教育心理学研究
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58 巻 , 2 号
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原著
  • 栗田 季佳, 楠見 孝
    58 巻 (2010) 2 号 p. 129-139
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 近年用いられるようになった「障がい者」表記に注目し, ひらがな及び漢字の表記形態が身体障害者に対する態度に及ぼす影響について, 接触経験との関連から検討することを目的とした。身体障害者に対する態度については, イメージと交流態度の2つの態度次元に着目した。SD法及び交流態度尺度を用いて, 大学生・大学院生348名を対象に調査を行った。その結果, 身体障害者イメージは身体障害学生との交流に対する当惑感を媒介として身体障害学生と交友関係を持つことや自己主張することに対する抵抗感に影響を与えることが示された。そして, ひらがな表記は接触経験者が持つ身体障害者に対する「尊敬」に関わるポジティブなイメージを促進させるが, 接触経験の無い者が持つ尊敬イメージや, 身体障害学生との交流に対する態度の改善には直接影響を及ぼすほどの効果を持たないことがわかった。身体障害学生との交流の改善には「社会的不利」「尊敬」「同情」を検討することが重要であることが本研究から示唆された。特に, 身体障害者に対する「尊敬」のイメージの上昇は, 接触経験の有無にかかわらず, 交流態度の改善に影響を与えることが考えられる。
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  • 吉武 尚美
    58 巻 (2010) 2 号 p. 140-150
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     青年が日々の生活にどれだけ満足しているのか, そしてポジティブな経験と生活への満足感との因果関係についての検討は行われていない。本研究は, 中学生にとって快感情を生起させる日常のイベント(ポジティブ・イベント)を調べ, そうしたイベントの蓄積が生活全般への満足度に与える影響を検討した。2週間のダイアリー調査(N=20)によりポジティブ・イベントを収集し, 数ヶ月の間隔をおいた2回のパネル調査(N=763)によりポジティブ・イベントと生活満足度の影響関係を検討した。その結果, ポジティブ・イベントは友人と一緒でもひとりのときでも起こり, またイベントの内容によって快感情の程度が異なることが示された。2時点のデータ解析により, ポジティブ・イベントと生活満足度に遅延パスを引いたモデルの適合は良好で, さらに互いの交差遅延パスを引いたモデルもデータと適合した。交差遅延パスの推定値は小さいものの, ポジティブ・イベントと生活満足度の時間的安定性を考慮した上で, 相互の影響関係が否定されない結果が得られた。中学生の生活満足度を高めるための介入の方向性について論じた。
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  • 若本 純子
    58 巻 (2010) 2 号 p. 151-162
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は, 領域個別的自己概念である「関心」の向け方の違いが中年期発達の個人差を規定すると想定し, 理論的検討から関心全低群, 関心全高群, 関心分配群の3タイプを設定した。研究1では「関心」タイプの妥当性が検証された。まず, 不安-防衛タイプ(安田・佐藤, 2000)との関連から基準関連妥当性が検討され, 全低群と「抑圧型」, 全高群と「高不安群」との対応が見出された。続いて, 不安, 自尊感情, 情緒不安定性と「関心」タイプとの関連から内容的妥当性が検討され, 全高群は高不安, 低自尊感情, 高情緒不安定性の特徴をもち, 分配群との峻別性が示された。いずれの結果も仮説に一致したため, 「関心」タイプは一定の妥当性をもつと判断された。研究2では, 老いの自覚と対処の過程を「関心」タイプ別に検討したところ, 異なる特徴が見出された。全低群は, 衰えを自覚せず対処に至る心的過程も活性化されない傾向があった。全高群と分配群の老いの自覚から対処の過程は概ね類似していた。しかし, 心理社会面の衰えを感じたとき, 分配群は問題焦点的な対処を減らすという適応的な移行を示すのに対して, 全高群では対処を放棄する傾向が見出された。
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  • 宇佐美 慧
    58 巻 (2010) 2 号 p. 163-175
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     小論文試験や面接試験, パフォーマンステストなどに基づく能力評価には, 採点者ごとの評価点の甘さ辛さやその散らばりの程度, 日間変動といった採点者側のバイアス, および受験者への期待効果, 採点の順序効果, 文字の美醜効果などの受験者側のバイアス要因の双方が影響することが知られている。本論文ではMuraki(1992)の一般化部分採点モデルを応用して, 能力評価データにおけるこれら2種類のバイアス要因の影響を同時に評価するための多値型項目反応モデルを提案した。また, 母数の推定については, MCMC法(Markov Chain Monte Carlo method)に基づくアルゴリズムを利用し, その導出も行った。シミュレーション実験における母数の推定値の収束結果から推定方法の妥当性を確認し, さらに高校生が回答した実際の小論文評価データ(受験者303名, 採点者4名)を用いて, 本論文で提案した多値型項目反応モデルの適用例を示した。
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  • 竹村 明子
    58 巻 (2010) 2 号 p. 176-185
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は, 実践教育の効果を検討するため, 自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)を基に, 介護福祉士養成課程の学生の介護実習前後における自己決定性(内発調整・同一化調整・取入調整・外的調整)の変化と実習中の心理的欲求満足感(関係性欲求満足感・自律性欲求満足感・有能さ欲求満足感)との関係について, 横断的研究方法(調査協力者117名)と縦断的研究方法(調査協力者110名)を用いて検討を行った。その結果, 縦断的研究において, 内発調整が実習後高くなることが見出され, 介護実習は学生の介護への自己決定性を高めている可能性が示唆された。さらに, 実習中の心理的欲求満足感が高いほど, 特に利用者(高齢者)と良好な関係性を築けたという満足感が高いほど, 内発調整および同一化調整が促進されることが見出された。介護のように人と関わることが重要となる分野では, 実習中の利用者との関係が実習の効果に大きく影響することが示唆された。
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  • 塚原 拓馬
    58 巻 (2010) 2 号 p. 186-197
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     1次/2次コントロール理論においては, 1次コントロール(PC)が低下しても, 2次コントロール(SC)により補償されることで, 抑うつを回避することができる「Back/upモデル」が仮定されている。そこで, 本研究では1次/2次コントロール尺度を作成し, Back/upモデルの検証を行った。研究1では, 798名に対して否定的事態に対する認知的方略に関する自由記述を行った。研究2では, 564名に対する調査を行い, 探索的因子分析より「解決志向」と「因果分析」及び「意味受容」と「思考調整」4因子が抽出された。また, 確証型因子分析より前者の2因子(「解決志向」と「因果分析」)は「PC」, 後者の2因子(「意味受容」と「思考調整」)は「SC」という上位概念により構成されることがモデルの適合度より明らかになった。研究3では, 645名に対する調査を行い, 抑うつ傾向を従属変数とした分散分析を行った結果, 「PC(高・低群)」と「SC(高・低群)」, 「解決志向(高・低群)」と「意味受容(高・低群)」に有意な交互作用が見られた。「解決志向(高・低群)」と「思考調整(高・低群)」, 「因果分析(高・低群)」と「思考調整(高・低群)」及び「意味受容(高・低群)」には有意な交互作用が見られなかった。これにより, 大枠では2次コントロールは1次コントロールの低下を補償するBack/upモデルが支持された。
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原著[実践研究]
  • 出口 拓彦, 木下 雅仁, 吉田 俊和
    58 巻 (2010) 2 号 p. 198-211
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究においては, 「人間や社会に対する考え方の基礎を養う」授業(吉田・廣岡・斎藤, 2002)の効果について, プリ-ポスト・デザインによる実験的な手法によって検討することを目的とした。実施された授業は, 印象形成, 対人認知, 集団討議や社会的スキル訓練などの社会心理学の知見を基に作成され, 体験を通して学習することを重視したものであった。国立大学附属中学校における2学級の1年生79名(男子39名, 女子40名)を実験校, 公立中学校における3学級の1年生104名(男子52名, 女子52名)を統制校とし, 学級内の対人関係, 友人関係の取り方, 学級適応感について, 質問紙によって測定した。その結果, 本授業によって, (1)「友だちへのやさしさ」に配慮できるようになる, (2)1人の生徒が, 「自己閉鎖」の高い生徒および低い生徒と交流できるようになるなど, 友人関係の取り方が自分と異なっている級友とも交流できるようになる, という傾向が示された。
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  • 田中 浩司
    58 巻 (2010) 2 号 p. 212-223
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 集団に対する指導という観点から, 保育者による鬼ごっこの指導の枠組みを明らかにすることである。対象者は, 年長クラスにおいて継続的に鬼ごっこを指導した経験のある, 幼稚園教諭と保育士, 合計10名である。詳細な半構造化面接を行い, 552分に及ぶインタビューデータを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果, 14の概念と4つのカテゴリーが生成され, 全てのカテゴリーと関連する「遊びの流れ作り」がコア・カテゴリーとして位置づけられた。保育者による鬼ごっこの指導は, 次のようなプロセスによって構成されることが示された。保育者はまず, 集団としての「遊びの流れ作り」を行い, その流れの中に子ども自身の意志で参加するように「主体的参加への誘導」を行う。その上で, 子ども自身で遊びをコントロールすることが出来るようにする「自己メンテナンス化」に向けた指導を行っていた。また, 子どもの遊び経験をつなぎ合わせ, 経験に連続性を持たせる「経験の積み上げ」は, 他の3つのカテゴリーをつなぐように機能していることが示された。
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  • 遠藤 愛
    58 巻 (2010) 2 号 p. 224-235
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 境界領域の知能と年齢に不相応な学力を有する中学生を対象に, 算数文章題の課題解決を目指す学習支援方略を検討した。アセスメントの手続きとして, (a)WISC-IIIによる認知特性と, (b)つまずいている解決過程の分析を実施し, それらを踏まえ案出した2つの学習支援方略(具体物操作条件とキーワード提示条件)を適用した。その結果, 対象生徒の課題への動機づけが具体物操作条件にて向上し, 立式過程におけるつまずきがキーワード提示条件にて解消し, 効果的に課題解決がなされた。しかし, 計算過程でのケアレスミスが残る形となり, プロンプト提示を工夫する必要性が示唆された。以上から, 算数文章題解決のための学習支援方略を組む上で踏まえるべきポイントとして, 生徒が示す中核的なつまずきを解消する方略を選択すること, 学習支援方略を適用したときのエラー内容をさらに分析して別の過程における課題解決状況を確認することの2点が示された。
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展望
  • 深谷 達史
    58 巻 (2010) 2 号 p. 236-251
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     学習中のモニタリングについて, 学習した複数のテキストに対し, 各テキストの学習の度合いを評定させ(学習判断), 学習判断値と実際のテスト成績との間の個人内連関を算出することで検討がなされてきた。本研究では, 独立の研究における統計的分析の結果をデータとして統合的分析を行うメタ分析を用いて, 学習したテキストに対してなされる学習判断(メタ理解)の正確さに影響を与える要因を検討した。39編の論文における63研究から収集された161統計値を対象に分析を行ったところ, 中央値.270(四分位偏差.101)という値が示され, 読み手が必ずしも十分なモニタリング能力を保持していない可能性が示唆された。また, テキストの困難度, 表象レベル, 学習判断の指標, 課題の実施順序という4つの要因の影響を調べたところ, テキスト困難度では「困難」よりも「標準」の方が, 学習判断の指標では「理解の容易度」よりも「テキスト理解度」の方が高いという結果が得られた。一方, 課題の実施順序と表象レベルに有意な差は見られなかった。最後に, メタ分析の一般的問題に関する本研究の位置づけを示すとともに, 本研究の限界と今後の研究への示唆を考察した。
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