教育心理学研究
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60 巻 , 3 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 大浦 賢治
    60 巻 (2012) 3 号 p. 235-248
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     選言文「pまたはq」の推論スキーマに関しては, Piagetの発達理論をめぐってこれまで対立する2つの見解が存在した。1つはBraine & Rumain(1981)によって主張された5, 6歳からでも選言文の推論が可能であるとする立場であり, もう1つは中垣(1991)によって主張された11, 12歳以降にそれが可能になるとする立場である。この見解の相違は「pまたはq」におけるpとqの概念的関係の違いが大きな原因であると考えられた。そこで本研究では, 概念的関係の異なる2つの課題を同時に実施することにより, この矛盾点を解決すると共に, 選言3段論法課題における子どもの認知発達について検討した。その結果, 選言3段論法推論に関しては, pとqが概念的に両立する場合よりも両立しない場合の方が, 容易に推論のなされることや, 学年が上がるにつれて両立的選言解釈をして回答する割合の多いこと, さらに選言3段論法に関する推論スキーマの獲得が完了する時期は, Braine & Rumain(1981)が主張した時期よりもかなり後になってからであることなどが判明した。
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  • 竹田 剛
    60 巻 (2012) 3 号 p. 249-260
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     摂食障害患者の自尊感情は低い状態にあると多く指摘されており, 自尊感情の形成に影響を与えるとされる自己概念に関する研究が行われている。しかしそれらは量的指標によるものが多く, 生き生きと個人を理解するには自己物語を通した把握が必要であるといえる。そこで本研究では, 主に神経性過食症患者はどのように自己を捉えているのかというリサーチクエスチョンの下, 神経性過食症患者7名と特定不能の摂食障害患者1名を対象にしたインタビュー調査を行い, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて自己物語の分析を行った。その結果, 7つの仮説的知見を得て, それに基づいて神経性過食症患者の自己認識についての仮説モデルを作成した。神経性過食症患者は【「食」関連】【自己存在・他者存在】【関係性】の3領域に関する自己物語を有しており, 各領域において患者にとってネガティブであると考察できる展開をもっており, かつ各領域に含まれる自己物語は複雑に関係し合っていることが明らかとなった。各領域のもつネガティブな面, および自己物語の複雑性から抜け出すことが困難である点から患者の自尊感情は低い状態にあると考察された。
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  • 児玉 真樹子
    60 巻 (2012) 3 号 p. 261-271
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究では, 教職志望の変化に及ぼす教育実習の影響過程を, 社会・認知的キャリア理論を参考に検討し, さらに, 国立教育政策研究所生徒指導研究センターの提唱する「職業的(進路)発達にかかわる諸能力」の, その過程における働きを明らかにすることを目的とした。教育実習生を対象に実習前と後に質問紙調査を実施し, 240名分のデータを得た。分析の結果, 実習前の「職業的(進路)発達にかかわる諸能力」が高かった者ほど, 教職効力感が高く, 実習で個人的達成をより多く経験していたが, 実習前後での教職効力感の変化量は小さかった。また, 実習前の「職業的(進路)発達にかかわる諸能力」の高低によって, 諸要因間の関係性が異なることが確認された。「職業的(進路)発達にかかわる諸能力」低群では, 指導教員からの支援が教職効力感向上に大きく影響しており, それが教職への興味の変化を介して教職志望の変化に影響を及ぼしていた。一方高群では, 実習での個人的達成状況によって特に教授・指導にかかわる教職効力感の変化が生じ, それがやりがいといった教職結果期待の変化および教職への興味の変化を介して教職志望の変化に影響を及ぼしていた。
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  • 鈴木 雅之
    60 巻 (2012) 3 号 p. 272-284
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究では, 教師のテスト運用方法と学習者のテスト観の関連について検討した。テスト運用方法については, テストの実施目的や評価基準を生徒に理解させる取り組みであるインフォームドアセスメントと, テスト内容に着目した。また, テスト運用方法を生徒が認知することの効果と, テスト運用方法の異なる学校に所属することの効果は互いに異なるものであるため, それぞれの効果を同時に検討した。中学生・高校生1,358名を対象に質問紙調査を実施し, マルチレベル分析を行った結果, インフォームドアセスメントに関する取り組みを高い水準で行っている学校に所属する生徒ほど, テストの学習改善としての役割を強く認識し, 学習を強制させるための役割を弱く認識するなど, 肯定的なテスト観を有していた。また, インフォームドアセスメントに関する取り組みを教師が行っており, テストで出題される問題の実用性が高いと認知している学習者ほど, 肯定的なテスト観を持ち, 教科能力を測っているとは思えない問題が出題されていると認知する学習者ほど, 否定的なテスト観を持つ傾向にあることが示された。さらに, これらの関連には学校間差や個人差はほとんどみられなかった。
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  • 小林 正法
    60 巻 (2012) 3 号 p. 285-295
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究は思考生成方略が記憶の意図的抑制に有効かどうかを検討したものである。思考生成方略とは, 抑制対象の手がかりが提示された際, 特定の思考内容を生成し, それについて考えることで抑制を行う方略であった。その思考内容は, 手がかりと意味的に関連するが, 抑制対象とは異なるものであった。課題にはThink/No-think課題(Anderson & Green, 2001)を用いた。統制群(n=15)と思考生成方略群(n=14)を設定し, 両群の間で抑制対象の(抑制意図に反した)侵入度と記憶成績を比較した。記憶成績は手がかり再生テストと再認テストによって測定した。実験の結果, 思考生成方略群でのみ, 正再生率, 正再認時間における記憶の抑制効果が確認された。さらに, 思考生成方略群の方が統制群よりも侵入度を低く報告した。以上のような結果から, 思考生成方略が記憶の意図的抑制効果を高めることが示された。
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  • 安永 和央, 石井 秀宗
    60 巻 (2012) 3 号 p. 296-309
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究では, 国語読解テストにおける設問の問い方を操作し, 設問設定の違いが受検者の能力評価にどのような影響を及ぼすかを比較検討した。具体的には, 1)一文抜き出し問題に対して, 多枝選択式問題と記述式問題を設定し, 2)会話文中の空所の形及び数を操作し, また, 図の空所の関係を表す「=」の有無を操作し, 3)空所前における単語の説明の有無を操作したものを中学3年生703名に実施した。項目分析の結果, 1)では, 設問形式は評価に影響を及ぼさないことがわかった。2)では, 図に空所の関係性を提示しない場合, 空所の形は同一にしない方が, 得点率及び識別力の値を高くすることがわかった。また, 空所の形が異なる場合, あるいは, 空所の形が同一で空所数が少ない場合, 図に空所の関係性を提示しないことが, 前者では得点率を高くし, 後者では識別力の値を高くすることがわかった。さらに, 空所の数が多く, 形が同一に表記されているなど, テキストが複雑な構成となる場合には, 図に関係性を示す「=」を添えることが, 受検者にとって正答を導く手がかりとなる可能性が示された。3)では, 性別及び群別の検討において, 低群と高群で性差が確認された。これらの結果から, わずかな設問の操作によって受検者の回答傾向に変化が生じることが示された。このことは, 設問などテストの構造的性質について実証的検討を行うことの意義を示している。
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  • 三輪 聡子
    60 巻 (2012) 3 号 p. 310-323
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 児童の勤労観の形成をいかに道徳授業で促進することができるのかについて検討を行うことである。本研究では, 1)望ましい勤労観の解釈場面と2)多様な勤労観との照合場面という道徳授業の2展開場面に着目した。各展開場面で児童が行う認知処理過程に対して, アナロジー推論が影響を与えると考えられた。研究1では, 望ましい勤労観を物語文から解釈する場面にて, アナロジー推論がいかに児童の解釈(アブダクション)に影響を与えるのか, 検討を行った。6年生(N=120)を3群に分け, 異なる方法でアナロジー推論の促進を行い, アブダクションに与える影響をみた。その結果, アナロジー推論を行うように促すよりも, 構造的類似性に基づいたアナロジー例を提示した方が, アブダクションに至る児童が多くみられた。研究2では, 多様な勤労観との照合場面にて, いかにアナロジー推論が児童の勤労観の解釈に寄与するのかについて事例検討を行った。その結果, 他者との相互作用の中で, 外化されたアナロジーを媒介として探索的にアブダクションが行われていたことが示された。以上から, アナロジー例の提示およびアナロジー推論の使用が, 勤労観の形成において重要な「望ましいとされる勤労観」と「多様な勤労観の存在」の認識を促す上で有効であることが示された。
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  • 奈田 哲也, 堀 憲一郎, 丸野 俊一
    60 巻 (2012) 3 号 p. 324-334
    公開日: 2013/02/08
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 奈田・丸野(2007)を基に, 知識獲得過程の一端を知り得る指標としてエラーバイアスを用い, 他者とのコラボレーションによって生起する課題活動に対するポジティブ感情が個の知識獲得過程に与える影響を明らかにすることであった。そのため, 小学3年生に, プレテスト(単独活動), 協同活動セッション, ポストテスト(単独活動)という流れで, 指定された品物を回り道せずに買いながら元の場所に戻る課題を行わせた。その際, 協同活動セッション前半の実験参加者の言動に対する実験者の反応の違いによって, 課題活動に対するポジティブ感情を生起させる条件(協応的肯定条件)とそうでない条件(表面的肯定条件)を設けた。その結果, 協応的肯定条件では, エラーバイアスが多く生起し, より短い距離で地図を回れるようになるとともに, やりとりにおいて, 自分の考えを柔軟に捉え直していた。これらのことから, 課題活動に対するポジティブ感情は, その活動に没頭させ, さらに, 相手の考えに対する柔軟な姿勢を作ることで, 新たな視点から自己の考えを捉え直させるといった認知的営みを促進させる働きを持つことが明らかとなった。
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