教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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58 巻 , 4 号
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原著
  • 葉山 大地, 櫻井 茂男
    58 巻 (2010) 4 号 p. 393-403
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 友人から冗談を言われて怒りを感じる場面での聞き手の反応を規定する要因を, パーソナリティ要因(拒否に対する感受性)と状況要因(話し手との親密さ,冗談に対する周囲の友人の反応)の観点から検討することである。聞き手の反応には「迎合的反応」, 「回避的反応」, 「感情表出反応」が含まれる。本研究では場面想定法を使用し, 大学生417名(男性169名, 女性247名, 性別不明1名)を4つの状況(たとえば, 「親友が話し手であり, 周囲の友人は冗談に対して笑っている」)のうちのひとつに割り当て, その状況において冗談に対してどのように反応するかを回答するよう求めた。分散分析の結果, 拒否に対する感受性が高い回答者は, 親友が話し手で, かつ周囲の友人が笑っていない状況において, 迎合的な反応を行わないと評定することが示された。しかしながら, 拒否に対する感受性が高い回答者は, 周囲の友人が笑っている場合は, 迎合的反応をする頻度を高く見積もっている。この結果は, 拒否に対する感受性が高い回答者は, 状況によって拒否される可能性を考慮し, 自己防衛的な反応を選択していることを示唆している。
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  • 畑野 快
    58 巻 (2010) 4 号 p. 404-413
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, コミュニケーションに対する自信がアイデンティティと関連していることを実証することである。研究1では, 大学生254名に質問調査を行い, 「意図伝達への自信」, 「意図抑制への自信」, 「意図理解への自信」(3下位尺度)からなるコミュニケーションに対する自信尺度(Self-confidence in Communication Scale : SCS)を作成した。α係数の値から十分な信頼性が示され, またコミュニケーション・スキル, セルフ・モニタリング, 自尊心との相関分析の結果から妥当性が検討された。研究2では大学生384名に対し質問紙調査を行い, SCSと多次元自我同一性尺度(Multiple Ego Identity Scale : MEIS)との関連を検討した。まずSCSに対し確認的因子分析を行い, 因子構造の安定性を検討した。適合度は十分とは言えなかったが, 概ね因子構造の安定性が確認された。そしてSCSとMEISの相関分析の結果から, SCSが心理社会的自己同一性と特に関連していることが示された。
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  • 岡田 涼
    58 巻 (2010) 4 号 p. 414-425
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     自己決定理論では, 学習に対する動機づけを自律性—統制の次元から捉え, 外的調整, 取り入れ的調整, 同一化的調整, 内発的動機づけという複数の動機づけ概念を想定している。本研究では, 自己決定理論にもとづく動機づけ概念間の関連性についての学校段階による差を検討するために, メタ分析的な手法を用いて研究知見を統合した。文献検索の結果, 27論文から35研究を収集した。学校段階として, 小学生, 中学生, 高校生, 大学生の4グループ間での比較を行った。学校段階ごとに, 2,000名から8,000名を対象に, 動機づけ概念間の母相関係数を算出した。その後, 得られた母相関係数行列に対して因子分析を行った。その結果, 動機づけ概念間の母相関係数は, 学校段階によって異なっており, 小学生と大学生においては, 統制的な動機づけ(外的調整, 取り入れ的調整)と自律的な動機づけ(同一化的調整, 内発的動機づけ)が比較的独立している一方で, 中学生と高校生においては, すべての動機づけ概念間に正の関連がみられた。動機づけ概念間の関連性の違いを考慮した働きかけの重要性について論じた。
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  • 竹村 明子, 小林 稔
    58 巻 (2010) 4 号 p. 426-437
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の主な目的は, 親の家庭での関わりを規定する要因を明らかにすることであった。そのために, 小学1・3・5年生の保護者525名を対象に, 規定要因として親の動機づけ要因(効力感)および子育てに関して親が認知する家庭状況(時間や気力の心理的余裕, 知識や技術の所有感, 経済的余裕)を取り上げ, 家庭での関わりの4側面(文化活動, 勉強, しつけ, 生活習慣)との関係について調べた。その結果, 子と関わる時間や気力に心理的余裕がある, および子育ての知識や技術を持つと親が認知することが, 親の家庭での関わりを説明することが明らかとなり, 親が認知する家庭状況が親の関わりを規定する重要な要因であることがわかった。さらに, 親として子に関わる効力感が高くても, 時間や気力の心理的余裕または知識や技術の所有感が低いと親が認知する状況では, 親の関わりが低下することが示唆された。また, 子の放課後時に毎日不在と答える親は時間や気力の心理的余裕が低く, 母子家庭の親は子育てに関する経済的余裕が低いことが明らかとなり, このような親の状況が間接的に親の家庭での関わりに影響していることが示唆された。
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  • 縣 拓充, 岡田 猛
    58 巻 (2010) 4 号 p. 438-451
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 創造性神話に代表される美術の創作活動に対するイメージが, どのように表現や鑑賞への動機づけに影響するかを検討した。その際, 表現に対する効力感, 及び, アートに対するイメージを媒介変数として仮定し, 創作活動に対するイメージは両者を介して表現・鑑賞への動機づけに効果を及ぼすという仮説モデルを構築した。まず予備調査として, 人々が美術創作やアートに対して持つイメージを, 自由記述式の質問紙によって抽出した。続いて首都圏の大学生・専門学校生306名に対して, 上述の仮説モデルを検証する本調査を行った。構造方程式モデリングを用いた主な分析結果は以下の通りである。1)創作・表現に対するステレオタイプは, 表現に対する低い効力感, 及び, アートに対するネガティヴなイメージを予測した。2)表現に対する効力感やアートに対するイメージは, どちらも表現・鑑賞への動機づけに影響していた。以上の結果から, 表現のみならず, 鑑賞を促す上でも表現に対する効力感を高めるような実践が有用である可能性や, その一つの方法としての, 創作・表現に対するステレオタイプを緩和するというアプローチの有効性が示唆された。
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  • 篠ヶ谷 圭太
    58 巻 (2010) 4 号 p. 452-463
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 高校生の英語学習を対象として, 予習時に使用される学習方略と, 授業中に使用される学習方略の関係について検討を行った。まず, 予備調査を実施し, 予習時の学習方略, 授業中の学習方略に関する質問紙尺度を作成した。因子分析の結果, 予習方略については「準備・下調べ方略」, 「推測方略」, 「振り返り方略」, 「援助要請」の4因子, 授業内方略については「要点・疑問点把握方略」, 「メモ方略」, 「受動的方略」の3因子が抽出された。高校生1,148名に本調査を実施し, パス解析を用いて英語学習動機, 予習方略, 授業内方略の関係モデルの構築を行った結果, 予習時の準備・下調べ方略は授業中の要点・疑問点把握方略やメモ方略と正の関連を持つことが示された。また, 予習時の推測方略は授業中の要点・疑問点把握方略と正の関連, 受動的な方略と負の関連を持つことが示された。また, 予習方略と授業内方略の間に直接のパスを想定しないモデルよりも, そのようなパスを想定したモデルの方がデータに対して高い適合度を示したことから, 予習方略と授業内方略の間には, 学習者の動機づけによって説明できない直接の関係が存在する可能性が示唆された。
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原著[実践研究]
  • 木村 優
    58 巻 (2010) 4 号 p. 464-479
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 授業における教師の感情経験と, 教職の専門性として説明されてきた認知や行動, さらに動機づけとの関連を検討することであった。高校教師10名に面接調査を実施し, グラウンデッド・セオリー・アプローチによるデータ分析を行った。その結果, 《感情の生起》という現象の中心概念が抽出され, (1) 教師は生徒の行為と自らが用いる授業方略に対して感情を経験し, (2) 状況により教師は異なる感情を混在して経験することが示された。そして, (3)教師が経験する感情の種類, 強さ, 対象によって, 《感情の生起》現象には, 心的報酬の即時的獲得, 認知の柔軟化・創造性の高まり, 悪循環, 反省と改善, 省察と軌道修正, という5つの過程が見出された。喜びや楽しさなどの快感情は教師の活力・動機づけを高めることで実践の改善に寄与し, さらに授業中では教師の集中を高めることで瞬間的な意識決定と創造的思考の展開を促進していた。一方, いらだちなどの不快感情は教師の身体的消耗や認知能力の低下を導くが, 苦しみや悔しさなどの自己意識感情は授業後の反省と授業中の省察に結びつき, 教師が実践を改善し, 即興的に授業を展開するのを可能にしていた。
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  • 豊沢 純子, 唐沢 かおり, 福和 伸夫
    58 巻 (2010) 4 号 p. 480-490
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は, 脅威アピール研究の枠組みから, 小学生を対象とした防災教育が, 児童の感情や認知に変化を及ぼす可能性, および, これらの感情や認知の変化が, 保護者の防災行動に影響する可能性を検討した。135名の小学校5年生と6年生を対象に, 防災教育の前後, 3ヵ月後の恐怖感情, 脅威への脆弱性, 脅威の深刻さ, 反応効果性を測定した。また, 防災教育直後の保護者への効力感, 保護者への教育内容の伝達意図と, 3ヵ月後の保護者への情報の伝達量, 保護者の協力度を測定した。その結果, 教育直後に感情や認知の高まりが確認されたが, 3ヵ月後には教育前の水準に戻ることが示された。また共分散構造分析の結果, 恐怖感情と保護者への効力感は, 保護者への防災教育内容の伝達意図を高め, 伝達意図が高いほど実際に伝達を行い, 伝達するほど保護者の防災行動が促されるという, 一連のプロセスが示された。考察では, 防災意識が持続しないことを理解したうえで, 定期的に再学習する機会を持つこと, そして, 保護者への伝達意図を高くするような教育内容を工夫することが有効である可能性を議論した。
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  • 湯澤 正通, 湯澤 美紀, 関口 道彦, 李 思嫻, 齊藤 智
    58 巻 (2010) 4 号 p. 491-502
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 日本語母語者の音韻処理特徴に応じた年少児向けの英語音韻習得方法の効果を検討した。本研究で検討したのは, 英語の音素を表現する手段として文字, 絵, 動作を学習し, それらの多感覚的な手段を用いて英単語の音声を分析したり, 音素から英単語の音声に統合したりする活動を行うという方法(多感覚音韻認識プログラム)であった。多感覚音韻認識プログラムに基づいた活動を継続的に行った多感覚認識I(5~6歳児35名), メディアを用いて, 英語の音素や単語の発声, 英語の歌の活動を行った音声体験(4~6歳児26名), 音声体験プログラムに続けて, 多感覚音韻認識プログラムに基づいた活動を行った多感覚認識II(4~6歳児22名), 同年齢の統制について, 英語音韻習得能力の指標となる3つの課題の成績を比較した。その結果, 1)多感覚認識IIは, 他の群よりも音韻認識課題の成績が良かった。2)多感覚認識I, 多感覚認識IIは, 統制よりも, また, 多感覚認識IIは, 音声体験よりも, 1音節反復課題の成績が良かった。3)多感覚認識IIは, 他の群より非単語反復課題の正答数や音節再生数が多かった。
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展望
  • 小林 敬一
    58 巻 (2010) 4 号 p. 503-516
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本論文では, 高次リテラシーとしての批判的統合に焦点を当てて, 近年増加しつつある複数テキスト処理研究のレビューを行った。まず, 批判的統合を相補的統合と対比し, 前者を, 批判的思考を土台にしながら複数テキストからの情報を統合する処理過程とその所産と定義した。そして, その必要性は特に, 学問分野の実践とそれに即した教育, 市民としての社会参加という文脈において顕在化することを論じた。本論文ではさらに次の3点から先行研究の整理・総合を試みた。第1に, 先行研究をもとに, テキスト評価, テキスト間関係の理解, 裁定を批判的統合の中核的コンポーネントとして提案した。第2に, 学問分野の(準)熟達者と比較して, 初学者である学生はしばしばなぜ批判的統合を適切に行うことができないのかを読み手変数, すなわち, 方略利用, 課題表象, 個人的認識論の観点から検討した。第3に, 学生の批判的統合能力を改善するためにこれまで提案・検証されてきた教授介入方法を取り上げ, 批判的吟味を加えた。最後に, 今後の課題と展望を示して本論文を締めくくった。
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