教育心理学研究
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61 巻 , 3 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 石井 僚
    61 巻 (2013) 3 号 p. 229-238
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     本研究では, 青年期において死について考えることが, 時間的態度にどのような影響を及ぼすのかについて実験的に検討した。実験参加者である大学生127名を, 死について考える群41名, 生きがいについて考える群43名, 死や生きがいとは無関係なものについて考える統制群43名に分け, それぞれ課題の前後に時間的態度を質問紙によって測定した。時期(課題前・課題後)×課題(死・生きがい・統制)の2要因分散分析を行った結果, 死について考える群においてのみ, 課題後に時間的態度が肯定的になることが示された。死について考えることには, 生きがいについて考えることによっては得られない, 時間的態度を肯定的にするという効果があることが示された。また, 課題に対する自由記述の分析からは, 死について考えることには, 人生の有限性を再認識させ, 時間の大切さについて考えさせるという特徴があることが明らかとなった。以上より, デス・エデュケーションの持つ心理的機能として, 人生の有限性を再認識させ, 現在を中心とした時間的態度を肯定的にするという一側面が明らかになったといえる。
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  • 工藤 与志文
    61 巻 (2013) 3 号 p. 239-250
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     本研究は, ルール表象の抽象化に及ぼす事例情報の妨害的効果について, 表象の抽象度と課題解決との関連を通じて検討したものである。つるまきばねの測定実験を事例として「フックの法則」を学習する場面において, 2つの研究が行われた。研究1では, 学習者が形成したルール表象の抽象度および課題解決と抽象度との関連が検討された。研究2では, 抽象度の異なるルール命題を教示し, その抽象度と課題解決との関連が検討された。その結果, 以下の点が明らかになった。(1)測定実験に関する事例情報は, ルール表象の抽象度, 適用範囲に関する認識, 操作可能性を制限する方向で影響を与えた。(2)この影響は, 抽象度の高いルール命題を教示しても, 完全には解消されなかった。(3)一般にルール表象の抽象度が高ければ操作可能性は高まるが, むしろ抽象度が低い場合に促進される操作もあった。これらの結果から, 抽象的なルール表象の形成と具体的な事例情報の活用を両立させることが, ルール学習の促進にとって重要な課題となることが示唆された。
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  • 佐藤 淳
    61 巻 (2013) 3 号 p. 251-264
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     本研究では, ルール学習を行わせる際に, ルール命題の前件pと後件qとの間の関係性をあらかじめ明確に伝えておくことの効果について検討した。取り上げたルールは, 前件pが後件qの十分条件になっている金属特性に関するルールと, 前件pが後件qの必要十分条件になっている経済的競争に関するルールの2つであった。実験条件として, ルールの解説及びルール命題の提示とともに命題の2項間の関係性を明確に示すインストラクションを付加する条件(明確群), ルールの解説及びルール命題の提示までを行う条件(曖昧群), 課題のみに回答させる条件(課題群)の3条件を設定した。大学生190名を対象にした実験1では, いずれのルールでも明確群の課題成績が高く, 曖昧群と課題群との間には差が見られなかった。また, 実験1での問題点などを解消するためにインストラクションを改訂し, 大学生304名を対象に実施された実験2でも, 同様の結果が再現された。このことから, ルール命題の2項間の関係性を明確に伝えることにより, 課題へのルール適用が促進されることが明らかになった。
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  • 菅沼 慎一郎
    61 巻 (2013) 3 号 p. 265-276
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     「諦める」は多くの人が日常的に体験することであるが, 心理学における一貫した定義はこれまでなく, その否定的側面が報告されることが多かった。本研究の目的は, 青年期における「諦める」の構造を明らかにし, 仮説的に定義すると共に, 「諦める」ことの精神的健康に対する機能に関する示唆を得ることである。後青年期(22~30歳)の男女15名を対象に, 過去の諦め体験に関して半構造化面接を行い, 29エピソードを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果, 11の概念と3つのカテゴリーが生成された。青年期における「諦める」は, 達成・実現を目指して努力してきた<諦めた内容>に関して, 目標の達成・実現困難度の認識という<諦めたきっかけ>を契機に, 目標や望みの放棄という<諦め方>に至る。これに基づき, 「諦める」は, 「自らの目標の達成もしくは望みの実現が困難であるとの認識をきっかけとし, その目標や望みを放棄すること」と定義された。「諦める」は否定的な側面のみならず, 建設的な側面を有しており, そこに「諦める」という概念の独自性があること, 精神的健康に対して多様な機能を有することが示唆された。
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  • 三島 知剛
    61 巻 (2013) 3 号 p. 277-289
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     本研究は, 教職志望学生の授業観察力の育成法として, 「グループディスカッション」「モデリング」の効果を学生の実習経験の有無に着目しながら検討することであった。そのため, 122名(2年生55名, 3年生67名)を対象にポスト調査での授業観察力が条件間でどのように異なるかを検討した。その結果, (1) 実習経験の有無にかかわらず, 「モデリング」を行うことが授業観察力の「問題指摘数」の側面を向上させること, (2) 実習経験の無い2年生において, 「基本的な教師の指導技術」に関する問題指摘数の向上に「グループディスカッション」「モデリング」の効果が部分的にあること, (3) 授業観察力の「代案生起数」の側面には「グループディスカッション」「モデリング」共に介入の効果が見られないこと, が主に明らかになった。
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  • 坂口 由佳
    61 巻 (2013) 3 号 p. 290-310
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     本研究は, 自傷行為経験者の視点から, 自傷行為をする生徒たちに対する学校での対応を検討したものである。自傷行為経験者14名によって書かれたブログから学校の先生たちの対応に関する記事を抜粋し, グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果, 自傷行為をする生徒たちは先生からの対応について大きく2つの体験プロセスを経ていた。一つは《自傷行為をする生徒たちにとってサポートされたと感じる体験プロセス》であり, この体験を重ねる中で, 生徒たちは自傷行為をやめようと思えるようになっていく。もう一方は《自傷行為をする生徒たちにとって冷たく見放されたという形で体験がすすむプロセス》である。この体験を経ると, 自傷行為をする生徒たちは心を閉ざし, 先生たちとの関係を絶つようになる。一度つながったとしてもその後の先生たちの対応によっては容易に関係を切り, 一旦先生たちとの距離を置くようになるとサポートされたと感じる体験プロセスに戻ることはほとんどない。しかし, 先生たちからのこまめな声かけなど日常的なサポートを繰り返し受けることでサポートされたと感じるプロセスに戻っていくというルートが一つ認められた。
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  • 安永 正夫
    61 巻 (2013) 3 号 p. 311-322
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     ルール学習の評価問題として, あるものや事実がルールに当てはまるか否か判断を求める問題がこれまでの研究の主流となってきた。これを「判断レベルのルール適用」と名づける。一方, あるものや事実に対して学習者自身が「ルールに当てはまるのではないか」と問いを作るような問題については調べられていない。これを「仮説産出レベルのルール適用」と名づけ, その把握方法の開発と適用の促進を試みたのが本研究である。「金属のようにピカピカ光る物質は電気を通す性質も持っている」というルールを取り上げ, ターゲット事例(アンチモン, ポリアセチレン)に対し, 電気を通すかを判断させる課題と, 何を調べてみたいかを自由記述させる課題を行った。自由記述において「電気を通すか調べてみたい」という反応を仮説産出レベルのルール適用とした。その結果, 仮説産出レベルのルール適用は判断レベルのルール適用に比べて成り立ちにくいことが示された。また, ターゲット事例に近い事例(鉛筆の芯)が電気を通すことをルールと共に提示することによって仮説産出レベルのルール適用が促進され, それは文章を読むだけより実演を伴わせた時により促進される可能性が示唆された。
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原著[実践研究]
  • 角南 なおみ
    61 巻 (2013) 3 号 p. 323-339
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
     教師は日々, 子どもといかに関わればよいのかという点について模索しながら教育実践を行っている。だが, これまで介入が必要とされる問題場面での子どもとの関わりについて教師の視点から実践的意味を問い直し整理されることはほとんどなかった。そこで, 本研究は, 小学校教師34名に対し, 子どもに肯定的変化が見られた関わり経験について半構造化面接から得られた66データをグラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。その結果, 【問題解決】【指導】【受容的関わり】【周囲への協力要請】【居場所と関係作り】の5つのカテゴリーが導出された。つぎに, 問題場面における教師の関わりの特徴を「教師主体の解決方略」「子ども主体の解決方略」「受容的関わり」の3種と関わりの場面を整理した。これらの分析結果をまとめ, 場面別の機能構造と問題の主体を仮定した仮説モデル1と, 時間の経過と問題の程度の連関を仮定して2次元配置した仮説モデル2を生成した。最後に, 教育現場での教師の指導と受容的関わりの相補的関与の可能性と, 子どもに肯定的変化を促す関わり要因について検討した。
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