巻 (2009) 1 号 p. 24-37
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 協同作業の認識を測定する尺度を開発し, その信頼性と妥当性を確認することであった。まず研究1において, 大学生と専門学校生1,020名を対象として探索的な因子分析をおこなった。その結果, 協同作業の認識は, 協同効用, 個人志向, 互恵懸念の3因子18項目で構成されていることが示された。確証的因子分析をおこなった結果, 3因子モデルの十分な適合度が示された。そこで, この3因子からなる尺度を協同作業認識尺度とした。研究2では, 大学生と専門学校生2,156名を対象に調査をおこない, 3因子の併存的妥当性を検討した。また, 研究3では, 協同学習を導入した授業を受講した97名の大学生を対象に, 3因子の介入的妥当性と予測的妥当性を検討した。研究2と研究3の結果より, 協同作業認識尺度を構成する3因子の妥当性を確認することができた。最後に, 協同学習の実践場面における協同作業認識尺度の活用法や今後の課題について考察した。
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  • 佐藤 安子
    57 巻 (2009) 1 号 p. 38-48
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究はダイナミックシステムズアプローチの観点から, 大学生を対象にストレスの高低がストレス自己統制評定尺度(Stress Self-regulation Inventory ; SSI)の因子得点, 有意な相関対数および全因子間相関のパターンに及ぼす影響を検討することによって, ストレスを自己統制するメカニズムを導き出すことを目的とする。研究1で横断調査(n=265), 研究2で縦断調査(n=169)によりこれを検討した。その結果, ストレスの高低はSSIの因子得点に影響しなかったが, SSIの有意な相関対数と全因子間相関のパターンには影響していた。高ストレス群(n=61)は低ストレス群(n=60)と比較して有意な相関対数が少なく, かつ有意な相関の因子対はその一方が特定の因子に集中していたが, 低ストレス群ではその集中が解除されていた。同一個人内でも, ストレス度が高度から低度にまで低下した群(n=24)では, 同様の変化が生じた。ストレスモデレーターは個々のストレス事象への対処結果からフィードバックされるストレス度の高低に応じてその構造を, モデレーター量を効率的に維持できるよう変化させることにより, ストレスを自己統制しているのではないかと考えられた。
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  • 中井 大介, 庄司 一子
    57 巻 (2009) 1 号 p. 49-61
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究では, 中学生の教師に対する信頼感の規定要因を検討するため, 中学生の過去の教師との関わり経験と教師に対する信頼感との関連を検討した。中学生374名を対象に調査を実施した。その結果, (1) 生徒の教師に対する信頼感のポジティブな側面である「安心感」「正当性」と, 「教師からの受容経験」「教師との親密な関わり経験」が正の関連を示すこと, (2) 生徒の教師に対する信頼感のネガティブな側面である「不信」と, 「教師との傷つき経験」が正の関連, 「教師からの受容経験」が負の関連を示すことが明らかになった。また, 「教師との関わり経験尺度」の下位尺度得点で調査対象者を類型化し, 教師に対する信頼感との関連を検討したところ, (3) ポジティブな経験をしている群は教師に対する信頼感が高いこと, (4) ネガティブな経験のみしている群, ポジティブな経験・ネガティブな経験共に少ない群は教師に対する信頼感が低いことが明らかになった。以上, 本研究の結果から, 生徒の教師に対する信頼感には, 従来指摘されてきた教師の信頼性の側面だけではなく, 生徒側の個人的な心理的要因も関連している可能性が明らかになった。
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  • 細野 美幸
    57 巻 (2009) 1 号 p. 62-72
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究は, 子どもは関係類似性を手がかりに類推のベースを想起するか否か, 関係類似性を手がかりに類推のベースを想起する場合いつ頃から可能か, について検討した。子どもにとって新しい概念(ターゲット)となじみのある概念(ベース)からなるアナロジーを用意し, 5歳前半から7歳後半の子ども184名に対して提示した。その際, ターゲットのみ提示するベース非明示条件と, ベースを提示してからターゲットを提示するベース明示条件を設けた。両条件ともに4つ組みのカード選択課題を行い, カード選択にあたっての理由づけを求めた。課題成績および理由づけ分析の結果から, ベースを明示されていれば6歳前半から関係類似性を手がかりに類推するようになるが, ベースを明示されていないと幼児にとっては難しく, 7歳前半頃から関係類似性を手がかりに類推のベースを思い出して類推するようになることが示された。このような発達的変化は, 抽象化された関係知識の獲得と関連するものと考えられる。
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  • 小山 義徳
    57 巻 (2009) 1 号 p. 73-85
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     英語を外国語として学ぶ日本人学習者を対象に, 英単語の学習方略が英語の文法・語法上のエラー生起に与える影響を検討した。研究1では, 半構造化面接を行って収集した項目をもとに高校生182名・大学生84名を対象に調査を行い英単語学習方略尺度を作成した。研究2では, 学習者が英語のエラーを犯す頻度を測定するために, 高校生157名を対象に調査を行い英語の文法・語法エラーテストを作成した。研究3においては, 研究1, 2で作成した尺度を用いて高校生123名と大学生301名を対象に, 英単語学習方略がエラー生起に与える影響を検討した。その結果, 英語と日本語の意味を対にして覚える対連合方略の使用が英語の文法・語法エラーの生起と関連があることが明らかになった。
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  • 伊藤 貴昭, 垣花 真一郎
    57 巻 (2009) 1 号 p. 86-98
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     説明を生成することが理解を促進することはこれまでの研究でも数多く示されてきた。本研究では, 他者へ向けた説明生成によって, なぜ理解が促されるかを検討するため, 統計学の「散布度」を学習材料として, 大学生を対象に, 実際に対面で説明する群(対面群 : 13名), ビデオを通して説明する群(ビデオ群 : 14名), 上記2群の説明準備に相当する学習のみを行わせる群(統制群 : 14名)を設定し, 学習効果を比較した。その結果, 事後テストにおいて対面群が他の2群を上回っており, 対面で説明することが理解を促すことが示唆された。一方, ビデオ群と統制群には有意差は見られず, 単に説明を生成することのみの効果は見られないことが示された。プロトコル分析の結果, 「意味付与的説明」, またその「繰り返し」の発話頻度と事後テストの成績との間に有意な相関が見られ, 対面群ではビデオ群よりこの種の発話が多く生成されていた。対面群でそれらが生成された箇所に着目すると, これらの少なくとも一部は, 聞き手の頷きの有無や返事などの否定的フィードバックを契機に生成されていることが明らかとなった。本研究の結果は, 他者に説明すると理解が促されるという現象は, 聞き手がいる状況で生じやすい「意味付与的説明」, またそうした発話を繰り返すことに起因することを示唆している。
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  • 西山 久子, 淵上 克義, 迫田 裕子
    57 巻 (2009) 1 号 p. 99-110
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     教育相談は, 学校が児童生徒の支援をするための重要な方法論とされており, 実践活動の内容やあり方, 学校組織といった様々な側面から研究されてきた。しかし, 学校において全ての児童生徒の心理社会面・学習面・進路面の援助サービスを網羅するべき教育相談活動のなかで, それぞれは個々に検討されてきたものの, 包括的な検討はされてこなかった。そこで本研究では, 教育相談活動の定着に影響を及ぼすと思われる諸要因を探索的に調査検討し, それらの相互関連性を検証した。その結果, 教育相談の定着と関連する要因は, 教育相談担当者の個人的な力量・その学校の教育相談システム・その学校の職場における協働的風土・その学校の職場における同調的風土・校長の変革的リーダーシップおよび配慮的リーダーシップの6要因に整理された。そして教育相談活動の定着に対して, 教育相談システムと職場の協働的風土とが直接的にポジティブに関連することが明らかになった。さらに校長の変革的および配慮的なリーダーシップが, それぞれ教育相談の定着に間接的に関連することも示唆された。
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原著[実践研究]
  • 佐藤 寛, 今城 知子, 戸ヶ崎 泰子, 石川 信一, 佐藤 容子, 佐藤 正二
    57 巻 (2009) 1 号 p. 111-123
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 学級単位で担任教師が実施することのできる, 児童の抑うつに対する認知行動療法プログラムの有効性について検討を行うことであった。小学5~6年生の児童310名を対象とし, 150名が介入群に, 160名が統制群に割り付けられた。介入群の児童に対して, 心理教育, 社会的スキル訓練, および認知再構成法を中心的な構成要素とする, 9セッション(1セッション45分)からなる学級規模の集団認知行動療法プログラムが実施された。その結果, 介入群の児童は統制群の児童に比べて抑うつ症状が大きく低減していた。さらに, 介入群の児童は抑うつ尺度のカットポイントを超える割合が低くなっていたが, 統制群ではカットポイントを超える児童の割合に変化は認められなかった。介入群の児童は, 介入目標とされた社会的スキルと認知の誤りにも介入前後で改善が見られ, 全般的な主観的学校不適応感も軽減され, 抑うつや認知行動的対処に関する一般的な理解度が高まるといった効果が認められた。最後に, 子どもの抑うつに対する心理学的介入プログラムの有効性や実用性を向上させるために必要とされる点について議論された。
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