教育心理学研究
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60 巻 , 2 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 渡辺 大介, 湯澤 正通
    60 巻 (2012) 2 号 p. 117-126
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 5, 6歳児における社会的比較と自己評価の変動の関連を明らかにすること, および自己評価維持モデルを参考に, 自己評価の変動にかかわる要因を検討することであった。調査1では, 5, 6歳児63名が運動, 芸術, 知的, 社会的の4領域で, 自己, 理想の友人, 実際の友人の能力評価を行った。調査2では, 5, 6歳児67名が運動, 芸術の2領域で, 一番好きな活動と嫌いな活動について自己と実際の友人の能力評価を行い, そのときの感情を回答した。また, 自己と見知らぬ他児との能力比較に伴う感情を回答した。その結果, 以下のことが示された。1)5, 6歳児でも社会的比較を行い, それに応じて自己評価の変動が見られる。2)自己の能力評価がその活動に対する好き嫌いの程度と強く結び付き, 領域/活動ごとに自己と友人の相対的な能力評価を変える。3)友人より自己の能力を低く評価する場合でも, 否定的な感情が喚起せず, むしろ友人の高い能力を反映した肯定的な感情を報告する。
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  • 山本 寿子
    60 巻 (2012) 2 号 p. 127-136
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     単語アクセントには, 地域差や世代差によるゆれが見られる。日本人母語話者は, そのようなアクセントのゆれに対しても, 音韻情報に基づいて意味を解釈することで, 支障なくコミュニケーションを進めることができる。本研究は, このようなアクセントのゆれへの耐性が, いつから, どのようにして獲得されるのかを調べるために, 年少児(3~4歳)・年中児(4~5歳)を対象に, 正しいアクセント, あるいは誤ったアクセントで発音された単語を聴取し, 該当するターゲット写真を図版から選択する課題を行った。その結果, 年少児のターゲット選択数は, 誤ったアクセントで発音された場合に, より少なくなることが示された。一方, 年中児はアクセントの正誤にかかわらずターゲットを選択することができた。さらに, かな文字の知識がアクセントのゆれへの耐性を促進させる可能性を検討するために, かな文字を習得している幼児と, 未習得の幼児の間で課題遂行成績を比較したところ, 差は見られなかった。これらの結果より, 年中までにアクセントのゆれへの耐性が獲得されることが示された。考察では, この能力の獲得を促進させる要因について議論を行った。
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  • 東海林 渉, 安達 知郎, 高橋 恵子, 三船 奈緒子
    60 巻 (2012) 2 号 p. 137-152
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究では, 対人状況全般において用いられるスキルを行動(記号化)・認知(解読)・感情(統制)の視点から測定する中学生用尺度の作成を行った。はじめに, 既存の尺度から選別した項目をKJ法で分類し項目プールを作成した。調査1(A~C校の1, 2年生363名)の探索的因子分析の結果, 「意思伝達スキル」「動揺対処スキル」「意図的隠匿スキル」「他者理解スキル」「自己他者モニタリングスキル」の5因子が抽出された。α係数は.70~.80であった。また調査2(A~E校の1~3年生1,721名)の確認的因子分析の結果, 「意図的隠匿スキル」を除く4因子構造で十分な適合度が確認された(GFI=.94, AGFI=.92, CFI=.90, RMSEA=.05)。さらに, 構成概念妥当性の検討を行った調査3(A, B校の1~2年生220名)の結果, 「意図的隠匿スキル」以外で, 対人不安やソーシャルサポート, 攻撃行動との間に妥当な関連がみられた。以上より, 感情抑制による否定的影響が推察される「意図的隠匿スキル」を除く4因子24項目で「コミュニケーション基礎スキル尺度」を構成した。本尺度の4因子は, 相川(2009)の「ソーシャルスキル生起過程モデル」と類似しており, 対人状況全般における基礎的なスキルを測定していると思われた。
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  • 岡田 有司
    60 巻 (2012) 2 号 p. 153-166
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究では, (1) まず学校生活の諸領域が生徒関係的側面と教育指導的側面の2つの側面から捉えられるのかについて検証した。その上で, (2) これらの側面から生徒を分類し学校適応の違いを検討するとともに, (3) これらの側面と学校適応との循環的な関係について検討した。研究1では, 質問紙調査によって得られた中学生822名のデータ分析の結果, まず学校生活の諸領域が生徒関係的側面(友人関係, クラスへの意識, 他学年との関係)と教育指導的側面(教師との関係, 学業への意欲, 進路意識, 校則への意識)の2つの側面から捉えられることが示された。次に, 生徒関係的側面・教育指導的側面のどちらか一方の側面の得点が高かった生徒は, その側面が学校への心理的適応の支えになっており, 社会的適応についても部分的に支えていることが示された。研究2では, 中学生338名の縦断データ(1学期と3学期に同一の質問紙を実施)の分析から, 生徒関係的側面・教育指導的側面と学校適応の循環的な関係が示唆された。そこからは, それぞれの側面が学校適応に及ぼす影響の違いだけでなく, 学校適応がその後の両側面に与える影響についても示された。
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  • 香川 秀太
    60 巻 (2012) 2 号 p. 167-185
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究は, 従来の学内学習と現場実践との関係に関する議論を, 状況論の立場から検討し, 従来の徒弟制重視説や学内学習固有機能説に代わる, 緊張関係説を示した。これに基づき, 学内学習から臨地実習への看護学生の学習過程を調査した。学内学習を経て臨地実習を終えた学生に半構造化面接を行い, グラウンデッドセオリーアプローチによる分析を行った。その結果, 看護学生は, 学内学習では, 教員の指導にかかわらず, 架空の患者との相互行為を通して, ほぼ教科書通りの実践にとどまっていた。しかし, 臨地実習で, 本物の患者や看護師との, 学内とは異なる相互行為を通して, 教科書的知識を「現場の実践を批判的に見せるが柔軟に変更もすべき道具」と見なすように変化した。これを本研究では, 学内-臨地間の緊張関係から生まれる, 第1の学内学習のみにも, 第2の臨地での学習にも還元できない独特な知識, つまり「第三の意味(知)」ないし「越境知」として議論した。また, 学内と臨地の各場面での相互行為過程を, 「異なる時間的展望同士が交差・衝突し変化する過程(ZTP)」として考察した。最後に, 結果に基づき, 省察やリアリティ豊かな学習を促進する, 「越境知探求型の学習」を提案した。
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  • 弓削 洋子
    60 巻 (2012) 2 号 p. 186-198
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本研究は, 教師がひきあげる機能と養う機能という, 2つの矛盾した指導性機能をいかに実践して統合するか, 統合のあり方を各機能に対応する指導行動内容から捉えることを目的とした。小学校教師191名を対象に, 指導行動内容, 学級児童の学習意欲と学習理解度, 規律遵守意欲と遵守度, 学級連帯性について質問紙調査を実施した。その結果, 高学年では, ひきあげる機能の指導行動「突きつけ」と養う機能の指導行動「理解」との間に正の相関があり, 教師がいずれの行動も多く実施するとき, 児童の学習意欲, 規律遵守意欲, 規律遵守度, 学級連帯性の評定値が高いことが示された。中学年では養う機能の指導行動「理解」を多く実施するとき, 規律遵守意欲と遵守度, 学級連帯性の評定値が高いことが示された。但し, 担任学級4~6年児童(34学級, 1,037名)による学習・規律遵守意欲, 学級連帯性評定では, 学級連帯性のみ教師評定と一貫した結果となった。高学年において, ひきあげる機能の指導行動「突きつけ」と養う機能の指導行動との相互促進的な実施が機能統合の具体像として示された。児童の資源や課題性にみる学年の違いが影響したと示唆される。
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  • 小林 敬一
    60 巻 (2012) 2 号 p. 199-210
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本論文では, 大学生による紙上討議(論述文の中に産出された, 複数テキスト間の論駁的関係に対する応答), それとテキスト間関係の理解との関係, そしてこの2つの過程に及ぼす読解目標の効果を検討した。大学1年生95名に, 論争の構図を理解する読解目標(論争理解目標)条件か争点に関する自分の意見を生成する読解目標(意見生成目標)条件かのいずれかの条件で4つの論争的なテキストを読んでもらい, それから争点に関する自分の意見を論述してもらった。主な結果は次の通りである。(a) 論述文の中でどの論駁的関係にも応答していなかった者や論駁された論者の議論をその論駁に対する反論なしに利用した者が半数以上いた。一方, 全ての論駁的関係を踏まえてそれらに応答した者はほとんどいなかった。(b) テキスト間関係の理解は論駁的関係に対する応答を予測した。(c) 論争理解目標群は意見生成目標群よりもテキスト間関係の理解が優れており, この効果は論駁的関係に対する応答にまで及んだ。
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展望
  • 竹村 明子, 仲 真紀子
    60 巻 (2012) 2 号 p. 211-226
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     二次的コントロール(Secondary Control : SC)(Rothbaum, Weisz, & Snyder, 1982)とは, 状況に合わせて個人が変わる過程を表す概念であり, 集団主義的文化や高齢者心理の特徴を理解するために重要な概念として期待されている。しかし, SC概念は研究者ごとに捉え方が異なり, 研究結果の比較を妨げる障害となっている。本稿は, このようなSC概念に関する研究者間の一致・不一致を整理することを目的に, 関連研究のレビューを行った。その結果, 1) SCの概念構造に関して, 階層構造を想定する立場と単層構造を想定する立場があること, 2)一次的コントロール(Primary Control : PC)とSCの関係において, PCとSCと諦めの位置づけおよびPCとSCの区分基準, PCに対するSCの機能性に関する考え方に研究者間の違いがあること, などを見出した。さらに, 3)統制感の維持に焦点を当てる立場と状況との調和に焦点を当てる立場, 4)行動と結果の随伴性認知を必然と捉える立場と偶然と捉える立場, 5)SCの統制主体を自分以外と捉える立場と自分自身と捉える立場, などの考え方の違いにより想定されるSCの機能性が異なることを明らかにし, 今後の課題について考察した。
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