教育心理学研究
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57 巻 , 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
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原著
  • 濱口 佳和, 石川 満佐育, 三重野 祥子
    57 巻 (2009) 4 号 p. 393-406
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究は, 中学生の反応的攻撃性と能動的攻撃性の因子構造を明らかにするとともに, これらの攻撃性と反社会的行動欲求および抑うつ傾向との関連性を明らかにするために行われた。濱口(2004, 2005)が開発した中学生用の反応的攻撃性尺度と能動的攻撃性尺度, CES-D(抑うつ尺度), 14の反社会的行動欲求項目が, 中学生男女603名を対象に実施された。検証的因子分析の結果, 反応的攻撃性, 支配的能動的攻撃性, 利己的能動的攻撃性の斜交3因子モデルが最適であることが明らかにされた。また, 抑うつ傾向には男女とも反応的攻撃性が有意な関連を示したのに対して, 能動的攻撃性は有意な関連を示さないこと, 反社会的行動欲求には男子では3種類の攻撃性のすべてが, 女子では支配的能動的攻撃性のみが有意な関連を示すことが明らかにされた。反応的攻撃性と能動的攻撃性が中学生の心理社会的適応に異なる役割を果たすこと, 3種類の攻撃性の相互相関や, これらの攻撃性と反社会的行動欲求との関連について性差が存在することが示された。また, 従来指摘されていた青年の行為障害と大うつ病性障害の併存率が, 反応的攻撃性によってもたらされる可能性があることが指摘された。
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  • 岸野 麻衣, 無藤 隆
    57 巻 (2009) 4 号 p. 407-418
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究では中学年段階の学級において, 教師が学習指導と人間形成に渡って, 学級規範の導入と定着に向けて働きかけていく過程について, 学級目標の標語の使用に着目して検討した。小学校3年生の1学級で週1日程度1年間に渡ってビデオを用いた観察を行い, 学級で頻繁に用いられていた「命を大切に, 心を大切に, 人の勉強を邪魔しない」という標語の使用場面の相互作用を分析した。教師は説明や発表の場面での学習態度や対人関係の問題解決に関して標語を適用しており, 標語は教師と子どもの間に存在する権力関係に代わる普遍的な規範として位置づけられ, 教師と子どもの間を媒介する道具として使用されていた。次第に標語はトラブルの予防や学級の方向性の提示に使われ, そこでは教師によって標語の適用の仕方が開示された。子どもの側は教師との関係の中でその意味を理解するようになり, 教師に対して適用するなど遊びながら用い始めていた。教師は学級規範をめぐって, 行動の規制に標語を利用しつつ, 子どもの遊ぶ余地も残しながら, 学習態度の形成や授業の構造化という学業面と学級内の人間関係の問題解決とを統合的に方向付けていることが示唆された。
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  • 岡田 有司
    57 巻 (2009) 4 号 p. 419-431
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 運動部と文化部を区分して捉え, 部活動への積極性に注目しながら, (1) 部活動への参加が学校生活の諸領域, 学校への心理社会的適応とポジティブな関係にあるのか, (2) 対人関係領域の心理社会的適応への影響が部活動への参加状況によって異なるのか, について検討することであった。質問紙調査によって得られた中学生894名のデータから, 以下のことが明らかになった。まず, 部活動に積極的な生徒は全体的に部活動に所属していない生徒に比べ, 学校生活の諸領域や心理的適応の得点が高くなっていた。一方で, 部活動に積極的でない生徒は全体的に学校生活の諸領域や心理的適応の得点が無所属の生徒よりも高いという結果は得られなかった。また, 運動部の生徒は反社会的傾向が高いことが明らかになった。対人関係領域が心理社会的適応に与える影響については, 「クラスへの意識」「他学年との関係」に関しては部活動の参加状況によって影響の仕方に違いがなかったが, 「友人関係」「教師との関係」について違いがみられた。これらの知見をもとに, 学校生活における部活動のポジティブ・ネガティブな面について議論がなされた。
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  • 松本 麻友子, 山本 将士, 速水 敏彦
    57 巻 (2009) 4 号 p. 432-441
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 仮想的有能感といじめ加害経験, 被害経験との関連を検討することであった。高校生1,062名を対象に仮想的有能感, 自尊感情, いじめ加害経験, 被害経験(身体的いじめ, 言語的いじめ, 間接的いじめ)の尺度が実施された。その結果, 仮想的有能感と全てのいじめ加害経験, 被害経験との間に正の相関が見られた。同様に, 自尊感情との組み合わせによる有能感タイプといじめとの関連を検討した結果, 仮想的有能感の高い「仮想型」・「全能型」ではいじめ加害経験, 被害経験が多く, 仮想的有能感の低い「萎縮型」・「自尊型」ではいじめ加害経験, 被害経験が少ないことが示された。本研究の結果から, いじめ加害経験, 被害経験には, 自尊感情よりもむしろ, 仮想的有能感が強く関連していることが示された。
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  • 石津 憲一郎, 安保 英勇
    57 巻 (2009) 4 号 p. 442-453
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     過剰適応はいわゆる「よい子」に特徴的な自己抑制的な性格特性からなる「内的側面」と, 他者志向的で適応方略とみなせる「外的側面」から構成されている。これまでこの2つの高次因子は並列的に捉えられてきたが, 内的側面は具体的な行動を生起させる要因として想定することができる。そこで本研究では, 幼少時の気質と養育者の態度を含め, 因子間の関連性を再検討することを第1の目的とし, 過剰適応の観点を含めた包括的な学校適応のモデルの構築を第2の目的とした。1,025組の中学生とその母親を対象にした調査の結果, 養育態度や気質から影響を受けた「内的側面」によって「外的側面」が生起するモデルの適合度が相対的に高いことが示された。また, 過剰適応の内的側面である「自己不全感」や「自己抑制」が「友人適応」や「勉強適応」に負の影響を与える一方で, 「自己不全感」や「自己抑制」が過剰適応の外的側面に繋がった場合には, 外的側面はそれらの適応を支えるべく作用していたが, 抑うつ傾向には影響を与えていなかった。個人が過剰適応することで社会文化的には適応していく可能性があるが, 心理身体レベルでの適応とは乖離がなされていくことが想定される。
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原著[実践研究]
  • 松沼 光泰
    57 巻 (2009) 4 号 p. 454-465
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     受け身表現は, 日本語では動詞に助動詞「れる・られる」を付けて表すが, 英語では「主語+be動詞+過去分詞+by~」の形で表される。ここで注意しなければならないのは「英語の場合, 受動文の主語には能動文の目的語がなる」ということである(以下「受動態の前提」)。本研究では, 多くの学習者はこの受動態の前提を理解せず, 日本語の受け身表現(れる・られる)を単純に「be動詞+過去分詞」で表すことができると不十分な知識を持っているとの仮説を立て検証した。この仮説が支持されたことを受け, 学習者の不十分な知識を修正する教授方法を考案し, 一般的教授方法と比較することでこの効果を検討した。実験群の授業は「(1) 手持ちの知識が不十分なことを意識化させる」, 「(2)日本語と英語が構造的に異なる言語であることを意識化させる」, 「(3) 熟達者思考プロセス提示法を用いて学習内容を提示する」という点で統制群の授業と異なっていた。介入の結果, 実験群の成績は統制群を上回った。また, 実験群は, 統制群に比べ, 日本語と英語の違いに注意することや5文型の重要性を認識するようになり, 授業で用いた教材を有効であると認知し, 授業への興味も高かった。
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  • 加藤 弘通, 大久保 智生
    57 巻 (2009) 4 号 p. 466-477
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 学校の荒れが収束する過程で指導および生徒の意識にどのような変化が生じているのかを明らかにすることにある。そこで本研究では, 調査期間中に荒れが問題化し収束に向かったB中学校の生徒(のべ1,055名)に対して, 学校生活への感情, 教師との関係, 不良少年へのイメージおよび不公平な指導などをたずねる質問紙調査を3年間行い, その結果を荒れが問題化していない中学校7校の生徒(計738名)と比較した。またB中学校の管理職の教師に対し面接を行い, 荒れの収束過程で指導にどのような変化があったのかを探った。その結果, 生徒の意識に関しては荒れの収束に伴い不公平な指導の頻度が下がり, 学校生活への感情や不良少年へのイメージ, 教師との関係が改善していることが明らかになった。また生徒指導に関してはその指導が当該生徒に対してもつ意味だけでなく, 他の生徒や保護者に対してもつ意味が考慮された間接的な関わりが多用されるようになっていた。以上のことをふまえ, 実践的には指導を教師-当該生徒との関係の中だけで考えるのではなく, それを見ている第三者まで含めた三者関係の中で考える必要性があることを示唆した。
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  • 田島 充士, 森田 和良
    57 巻 (2009) 4 号 p. 478-490
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     本研究では, 日常経験知の意味を取り込まないまま概念を暗記する生徒達の, 「分かったつもり」と呼ばれる学習傾向を改善するための教育実践である「説明活動(森田, 2004)」の効果について検討した。本実践では, 生徒達が教師役を担い, 課題概念について発表会で説明を行うことになっていた。また残りの生徒達は聞き手役として, 日常経験知しか知らない「他者」の立場を想定して, 教師役に質問するよう求められた。この手続きを通し, 日常経験知の観点を取り入れた概念解釈の促進が目指されていた。小学5年生を対象に実施された説明活動に基づく授業を分析した結果, 以下のことが明らかになった。1)本授業の1回目に実施された発表会よりも, 2回目に実施された発表会において, 教師役の生徒達は, 日常経験知を取り入れた概念解釈を行うようになった。2)聞き手役からの質問に対し, 1回目の発表会では拒否的な応答を行っていた生徒達が, 2回目の発表会では, 相手の意見を取り入れた応答を行うようになった。これらの結果に基づき, 本実践における, 日常経験知との関係を考慮に入れながら概念の意味を解釈しようとする, バフチン理論のいう概念理解へ向かう対話傾向を促進する効果について考察がなされた。
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  • 外山 紀子
    57 巻 (2009) 4 号 p. 491-502
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     栽培活動を行っているA保育園の実践が, 作物の生命認識や栽培手続きの生物学的理解を変化させるかどうかを検討した。A園では, 作物の栽培活動が頻繁に行われており, 栽培した作物を給食や行事のなかで調理・加工して食べる活動が日常的に行われている。研究1では, A園の6歳児18名と対照園の6歳児16名に対するインタビュー調査を行った。その結果, A園の子どもは対照園の子どもよりも, 栽培経験のあるキュウリを生物学的理由に基づいて「生きている」と判断し, 「おいしいミニトマトをつくるため」の栽培手続きをより多くあげた。ただし, 栽培経験のないパイナップルに対する生命認識は, 園間で差が認められなかった。研究2では, A園の6歳児16名と, 対照園の6歳児19名に対するインタビュー調査を行った結果, A園の子どもは草と木を生命あるものとしてより認識していることが示された。また, 馴染みのない状況(水をやりすぎた・日光が当たらない)における「食べられるもの」であるパイナップルの反応について, より生物学的な予測を行った。ただし, このことは「食べられるもの」ではないヒマワリについては顕著でなかった。
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  • 縣 拓充, 岡田 猛
    57 巻 (2009) 4 号 p. 503-517
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
     近年の大学教育には, 単に多くのことを知っているだけでなく, それを基に新たなものを創造し, 表現する, 言わば「能動的な知」を持つ教養人を育成することが求められるようになってきている。しかしながら, これまでの教養教育において, 学生が社会で行われている創造活動それ自体について知ることができるような授業はほとんど行われてこなかった。そこで本論文では, 「アーティストとの協働の中で, 真正な美術の創作プロセスに触れること」をコンセプトに据えた授業をデザインし, 実践した。大学1年生11名を対象に授業は行われ, 実践終了後約1年半経過した時点でのインタビューによってその教育効果を検討した。その結果, 参加した学生は本実践を通じて創造や表現に関する認識を改め, また表現をすることへの動機づけを高めていたことが示唆された。さらに, 実践は学生それぞれの記憶に強く残り, 生き方の探索にも生かされる重要な体験として位置づいていた。このような成果は, 創造的領域の熟達者になることを目指すわけではない大学生に対しても, 教養として何らかの創造活動に触れる機会を提供する意義を提起するものであると考えられる。
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