教育心理学研究
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61 巻 , 4 号
教育心理学研究
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
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原著
  • 篠ヶ谷 圭太
    61 巻 (2013) 4 号 p. 351-361
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     本研究では, 学習者の保持する意味理解志向に着目しながら, 予習時の質問生成への介入および質問に対する解答作成の効果について検討を行った。中学2年生87名を対象とした5日間の歴史の実験授業を実施し, 予習時に自由に質問を生成する群(自由質問群)と, 質問生成に介入を行う群(質問介入群), 質問生成に介入を行った上で解答を作成する群(質問介入+解答作成群)の3条件を設定した。本研究の結果, 質問の生成の仕方に介入を行うことで, 意味理解志向の低い学習者の質問がより高次な内容を問う質問へと変容し, 授業では質問に関連する情報のメモが増加することが示された。また, 生成した質問に対して解答作成を行うことで, 授業での情報の比較や統合処理が促され, 授業理解が促進されることが示唆された。
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  • 野崎 優樹
    61 巻 (2013) 4 号 p. 362-373
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     日常生活で自己や他者がストレスを経験した際にネガティブな情動を調整する経験は, 情動を上手く扱うトレーニングのように働き, 情動知能の高さにつながる可能性がある。本研究では, ストレス経験として定期試験を取り上げ, 自他の情動調整行動が情動知能の変化と正に関連する可能性を検討した。さらに, この可能性を検討するために, 情動調整の多次元性を考慮に入れて自他の情動調整行動を測定する尺度を作成した。大学生101名(男性61名, 女性40名)が試験前と試験後の2時点で調査票に回答した。分析の結果, 定期試験期間中の, 肯定的再解釈, 気晴らし, 肯定的再解釈のサポート, 情動の表出のサポートが, 情動知能自己領域と情動知能他者領域の変化と正に関連することが示された。さらに, 気晴らしのサポートが, 情動知能他者領域の変化と正に関連することが示された。また, 状況的および特性的な情動調整行動と試験ストレスの影響を比較した結果, 特性的な情動調整行動や定期試験に対するストレス度よりも, 対試験ストレスの情動調整行動が情動知能の変化と正に関連していた。以上より, 定期試験期間の自他の情動調整行動が情動知能の変化と正に関連することが明らかにされた。
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  • 中間 玲子
    61 巻 (2013) 4 号 p. 374-386
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     本研究は, 恩恵享受的自己感との比較を通して, 自尊感情と心理的健康との関連を再考することを目的とした。恩恵享受的自己感とは自己の周りの環境や関係性に対する肯定的感情から付随的に経験されるであろう自己への肯定的感情である。心理的健康としては幸福感および主体性の側面をとりあげた。大学生306名を対象とした質問紙調査(研究1)において、幸福感・内的統制感は自尊感情・恩恵享受的自己感の両方と有意な関係にあることが示され、自尊感情と共に恩恵享受的自己感も心理的健康に関連する重要な概念であると考えられた。大学生173名を対象としたネット調査(研究2)の結果からもその見解は支持された。また、女性は男性よりも自尊感情の得点が低いが恩恵享受的自己感の得点は男性よりも高いこと(研究1)、相互協調性は自尊感情とは負の関係にあるが恩恵享受的自己感とは正の関係にあること(研究2)から、恩恵享受的自己感は、性役割や文化的価値による抑制を受けない自己への肯定的感情であると考えられた。一方、自律性・人生の目的意識との関連(研究1)から、他者との対立を凌駕するような強い主体性とは自尊感情のみが関連することが明らかとなった。
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  • 山田 洋平, 小泉 令三, 中山 和彦, 宮原 紀子
    61 巻 (2013) 4 号 p. 387-397
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 小中学生用の自己評定による規範行動尺度を開発し, その発達的変化を横断的方法によって検討することである。小学3年生から中学3年生の児童生徒2,674名を対象に調査を実施した。まず, 小中学生用規範行動尺度を作成し, 信頼性と妥当性の検討を行った。その結果, 小中学生用規範行動尺度は, 「個人として遵守すべき行動」, 「対人間で遵守すべき行動」, 「対人間での望ましい行動」の3つの下位尺度からなることが示された。また, 尺度の内的整合性の検討, 確認的因子分析, 併存的妥当性の検討によって, 本尺度が一定の信頼性と妥当性を有することが示された。次に, 規範行動の発達的変化について検討した。分散分析の結果, (1) 規範行動は, 年齢とともに減少すること, (2) 男子の方が, 女子よりも低い学年段階で規範行動が減少することが示された。最後に, これらの発達的変化の結果について, 児童生徒の仲間関係の変化という観点から考察した。
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原著[実践研究]
  • 植阪 友理, 光嶋 昭善
    61 巻 (2013) 4 号 p. 398-411
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     説明文に比べると研究は少ないものの, 文学作品の指導が子どもの表象や認識に及ぼす影響を検討することは, 生涯にわたって文学を楽しむ大人を育成するためにも重要である。文学は読み手が体験を踏まえて再構成する自由度が大きく, 説明文よりも多様な状況モデルを許容する。中でも俳句は最も文字数が少なく, この特徴を強く有している。一方, 現在の俳句指導は解釈が定まっている名句の鑑賞が中心であり, 作句活動や相互の鑑賞活動はあまり行われていない。このため俳句本来の面白さに気づくことが難しい状態である。そこで名句の鑑賞のみならず, 作句活動や相互の鑑賞活動を取り入れた新たな単元構成を提案し, 子どもの認知に及ぼす効果を検討した。また, 鑑賞会では, (1)創作者を匿名とし, 創作者も鑑賞者と一体化して鑑賞させる, (2)鑑賞や創作の技法を明示的に教えるなどの工夫を加えた。ある児童の句に着目してやり取りを分析した結果, 異なる状況モデルを共有することで, 個々の児童の想定を超えたより豊かで新しい状況モデルが生み出されうること, 文学に対する興味が喚起されていることなどが示された。最後に, この指導から得られる新たな心理学研究の可能性を論じた。
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展望
  • 堀田 美保
    61 巻 (2013) 4 号 p. 412-424
    公開日: 2014/05/21
    ジャーナル フリー
     本研究ではアサーティブネス・トレーニング(Assertiveness Training : AT)の効果研究における2つの混乱, (1)ATがアサーティブネス習得そのものに与える効果とアサーティブネスがもたらす波及的効果との混乱と, (2)アサーティブネスと攻撃的コミュニケーションとの混乱を取り上げた。AT実践の場で伝えられている諸概念の位置づけやスキル内容に依拠しつつ,これらを検討し, AT研究が取り組むべき課題を探ることを目的とした。第1に, アサーティブネスの定義が曖昧であるという指摘がある中, アサーティブネスとは「自己尊重」と「他者尊重」の両者を軸とするコミュニケーションとして明確に定義すべきであることを改めて提唱した。第2に, 「他者尊重」を欠く自己主張は攻撃的コミュニケーションであり, アサーティブなコミュニケーションとは排他的類型として明確に区別されるものであることを明らかにした。今後, 「自他尊重」を土台として, 攻撃型を含まない形でのアサーティブネスの測定が必要であり, その上でアサーティブネスが「関係構築」「課題遂行の促進」「社会変革」へ与える効果が検討されることが今後の課題であると提唱した。
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