教育心理学研究
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61 巻 , 1 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 小田切 歩
    61 巻 (2013) 1 号 p. 1-16
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では, 授業場面における集団での多様な考えの統合過程(協同的統合過程)を通じて, 個人が多様な知識をどのように関連づけていくのかという個人の知識統合のメカニズムを検討した。その中でも, 教科内容の知識と日常的な知識の関連づけに着目し, 高校生が理解に困難を抱えている三角関数と回転運動との関連づけに関する問題解決過程を, 事前課題—授業(協同的統合過程の有無)—事後課題のデザインで検討した。分析の結果, 多様な解決方略が可能な課題を設定し, 教師の支援のもとで生徒がそれらの方略の構造化を集団的に行うような協同的統合過程において, 個人が発言あるいはワークシート上で日常的な知識と教科内容の知識を用いて方略間の関連に関する説明を構築することで, 円という共通点による, 回転運動という日常的な知識と単位円という具体的な教科内容の知識との関連づけをもとに, 高さの変化を表すものとして, 回転運動と三角関数という抽象的な教科内容の知識が関連づけられ, さらに半径や高さの基準という, より具体的な教科内容の知識が関連づけられていくというプロセスで知識が構造化されていき, 事後課題において知識統合が促進されることが示された。
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  • 鈴木 豪
    61 巻 (2013) 1 号 p. 17-31
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では, 小・中学生を対象として学年間および学校移行時における学習観の変化について検討を行った。予備調査から学習観尺度を作成し, 小学校5年生から中学校3年生を対象として, 学年をまたいで半年おきに3度質問紙調査を行った。また, 2回目, 3回目の調査では, 学習方略使用との関連も検討した。学習観尺度について「意味理解志向学習観」「暗記再生志向学習観」「学校依存的学習観」「義務的学習観」の4因子が抽出された。学習観の尺度得点について調査時点ごとに横断的な分析を行ったところ, 全時点で小学5年生が中学2年生よりも意味理解志向学習観を持ち, 1回目, 3回目において中学2年生が小学6年生よりも暗記再生志向学習観を持っていた。小学6年生から中学1年生までの縦断的変化を2クラスターに分けて分析した結果, 一方の群では, 時点に伴う意味理解志向学習観得点の低下と暗記再生志向得点の上昇が見られたが, もう一方の群では見られなかった。また, 意味理解志向学習観がプラニング方略, モニタリング方略, 認知・作業方略の各学習方略使用と相関が最も高く, 意味理解志向学習観の重要性が示唆された。
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  • 吉田 寿夫, 村山 航
    61 巻 (2013) 1 号 p. 32-43
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     これまで, 「学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していない」ということが, 学習方略の研究者によって示唆されてきた。本研究では, こうした実態について定量的に検証するとともに, なぜこうしたことが起きるのかに関して, 「コスト感阻害仮説」, 「テスト有効性阻害仮説」, 「学習有効性の誤認識仮説」という3つの仮説を提唱し, 各々の妥当性について検討を行った。また, その際, 先行研究の方法論的な問題に対処するために, 学習方略の専門家から収集したデータを活用するとともに, 各学習者内での方略間変動に着目した分析を行った。中学生(N=715)と専門家(N=4)を対象にした数学の学習方略に関する質問紙調査を行い, それらのデータを分析した結果, 実際に学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していないことが示された。また, 学習有効性の認識に関して専門家と学習者の間に種々の齟齬があることが示されたことなどから, 学習有効性の誤認識仮説が概ね支持され, どのような方略が学習に有効であるかを学習者に明示的に伝える必要性が示唆された。
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  • 永井 智
    61 巻 (2013) 1 号 p. 44-55
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 援助要請自立型, 援助要請過剰型, 援助要請回避型, という3つの援助要請スタイルを測定する尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討することである。大学生を対象とし, 3つの質問紙調査を行った。まず, 研究1において尺度の一定の妥当性と内的整合性が確認された。研究2において, 尺度の再検査信頼性が確認された。研究3では, 縦断調査を行い, 援助要請スタイルと4週間後の実際の援助要請行動との関連を検討した。その結果, 援助要請自立型尺度の高群は, 悩みの程度に応じて援助要請を行っていたのに対し, 援助要請過剰型尺度の高群は, 悩みが少ない時でも援助要請を多く行っていた。また, 援助要請回避型尺度の高群は, 悩みが多い時でも援助要請を行わなかった。このように, 本研究で作成された尺度は実際の援助要請行動のパターンを予測していた。
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  • 稲垣 実果
    61 巻 (2013) 1 号 p. 56-66
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では, まず研究1において思春期(中学生)・青年期(高校生, 大学生および専門学校生)における自己愛的甘えの程度および質についての発達的変化を検討した。さらに, 研究2においては自我同一性の形成に対する自己愛的甘えの影響を検討するため, 自己愛的甘え尺度と多次元自我同一性尺度との関連について青年期である高校生と大学生および専門学校生との間で比較検討した。その結果, 中学生・高校生・大学生および専門学校生の全ての段階で, 自己愛的甘えの3つの構成概念(「屈折的甘え」「配慮の要求」「許容への過度の期待」)は同様に仮定できることが明らかになった。また, 思春期(中学生)においては「甘え」の欲求はあるが, 自己愛的甘えについての自覚が低いのに対し, 青年期(高校生・大学生および専門学校生)になると自己愛的甘えに対する自覚が高くなることが示された。さらに, 高校生においては自己愛的甘えが自我同一性に部分的に関わっているが, 大学生以降になると高校生に比べ自己愛的甘えの問題がより広く自我同一性の問題に関わってくることが示唆された。
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  • 水口 啓吾, 湯澤 正通, 李 思嫻
    61 巻 (2013) 1 号 p. 67-78
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     本研究では, 英語と日本語の準バイリンガル日本語母語話者(研究1)と, 日本語と中国語のバイリンガル中国語母語話者(研究2)を対象として, 第2言語の熟達化によって母語のリズムによる音声知覚が変化するのかどうかを検討した。研究1では, TOEICのListening得点を基準として, 大学生・大学院生47名を英語聴覚能力高群と英語聴覚能力低群に分け, 5つの音韻構造の異なる英単語のスパン課題を行った。研究2では, モノリンガル中国語母語話者およびバイリンガル中国語母語話者44名に, 研究1と同様の英単語スパン課題を行った。その結果, 英語聴覚能力低群は, モーラのリズムに準じた分節化を行っていたのに対して, 英語聴覚能力高群は, モーラのリズムと音節のリズムの影響を同時に受けていた。また, モノリンガル中国語母語話者が, 1~2音節を1つのまとまりとして音声知覚していることが示唆されたのに対して, バイリンガル中国語母語話者は, モーラのリズムに準じた分節化を行っていた。以上の結果から, いったん習得した日本語のモーラのリズムによる音声知覚を変えることは極めて難しく, 英語の音声知覚に強い影響を及ぼすことが示唆された。
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展望
  • 安達 知郎
    61 巻 (2013) 1 号 p. 79-94
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     近年, 学校現場でソーシャルスキル教育(以下, SSE)が盛んに実践されている。SSEの効果を実証するためには, その効果を適切に測定するソーシャルスキル尺度(以下, スキル尺度)が不可欠である。そこで本研究では, SSEへの適用という視点から, スキル尺度の日本における現状と課題を明らかにすることを目的とした。展望Iでは, SSEの効果を測定するためにスキル尺度に求められる条件を明らかにすることを目的として, 近年, 日本でなされたSSE実践研究23本を, 効果測定のために測定されたソーシャルスキルの内容という観点から展望した。結果, SSEの効果を測定するためにスキル尺度に求められる条件は, SSEのターゲットスキルを正確に測定すること, 一般的なソーシャルスキルを網羅的に測定することの2つであることが明らかになった。展望IIでは, 既存のスキル尺度が上記した条件をどれだけ満たしているかを明らかにすることを目的として, 先行研究で用いられていたスキル尺度34個を展望した。結果, 既存のスキル尺度の内容には偏りがあり, ソーシャルスキルを網羅的に測定できないこと, 既存のスキル尺度ではSSEのターゲットスキルを正確に測定できないことが明らかになった。さいごに, 展望I, IIの結果を踏まえ, スキル尺度の今後の展望を示した。
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  • 高橋 麻衣子
    61 巻 (2013) 1 号 p. 95-111
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
     書き言葉を読んで理解する能力は活字媒体から情報を取得するために必要な能力であり, これを効果的に育成することは学校教育の大きな目標の一つである。読解活動の形態には大きく分けて音読と黙読が存在するが, 読解指導の場面では最終的に黙読での読解能力を習得させることを目的としている。本論文では, 読解能力の発達段階によって音読が読解過程に及ぼす影響はどのように異なるのか, そして, 黙読での読解能力を習得する上で音読はどのような役割を担うのかを考察することを目的とした。まず, 成人と児童それぞれにおける音読の有用性を検討し, 読み能力によって音読の役割が異なることを示した。特に児童においては, 読解中に利用可能な認知資源の量が少なくても, 構音運動や音声情報のフィードバックによって音韻表象を生成し利用できることが, 音読の利点として挙げられた。そして, 読解中の音韻表象の生成と眼球運動のコントロールに着目して, 音読から黙読への移行についての仮説的モデルとこれに即した指導法を提案し, 今後の課題を述べた。
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