教育心理学研究
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60 巻 , 4 号
教育心理学研究
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エラータ
原著
  • 平野 真理
    60 巻 (2012) 4 号 p. 343-354
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 「生得的にストレスを感じやすい」というリスクを, レジリエンスによって後天的に補うことができるかを検討することであった。18歳以上の男女433名を対象に質問紙調査を行い, 心理的敏感さと, 資質的レジリエンス要因(持って生まれた気質の影響を受けやすい要因)・獲得的レジリエンス要因(後天的に身につけやすい要因)の関係を検討した。分散分析の結果, 心理的敏感さの高い人々は資質的レジリエンス要因が低い傾向が示されたが, 獲得的レジリエンス要因については敏感さとは関係なく高めていける可能性が示唆された。次に, 心理的敏感さから心理的適応感への負の影響に対する各レジリエンス要因の緩衝効果を検討したところ, 資質的レジリエンス要因では緩衝効果が見られたものの, 獲得的レジリエンス要因では主効果のみが示され, 敏感さというリスクを後天的に補える可能性は示されなかった。また心理的敏感さの程度によって, 心理的適応感の向上に効果的なレジリエンスが異なることも示唆され, 個人の持つ気質に合わせたレジリエンスを引き出すことが重要であることが示唆された。
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  • 大谷 和大, 中谷 素之, 伊藤 崇達, 岡田 涼
    60 巻 (2012) 4 号 p. 355-366
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     学業領域における自己価値の随伴性とは, 個人が学業達成をどの程度自尊心の源としているかの指標である。これまでの自己価値の随伴性を扱った研究では, 自己価値の随伴性が成績などの学習成果に与える影響を検討してきたが, 必ずしも一貫した結果が得られていない。このような矛盾した結果には調整変数が自己価値の随伴性と学習成果の間の関連を調整している可能性が考えられる。本研究では, 調整変数として学級の目標構造(熟達目標構造と遂行目標構造)に着目し, 自己価値の随伴性と目標構造が交互作用することにより, 内発的興味と自己調整学習方略に与える影響を階層線形モデル(HLM)により検討した。小学校5年生から中学校2年生, 1,212名(合計43学級)を対象に算数・数学の学習について質問紙による調査を行った。結果, 自己価値の随伴性と熟達目標構造は内発的興味および自己調整学習方略に正の関連を有していた。また, 自己調整学習方略において自己価値の随伴性と熟達目標構造の交互作用が有意となり, 自己価値の随伴性は熟達目標構造が低い学級において, 自己調整学習方略の使用を高めることが明らかとなった。
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  • 池田 浩, 三沢 良
    60 巻 (2012) 4 号 p. 367-379
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究は, 失敗に対する捉え方や価値観を意味する失敗観尺度を作成し, その信頼性と妥当性の検討を行った。研究1では, 自由記述の回答からKJ法を用いて失敗観の構造を明らかにし, それと関連する先行研究を基に尺度の原案を作成した。そして, 大学生246名を対象に調査を実施し, 失敗観はネガティブ感情価, 学習可能性, 回避欲求, 発生可能性の4因子で構成されていることを見出した。研究2では, 759名の大学生を対象に調査を実施し, 尺度の内的整合性と時間的安定性を含めた信頼性, そして関連する尺度との関係性から妥当性を確認した。最後に, 研究3では, 大学生187名を対象に場面想定法による調査を実施したところ, どのような失敗観を持つかによって, 失敗に対する原因帰属やその後の対処行動が規定されることが示唆された。
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  • 山口 剛
    60 巻 (2012) 4 号 p. 380-391
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究は, 高校生における英単語学習方略使用の規定要因である, 認知的要因(方略の有効性の認知・コスト感, 学習観)と動機づけ要因(達成目標)のどちらがより方略使用を規定するかを検討した。また, 定期テスト後に方略使用の程度を変えようとするかという方略使用への意志の規定要因も検討した。その際に, 直前に実施された英語の定期テストに対する得点予想の高低における個人差によって規定要因が異なるかについても注目した。予想得点低群(84名), 中群(94名), 高群(112名)に分けて, 「学習方略の実際の使用」と「方略使用への意志」に対する各変数からのパスを仮定したパス解析を行った。その結果, 方略使用には一貫して有効性の認知から有意なパスがみられ, 方略使用への意志には方略使用と有効性の認知から有意なパスがみられた。しかし, 多母集団同時解析によるパス係数の大きさの比較を行ったところ, 得点予想高群はその他の群に比べてテスト前後では方略の使用程度を変えないのに対し, 低群では有効性やコスト感に介入することで使用程度が変わる可能性が示された。教育実践において, 動機づけ要因だけでなく認知的要因にも注目することが重要であろう。
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  • 小浜 駿
    60 巻 (2012) 4 号 p. 392-401
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 第1に先延ばし意識特性尺度を用いて3パターンの先延ばしを行いやすい者を特定することであり, 第2に3パターンの先延ばしを行いやすい者の適応性について検討を行うことであった。大学生235名を分析対象とした。主成分分析の個人得点を用いて調査対象者を群分けし, 精神的健康および気晴らし尺度の平均差の検討を行った。分散分析の結果, 以下の3点が明らかになった。第1に, 否定的感情が一貫して生じるパターンの先延ばしは, ストレスコーピングとして機能しない非機能的な気晴らしを繰り返し行い, 日々の精神的適応を悪化させる不適応的な先延ばしであることが明らかになった。第2に, 状況の楽観視を伴うパターンの先延ばしは, 気分緩和を意図して先延ばしを行い, 先延ばし中には課題を忘れて気晴らしを楽しむことができるパターンであるが, 気晴らしへの依存を起こしやすいことが明らかになった。第3に, 計画性と気分の切り替えが生じやすいパターンの先延ばしは, 課題のために考えをまとめようと意図して一時的に先延ばしをした結果, 目標明確化が進み, 気分悪化が生じない適応的な先延ばしであることが明らかになった。
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原著[実践研究]
  • 小野田 亮介
    60 巻 (2012) 4 号 p. 402-415
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究では, 複数人が数行ずつ文章を書き加えるリレー作文を使用し, 作文の習慣化可能性および習慣化の効果について検討した。具体的には, リレー作文の実施過程, 学級風土, 読み書き態度の3観点から習慣化可能性を検討し, 文章産出の観点から習慣化の効果について検証した。小学校3年生の1学級27名を対象にリレー作文を3週間実施し, 児童の取り組み方と実施の影響について分析を行った。その結果, 1)リレー作文は短時間での実施が可能であること, 2)リレー作文を媒介した児童関係が構築され, 作文への関与を支援する学級風土が形成されること, 3)リレー作文への取り組みを通して, 作文に苦手意識をもつ児童の書き態度に正の変化がみられること, 4)リレー作文の実施後に児童の文章産出量が上昇すること, の4点が明らかになった。以上の結果から, リレー作文は習慣化可能な作文課題として十分な適性を備えていること, およびリレー作文の習慣的な実施が児童の書く行為に正の影響を及ぼすことが示唆された。
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  • 小田切 歩
    60 巻 (2012) 4 号 p. 416-429
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究は, 理解を深めることを知識の再構造化を行うことと定義し, 協同過程において非発言者を含む個人が理解を深めるプロセスを明らかにすることで, 高校の数学授業における, 個人の理解に結びつくような協同過程のあり方について検討した。高校生が困難を抱えている指数関数的変化に関する問題解決過程を, 事前テスト—授業(協同過程を通じた問題解決または演習と解説)—事後テストのデザインで検討した。分析の結果, 協同過程において, 自分の考えを明確にし, 生じた認知的葛藤を解消するため, 既有知識や他者の考えを関連づけて自分の考えを精緻化し, 新たな考えを創出することが, 授業後の知識の再構造化につながることが示された。さらに個人の考えの精緻化プロセスの分析から, 認知的葛藤の発生と解消を通じて知識の再構造化が適切に行われるためには, 協同過程を組織する上で, (1)生徒が自分の考えを明確にできるよう, 既有知識を活かせる課題を設定し, 個別解決の時間を十分にとること, (2)生徒による他者の考えの根拠の明確化や不十分点の指摘を, 発問によって促すこと, (3)多様な考えが可能な課題を設定し, 考えの発表を促すこと, の3点が重要であることが示唆された。
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  • 小林 朋子, 櫻田 智子
    60 巻 (2012) 4 号 p. 430-442
    公開日: 2013/06/04
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 災害を体験した中学生が災害直後から1ヶ月の間にどのようなことを感じ, 考えていたのかを明らかにし, その心理的な変化のモデルを生成することである。2004年の新潟県中越地震を経験した中学生の震災後の作文を, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果, 56個の概念, そして32個のカテゴリー, さらに5個のカテゴリー・グループが抽出された。災害後に, 家族や友人の安否がわかることで安心感が生まれ, 特に学校で友人に会えたことによって不安が解消されていったことがわかったことから, 学校再開がこころのケアにおいて非常に重要であると考えられた。また, 周囲の状況を冷静に捉え, 「自分の方がまだましだ」と考え対処しようとしたり, 自分だけではなく地域全体が早く復興できるよう願うなど, 自分だけの視点に捉われずに状況を把握していた。そして支援を受けるだけではなく, 「みんなの役に立ちたい」という思いを持っていたことが示された。
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