教育心理学研究
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64 巻 , 1 号
教育心理学研究
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
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原著
  • 千島 雄太, 村上 達也
    64 巻 (2016) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究では, 現代青年に顕著なキャラを介した友人関係について, 中学生と大学生の比較から検討が行われた。本研究の目的は, キャラの有無による心理的適応の相違に加えて, キャラの受け止め方とキャラ行動が心理的適応に及ぼす影響を明らかにすることであった。中学生396名と大学生244名に質問紙調査を行った。分析の結果, 大学生は中学生よりもキャラがある者の割合が多く, キャラがない者よりも自己有用感が高いことが示された。因子分析の結果, キャラの受け止め方は, “積極的受容”, “拒否”, “無関心”, “消極的受容”の4つが得られた。得点とパス係数の比較を行った結果, 学校段階で違いが見られた。中学生では, 友人から付与されたキャラを受容しにくく, キャラに合わせて振る舞うことが, 心理的不適応と関連することが明らかになった。一方で, 大学生ではキャラ行動と適応には有意な関連が見られず, 付与されたキャラを消極的にでも受け容れることが, 居場所感の高さと関連していた。以上の結果から, 中学生におけるキャラを介した友人関係の危うさについて議論された。
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  • 犬塚 美輪
    64 巻 (2016) 1 号 p. 13-25
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究では, 学習者が数学をどのような学問だと捉えているかを数学信念と定義した。本研究の目的は, 第1に, その因子構造を明らかにすることである。第2に, 数学信念の個人差を説明する要因を検討することを目的とした。先行研究と予備調査をもとに質問紙を作成し, 本調査では大学1年生762名の回答を分析した。探索的因子分析と確認的因子分析から, 数学信念が「有用性」「思考プロセス」「固定性」「困難性」の4因子によって説明できることを示し, 各因子の負荷の高い4項目を用いた数学信念の構造モデルを採用した。さらに, 性別, 学力(得意度・入試難度), および学習経験(専攻・数学学習経験・受験経験)が, 数学信念の4因子をどの程度説明するか, 共分散構造分析によって分析した。その結果, 学力や学習経験にかかわる変数と数学信念の関連が見られた。具体的には, 数学得意度は, 全ての因子と関連し, 得意度が高いほど有用性や思考プロセスの評定が高く, 固定性や困難度の評定が低かった。また, 入試難度・学習経験と受験経験から思考プロセスには有意な正のパスが示され, 固定性には有意な負のパスが示された。さらに, 専攻が理系であると, 思考プロセスの評定が高かった。一方, 性別と信念の4因子の間に有意なパスは見られなかった。
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  • 佐藤 舞
    64 巻 (2016) 1 号 p. 26-40
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究では, 就職活動開始以前の大学3年時点における特性的自己効力が大学3年時点の進路選択過程に対する自己効力に影響を与え, 大学3年時点の自己効力が進路選択行動および進路決定先への満足度に影響し, さらにそれによって大学4年時点の特性的自己効力が影響を受けるという一連の流れを想定したモデルを設定し, 妥当な因果モデルを考察することを目的とした。大学3年時点と4年時点の縦断的調査を行い, 翌年の就職が決定した大学4年生113名(男性57名, 女性56名)を対象として共分散構造分析を行った。その結果, 就職活動開始時点までに特性的自己効力が高い水準にあれば, 進路選択過程に対する自己効力も高く, 就職活動にも取り組みやすく, 志望も明確になりやすく, また進路決定先に対する満足度も高く, 特性的自己効力が高い状態で就職活動を終えられると示唆された。したがって, 就職活動を通した特性的自己効力の変容は可能であるものの, 就職活動開始時点における特性的自己効力の水準が就職活動を成功に導く一つの鍵になるといえる。
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  • 割澤 靖子
    64 巻 (2016) 1 号 p. 41-58
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究では, 臨床心理士指定大学院における学生の学習プロセスの個人差を捉えることを目的に, 臨床心理士指定大学院修了後3カ月以内の初学者, 計19名を対象にインタビュー調査を実施し, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ, 及び, ケース・マトリックスを援用して分析した。その結果, 『初学者の学習プロセス』は, 『知識や助言に依拠する学び』と『自身の感覚や判断に依拠する学び』を両輪として, 【1捉えどころの分からなさ】, 【2「専門家として未熟な自分」の感覚や判断の信頼できなさ】, 【3 「現時点での自分」の感覚や判断の信頼と活用】, 【4個々の気づきや学びの「つなぎの視点」の獲得】の4つのカテゴリを, 行きつ戻りつしながら進行することが明らかとなった。本研究では, この『初学者の学習プロセス』の進行状況を基準に, 調査協力者らを4つのグループに分類し, 『初学者の学習プロセス』の多様性を整理した。考察では, 初学者の教育・訓練に際して, (1) 自分で感じ考えることをサポートすること, (2)“揺れ戻りの経路”の多様性に注意すること, (3) 初学者の主体的な試行錯誤をサポートすること, (4) 学習対象の選択と限定化に注意すること, の重要性を指摘した。
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  • 濱口 佳和, 藤原 健志
    64 巻 (2016) 1 号 p. 59-75
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究は, 高校生用の自記式能動的・反応的攻撃性尺度の作成, 能動的・反応的攻撃性と身体的攻撃・関係性攻撃との関連, 能動的・反応的攻撃性類型の心理・行動的特徴を明らかにすることを目的として行われた。高校1~3年生2,010名に対して, 中学生対象に開発された自記式能動的・反応的攻撃性尺度を実施し, 探索的因子分析を実施したところ, 中学生同様の6因子が得られた。検証的因子分析の結果, 仲間支配欲求, 攻撃有能感, 攻撃肯定評価, 欲求固執からなる能動的攻撃性と報復意図と怒りからなる反応的攻撃性の斜交2因子モデルが高い適合度を示した。6下位尺度については, 攻撃肯定評価でやや低いものの, 全体として高い信頼性が得られ, 情動的共感尺度や他の攻撃性尺度等との相関により併存的妥当性が実証された。重回帰分析の結果, 性別と能動的・反応的攻撃性によって, 身体的攻撃の約40%, 関係性攻撃の約30%が説明されることが明らかにされた。クラスター分析の結果, 能動的攻撃性・反応的攻撃性共に高い群, 反応的攻撃性のみが高い群の2種類の攻撃性の高い群が発見され, Crapanzanoの重篤モデルを支持する結果が得られた。
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原著[実践研究]
  • 山本 真子, 小松 孝至
    64 巻 (2016) 1 号 p. 76-87
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究では, 小学生の書く日記において, 書き手と書く対象との関係, 書き手と読み手との関係の二側面において明確化する子どもの固有性を自己として捉える観点から, 公立小学校4年生3名が, 小学校での学習の一つとして取り組んだ日記の質的分析を行った。事前調査として学年全体(218名)に質問紙調査を実施した上で, その結果と日記の内容を参考に3名の日記(計537篇)を選択して検討し, うち14篇を用いて, 特に書かれた他者および読み手としての他者との関係に注目したまとめを行った。書き手と書く対象との関係の視点からは, 時系列的に類似する内容を繰り返し書くスタイルの中で, 細部への視点の焦点化, 直接話法を用いた対話的表現, 他者への批判的な表現, 他者との対比などの形で子どもの視点が明確化する際, 他者が種々の役割を果たしている状況が観察できた。また, これらの書き手と対象との関係に関する表現のレパートリーは, 同時に書き手と読み手の関係において, 書き手が自己を定位する行為として考えられた。
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  • 深谷 達史, 植阪 友理, 田中 瑛津子, 篠ヶ谷 圭太, 西尾 信一, 市川 伸一
    64 巻 (2016) 1 号 p. 88-104
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     学習者同士の教えあいは, 内容の理解だけでなく, 日常的な学習場面における効果的な学習方略の使用をも促す可能性がある。本研究では, 学習法の改善を企図した2つの教えあい講座の実践を報告した。2010年度の予備実践では, 理解することの重要性や教えあいのスキルを教授したにもかかわらず, 生徒の問いが表面的である, 教え手が聴き手の理解状態に配慮しないという問題が確認された。これらの問題は, 生徒が「断片的知識/解法手続きを一方的に教える」という教授-学習スキーマを保持するために生起したものと考えられた。そこで, 2012年度の本実践では, こうしたスキーマに働きかける指導の工夫を取り入れ, 「関連づけられた知識を相互的に教えあう」行動へと変容させることを目指した。高校1年生320名に対し, 講演を中心とした前半と2回の教えあいを中心とした後半(計6時間)の教えあい講座を行った。教えあいの発話と内容理解テストの分析から, 理解を目指したやり取りがなされ, 教えあった内容の理解が促進されたことが示された。また, 説明することで理解状態を確認する方略や友人と教えあいを行う方略の使用が講座により増加したことが明らかとなった。
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  • 坂本 美紀, 山口 悦司, 村山 功, 中新 沙紀子, 山本 智一, 村津 啓太, 神山 真一, 稲垣 成哲
    64 巻 (2016) 1 号 p. 105-117
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     理科教育では, 児童生徒を科学的探究に従事させる教育実践がスタンダードになりつつある。しかし科学的探究の指導方法に関する実証研究は十分ではない。本研究は, 科学的原理・法則に基づいた問いの生成の支援方法を明らかにすることを目的に, 小学校第6学年理科「燃焼の仕組み」において, 知識の活用を目指した探究活動を通して科学的原理・法則に基づく思考を活性化させる授業(研究1), 探究活動に質問生成への介入を組み込んだ授業 (研究2) を実施した。授業の成果を評価するため, 授業とは異なる題材で問いを生成させる課題を, 事前, 事後ならびに授業中の3回実施した。その結果, 研究1, 2ともに問いのレベルが向上し, 科学的原理・法則が持つ性質を理解することにより, 原理・法則に基づく問いが生成できるようになることが示された。また研究2の授業による向上が研究1を上回ったことから, 質問生成に対するより直接的な支援を付加することで, 効果がさらに高まることが明らかになった。また, 補足分析ならびに研究2で実施したインタビューの結果から, 新規な内容でも科学的な問いを生成するためには, 科学的原理・法則に基づく問いの特徴を, 内容的と修辞的な側面の両方で理解している必要があることが示唆された。
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  • 太幡 直也
    64 巻 (2016) 1 号 p. 118-130
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 大学生のチームワーク能力を向上させるトレーニングの有効性を, 個人のチームワーク能力を構成要素ごとに測定する尺度を用いて検証することであった。大学生に, 聴くスキル, 説得するスキル, リーダーシップのスキルを向上させるトレーニングを実施した。トレーニング実施前後に, 彼らに, 社会的スキルや, チームワーク能力の5つの構成要素(“コミュニケーション能力”, “チーム志向能力”, “バックアップ能力”, “モニタリング能力”, “リーダーシップ能力”)を測定する尺度に回答するように求めた。また, トレーニングを実施していない大学生にも, 同じ時期に同様の尺度に回答するように求めた。その結果, トレーニング実施条件は非実施条件に比べ, 社会的スキル, チームワーク能力の5つの構成要素の多くについて, 事後の得点の上昇が大きかった。したがって, 実施したトレーニングが, 大学生のチームワーク能力を向上させる点で有効であったと考えられる。
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  • 山内 香奈, 菊地 史倫
    64 巻 (2016) 1 号 p. 131-143
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
     本研究は, 鉄道輸送障害時における鉄道従業員のアナウンス業務にみられる慣習的行動を目標行動へと主体的に変容させるための職場研修(DVD教材の視聴)を取り上げ, 研修の効果の持続性を高めるフォローアップのあり方を不等価4群事前事後テストデザインの準実験により検証した。首都圏の鉄道会社1社の543名に対し, 4つのフォローアップ条件(GS : 教材視聴直後に目標設定を要請, FB : 教材の視聴前後の同僚の意識や行動の変化を視聴から3か月後に提示, 併用 : GSとFBの併用, 統制 : フォローアップなし)のいずれか1条件を職場単位で実施し, 目標行動に対する態度, 主観的規範, 行動意図の3つの心的変数と目標行動の実践状況を質問紙調査により複数回, 測定した。研修前と研修から6か月後を比較した結果, (1) 心的変数の変化量はいずれも統制群に比べGS, FBの各群で有意に大きくなり, (2) 目標行動の実践率は, 研修前に目標行動がとれているか否かにかかわらずFBによる促進効果が他の条件に比べ高い可能性が示された。最後に, 心的レベルと行動レベルでの有効性が示唆された本研究で実施したFBの効果を更に高めるための教育的工夫について提案した。
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