教育心理学研究
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63 巻 , 2 号
教育心理学研究
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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原著
  • 臼倉 瞳, 濱口 佳和
    63 巻 (2015) 2 号 p. 85-101
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 友人・親・教師に対する評価懸念を測定することができる対象別評価懸念尺度を作成し, 信頼性および妥当性を確認した上で, 適応指標との関連を検討することである。研究1には, 小学校高学年および中学生585名が参加し, 友人に対する評価懸念, 親に対する評価懸念, 教師に対する評価懸念の3下位尺度からなる対象別評価懸念尺度が作成され, 一定の信頼性と妥当性が確認された。研究2では, 小学校高学年および中学生1,226名を対象に重回帰分析を行った。その結果, 各対象別評価懸念によって適応指標との関連は異なっており, 特に, 「友人に対する評価懸念」が幅広い不適応問題と関連を示していた。さらに, 男子において「教師に対する評価懸念」は学級での反社会的傾向を抑制する働きを持つことが示唆され, 対象別評価懸念が持つ適応的な側面が実証的に明らかにされた。したがって, 対象別評価懸念を低めることが必ずしも適応の実現にはつながらないことが考えられた。
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  • 水谷 聡秀, 雨宮 俊彦
    63 巻 (2015) 2 号 p. 102-110
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     いじめ被害経験は心身状態に長期的な影響を及ぼす。従来の研究は, 子どもの頃のいじめ被害経験が後年における自尊感情や特性不安, 抑鬱, 孤独などに影響を与えることを示している。本研究では, いじめの発生状況をとらえ, 小学校と中学校, 高等学校のうちどの時期のいじめ被害経験が大学生のWell-beingに影響を与えるか, また自尊感情を媒介したWell-beingへの影響があるのかを検討する。そこで, 自尊感情, 主観的幸福感, 特性怒り, 特性不安, 各時期にいじめられた頻度について尋ねる質問紙を用いて大学生に調査を実施した。その結果, いじめ経験の頻度は高等学校よりも小中学校で高かった。パス解析により, 中学校や高等学校の頃のいじめ被害経験が大学生のWell-beingに影響を及ぼしていることを明らかにした。また, いじめ被害経験がWell-beingに直接的にも, 自尊感情を介して間接的にも影響を与えていることを見出した。これらの結果はいじめ被害経験が長期的に心的状態に影響を及ぼすことを支持するものである。
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  • 酒井 渉, 野口 裕之
    63 巻 (2015) 2 号 p. 111-120
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     近年, 学生相談において, 精度が高く簡便な精神的健康度のスクリーニング検査への要請が高まっている。従来, UPI, GHQ, K10の三者は, 同じものを測っているのか, 互いのカットオフポイントが共通なのかが不明確なまま, ともに「精神的健康度のスクリーニング検査」として用いられてきた。本研究では, この二点を明らかにすることを目的とした。大学新入生548名(男子270名, 女子278名)を受検者とし, UPI, GHQ-30, K10を同時施行した。その回答を, 相関係数, 因子分析, 項目反応理論による共通尺度化を用いて分析した。その結果, 三者のカットオフポイントは共通尺度上でほぼ同値であった。また三者の特徴が明らかとなった。UPIは日常的な困りごとのレベルで, GHQ-30はカットオフポイント付近での測定精度が高い。K10は少ない項目数で病気を切り分けることができる。三者は特徴に応じた使い分けが可能であるとわかった。
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  • 小野田 亮介
    63 巻 (2015) 2 号 p. 121-137
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     マイサイドバイアスとは, 反対立場に有利な理由に比べ, 賛成立場に有利な理由が多く産出される傾向を指す。マイサイドバイアスが強い意見文は説得力, 信頼性ともに低く評価される傾向にある。そこで本研究では, 児童の意見文産出におけるマイサイドバイアスの低減を目的とし, 目標提示とそれに伴う方略提示, および役割付与の効果を検証した。4年生65名を対象とした予備実験の結果, 反対立場の読み手を想定するという条件下において, 児童は反論を想定するものの, その反論に対する再反論は十分に行わないことが示された。そこで, 5年生90名を対象とした本実験では, 反論への再反論を促すため, (1) 反対立場の優勢性の検討, (2) 理由の明確化, (3) 読み手に対する意識, を促進するための目標を与え, 目標提示のみが行われる「対照群」, 目標に加えて目標を達成するための方略が示される「方略提示群」, 目標と方略の提示に加え, 目標達成を義務とする役割が与えられる「方略・役割群」とで産出される意見文の比較を行った。その結果, 方略提示によって反論に対する再反論の産出数が増加し, さらに役割付与がその効果を促進することが明らかになった。
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  • 鈴木 豪
    63 巻 (2015) 2 号 p. 138-150
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     本研究では, 鈴木(2014)の手続きを改め(グラフの提示と共通点・相違点の発見順序の固定), 多様な考え方の比較検討方法の違いが課題解決に及ぼす影響を検証した。平均を既習である小学5年生(N=44)を, 代表値(平均, 最頻値, 最大値, 最小値)をもとにした四つの考え方について, (a) 共通点・相違点を考える比較検討方法(共通相違群), (b) 最も良い考え方を選びその理由を考える比較検討方法(最良選択群), のいずれかを経験する群に割り当てた。児童は比較検討を行った後, 事後課題2問に回答した。その結果, 外れ値が存在するときに, 次に得られる値を予測する事後課題では, 共通相違群の方が, 外れ値を除いた平均や最頻値をもとに回答できた割合が大きかった。また, 外れ値を含んだ平均をもとに回答した児童のうち, 外れ値の存在に言及した児童の割合も共通相違群の方が大きかった。次に, 2種のデータの大小を比較する事後課題では, 共通相違群の方がより多くの比較方法を示すことができていた。共通点・相違点を考える比較検討方法が, 最も良い考え方を選ぶ比較検討方法よりも, 代表値を用いた課題解決により良い影響を及ぼすことが示された。
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  • 波田野 結花, 吉田 弘道, 岡田 謙介
    63 巻 (2015) 2 号 p. 151-161
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     これまでの心理学データ分析では, 概して統計的仮説検定の結果は報告されるが, 効果量の報告や議論は軽視されがちであった。しかし近年の統計改革の中で, 効果量を活用することの重要性が再認識されている。そこで本研究では, 過去4年間に 『教育心理学研究』誌に掲載された論文中で報告された仮説検定について, 論文中の情報から対応する効果量の値を算出し, 検定におけるp値と効果量との間の関係を網羅的に調べた。分析対象は, 独立な2群のt検定, 対応のある2群のt検定, 1要因および2要因の被験者間分散分析におけるF検定であった。分析の結果, いずれの場合においても報告されたp値と効果量の相関係数は-0.6~-0.4であり, 両者の間には大まかな対応関係が見られた。一方で, 検定結果が有意であるにもかかわらず小さな効果量しか得られていない研究も決して少なくないことが確認された。こうした研究は概ね標本サイズが大きいため, 仮説検定の枠組みの中では検定力分析の必要性が考えられる。また仮説検定の枠組みに留まらず, メタ分析によって関心下の変数ごとに効果量の知見を蓄積することや, ベイズ統計学に基づく新たな方法論などが今後の方向性として考えられる。
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原著[実践研究]
  • 割澤 靖子
    63 巻 (2015) 2 号 p. 162-180
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     本研究では, 援助職, とりわけ心理職の発達・熟練の在り方について検討する上で比較対象となる資料を得ることを目的に, 小学校でボランティア活動に取り組んだ14名の大学生らが情報共有のために電子掲示板上に記した記録を, グラウンデッド・セオリー・アプローチ, 及び, 複線径路・等至性モデルを援用して分析した。その結果, 掲示板の継続的な記録・共有を通して, 学生が子どもたちと自身の関わりを振り返り記述する際の立ち位置(ポジション)が変容し, 視点が多様化することが明らかとなった。本研究では, これを「当事者ポジション」, 「観察者ポジション」, 「客観的ポジション」, 「俯瞰的ポジション」の4段階に分けて整理した。また, 援助職, 及び, 心理職養成における“専門的な教育・訓練の枠組みの外の実践活動”の意義を具体的に提示し, 今後, 発展させるべきポイントとして, “多様で複雑な事情に即応するためのバランス感覚”を提示した。一方で, 得られる体験は個人差が大きいことを明らかにし, 全ての学生の発達・熟練を促進するためには, 学生が互いに学び合える環境の整備に加え, 学生の個性や発達・熟練の程度に応じたサポートが重要であることを指摘した。
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  • 森本 哲介, 高橋 誠, 並木 恵祐
    63 巻 (2015) 2 号 p. 181-191
    公開日: 2015/08/22
    ジャーナル フリー
     本研究では, 高校生女子の自己形成意識を高めることを目的に, 自己の強みを日常生活の中で活用する自己形成支援プログラムを実施し, その効果を検証した。プログラムは, 第1週目に参加協力者の“性格的な強み(Character Strengths : 以下CSとする)”を測定し, 第2週目に参加協力者自身の中で上位5つのCSを個人毎にフィードバックした。そしてその後1週間の日常生活で, 各参加協力者がフィードバックされたCSを自分なりの新しい方法で活用するよう促す, という手順で行われた。効果検証のために, 「可能性追求」と「努力主義」からなる自己形成意識尺度を測定した。また実験群では, 自己の上位5つの強みについての主観的な感覚を測定した。群(実験群・統制群)×test時点(pre・post)の2要因分散分析の結果, 実験群ではプログラムの前後で可能性追求と努力主義の得点が有意に上昇したが, 統制群では得点に有意な変化はみられなかった。さらに実験群の参加協力者は, 自己の強みをより意識し重要であると感じやすくなり, また自己の強みを活用しているという感覚が有意に高まっていた。これらの結果から, 自己の強みを活用する自己形成支援プログラムが高校生女子の自己形成意識を高めるために有効であることが示された。
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