教育心理学研究
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57 巻 , 3 号
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原著
  • 浦上 涼子, 小島 弥生, 沢宮 容子, 坂野 雄二
    57 巻 (2009) 3 号 p. 263-273
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究では, 現代において男性社会にも広がっていると考えられる痩身願望の存在に注目し, 体型への損得意識を媒介に痩身願望が規定される心理的メカニズムのモデルを検討した。体型の損得意識においては, 自己肯定感のような自己の視点からみたメリット感と対人関係のように他者の視点からみたメリット感があるのではないかと仮定した。青年期男子224名を対象に質問紙調査を実施し, 体型への損得意識に影響を及ぼすと考えられる個人特性と痩身願望との関連について検討した。現在の体型よりも痩せることが魅力的だとする男子学生131名について分析した結果, 「賞賛獲得欲求」「拒否回避欲求」「身体満足度」などが痩身願望と関連のあることが示された。これらの関連を検討したところ, 痩せれば自分に自信がもてるといった「自己視点からの痩身のメリット感」が痩身願望に直接影響し, それ以外の変数はこの「自己視点のメリット感」を媒介として痩身願望に影響することが明らかにされた。痩身願望に至るルートとして, 第1に自己顕示欲求から発する痩身願望, 第2に自己不満感や不安感から発する痩身願望, 第3に自分の意識する肥満度から発するルートが見出せた。
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  • 早川 貴子
    57 巻 (2009) 3 号 p. 274-283
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 幼児期の対人的葛藤場面における謝罪行動の予測に影響を与える要因を検討することであった。特に, (1)加害行為の意図性によって加害者の謝罪行動の予測が異なるかどうか, (2)加害行為の意図性及び加害者の謝罪行動の予測によってその後の関係の見通しが異なるかについて検討を行った。4歳, 5歳, 6歳児を対象に, 仮想の葛藤場面に関する意図的場面と偶発的場面のストーリーを聞かせ, 加害者の立場に立って回答させた。その結果, (1)謝罪行動の予測については, 4歳児よりも6歳児で多く認められ, 葛藤の終結のために謝罪行動が必要と認識している事が示された。加害行為の意図性による影響は, 4歳児より5歳児で認められるが, 6歳児では認められなくなることが示された。(2)謝罪行動とその後の被害者との関係の見通しに関しては, 5歳児で関連が認められるが, 6歳児では関連が認められなくなった。つまり, 加害行為の意図性と謝罪行動との関連に関する今回の結果から, 5歳児で謝罪行動の転換点がある可能性が考えられた。
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  • 伏見 陽児, 麻柄 啓一
    57 巻 (2009) 3 号 p. 284-294
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     ルールを教示しても事例に対してそれが適用されない場合がある。麻柄(2006)は, 教示されたルールに例外があるかもしれないという「例外への懸念」がその原因となっていることを示した。本研究ではまず麻柄で扱われた「例外への懸念」が, 個別事例に基づくものである点を指摘し, それ以外に, 個別事例に基づかない一般的なルールの誤解釈がルールの適用を阻んでいる可能性を検討した。「(すべての)金属は非金属より熱伝導率が高い」「(すべての)金属は電気を通す」という理科のルール, 「(すべての)XはQである」という論理ルールに即して, 大学生等の大人(414名)が事例の分布範囲をどう考えているかを調べた。その結果, 論理ルールにおいても事例範囲を「すべて」ではなく自動的に割り引く傾向が認められた。その傾向は理科のルールの方が論理ルールより顕著であった。またそのように割り引く者はルールを事例に適用する傾向が弱いことが確認された。
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  • 垣花 真一郎, 安藤 寿康, 小山 麻紀, 飯高 晶子, 菅原  いづみ
    57 巻 (2009) 3 号 p. 295-308
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     3-4歳児55名を対象に, かな識字能力の4つの側面の認知的規定因を検討した。識字能力として, 文字音知識, 特殊表記(拗音, 長音, 促音)の読み, 長音単語の表記知識, 読みの流暢性を対象とし, 関わりを検討する認知的要因として, (1)モーラ意識, (2)数唱, (3)非単語復唱, (4)語彙, (5)視知覚技能を対象とした。文字音知識の上位群は, (1)-(5)すべてで下位群を有意に上回っていた。ただし, 文字音知識の群を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果, 独立した寄与をしていたのは, モーラ意識のみであった。特殊表記に関しては, 長音の読みの上位群は下位群に比べ, 非単語復唱の成績が高かったが, 促音, 拗音については関係性が見出せた認知的要因はなかった。長音単語の表記知識は, 語彙との間で相関がみられ, 長音部の表記違い(e.g., さとお)も正答とみなした場合, モーラ意識, 非単語復唱, 視知覚技能との相関が見出された。読みの流暢性に関しては, 数唱, 非単語復唱のほか, 長音単語の表記知識との相関が見出された。本研究の結果は, かな識字に対する各認知的要因の相対的重要性は, 識字の発達に伴い変化することを示唆している。
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  • 細田 絢, 田嶌 誠一
    57 巻 (2009) 3 号 p. 309-323
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は中学生の自己肯定感, 他者肯定感と周囲からのソーシャルサポートとの関連を検討することであった。ソーシャルサポート内容として, 直接的にストレスには焦点を当てないが結果的に援助的な効果をもたらす共行動的サポートに焦点を当て, サポート源は父親, 母親, 友人, 教師の4者とし, 中学生305名を対象に調査を行った。サポート源とサポート内容の2点から検討した結果 (1) 自他への肯定感の高い中学生の方が両親からのサポート得点が高いこと, (2) 友人からのサポートは自己肯定感に関連していること, (3) 教師からの道具的サポートにおいて, 男子と女子では自己肯定感の高さによってサポート量の知覚に差があること, が明らかになった。全体として両親からのサポートの重要性と, サポート関係の性差が確認された。また教師以外のサポート源において自他への肯定感の高い中学生の方が共行動的サポートの得点が高く, 親子間や友人間での共行動的サポートの有効性が示された。加えて新たに, 父親による間接的なサポートの効果が示唆された。
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  • 大西 彩子, 黒川 雅幸, 吉田 俊和
    57 巻 (2009) 3 号 p. 324-335
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 児童・生徒が教師の日常的な指導態度をどのように捉えているのかということ(教師認知)が, 学級のいじめに否定的な集団規範と, いじめに対する罪悪感の予期を媒介して, 児童・生徒のいじめ加害傾向に与える影響を明らかにすることである。547名(小学生240名, 中学生307名)の児童・生徒を対象に, 教師認知, 学級のいじめに否定的な集団規範, いじめに対する罪悪感予期, いじめ加害傾向を質問紙調査で測定し, 共分散構造分析による仮説モデルの検討を行った。主な結果は以下の通りであった。(1) 学級のいじめに否定的な集団規範といじめに対する罪悪感の予期は, 制裁的いじめ加害傾向と異質性排除・享楽的いじめ加害傾向に負の影響を与えていた。(2) 受容・親近・自信・客観の教師認知は, 学級のいじめに否定的な集団規範といじめに対する罪悪感の予期に正の影響を与えていた。(3) 怖さの教師認知と学級のいじめに否定的な集団規範は, いじめに対する罪悪感に正の影響を与えていた。(4)罰の教師認知は, 制裁的いじめ加害傾向と異質性排除・享楽的いじめ加害傾向に正の影響を与えていた。本研究によって, 教師の受容・親近・自信・客観といった態度が, 学級のいじめに否定的な集団規範といじめに対する罪悪感の予期を媒介して, 児童・生徒の加害傾向を抑制する効果があることが示唆され, いじめを防止する上で教師の果たす役割の重要性が明らかになった。
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原著[実践研究]
  • 本田 真大, 大島 由之, 新井 邦二郎
    57 巻 (2009) 3 号 p. 336-348
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は集団社会的スキル訓練(以下, CSST)が不適応状態にある生徒に与える効果を検討することであった。訓練対象は6学級の生徒228名であった。ターゲットスキルを決定するにあたり, 教師と生徒にニーズ調査を行い, その結果を生徒対象のオリエンテーションでフィードバックした。ターゲットスキルは「上手な聴き方」と「心があたたかくなる言葉」であり, それぞれ授業(50分)で1回ずつ, 合計2回の訓練が行われた。効果の検討にはターゲットスキルの自己評定, 教師評定, 仲間評定を用いた。分散分析で効果を検討した結果, 不適応状態にある生徒の仲間評定のスキル得点と仲間からの受容得点が増加した。3年生では仲間評定のスキル得点に加えて自己評定のスキル得点も一部増加したが, 教師評定のスキル得点は一部低下した。これらの結果から, ターゲットスキルの決定に生徒のニーズを考慮する実践の有効性, 不適応生徒に対するCSSTの効果の限界, 評定者間の結果の違いに関して考察され, 中学校でCSSTをより効果的に行うための方法が提案された。
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  • 須藤 邦彦
    57 巻 (2009) 3 号 p. 349-360
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究では, 1名の自閉性障害児を対象に, 彼が外的な環境における複数の手がかりを利用して将来予想される他者の行動の結果を正しく推測することと, その推測に沿った社会的行動を分化的に自発することを検討した。研究1では, 経過時間と作業量から作業効率を算出する行動と, 作業効率から作業が制限時間内に終了するかどうかを正しく推測する行動を獲得させた。研究2では, 研究1で獲得した推測する行動を手がかりに, 援助行動の生起・非生起を使い分ける行動を獲得させた。すると対象児は, 研究1において, 作業効率を算出し, 作業効率から作業が終了するかどうかを正しく推測することが可能になった。また, 研究2においては, 研究1で獲得した行動を手がかりとした援助行動の条件性弁別反応を自発することが可能になった。これらの結果から, (a) 作業効率のような非視覚的な特性を持つ刺激を手がかりとして利用できるようになるための条件, (b) 外的な環境における複数の手がかり刺激の関係性を類推し, 刺激弁別の“柔軟性”を確立することができる可能性, そして(c) 援助行動を自発するための後続事象操作の必要性について考察した。
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  • 一柳 智紀
    57 巻 (2009) 3 号 p. 361-372
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 児童による話し合いを中心とした授業における児童の聴き方の特徴が, 学級や教科の課題構造の違いによりどう異なるか明らかにすることである。小学5年生2学級において, 担任教師による児童の聴く力の評価と, 社会科と国語科の授業を対象に直後再生課題を行い, 児童による再生記述について, 学級(2)×評価群(高・中・低)×教科(社会・国語)の3要因分散分析を行った。結果, 1)授業中の発言の有無にかかわらず, 「よく聴くことができる」と教師から認識されている児童は, 能動的に発言内容と発言者に注目し, つながりを意識しながら, 自分の言葉で発言を捉えていること, 2)学習課題の違う教科により, 発言のソースモニタリングや話し合いの流れを捉えるといった児童の聴き方の特徴が異なること, 3)学級により, 2)の教科による聴くという行為の特徴は異なることが示された。これにより, 学級や課題構造に伴う話し合いの展開の違いが, 児童の聴くという行為に影響を与えていることが示唆され, 今後より両者の関連を考察することが課題として示された。
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  • 一柳 智紀
    57 巻 (2009) 3 号 p. 373-384
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 児童の聴くという行為および学習に対する教師のリヴォイシングの影響を明らかにすることである。小学5年生2学級の社会科を対象に, 直後再生課題と異なるタイプの問題からなる内容理解テストを行った。結果, 話し言葉ならびに板書を伴う教師のリヴォイシングが, 児童に発言を自分自身と結びつけて聴く機会を与え, 聴くという行為を支援していることが明らかとなった。さらに教師のリヴォイシングの違いが, 話し合いの中で1)何を, 2)どのように聴くかという, 聴くという行為の2つの側面に影響を与え, 児童の内容理解の仕方にも影響することが明らかとなった。リヴォイシングにより発言児が主題に沿って位置づけられる学級では, 児童が話し合いの流れを捉えて聴いており, 授業内容を授業の文脈に沿って統合的に理解していた。一方教師のリヴォイシングが位置づけの機能を持たないもう一方の学級では, リヴォイシングにより個々の発言内容が明確化されており, 児童は発言の「著者性」を維持したまま自らの言葉で捉えて発言を聴いていた。テストにおいても後者の学級の児童は授業内容を自らの言葉で積極的に捉え直せるように理解していた。
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