教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
検索
OR
閲覧
検索
62 巻 , 2 号
教育心理学研究
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
原著
  • 渡邉 雅俊
    62 巻 (2014) 2 号 p. 87-100
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 外的評価の予告の有無に応じて, 子どもがプランニングをどのように調整するのかについて, その発達的特質と機序を検討することであった。参加児は6歳児58名と9歳児58名であり, それぞれ評価予告条件と評価なし条件へ29名ずつ振り分けられた。課題は型紙シールの貼付と描画によって, 絵を制作する見立て描画であった。評価予告条件は, 予め課題遂行前に, 偉い絵の先生に作品を評価して貰うと告げ, シールをきれいに使うという評価基準を伝えた。そして, 制作終了後に作品の評価予想とその理由について質問した。評価なし条件では, 他者が作品を見ることがないので自由に制作するように伝えた。参加児の課題遂行は, プランニングの慎重さと評価予想における評価基準への適合性, 及びプランニングの慎重さによる問題解決への影響の3点について分析された。その結果, 9歳児は外的評価の予告によって, プランニングを慎重に行うようになり, 6歳児はそのような調整は見られなかった。この機序として, 内的基準を自己抑制し, 外的評価の予告に含まれる外的基準を問題空間に表象することと, それに制約された目標状態の構想が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 堀口 康太, 小玉 正博
    62 巻 (2014) 2 号 p. 101-114
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は, 自己決定理論の枠組を参考にし, 老年期の発達課題を考慮した社会的活動参加動機づけ尺度を作成することを目的として実施された。都市部において社会的活動に参加する60歳から89歳まで424名を対象とした質問紙調査を実施し, 男女278名(男性72名, 女性195名, 不明11名 ; M=72.0歳, SD=5.9)を有効回答として分析を実施した。予備調査によって抽出された暫定版37項目を用いて因子分析を実施し, 最終的に「自己成長の追求」, 「自己の発揮志向」, 「喪失の制御」, 「他者への同調」, 「周囲への貢献希求」の5因子22項目によって構成される社会的活動参加動機づけ尺度が作成された。その後, 作成された尺度を構成している下位尺度について理論上想定された動機づけとの対応・相違が検討され, 尺度の妥当性・信頼性が確認された。本研究で作成された尺度によって, 老年期特有の動機づけを測定することが可能となり, 老年期における社会的活動への参加に関する研究が発展する可能性が示唆された。
    抄録全体を表示
原著[実践研究]
  • 小野田 亮介, 篠ヶ谷 圭太
    62 巻 (2014) 2 号 p. 115-128
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究では, 大学の講義型授業において使用されているリアクションペーパー(以下 RP)に着目し, 授業者の働きかけとRP記述の関係について検討を行った。まず, 予備調査を実施し, 学生が「RPをどのようなツールとして捉えているか(RP観)」に関する質問紙尺度を作成した。その結果, 学生のRP観としては, 「内容記憶志向」, 「記述訓練志向」, 「理解度伝達志向」, 「私的交流志向」の4因子が抽出された。次に, 本実験として, 1)授業者以外の読み手に, 自分の記述が読まれることを予期させる「読み手追加予期介入」と, 2)授業者が学生の記述した質問に対して補足説明を行うなど, RPの内容をいくつか抽出して応答を行う「授業者応答介入」を2つの大学で実施し, その効果を比較検討した。その結果, 授業者応答介入は用語の確認などの「低次質問」を抑制し, 授業内容をさらに深める「高次質問」の記述を促進することが示された。ただし, RP観との交互作用を検討した結果, 内容記憶志向の高い学生に対しては, 低次質問の抑制効果は見られないことが示された。一方, 高次質問の促進効果は, 私的交流志向が極端に高い学生を除き, 多くの学生に見られることが示された。
    抄録全体を表示
  • 中村 玲子, 越川 房子
    62 巻 (2014) 2 号 p. 129-142
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     いじめはその深刻さが指摘されており, 学校現場での対応が求められている問題である。いじめの減少困難や助長の要因として傍観者が挙げられており, 傍観者層の多寡は, 被害者の多寡と最も強い有意な相関を示すことが見出されている(森田, 1990)。本研究では中学生を対象としたいじめの抑止を目的とする心理教育的プログラムを開発し, その効果の検討を行った。プログラムは, いかなるいじめも容認されないとする心理教育と, いじめへの介入スキルの学習から構成された。プログラムの所要時間は授業1回分であり, 対象校生徒の実情に合った内容を用いての, ソーシャル・スキルス・トレーニングの技法に基づくロール・プレイングを含むものであった。事前・事後分析の結果, 本研究で開発されたいじめ抑止プログラムは, いじめ停止行動に対する自己効力感といじめ否定規範の向上, いじめ加害傾向の減少に一定の効果をもつことが示された。また, いじめの抑止のためには, いじめ否定規範の高い生徒にはいじめに介入するためのスキルの学習が, いじめ否定規範の低い生徒にはスキルの学習と同時にいじめ否定規範を高める指導・支援を行うことが有効である可能性が示された。
    抄録全体を表示
  • 吉野 巌, 山田 健一, 瀧ヶ平 悠史
    62 巻 (2014) 2 号 p. 143-155
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     本研究は, 演奏者の映像が楽曲の認知に及ぼす影響と鑑賞授業での有効性について検討したものである。研究1は, 小学校5年生と大学生を対象に, 聴取した楽曲に対する感情価評定と自由記述の量・内容が音響のみ条件と映像付き条件とで異なるかどうかを比較した。その結果, 演奏者の映像は, 基本的な感情的性格の認知にはほとんど影響しないが, 5年生が楽曲の特徴を認知し記述するのを妨害する(大学生に対しては促進する)ことが示された。研究2では, 研究1の結果から立てた仮説「楽曲の諸要素の認知や情景のイメージには音のみ聴取が効果的であり, 演奏表現や楽器の認知, 動機づけの喚起には映像提示が効果的である」について, 小学校4年生の鑑賞授業で2種の教授法を比較することにより実践的に検討した。この結果, 楽曲の諸要素の認知や情景のイメージについてはほぼ仮説通り, さらには楽器の認知でも, 音のみで鑑賞することの優位性が示された。演奏表現に関しては有効な教授法が複数の下位項目間で分かれ, 動機づけに関しては教授法間で差が認められなかった。両者の視聴形態の効果をふまえた上での, 学習目的に応じた授業計画の必要性について議論する。
    抄録全体を表示
展望
  • 三輪 和久, 寺井 仁, 松室 美紀, 前東 晃礼
    62 巻 (2014) 2 号 p. 156-167
    公開日: 2015/03/27
    ジャーナル フリー
     近年の知的学習支援システムは, 高度なインタラクティブ性を有し, その支援は多岐にわたる。そのような学習支援において, 学習効果を最大化するために, どこまで支援を提供し, どこから支援を保留にすればよいのかという, 支援バランスに関わるジレンマ(Assistance Dilemma)が生まれることが指摘されている。このジレンマの発生は, 学習志向活動と解決志向活動という学習時に生じる認知活動の二重性に起因する。学習者は, 限られた作業記憶の容量を, 問題解決を遂行しつつ(解決志向活動), 同時にスキーマ生成のための資源に割り当てなければならない(学習志向活動)という困難な課題に直面し, そこに支援ジレンマの問題の核心が存在する。本論文では, この問題を, 主に教育心理学において長年議論されてきた達成目標理論と, 認知科学や学習科学において展開されてきた認知負荷理論という2つの理論に基づき再解釈すると同時に, ジレンマ解消という観点から, この2つの理論の概要をレビューする。
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top