教育心理学研究
検索
OR
閲覧
検索
61 巻 , 2 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
原著
  • 神崎 奈奈, 三輪 和久
    61 巻 (2013) 2 号 p. 121-132
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     グラフの表現の違いが情報理解に与える効果が確認されてきた。このことは, 説明の仕方によって, グラフの使い分けがなされる必要があることを示唆している。本研究では, 研究発表等で日常的にグラフを使用している研究者を日常的グラフユーザと定義し, 日常的グラフユーザ, および理系大学院生, 文系学部学生を対象として, 自らが生成した説明とグラフ表現の一貫性に関する検討を行った。具体的には, 生成された説明中の特定の変数の表現と, 作成されたグラフにおける変数の配置の一貫性という観点から, グラフ作成に関する実験を行った。実験1A, 1Bの結果から, 日常的グラフユーザ, および理系大学院生は, 自らが生成した説明と一貫した表現のグラフを作成していることが確認された。一方, 実験2の結果から, 文系学部学生に関しては, 説明に関連したグラフの使い分けは確認されなかった。ただし, 実験3の結果から, 文系学部学生に関しても, グラフの候補を提示することによって, 自らグラフを作成する状況に比して, 説明に関連したグラフの使い分けが促進されることが示唆された。
    抄録全体を表示
  • 益子 洋人
    61 巻 (2013) 2 号 p. 133-145
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     本研究では, 過剰適応を「関係維持・対立回避的行動」と「本来感」から捉えた。本研究の目的は, 自他双方が満足できる葛藤解決を目指す「統合的葛藤解決スキル」をとる程度と, 関係維持・対立回避的行動, 本来感との関連を検討することであった。予備調査では, 大学生429名の回答を分析し, 「丁寧な自己表現」「粘り強さ」「受容・共感」「統合的志向」からなる統合的葛藤解決スキル尺度(Integrating Conflict Resolution Skills Scale ; ICRS-S)を開発した。α係数や再検査信頼性の値から, 一定の信頼性が確認された。また, 社会的スキル, 友人満足感, 対人葛藤方略スタイルとの相関分析から, 一定の妥当性が確認された。本調査では, 大学生197名の回答を分析し, 統合的葛藤解決スキルと関係維持・対立回避的行動, 本来感の関連を検討した。共分散構造分析の結果, 統合的葛藤解決スキルは本来感を向上させ, 過剰適応者の適応を促進する可能性が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 浦上 涼子, 小島 弥生, 沢宮 容子
    61 巻 (2013) 2 号 p. 146-157
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     「痩身理想の内在化」とは, 社会的に魅力がある, 価値があるとされる痩身を, 自己の価値観や理想として取り込んでしまう概念である。本研究の目的は, この痩身理想の内在化と痩身願望との関係について検討することであった。具体的には, 雑誌からの影響の受けやすさ, 他者からの承認欲求, 自尊感情といった個人特性が, 痩身理想の内在化を媒介した場合に痩身願望へどのように結びつくかについて, 男女大学生を対象に多母集団同時分析を行い, その相違点について検討を行った。男女大学生585名を対象に質問紙調査を実施し, 現在の体重(体型)を下回る体重が魅力的だとする336名について分析を行った結果, 男女ともに, 個人特性は痩身理想の内在化を媒介することで, 痩身願望とより強い関連が認められた。また, 男女によって個人特性が直接的に痩身願望に結びつくパターンと痩身理想の内在化と媒介するパターンに違いがみられた。本研究の結果から, 痩身理想の内在化は摂食障害の危険因子である痩身願望に大きな影響を及ぼす要因であることが明らかになった。今後は, この痩身理想の内在化に焦点を当てて実証的な研究を行う必要性が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 竹島 克典, 松見 淳子
    61 巻 (2013) 2 号 p. 158-168
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     本研究は, 小学校において, 抑うつ症状を示す児童の仲間との社会的相互作用を行動観察し, その対人行動の特徴と機能的関係を検討することを目的とした。自己記入式の抑うつ評価尺度を用いて抽出した抑うつ症状を示す高学年児童10名について, 学校内の2つの場面で行動観察を実施し, 仲間との相互作用について低抑うつ児童10名との比較を行った。観察1では, 学校の休憩時間に抑うつ症状を示す児童の自然観察を行った。観察2では, グループの問題解決課題場面を設定し, 抑うつ症状を示す児童と仲間との相互作用を観察した。その結果, 抑うつ症状を示す児童は, 自然場面において孤立することが多く, 仲間との相互作用が少ないことが明らかになった。また, 観察2の結果から, 抑うつ症状を示す児童は, グループ場面においても孤立・引っ込み思案行動が多く, 仲間とのポジティブな行動のやり取りが少ないことが明らかになった。さらに, 相互作用の逐次分析から, 抑うつ児の孤立・引っ込み思案行動の下では, 仲間の攻撃行動が起こりにくいことが示された。 これらの結果から, 児童の対人行動および仲間の行動との機能的関係について考察し, 子どもの抑うつに関する対人モデルを検討した。
    抄録全体を表示
  • 江上 園子
    61 巻 (2013) 2 号 p. 169-180
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     本研究は, 幼児を持つ夫婦304組(合計608名)を対象にして, 父親と母親の「母性愛」信奉傾向が両者の抱く夫婦関係満足度と養育態度へ与える影響を家族システムの観点から検証したものである。分析の結果, 父親(夫)の場合, 自身と母親(妻)の「母性愛」信奉傾向は夫婦関係満足度に影響しないが, 母親の場合は父親と自身の「母性愛」信奉傾向の交互作用効果が見られ, 夫婦双方の「母性愛」信奉傾向が低い場合に夫婦関係満足度が高く, 父親の「母性愛」信奉傾向が高く自身の「母性愛」信奉傾向が低い場合に夫婦関係満足度が低いということがわかった。養育態度については, 父親の場合, 夫婦関係満足度が高いと子どもへの応答性も統制も強くなり, 積極的に子どもとかかわる姿勢が見られるということ, 自身の「母性愛」信奉傾向が2つの養育態度に異なる作用の仕方をしているということが認められた。母親の場合には父親と自身の「母性愛」信奉傾向の交互作用効果が認められ, 夫婦双方の「母性愛」信奉傾向が高い場合に応答的な養育態度が高く, 父親の「母性愛」信奉傾向が高く母親の「母性愛」信奉傾向が低い場合に応答性は低かった。父親と母親で, 「母性愛」信奉傾向の夫婦関係満足度と養育態度への作用の様相が異なることが議論された。
    抄録全体を表示
原著[実践研究]
  • 安藤 有美, 新堂 研一
    61 巻 (2013) 2 号 p. 181-192
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     本研究では, (1) 非行少年38名を対象に, 視点取得能力の発達段階と対人葛藤場面における自己表現スタイル(アサーティブ, 攻撃的, 非主張的, 間接的, 短絡的)の選好との関連を検討した。さらに, (2) 12名を対象に, 絵本を題材とした非行少年用VLF(Voices of Love and Freedom)プログラムを実施した。プログラムでは登場人物の感情や考え, 心的葛藤を理解し, それを表現するなどの働きかけを行い, 介入前後の視点取得能力と自己表現スタイルの選好の変化から, プログラムの効果を検討した。
     その結果, (1) 視点取得能力と「アサーティブな自己表現」との関連が確認され, 視点取得能力が高いほど, 「アサーティブな自己表現」の高い選好が明らかとなった。また, (2) プログラムの介入により, 視点取得能力の向上と, 自己表現スタイルの選好について適応的な変化がみられたことから, VLFプログラムの有用性が確認された。
    抄録全体を表示
展望
  • 田中 真理
    61 巻 (2013) 2 号 p. 193-205
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     本研究は, 注意欠陥/多動性障害児・者(以下, AD/HD者)の自己認識について, 自分のパフォーマンスに影響を与えた要因をどのように自身がとらえているのかという原因帰属スタイルの様相に焦点をあてた研究動向について検討することを目的とした。原因帰属は自己統制感や効力感に関する自己認識のひとつの側面であり, 抑うつ状態などの二次障害への心理的支援において重要な知見を提供している。研究方法としては, 呈示された項目についてどのような原因帰属をするかを対象者自身が評定していく質問紙による調査と, 対象者がある課題を実際に遂行しそのパフォーマンスについて自分自身がどのような原因帰属をするかを評定する実験的調査とに分類された。原因帰属については統制性, 安定性, 特殊性, 内在性の複数の次元にわたり検討されており, 定型発達者との比較検討の結果, 児童・思春期のAD/HD者では, 失敗状況に対しては安定的・全体的および外在的原因帰属スタイルがみられ, 成人期では安定的・全体的・内在的な原因帰属スタイルがみられたことが共通して示された。最後に, AD/HD者にとっての適応的な原因帰属スタイルと学習性無力感との関連が議論された。
    抄録全体を表示
  • 山森 光陽
    61 巻 (2013) 2 号 p. 206-219
    公開日: 2013/10/10
    ジャーナル フリー
     学級規模, 学習集団規模, 児童生徒—教師比の問題は教育政策上大きな関心が寄せられている問題であり, 諸外国では教育心理学をはじめとした教育に関係する様々な学問領域における知見の蓄積と, それらの政策への反映が見られる。しかし, 日本の教育心理学においては, これらの問題について十分に論じられてきたとはいえない。この展望論文では, 児童生徒の学習行動や個人差とそれらの変化を研究対象の一つとしている教育心理学においてこそ, 学級規模等の研究に取り組む必要があることを議論する。そのために, 日本における学級規模等の縮小を目的とした政策の展開を概観し, 国内外の学級規模等に関する研究のうち, 特に児童生徒に与える影響を検討した研究の動向をまとめ, 日本の学校の特質を考慮すると諸外国の知見の日本における適用可能性が低いことを指摘する。そのうえで, 望ましい学級規模や学習集団編制の在り方の検討材料となり, また指針を示しうる教育心理学的研究を実現するための着眼点を提示し, 今後取り組まれるべき研究課題を展望する。
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top