教育心理学研究
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62 巻 , 1 号
教育心理学研究
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
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原著
  • 後藤 由佳
    62 巻 (2014) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     英単語のclimbは手足を使って自力で登ることを意味するが, 日本語訳の「のぼる」にはそのような限定はない。本研究は大学生を対象として, 英単語のこのような意味範囲の理解を扱った。実験1ではまずテスト群の大学生(n=44)のデータから, 基本動詞climb, memorize, borrow, teach, put onの意味範囲の理解が不十分であることを示し, 次に, 辞書の「語法」の記述を読む辞書群(n=101)では意味範囲の把握がある程度促進されることを示した。実験2では, 誤文指摘練習をする練習群(n=39), 意味範囲を間違って使用し現実にはあり得ないような意味になるエピソードを読むエピソード群(n=45)を設定し, 実験1の辞書群と比較して効果を検討した。その結果, 練習群とエピソード群では事後テストの正答率は約90%となり, 実験1の辞書群の75%を上回った。またエピソード群では学習者の動機づけも高めることができた。さらに, 英単語の学習方略と教授・学習方法の組み合わせによって動機づけに交互作用(ATI)が生じることが示唆された。
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  • 長谷川 真里
    62 巻 (2014) 1 号 p. 13-23
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, いわゆる「仲間はずれ」とよばれる, 異質な他者を集団から排除することについての判断の発達を検討することであった。研究1では, 小学生, 中学生, 大学生を対象に, 私的集団(遊び仲間集団)と公的集団(班)のそれぞれにおいて, 社会的領域理論の3領域(道徳, 慣習, 個人)に対応した行動の特徴を持つ他者に対する排除判断(集団から排除することを認めるか), その理由, 変容判断(その他者の特徴は変わるべきか)を求めた。その結果, 年齢とともに, 排除自体の不公平性に注目し排除される他者の特徴を区別しない判断から, 集団機能に注目し他者の特徴を細かく区別する判断へ変化した。小学生は2つの集団を区別して判断する一方で, 他者は変わるべきであると考える傾向が見られた。研究2では, 小学生と中学生を対象に, 友人への志向性の差と排除判断の関係を検討した。閉鎖的, 固定的な集団への志向性および友人への同調欲求が高いと, 集団排除を認めることが示唆された。最後に, 本研究の限界と今後の課題が議論された。
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  • 村上 達也, 櫻井 茂男
    62 巻 (2014) 1 号 p. 24-37
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 児童期中・後期において, 複数のアタッチメント対象から構成されるアタッチメント・ネットワークの構成員を明らかにすることであった。その目的のために, 児童にとっての重要他者がどの程度アタッチメント機能を果たしているかを測定する児童用アタッチメント機能尺度が作成された。調査には小学4年生から6年生までの555名の児童が参加した。まず, 児童用アタッチメント機能尺度の作成と内的整合性および構成概念妥当性の検討が行われた。確認的因子分析によって, Hazan & Zeifman(1994)から予測された児童用アタッチメント機能尺度の因子構造の妥当性が確認され, 同尺度とソーシャル・サポート, および自己価値感との関連から構成概念妥当性が確認された。次に, 児童用アタッチメント機能尺度を用いて, 児童期中・後期のアタッチメント・ネットワークの構成成員が明らかにされた。先行研究で強調されてきた母親以外にも, 父親, 祖父母, きょうだい, 友だちなどがアタッチメント対象になりえることが示された。このことから, 児童期中・後期には, アタッチメント・ネットワークが家庭内の関係性に留まらず, 家庭外の関係性にまで拡大していることが示唆された。考察では複数のアタッチメント対象を踏まえた今後の研究について提言が行われた。
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  • 松本 明生
    62 巻 (2014) 1 号 p. 38-49
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, アクセプタンス方略を示す自己教示が体験の回避およびスピーチ不安に与える効果について検討することであった。FNE得点および聴衆不安尺度得点をもとに選ばれた30名のスピーチ不安の高い男女大学生の研究参加者を, アクセプタンス自己教示群, 対処的自己教示群, および統制群のいずれかに振り分けた。研究参加者に対してはスピーチ課題をベースラインとして1回, 介入期間中に3回, さらに介入終了から6か月後に1回実施した。アクセプタンス自己教示群と対処的自己教示群には, 介入期間中にそれぞれの群の自己教示を記憶して, それをリハーサルするという訓練を3回実施した。一方, 統制群には自己教示に関する訓練は行わなかった。その結果, ポストテストとフォローアップにおいて, アクセプタンス自己教示群のみに日本語版AAQ得点の増加が見られた。また, アクセプタンス自己教示群および対処的自己教示群では, スピーチ場面でのSUDと聴衆不安尺度得点がポストテストとフォローアップにおいて低減していた。これらの結果は, アクセプタンス方略を示す自己教示はアクセプタンスの増大とスピーチ不安の低減をもたらす有効な手段となりうることを示すものである。
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  • 藤 桂, 吉田 富二雄
    62 巻 (2014) 1 号 p. 50-63
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     インターネットの発展に伴い, 若年層において, インターネットがいじめの手段として用いられることも多くなってきた。このネットいじめに関しては, 多くの先行研究より, 被害者が誰にも相談しない場合が多いことが示されてきた。そこで本研究は, ネットいじめの被害者における, 周囲への相談行動が抑制されるまでの過程について検討を行った。その際, ネットいじめの脅威に対する認知が, 無力感を媒介して周囲への相談行動を抑制するという仮説に基づいて検討を行った。まず予備調査を実施し, 高校生および大学生8,171名より, 283名(3.5%)のネットいじめ被害経験者を抽出した。続いて本調査では, そのうち217名に, ネットいじめの被害経験, 被害時の脅威認知, 無力感, 周囲への相談行動を尋ねた。その結果, 被害時の脅威認知は, 孤立性, 不可避性, 波及性の3因子から構成されることが示された。また, ネットいじめ被害によって強められた脅威認知が, 無力感を経て相談行動を抑制していることも示された。これらの結果は仮説を支持するものであり, ネットいじめの速やかな解決のためには, 被害時の脅威認知を低減させる取り組みが重要であることが示唆された。
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展望
  • 栗田 季佳, 楠見 孝
    62 巻 (2014) 1 号 p. 64-80
    公開日: 2014/07/16
    ジャーナル フリー
     ノーマライゼーションや平等主義的規範が行き渡った今日においても, 障害者に対する偏見や差別の問題は未だ社会に残っており, これらの背景となる態度について調べることが重要である。従来の障害者に対する態度研究は, 質問紙による自己報告式の測定方法が主流であった。しかしながら, これらの顕在的態度測定は, 社会的望ましさに影響されやすく, 無意識的・非言語的な態度を捉えることができない。偏見や差別のような, 表明が避けられる態度を捉えるためには間接測定による潜在指標が有効だと考えられる。本論文は, 潜在指標を用いて障害者に対する態度を調べた研究についてレビューを行った。障害者に対する潜在指標として, 主に, 投影法, 生理学・神経科学的手法, さらに近年では反応時間指標が頻繁に用いられるようになってきており, 多くの研究において障害者に対するネガティブな態度が示されていることがわかった。潜在的態度と顕在的態度の関連性について, 潜在指標の有用性と今後の課題について議論した。
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