教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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58 巻 , 3 号
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原著
  • 藤井 勉, 上淵 寿
    58 巻 (2010) 3 号 p. 263-274
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究は, 達成目標理論における暗黙の知能観研究において, 顕在的測度(質問紙)と, 潜在的測度 (Implicit Association Test : IAT)を使用し, 顕在・潜在の両側面から, 参加者の暗黙の知能観を査定し, 課題遂行場面で生じる感情や行動パターンとの関連を検証した。実験1では, IATの再検査信頼性を確認した。同時に, IATは顕在的な測度とは関連がみられないことを示した。実験2では, 自己報告の他に, 課題遂行中の参加者の表情を他者評定し査定した状態不安と, 質問紙およびIATで査定した顕在・潜在的な知能観との関連を検討した。結果は, 先行研究からの仮説どおり, 顕在的測度と潜在的測度は, 関連する対象が異なった。顕在的知能観は, 自己評定式の尺度の回答に関連していた一方, 潜在的知能観は, 他者評定による自発的行動に関連していた。従来の研究で扱われてきた, 顕在的測度で査定される意識的な領域のみならず, 潜在的測度で査定される無意識的な領域への, 更なる研究が必要であることと, 潜在的な知能観を意識化するアプローチを用いた介入方法も検討する価値があることを示唆した。
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  • 針生 悦子
    58 巻 (2010) 3 号 p. 275-284
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     日本語で, 有声音で始まる擬音語と無声音で始まる擬音語がペアになっている場合, 前者は, より大きな対象から発せられるより大きな音を, 後者は, より小さな対象から発せられるより小さな音をあらわす。日本語話者のおとなは, 実在の擬音語ペアだけでなく, 初めて耳にする擬音語ペアにも, このルールを適用し意味を理解しようとする。本研究では, 日本語話者の子どもが, この“感覚”を, いつ, どのようにして備えるようになっていくのかについて, 書記体系であるひらがな——ひらがなでは, 有声音と無声音の対応は濁点の有無によって系統的に標示される——の影響に注目しつつ検討した。その結果, 4歳児は既に, 実在の擬音語だけでなく, 新規な擬音語も, このルールを適用して理解しようとするようになっていることが見いだされた。また, 濁音文字が読める子どもは, 読めない子どもより積極的に, このルールを新規な擬音語ペアに適用していた。このように, ひらがなについての知識は, 子どもが, 有声音と無声音に関する意味づけを, 実在の擬音語だけでなく新規な擬音語にも適用可能なものへと一般化していく過程で, 一定の役割を演じている可能性が示唆された。
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  • 西田 順一, 大友 智
    58 巻 (2010) 3 号 p. 285-297
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     運動・身体活動の実施により, 生理的・社会的恩恵と同様に心理的恩恵が得られることが示されている。本研究では, 学校教員の運動・身体活動実施程度および学校ストレス経験がメンタルヘルスにどの程度影響を及ぼすかどうかについて, 個人的特性を考慮した上で検討した。管理職を除いた常勤の小・中学校教員を対象にメンタルヘルス, 運動・身体活動, そしてストレス経験の質問紙調査を実施し, 255名の有効回答を分析対象とした。個人的特性の違いから分析した結果, 女性に比べ男性のメンタルヘルスが良好であることが示された。従って性差を考慮し, メンタルヘルスヘの影響を構造方程式モデリングにより分析した結果, 男女共に「運動・身体活動」は「生きがい度」に有意な正の影響を及ぼし、「ストレス]度に有意な負の影響を及ぼすことが示された。「運動・身体活動」は, 男性では「運動・スポーツ」が影響を及ぼしていたが, 女性ではこれに加え「時間の管理」が影響を及ぼしていた。また, 男女共に「ストレス経験」が「運動・身体活動」を介しメンタルヘルスに影響するという過程は示されず, 運動・身体活動の実施によるメンタルヘルスヘの直接的影響のみが示された。
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  • 梅崎 高行
    58 巻 (2010) 3 号 p. 298-312
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     競技スポーツにおける指導の構成過程を, Process-Product的な研究に代わり, 社会文化的な視点によって検討した。サッカーチームの1シーズンを対象としたフィールドワークを実施し, 主たる指導者であるチームの監督の, 指導中に選手名を呼ぶ行為に焦点化した分析を行った。この結果, 指導者の固定した働きかけが, 量的・質的に確認された。一方, 選手を対象としたインタビューの分析から, 指導者の評価もまた, 選手間で相互に構成され, 固定性を帯びている可能性が示唆された。以上の結果から, 指導の固定性は, 単に指導者の責任に帰するよりもむしろ, 場を構成する〔教える者-学ぶ者〕間の相互行為の産物と捉え, 指導者は無自覚な実践を脱すことができるよう, 選手は必要な働きかけを享受できるよう, 場を多声的な状況に変えていく必要があると考えられた。そこで, チームのコーチによる発話を含めた分析を行ったところ, 指導の相似的現象の回避を前提とした指導の協働に, その可能性が見出せるとして, 今後の検討課題とした。最後に, ダイナミクス性が特徴とされるスポーツ文脈を対象とした研究の課題について議論を行った。
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  • 梅本 貴豊, 中西 良文
    58 巻 (2010) 3 号 p. 313-324
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, 大学生を対象にSkinner, Chapman, & Baltes(1988a, 1988b)が作成した「統制信念」「手段保有感」「手段の認識」という3つの信念を測定するCAMI (Control, Agency, and Means-Ends Interview) において, 新たに「方略」についての信念を加え, 学習行動 (自己調整学習方略・学習の持続性・授業選択)との関連を検討した。まず, 因子分析を行ったところ, 努力と方略が異なる因子として抽出された。また, 相関分析に基づき統制信念, 手段保有感と手段の認識の各手段を独立変数, 学習行動を従属変数としたモデルを作成し, 共分散構造分析を行った。手段保有感においては, 努力に関する期待は認知的方略, 授業選択への影響が示された。一方, 方略に関する期待は主にメタ認知的方略, 学習の持続性への影響が示された。また, 手段の認識においては, 努力に関する期待は認知的方略, 学習の持続性への影響が示されたが, 方略に関する期待は学習行動への影響がみられなかった。努力に関する期待と方略に関する期待では, 学習行動との関連パターンが異なるという結果からも努力と方略の弁別性が確認された。以上より従来のCAMIに「方略」に関する信念を加え, 精緻化して扱うことの重要性が示唆されたといえる。
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  • 小浜 駿
    58 巻 (2010) 3 号 p. 325-337
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 大学生が学業課題を先延ばししたときに, その前・中・後の3時点で生じる意識の感じやすさを測定する先延ばし意識特性尺度を作成し, その信頼性および妥当性を検討することであった。研究1では, 先延ばし意識特性尺度の作成と尺度の内的整合性および構成概念妥当性の検討を行った。研究2では, 尺度の再検査信頼性の検討を行った。探索的因子分析によって先延ばし意識特性尺度の7因子構造が採択され, 確認的因子分析でその構造の妥当性が確認された。同尺度とこれまでに作成された先延ばし特性尺度との関連から弁別的証拠が, 同尺度と認知特性, 感情特性との関連から収束的証拠が得られ, 構成概念妥当性が確認された。先延ばし意識特性尺度と他の尺度との関連から, 否定的感情が一貫して生起する決断遅延, 状況の楽観視を伴う習慣的な行動遅延, 気分の切り替えを目的とした計画的な先延ばし, の3種類の先延ばし傾向の存在が示唆された。考察では3種類の先延ばし傾向と先行研究との理論的対応について議論され, 学業場面の先延ばしへの介入に関する提言が行われた。
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  • 高坂 康雅
    58 巻 (2010) 3 号 p. 338-347
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 青年の友人関係における“異質な存在にみられることに対する不安”(被異質視不安)と“異質な存在を拒否する傾向”(異質拒否傾向)について, 青年期における変化と, 友人関係満足度との関連を明らかにすることであった。中学生260名, 高校生212名, 大学生196名を対象に, 被異質視不安項目, 異質拒否傾向項目, 友人関係満足度項目について回答を求めた。被異質視不安項目と異質拒否傾向項目をあわせて因子分析を行ったところ, 「被異質視不安」と「異質拒否傾向」に相当する因子が抽出された。友人関係満足度を含めて, 青年期における変化を検討したところ, 異質拒否傾向は変化せず, 被異質視不安は減少し, 友人関係満足度は高校生女子が低いことが明らかとなった。さらに, 異質拒否傾向, 被異質視不安, 友人関係満足度の関連をパス解析にて検討した結果, 女子及び高校生男子において, 異質拒否傾向が友人関係満足度を低め, 大学生男子以外で, 異質拒否傾向が被異質視不安を高め, さらに, 高校生女子と大学生男子において, 被異質視不安が友人関係満足度を低めていることが明らかとなった。
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  • 光浪 睦美
    58 巻 (2010) 3 号 p. 348-360
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究は, 達成動機や目標志向性が学習行動に及ぼす影響について, 過去の認知(以下, 過去認知)と将来の期待(以下, 将来期待)の組み合わせによって設定された4つの認知的方略(方略的楽観主義(SO), 防衛的悲観主義(DP), 非現実的楽観主義(UO), 真の悲観主義(RP))の違いに焦点を当てて検討することを目的とした。大学生407名を対象に質問紙調査を行い, 過去認知(ポジティブ・ネガティブ)×将来期待(高・低)の2要因分散分析を行った結果, 将来の期待が高い群は熟達目標を, 期待が低い群は遂行回避目標を, 過去の認知がポジティブな群は遂行接近目標を採用しており, DP者は遂行接近目標と遂行回避目標の両方をもつことが示された。また, 達成動機や目標志向性および学習行動との関連では, 熟達目標や遂行接近目標は学習行動に正の影響を与えていたが, 遂行回避目標は負の影響を与えていた。認知的方略ごとの検討では, 達成欲求が熟達目標に, 失敗恐怖が遂行回避目標に影響を及ぼす点は共通していたが, 遂行接近目標に関しては群で違いがみられた。達成動機, 目標志向性, 学習行動の観点から, 4つの認知的方略の特徴の違いが議論された。
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原著[実践研究]
  • 清道 亜都子
    58 巻 (2010) 3 号 p. 361-371
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 高校生に対する意見文作成指導において, 意見文の「型」(文章の構成及び要素)を提示することの効果を検討することである。高校2年生59名(実験群29名, 対照群30名)が, 教科書教材を読んで意見文を書く際, 実験群には, 意見文の「型」や例文を示して, 書く練習をさせた。その結果, 事後テストでは, 実験群は対照群より文字数が多く, 意見文の要素を満たした文章を書き, 内容の評価も高まった。さらに, 介入1ヶ月後においても効果が確認できた。また, 対照群にも時期をずらして同一の介入指導を行ったところ, 同様の効果が現れた。これらの結果から, 意見文作成指導の際, 意見文の「型」を提示することにより, 高校生の書く文章は量的及び質的に充実したものになることが示された。
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  • 石川 信一, 岩永 三智子, 山下 文大, 佐藤 寛, 佐藤 正二
    58 巻 (2010) 3 号 p. 372-384
    公開日: 2012/03/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 小学校3年生を対象とした集団社会的スキル訓練(集団SST)の実施による進級後の抑うつ症状への効果を検討することであった。本研究では, ウェイティングリストコントロールデザインが採用された。対象児童は, 先に集団SSTを実施する群(SST群114名)と, SST群の介入終了後, 同一の介入がなされるウェイティングリスト群(WL群75名)に割り付けられた。集団SSTは, 学級単位で実施され, 上手な聞き方, あたたかい言葉かけ, 上手な頼み方, 上手な断り方, 教師に対するスキルの全5回(1回45分)から構成された。加えて, 獲得された社会的スキルの維持促進の手続きとして, 終了後に集団SSTのポイントが記述された下敷きを配布し, 進級後には教室内でのポイントの掲示, ワンポイントセッション, ブースターセッションといった手続きが採用された。その結果, SST群とWL群において, 訓練直後に社会的スキルの上昇がみられ, 進級後もその効果が維持されていることが示された。さらに, 訓練群とWL群は, 1年後の抑うつ症状が有意に低減していることが示された。以上の結果を踏まえ, 早期の抑うつ予防における集団SSTの有効性と有用性に加え, 今後の課題について議論がなされた。
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