教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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59 巻 , 3 号
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原著
  • 小川 翔大
    59 巻 (2011) 3 号 p. 267-277
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, ネガティブな出来事の原因への帰属の違い, 及び同情した人との親密さの違いが同情された時のポジティブ感情やネガティブ感情の生起に及ぼす影響を明らかにすることである。大学生304名を対象に, 病気, 学業の失敗, 対人トラブルに対して同情される話を読んでもらい, 同情された時の様々な感情について評定を求めた。その結果, すべての場面で, ネガティブな出来事の原因を運や他者からの妨害に帰属した人よりも自分自身の能力に帰属した人の方が落ち込み感情が高くなった。また, すべての場面で, 同情した人があまり知らない人の場合よりも親しい人の場合の方が, 喜び感情は高く反発感情は低くなった。以上より, 落ち込み感情はネガティブな出来事の原因帰属によって異なり, 喜び感情と反発感情は相手との親密さによって異なることが明らかになった。
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  • 宇佐美 慧, 名越 斉子, 肥田野 直, 菊池 けい子, 服部 由起子, 松田 祥子, 斉藤 佐和子
    59 巻 (2011) 3 号 p. 278-294
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     発達障害・知的障害のある子どもたちに対して適切な支援を行う上で, 社会適応上必要なスキルを安定的かつ多面的に測定する検査の開発が求められている。そこで, 本研究では, 社会適応スキル検査の作成を試みた。まず予備調査では, 項目内容や採点法の適否等に関する検討を行い, また定型発達群(N=959)の標本をもとに各項目の困難度, 内的整合性の検討を行った。その結果を踏まえて, 本調査では, 特別な教育的ニーズのある群(N=560)と定型発達群(N=2,027)の標本をもとに, 各項目の内的整合性の再評価や因子分析モデルに基づく妥当性検証を行った。その結果, 検査の下位スキルとして設定した「言語スキル」, 「日常生活スキル」, 「社会生活スキル」, 「対人関係スキル」において実用上十分な内的整合性が認められ, また一因子性の観点から下位項目の因子的妥当性も確認された。また, 実用上の観点から, パーセンタイルに基づく社会適応スキル指数の算出や, 水平線表示を利用した個人内評価の方法についても検討を行った。最後に, 本検査を適用したADHDの子どもの一事例を通して本検査の臨床的有用性を考察した。
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  • 藤里 紘子, 小玉 正博
    59 巻 (2011) 3 号 p. 295-305
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 健康生成論の中核概念である首尾一貫感覚(Sense of Coherence)が, 就職活動に対してどの程度ストレスを感じたかという評価や, 就職活動に伴う成長感にどのような影響を及ぼすのか検討することであった。就職活動を終えた, あるいは就職活動中の大学4年生127名に対し, 首尾一貫感覚, 就職活動ストレス, 就職活動に伴う成長感, 就職活動量, および就職活動状況について尋ねる質問紙を実施した。共分散構造分析の結果, 首尾一貫感覚の3要素は, 就職活動に対してどの程度ストレスを感じたかという評価とはほぼ関連が見られなかった。一方, 就職活動に伴う成長感に対しては, 処理可能感と有意味感が正の影響を, 把握可能感が概ね負の影響を及ぼすことが示された。
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  • 三島 知剛, 林 絵里, 森 敏昭
    59 巻 (2011) 3 号 p. 306-319
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の主目的は, 実習生の実習班における居場所感が実習生の教職意識の変容に与える影響を居場所感の変容に与える影響要因と共に検討することであり, 実習生140名を対象に実習前後で調査を行った。その結果, (1) 居場所感は「本来感」「役割感」「共感性」の3因子からなり, 居場所感は実習後に高まること, (2) 実習中の実習班での「インフォーマル場面での親和経験」「フォーマル場面での協力経験」が居場所感を高め, 「独立経験」が居場所感の「共感性」を低め, 性差があること, 指導教員との関わりのうち女性においてのみ「教壇実習に対する指導・支援」が居場所感の「役割感」を高めること, (3) 実習における居場所感の「役割感」の高まりが, 女性の「教職志望度」を強め, 男性の教師イメージの変容に影響すること, (4) 居場所感の高まりが教師効力感の向上に影響し, 特に男性においてその影響力が強いこと, の4点が主に示唆された。
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  • 進藤 聡彦, 麻柄 啓一
    59 巻 (2011) 3 号 p. 320-329
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     長方形を相似比でn倍すると面積もn倍になると誤って考える者が多いことが報告されている。このことは, 公式の変形を心内的に, i. 長方形の面積は縦と横をかけたものだ→ii. n倍すると縦も横もn倍になる→iii. ゆえに面積はn×n倍になる, と辿るプロセス(本研究ではこれを「操作」と名づけた)が不十分であることを意味している。本研究では正しい操作を促進する教授方略として「実体化」という概念を提案し, 操作結果の実体化を行う実験を大学生を対象に行った。実験1では, 操作結果を実体化して示す(長方形の顔写真を用いる)群と実体化しない群を設け, 公式の変形過程を教授した。その結果, 操作結果を実体化した群が事後テストで高成績を示した。これを踏まえ実験2と補足調査では, 効果的な実体化の条件をさらに検討した。その結果, 誤った操作結果(相似比でn倍にすると面積もn倍)を実体化した場合の図が現実の事物に照らして違和感を感じさせやすい場合に有効であることが示唆された。
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  • 石田 有理
    59 巻 (2011) 3 号 p. 330-341
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 幼児の帰納推論における知識の影響を検討するために, 2つの実験を行った。実験1では, 3・4・5歳児群を対象にして未知属性の一般化を行う際に, カテゴリー判断に基づいて帰納推論を行うかどうかを調べた。標準刺激に対して新奇な属性を提示し, 下位カテゴリー, 基礎カテゴリー, 上位カテゴリー, 無関連カテゴリーの各テスト刺激に対して属性があてはまるかどうかを尋ねた。また, 標準刺激と仲間であるものをテスト刺激から選択させた。その結果, 仲間だと判断していても, 外見が違うと未知属性をあてはめにくくなることが示された。実験2では, 4・5歳児群を対象にして, 未知属性と既知属性の帰納推論を直接比較した。その結果, 未知属性にくらべて既知属性においては, 分類学的カテゴリーに基づく推論が多かった。また, 実験1・2を通して, 5歳児群になると分類学的カテゴリーへの着目が増加していた。幼児は, 属性に関する既有知識を利用して帰納推論を行っていると考えられる。
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  • 深谷 達史
    59 巻 (2011) 3 号 p. 342-354
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     様々な学習領域に共通する知識構築活動として自己説明が知られている。いくつかの研究によって学習者の自己説明を訓練する効果が示されているが, どのような訓練が科学的概念に関する深い理解の達成を可能にするかは十分明らかではない。そこで本研究は, 生物・生態システムなどの働きを捉える枠組みであるSBF理論を参照し, 有効だと考えられる自己説明訓練法を提案し, その効果を検証することを目的とした。学習講座に参加した中学2年生を, システムの構成要素の仕組みと機能について質問および解答作成を行った実験群(n=48)と, そうした制限を設けずに質問および解答作成を行った対照群(n=26)に割り当て, 訓練の効果を検討した。その結果, 文章中に答えが明記されていない理解テストにおいて, 実験群のテスト成績が対照群よりも高い傾向が見られた。また, テストの文章を学習する際に記入を求めたコメントの分析から, 仕組みと機能に関する推論(SBF説明)がテスト成績に影響を及ぼしていたことが示された。本研究の結果より, 生物・生態システムの仕組みと機能を捉えるSBF理論に基づく自己説明訓練が, 科学的概念の理解を促す上で有効である可能性が示唆された。
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原著[実践研究]
  • 篠ヶ谷 圭太
    59 巻 (2011) 3 号 p. 355-366
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     予習は歴史の背景因果の理解を深める上で有効であるが, 先行研究では, そのような予習の効果はすべての学習者に見られるわけではないことが指摘されている。そこで本研究では, 地域教育のプログラムの中で, 中学2年生を対象とした5日間の学習講座を実施し, 学習者を歴史の背景因果の理解へと方向づける予習活動について, 探索的に検討を行った。講座2日目の介入では, 予習時に質問を生成させた上で解答作成を行わせたが, このような予習を行わせた場合, 授業で扱われる内容に関する質問が生成されないなどの問題が生じた。そこで講座3日目からは, 背景因果を問う質問を提示した上で, 解答作成と自信度評定を行わせるようにした。その結果, 質問を提示しただけの統制予習群に比べ, 解答作成と自信度評定を行った方向づけ予習群は, 歴史の因果理解を問うテストにおいて高い得点を示した。また, 予習時に作成した解答とテストでの記述の対応について分析を行った結果, 方向づけ予習群の学習者は, 予習活動を踏まえ, 授業中の背景因果情報へと注意を向け, 理解を深めていたことが示唆された。最後に, 本研究の意義と今後検討されるべき課題について述べた。
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