教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
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59 巻 , 4 号
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原著
  • 宇佐美 慧
    59 巻 (2011) 4 号 p. 385-401
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     社会科学の分野においては, サンプリングされた個人(e.g., 生徒, 患者, 市民)の測定データが, 上位の抽出単位である集団(e.g., 学校, 病院, 地域)にネストされた構造を持つことが多い。このような階層データにおいては, 一般に階層線形モデル(Hierarchical Linear Model : HLM)のような, 同一集団内に所属する個人間の相関情報を考慮した解析手法が有用である。本研究では, 階層データにおいて, 2群間の平均値差に関心がある場合に着目し, 検定力および効果量の信頼区間幅の観点から必要なサンプルサイズを決定するための決定方法を, 群の割り当てが個人単位で決定される場合(Multisite Randomized Trials : MRT)と集団単位で決定される場合(Cluster Randomized Trials : CRT)のそれぞれについて, ランダム切片モデルを用いて解析した状況を想定して統一的に導出する。さらに, 実用上の観点から, 一定の検定力および信頼区間幅を得るために必要なサンプルサイズをまとめた数表の作成も試みた。 MRT型の収集デザインのための数表は, 個人内の反復測定デザインや, ランダムブロックデザインなどの, いわゆる対応のあるデザインから得られるデータにおいても利用可能である。
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  • 中島 由佳
    59 巻 (2011) 4 号 p. 402-413
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は女子の入職後の初期適応について, (1) 就職達成に寄与した目的達成志向(キャリア志向(挑戦・対人志向)), 意思, 行動(向目標行動, サポート・気晴らし利用)の各要因が就職後もその関係性を保ち職務遂行に寄与するか, (2) 目的達成志向と入職後の情緒的適応の関係性, の2側面から検証した。先行研究に基づいて仮説モデルを構築し, 就職活動中, 入職3~5カ月後, 入職9~11カ月後の3回質問紙調査を行い, 有効回答が得られた208名のデータについて分析を行った。構造方程式モデリングの結果, (1) については, 入職後の目標達成志向は就職活動とほぼ同じ関係性を保つこと, 就職活動中の挑戦志向の入職後の職務における意思や向目標行動への影響の大きさ, 意思に媒介されての対人志向の職務遂行への寄与が示された。(2) に関しては, 意思が両キャリア志向の媒介因として, 仕事満足感, 職場の人間関係満足感および転職願望からなる情緒的適応に寄与していた。本研究からは, 就職活動のみならず入職後の職務遂行にも影響を与え続ける挑戦志向や, 初期適応とキャリア志向を媒介する意思を進路指導において育むことの重要性が示唆された。
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  • 小武内 行雄
    59 巻 (2011) 4 号 p. 414-426
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 親子関係のしつけにおけるしつけ者(親)として抱える「悩み」「成長」に焦点を当て, そのあり様と被しつけ者(子ども)のしつけ認知(評価)との関連について検討することである。はじめに親の「悩み」「成長」の実際を明らかにするため, しつけの「悩み」と, それを経た「成長」について, 中高生の子どもを持つ親(父親6名, 母親9名)を対象に面接調査を行った。更にその結果を基に尺度を作成し, 中高生の子どもを持つ親子(父子, 母子)を組とした質問紙調査を行った(327組)。その結果, しつけ者(親)が抱えるしつけの「悩み」として「対応の硬直」「家族成員間葛藤」「対応への困惑」「価値の模索・対比」「両価性葛藤」の5因子, また「成長」として「自己超越性」「受容的態度」「柔軟性」「自己の再編」「子どもとの関わり変化」の5因子が抽出された。そして子どものしつけ評価と親の「悩み」「成長」との関係を検討した結果, (1) 子どもから高いしつけ評価を得ることと親の成長得点の高さに関連が認められること, (2) 親の悩みの抱え方についてはいくつかのパターンに分類され, それらによりしつけ評価や成長のあり方が異なること, などが示された。
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  • 東山 薫
    59 巻 (2011) 4 号 p. 427-440
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     幼児の心の理論の発達には, 母親の言語の用い方が関連していることが検討されてきたが, 心的状態語の使用量との関連について見ているものが主流であり, また母子相互交渉の観察も場面が統一されていないなどの問題があった。本研究では, 5, 6歳児とその母親を対象に, 2種類の母子相互交渉場面を設定して, 母親の言語の用い方の特徴を捉え, これと子どもの心の理論の成績との関連について検討した。その結果, 子どもの言語能力や母親の教育年数とは独立して, (1) 母親が子ども自身や他者の心について考えさせるような言語を用いるほど, 子どもの心の理論課題の成績が良いこと, (2) 母親が子どもの日常の経験, 知識, 考え方を考慮した言語を用いるほど, 子どもの心の理論課題の成績がよいこと, がわかった。
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  • 湯澤 正通, 関口 道彦, 李 思嫻, 湯澤 美紀
    59 巻 (2011) 4 号 p. 441-449
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     日本語母語話者にとって, 日本語にない英語の音韻の差異(例えば, /r/と/l/)に気づくことは難しい。本研究では, 日本人幼児における英語の構成音素の知覚・発声能力を調べ, それと英単語の反復の難しさとの関連を検討した。研究1では, 英語の音声を構成する主要な音素を, CV音韻構造, または, 同一の音素の順序を変えたVC音韻構造で幼児(3, 4歳児35名, 5, 6歳児29名)に聴覚提示し, 反復再生させた。その結果, /vI/, /ðI/, /zI/, /lI/の刺激に含まれる頭子音の反復が難しかったが, 少なくとも2割程度の子どもが, 正しく反復することができた。また, CV音韻構造よりも, VC音韻構造が難しかった。研究2では, CV音韻構造での各音素の正反応率(研究1)を用いて, 1音節英単語反復の正反応率(5, 6歳児15名の成績)を予測した。その結果, 1音節英単語反復の正反応率のばらつきが18%説明されることが分かった。英語の構成音素を知覚・発声することの難しさは, 日本人幼児が英単語の音声を聞き取り, 発声することの難しさの一部であることが示唆された。
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  • 野中 陽一朗
    59 巻 (2011) 4 号 p. 450-461
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 教師の非言語的行動の中でも重要な姿勢や身振りの判別基準を明確にし, 授業中に小学校教師がとる姿勢の採取および分類を探索的に検討することであった。研究1において, 身振りを姿勢の一形態に位置づけ, 姿勢の基準を1秒以上は持続する身体各部の相対的位置関係として捉えられる体位と明確にした上で, 実際の授業場面において教師が表出する699種類の姿勢を採取した。研究2では, 研究1で採取した教師が表出する姿勢を授業中に教師が使用する姿勢としての形態と教授活動に関する機能の類似性から分類した。その結果, 授業場面の教師の姿勢として有用性を伴う50姿勢クラスターに分類された。さらに, 教師の性別および授業経験, 授業を実施する対象学年および教科と教師が表出する各姿勢の出現率との関係を探索的に検討した。その結果, 授業場面の教師の表出する姿勢頻度には個人属性や指導スタイルが関連していることが示唆された。
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  • 水本 深喜, 山根 律子
    59 巻 (2011) 4 号 p. 462-473
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 近年とみに親密であるとされる母娘関係に焦点を当て, 大学生女性509名を対象に質問紙調査を行い, 親からの精神的自立という側面から捉えた発達のプロセスを適応の視点を加えて論じることのできる尺度を開発した。これにあたり親からの適応的な精神的自立とは「親との信頼関係を基盤として親から心理的に分離して親とは異なる自己を築くことである」とした。その結果, 「母親との信頼関係」と「母親からの心理的分離」の下位尺度から構成される「母子関係における精神的自立尺度」が作成され, その尺度について信頼性と妥当性が検証された。さらに, これらを2軸として娘が捉える母親との関係を「依存葛藤型」「母子関係疎型」「密着型」「自立型」に類型化する「母子関係の4類型モデル」を提唱し, 得られた類型について愛着類型と自我同一性地位との関連から検討した。その結果, 一定の対応が見出され, 「母親との信頼関係」は適応と関連した親子関係の個人差を示す指標であり, 「母親からの心理的分離」は発達的に変化する指標であることが示唆された。得られた結果より, 「密着型→自立型経路」「依存葛藤型→母子関係疎型経路」といった母娘関係の発達のプロセスを考察した。
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原著[実践研究]
  • 須藤 文, 安永 悟
    59 巻 (2011) 4 号 p. 474-487
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, PISA型読解力の育成を目的に, LTD話し合い学習法に依拠した小学校国語科の授業を設計し, その有効性を検討した。LTDは8ステップからなる過程プランに従って読書課題を読解する学習方略である。個人で行う予習と集団で行うミーティングとで構成されている。本実践では, ステップごとに予習とミーティングを授業時間内で実施した。対象児は同一の公立小学校5年生2クラス52名, 対象単元は説明文(全15時間)であった。授業は, 単元見通しや課題明示など協同学習の基本事項を考慮しながら実施した。学習成果は, PISA型読解力の「情報の取り出し」を測定する「基礎テスト」と「解釈・熟考・評価」を測定する「活用テスト」, 学級集団の特質を測定する「Q-U」で検討した。実践結果を比較対象群(他の公立小学校2校6クラス182名)の結果と比較したところ, LTDに依拠した授業の結果, 活用テストの成績が比較対象群よりも有意に高く, もともと成績が低かった児童の伸びが大きいことが確かめられた。また, 「Q-U」の結果から「学級の雰囲気」「学習意欲」と「承認」が改善され, 学び合える学級集団が形成されていることが確認された。
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