教育心理学研究
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60 巻 , 1 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 山田 嘉徳
    60 巻 (2012) 1 号 p. 1-14
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究は, 正統的周辺参加論に新たな知見を追加するため, 大学ゼミにおけるペア制度を題材として, 文化的実践の継承過程を検討したものである。「連続性と置換の矛盾」概念により, 実践共同体における価値規範が先輩と後輩のペア間でどのように再生産されているか, また, 世代間の葛藤がどのように変化するかについて明らかにすることを目指した。35名の大学生を対象に半構造化インタヴューを実施し, 質的に分析した結果, 【正統的継承】, 【発展的継承】, 【非意図的継承】, 【非継承】, 【継承改善】, 【継承失敗】から成る6つの継承カテゴリーおよび【文化価値の浸透】という1つの再生産カテゴリーが生成された。加えて, 先輩と後輩の間での継承の仕方の相違に伴う価値規範の再生産過程が, これらのカテゴリーを用いることで記述された。最後に, ペア制度を用いた大学ゼミにおける【文化価値の浸透】過程が, 先輩と後輩の間の葛藤生成および葛藤解消を介した世代継承の変革過程の側面から考察され, 継承理論としての正統的周辺参加の拡張可能性が議論された。
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  • 渡部 雪子, 新井 邦二郎, 濱口 佳和
    60 巻 (2012) 1 号 p. 15-27
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究は, 親からの期待の受け止め方を測定する尺度を作成し, 期待を感じる程度を統制した上で期待の受け止め方と内的適応との関連を検討することであった。研究1において, 積極的受け止め, 負担的受け止め, 失望回避的受け止めを含む3因子構造から構成される親の期待に対する子どもの受け止め方尺度(受け止め方尺度)が作成された。中学生383名のデータを分析したところ, 一定の信頼性と妥当性が確認された。研究2では, 中学生312名を対象として質問紙を実施し, 期待を感じる程度および交互作用を統制した上で親の期待の受け止め方と適応の関連を階層的重回帰分析を用いて検討した。本研究の結果から, 期待を感じる程度よりも期待の受け止め方が内的適応に対する説明力が大きいことが示唆された。積極的受け止めは, 自己価値といった適応を促進することが示され, 負担的受け止めは, 不機嫌・怒り, 抑うつ・不安, 無気力, 身体反応を含むすべてのストレス反応を促進する事が示された。
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  • 山本 渉
    60 巻 (2012) 1 号 p. 28-47
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究では, 担任教師にスクールカウンセラー(以下, SCと略記)との協働の開始を促す状況とはどのようなものかについて, 担任教師の視点から, ボトムアップ的な現状把握を行うことを目的に, 半構造化面接法にて収集された16名の中学校教師のインタビュー・データを, グラウンデッド・セオリー・アプローチを援用して分析した。その結果, 5つの仮説的知見とモデルを生成した。仮説的知見とモデルの考察から, 担任教師が, 生徒の気になった言動について考える際に, その背景や理由を, 生徒個人の中に困難がある, 保護者の問題が影響している, 理由がはっきりしない, という3種に分けて理解している可能性や, 生徒(または保護者)への対応にあたって, 担任という立場に身を置くと誰もが課される制約を感じることが, 担任教師にSCとの協働の開始を促す可能性が示唆された。また, 担任教師がSCに期待する活動についても併せて検討したところ, 担任教師がSCに寄せる期待は, (1) 生徒・保護者に一緒に対応する人になること, (2) 自分が対応するにあたっての相談者になること, (3) 自分の対応に役立つ情報の提供者になることという, 3種に整理できることが示された。
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  • 池原 一哉, 豊田 秀樹
    60 巻 (2012) 1 号 p. 48-59
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     学生による授業評価は, ここ十数年の間に急速に普及し, 現在ではほとんどの大学で実施されている。しかし, 学生の評価は信用できないといった否定的な見解もあり, 学生だけでなく教員の意見も考慮して, 多角的な視点で授業の評価を捉える必要がある。また, 授業評価場面で一般的に利用される評定尺度法は, 教員個人内の比較を行う際には有益であるが, 個人間の比較には適さない。これは, 授業ごとに評価者(学生)が異なり, 評価者(学生)の評価の厳しさの差の影響を統制することができないためである。本論文では, 豊田・米村・齋藤(2004)のGAS(Group AHP by SEM)を拡張し, 学生間で評価する授業が同一でない状況に適用でき, 学生の評価の厳しさの差の影響を取り除いた上で授業間の相対的な比較が可能な授業評価モデルを提案した。そして, 学生と教員間で重要視される評価基準の違いを考慮した授業の総合評価を算出した。授業評価調査を実施し, 提案モデルを適用した結果, 学生と教員間では重要視する評価基準が異なることが示された一方で, 評価基準の重要度を利用して算出される両者の総合評価間の相関は高い値となった。なお, 母数の推定には, MCMC法によるベイズ推定を利用した。
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  • 湯澤 正通, 湯澤 美紀, 関口 道彦, 李 思嫻
    60 巻 (2012) 1 号 p. 60-69
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究では, 日本人幼児, 中国人幼児, 国際幼稚園の日本人幼児による英語非単語反復を比較し, 日本人幼児における英語音韻習得の制約を検討した。非単語反復とは, ある言語の典型的な音韻から構成された非単語を子どもに聴覚提示し, 即時反復させるものであり, その言語の音韻習得能力の指標と見なされている。2~5音節の英語非単語が反復刺激として, 日本人幼児46名, 中国人幼児63名, 国際幼稚園の日本人幼児29名に与えられた。その結果, 中国人幼児では, 非単語の音節数が増加するとともに, 完全正答数が減少し, 逆に, 音節再生数が増加した。一方, 日本人幼児では, 非単語の音節数の増加に伴う完全正答数の減少や音節再生数の増加は, 3音節で天井または床効果を示した。また, 国際幼稚園の日本人幼児では, 完全正答数や音節再生数は, 多かったが, 音節再生数の増加は, 一般の日本人と同様, 3音節で天井効果を示した。これらの結果から, 日本人幼児が, 英語の非単語の反復に, より多くの負荷をかけるような処理を行っていること, また, このような制約が早期の英語経験によって変化しにくいことが示唆された。
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  • 金子 泰之
    60 巻 (2012) 1 号 p. 70-81
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     生徒指導が中学生の問題行動と向学校的行動にどのような影響を与えるのかを検討した。公立中学校5校の中学生2,133名を分析対象とした。(1)問題行動の経験, (2)学校内問題行動, (3)攻撃性, (4)低セルフコントロール, (5)規範意識, (6)向学校的行動, (7)教師の生徒に対する関わりをたずねる質問紙を実施した。(1)問題行動の経験尺度から, 生徒を問題生徒(N=636)と一般生徒(N=1,403)に分けた。そして, 問題生徒と一般生徒を比較しながら, (3)攻撃性, (4)低セルフコントロール, (5)規範意識が, 行動指標である(2)学校内問題行動と(6)向学校的行動に及ぼす影響を検討した。また, (7)教師の生徒に対する関わりが, 生徒個人要因と行動指標に及ぼす影響を検討した。その結果, 教師による能動的な関わりの高さは, 生徒のセルフコントロールの高さと生徒の規範意識の高さと関連していた。教師による能動的な関わりの高さは, 生徒の向学校的行動の高さと関連していた。問題行動を抑止する視点だけでなく, 生徒の向学校的行動を促進する視点を持ち, 教師が生徒に能動的に関わることが, 生徒の学校適応を促すためには重要であることが示唆された。
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  • 邱 學瑾
    60 巻 (2012) 1 号 p. 82-91
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究は, 中国語と日本語の二言語間の同根語という観点から, 翻訳判断課題を用い, 漢字圏日本語学習者の日本語単語の意味処理に及ぼす母語の影響を検討したものである。実験1では, 聴覚呈示された日本語の後, 中国語が視覚的に呈示された。実験参加者は, 呈示された日本語と中国語が翻訳同義語であるかどうかを判断するように教示された。その結果, 日本語習熟度及び日本語単語の出現頻度にかかわらず, 同根語は非同根語より反応時間が短いことが示された。一方, 後続の中国語が聴覚的に呈示された実験2では, 低頻度語において, 同根語は非同根語より反応時間が長いことが明らかになった。また, 同根語のみにおいて, 高頻度語は低頻度語より反応時間が短かった。以上の結果から, 実験1で示された同根語の意味処理における優位性は中国語の文字情報によるものであったと考えられる。また, 同根語は非同根語より日本語の音韻習得の定着が遅いことも示唆された。
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展望
  • 篠ヶ谷 圭太
    60 巻 (2012) 1 号 p. 92-105
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     我々は学習を行う際, 人の説明を一度聞くだけ, 本を一度読むだけで, その内容を理解できるわけではなく, 事前や事後に適切な方略を用いて学習することで, 理解を深め, 知識の定着を図っている。そこで, 本稿では, 事前学習, 本学習, 事後学習の各フェイズにおいて適切な方略を使用しながら理解を深めていく学習プロセスのモデルを「フェイズ関連づけモデル」とし, そのモデルを用いて学習方略に関する先行研究の概観を行った。フェイズ関連づけモデルに基づいて先行研究を分類した場合, これまでの学習方略研究は, 1)フェイズの区別をせずに方略使用について測定した「フェイズ不特定型」, 2)フェイズを特定した上で方略使用を測定した「フェイズ特定型」, 3)複数のフェイズの関連に焦点を当てた「フェイズ関連型」の3つに分類することができる。本稿では, これらの先行研究から効果的な学習の在り方について示唆を得るとともに, 学習フェイズの関連づけの視点から見た場合に明らかになる課題を指摘し, 今後の学習方略研究に向けた枠組みを提案した。また, 最後には, 本稿の示した枠組みの実践的意義と学術的意義について論じた。
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