教育心理学研究
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59 巻 , 1 号
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原著
  • 麻柄 啓一, 進藤 聡彦
    59 巻 (2011) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, 「pならばqだ」と記述できるようなルール命題の前件pに順序尺度的な値や二値的な値を代入した場合に, それに対応して後件qの値がどうなるかを考える活動を「代入・対応操作」と名づけた。その上で, 学習者にそのような操作を行わせることによって, 後続の問題場面でそのルールの適用が促進されるか否かを検討した。取り上げたルールは, 冬に日本海側の, 特に新潟地方や北陸地方で雪が多い理由に関するものであった。実験1では99名の大学生を対象として, 操作群, 再生群, 統制群を設けた。説明文(3群共通)の読解後に, 操作群は呈示されたルールに即して, 諸要因(前件)の値が変化した場合の降雪量(後件)の変化について解答した。再生群はブランクを埋めることによって説明文の内容を再学習した。統制群は説明文を読むだけであった。その結果, 操作群は他の2群よりも事後の問題解決で高成績であった。実験2では91名の大学生を対象に, ルール適用を促進するためには, 実際に操作を行うことが必要なのか, それとも操作結果を記述した文章を読むだけでも効果があるかについて検討した。実験の結果, 後者を示唆する結果が得られた。
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  • 河崎 美保, 白水 始
    59 巻 (2011) 1 号 p. 13-26
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, 算数授業において発表された複数の解法を, 各自がそれでなぜ答えが求まるかを説明することによる学習促進効果を検討した。小学5年生を対象に算数文章題の授業を行い, 実験1では, 解法提示後に聞き手の児童に説明を求める条件と単に評価を行う条件, および, 非規範解法と規範解法という複数解法を提示するIF条件と規範解法のみを提示するFF条件とを組み合わせ, IF-説明条件, FF-説明条件, IF-評価条件, FF-評価条件の4条件を比較した。授業前後のテスト結果より, 規範解法の意味を高い割合で記述できるようになった児童がIF-説明条件では有意に多く, FF-説明条件では有意に少なかった。評価条件には複数解法提示の効果が見られなかった。実験2では, 説明活動をペアで行うIF条件とFF条件を検討し, 転移課題に複数解法提示の効果が見られた。この結果から複数解法提示は, 各自が内的に説明を考える活動と考えた結果を外化してペアで話し合う活動という内外相互作用の二要素を伴うときに最も学習促進効果を持つことが示唆された。説明活動が複数解法の対比を促し, 規範解法の重要な構成要素の把握を容易にするメカニズムをプロセスデータから考察した。
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  • 細野 美幸
    59 巻 (2011) 1 号 p. 27-38
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, 子どもの類推における共通性の抽出と転移の発達について検討した。特に, 2つの状況で主客が入れ替わった場合に焦点を当て, 子どもは関係の意味を手がかりに構造の共通性を抽出するか否か, 構造の共通性を抽出する場合に転移は必ず生じるのか否か, について調べた。ベースとターゲットで主客が入れ替わる材料文を用意し, 4・5・6歳児(各14名, 計42名)に対して提示した。その際, ベースとターゲットで知覚的な特徴が類似する知覚類似あり条件と, 知覚的な特徴が類似しない知覚類似なし条件を設けた。その結果, 知覚的類似性の有無にかかわらず, 4歳児では構造の共通性を抽出しないが, 加齢に伴い可能になり, 6歳児なら抽出できるようになることが示された。また, 5歳児は構造の共通性を抽出できる場合でも必ずしも自発的に転移を行うとは限らなかったが, そのような子どもに対してベースとの関連づけを促したところ, 転移が生じるようになることが示された。このような発達的変化について, 関係を抽象的な形式に表象しなおす能力の獲得, および, 複数の関係を扱うための情報処理容量の発達の観点から討論を行った。
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  • 石田 有理
    59 巻 (2011) 1 号 p. 39-50
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, 就学前児が属性間の因果関係に基づいて, カテゴリー判断の際に, 知覚的に観察不可能な内的属性に着目することができるかどうかについて調べるために2つの実験を行った。実験1では, 4・5歳児群を対象にして, ある生物についての内的属性と行動特性の因果関係を明示することによって, 原因となる内的属性に着目したカテゴリー判断を行うかどうかを調べた。その結果, 5歳児群では, 因果関係を明示するかどうかにかかわらずに, 内的属性に着目することが示されたが, 子どもが行動特性の原因となっていることを理解したうえで内的属性に着目したかどうか明確ではなかった。実験2では, 3・4・5歳児群を対象に, 内的属性が行動特性の原因となっているという因果関係を理解しているかどうかを, カテゴリー判断とあわせて調べた。その結果, 4歳児群から, 内的属性と行動特性の因果関係を理解していたが, 一貫して内的属性に基づいたカテゴリー判断を行うようになるのは5歳児群からであることが示された。
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  • 鈴木 高志, 櫻井 茂男
    59 巻 (2011) 1 号 p. 51-63
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     現在の学習が将来のために役立つと位置づける認知, すなわち「利用価値」は学習動機づけに適応的・不適応的両面の影響を与えるといわれてきた。本研究では, Kasser & Ryan(1993, 1996)の将来目標の内発—外発の2分に従って, 利用価値を, 展望する将来目標により2分し (1) 現在の学習が将来の自己成長や社会貢献といった内発的将来目標のために役立つと考える「内発的利用価値」と, (2) 現在の学習が将来の金銭的成功や名声の獲得といった外発的将来目標のために役立つと考える「外発的利用価値」とを下位尺度とする「内発的-外発的利用価値尺度」を作成した。その上で, 高校1年生(N=318)に対する調査で学習動機づけへの影響を検討した。その結果, (1) 内発的利用価値は, 主にマスタリー目標志向性を媒介に内発的動機づけなど適応的な学習動機づけを促進するのに対して, (2)外発的利用価値は, 主に遂行回避目標志向性を媒介に勉強不安など不適応的な学習動機づけに影響を及ぼす可能性のあることが分かった。さらに, 内発的-外発的利用価値がもつ達成目標志向性の先行要因として意義, 介入への示唆および今後の展開について議論する。
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  • 五十嵐 哲也
    59 巻 (2011) 1 号 p. 64-76
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究は, 中学進学に伴って変化した不登校傾向に対し, どのような学校生活スキルが関与しているのかという点を検討した。383名に対し, 小学6年と中学1年の時点で調査が実施され, 以下の結果が得られた。1)小学校段階では, 学習に関連するスキル不足があらゆる不登校傾向の増大と関連していた。また, 「休養を望む不登校傾向」はコミュニケーションスキル, 「遊びを望む不登校傾向」は集団活動や健康関連のスキルが関与していた。2)中学校段階では, 学習, 健康維持, コミュニケーションのスキルがほぼ全ての不登校傾向と関連していた。3)中学進学に伴う変化については, 中学校での学習や健康維持のスキルが全般的に関与していた。また, 「別室登校を希望する不登校傾向」増加には, 集団活動スキルの関与が特徴的であった。「遊び・非行に関連する不登校傾向」が増加した者は中学校での進路決定スキル, 「精神・身体症状を伴う不登校傾向」が増加した者は中学校でのコミュニケーションスキルの低さが特徴的であった。「在宅を希望する不登校傾向」が増加した者は, 中学校段階でのあらゆる学校生活スキルの低さが認められた。
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  • 西村 多久磨, 河村 茂雄, 櫻井 茂男
    59 巻 (2011) 1 号 p. 77-87
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 中学生における内発的な学習動機づけと同一化的な学習動機づけの学業成績に対する影響の相違を検討することであった。特に, メタ認知的方略との関連に着目し, 学業成績に対する影響の相違について, 本研究では, 以下の仮説を立てた。それらは(1) 内発的な学習動機づけは学業成績を予測しないのではないか, (2) 同一化的な学習動機づけはメタ認知的方略を介して学業成績を予測するであろう, であった。研究1では自己決定理論に基づく学習動機尺度が作成され, 尺度の信頼性と妥当性が確認された。研究2ではパス解析により因果モデルが作成され, 仮説が支持された。本研究の結果より, 学業成績に対する同一化的な学習動機づけの重要性が示唆された。
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  • 高坂 康雅
    59 巻 (2011) 1 号 p. 88-99
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 共同体感覚を測定するための尺度を作成し, 信頼性と妥当性を検討すること, 及び自己愛傾向との関連を明らかにすることであった。大学生329名, 中学生149名を対象に, 共同体感覚尺度, 学校適応感尺度または大学生活不安尺度, 劣等感項目, 心理的ストレス反応尺度, 自己愛傾向尺度への回答を求めた。共同体感覚に関する項目の因子分析の結果, 「所属感・信頼感」, 「自己受容」, 「貢献感」の3因子が抽出され, またそれらを総合した「共同体感覚尺度」を構成した。内的一貫性及び安定性の観点から, 共同体感覚尺度の信頼性が確認された。学校適応, 劣等感, 心理的ストレス反応との関連から, 共同体感覚尺度の中学生及び大学生で実施する際の妥当性が確認された。さらに, 共同体感覚と自己愛傾向は全体的に正の相関があるが, 臨床像と関連する「注目—主張」成分とは関連があまりみられないことが明らかとなった。
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原著[実践研究]
  • 渡辺 孝継, 須藤 邦彦
    59 巻 (2011) 1 号 p. 100-110
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究は, 1名の自閉性障害児を対象として, 他者の視線方向を手がかりに, 他者の注意方向を弁別させ, 社会的行動を獲得させた研究である。研究1においては, 対象児が他者へ伝達を的確に行う場面で, 他者の視線を手がかりとして他者が伝達物を見ているか否かを判断し, 見ていない場合は, 注意喚起行動を自発するようになった。研究2においては, 対象児がどちらか一方のものを選択するという二者択一場面で, 他者の視線方向を手がかりとして, 自身が有利になるような選択をするという行動を求めた。その結果, 対象児は, 研究1では, 視覚的な注意喚起行動を自発することが可能になり, 研究2では, 自身が有利になるような選択をするという行動を自発することが可能になった。以上のことから, 自閉性障害児の注意を踏まえたコミュニケーション行動の獲得可能性を示した。
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  • 高垣 マユミ, 田爪 宏二, 中谷 素之, 伊藤 崇達, 小林 洋一郎, 三島 一洋
    59 巻 (2011) 1 号 p. 111-122
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
     本研究では, コンフリクトマップ(Tsai, 2000)の理論的枠組みを, 中学校2年地理「世界から見た日本のすがた」の学習内容に適用した授業を考案した。授業実践を通して, コンフリクトマップのいかなる教授方略が, 「認知的な側面」及び「動機づけ的な側面」の変化に対してどのような影響を及ぼすのかを, 探索的に検討することを目的とした。単元前後, 及び授業後の質問紙調査に基づく数量的分析と, 自由記述に基づく解釈的分析の結果, 以下に示すような変化が明らかになった。1)コンフリクトマップの「決定的な事象」において, 「先行概念(日本と世界の地理的事象の非一貫性=ミクロな理解)」と「科学的概念(地理的事象の世界規模的規則性=マクロな理解)」を関連づける教授方略によって, 「知識活用への動機づけ」が高められる。2)コンフリクトマップの「知覚的な事象」において, ITを活用し地形をシミュレーションする教授方略によって, 「合科動機づけ」が高められる。3)知識活用への動機づけ, 及び合科動機づけが促される過程で, 表面的な知識の暗記ではなく地理学習の意味を追求する「状態的興味」が高まっていく可能性が示唆された。
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