教育心理学研究
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64 巻 , 4 号
教育心理学研究
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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原著
  • 山森 光陽
    64 巻 (2016) 4 号 p. 445-455
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 学級規模の大小によって児童の過去の学力と後続の学力との関係に違いが見られるかを検討することである。対象児童を小学校2年生, 対象教科を国語とし, 全国の公立小学校のうち単式学級が2以上ある学校に属する児童を母集団とした児童数の大きさに応じた確率比例抽出により抽出された調査対象校のうち, 国語の少人数指導を実施した学校9校を外した48校を分析対象とした。調査対象校の児童に対して調査期間中2回(7月と12月)の学力検査を実施し, 2回目の学力検査の正答数を目的変数, 1回目の学力検査の正答数と学級規模を説明変数とした階層的線形モデルによる分析を行った。その結果, 過去の学力が平均程度であった児童で比較すると, 小規模学級に在籍した児童の方が後続の学力が高いことが示唆された。
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  • 小田切 歩
    64 巻 (2016) 4 号 p. 456-476
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究では, クラス単位の協同学習において, 非発言者を含む個人の説明構築がどのように促され, さらにその説明構築によって, なぜ個人の理解が深まるのかという, 協同学習を通じた個人の理解深化の認知的メカニズムを検討した。高校生が理解に困難を抱えている数列と関数の関連づけに関する問題解決過程を, 事前課題-授業(協同学習の有無)-事後課題のデザインで検討した。分析の結果, クラス単位の協同学習において, ペアでの知見から導かれた他者の役割によって, 個人が自分の考えを精緻化する中で, その不整合への気付きと整合化が促されることにより, 個人の説明構築が促進され, それが個人の理解の深まりにつながることが示された。さらに, 他者の考えの整合化過程において, 自分の着眼点に沿って情報を抽出し, それを自分の考えと関連づけることで, 新たな考えを創出するという, より深い理解につながるプロセスが示唆された。また, 生徒間の相互説明が, それを聞く生徒の考えの整合化を促す可能性も示唆された。そして, 時間に限りのある授業場面でのクラス単位の協同学習においては, 学習の効率化を図るために, 教師の支援が必要であることも示唆された。
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  • 大谷 和大, 岡田 涼, 中谷 素之, 伊藤 崇達
    64 巻 (2016) 4 号 p. 477-491
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究は, 学級で強調される社会的な目標である, 「学級の社会的目標構造」に焦点をあて, 学級の社会的目標構造が, 児童の学習における動機づけに関連するプロセスを検討することを目的とした。研究1では, 小学5, 6年生, 289名を対象に, 向社会的目標構造と規範遵守目標構造から構成される学級の社会的目標構造尺度を作成することを目的とした。その結果, 本研究で作成された尺度は, 一定の信頼性を有し, 既存の学級環境を測定する尺度と概ね予想される関連を示したことから, 妥当性の一部を有すると考えられた。研究2では, 小学校23校(117学級)に所属する小学5, 6年生合計3,609名を対象に, 学級レベルと児童レベル双方において, 学習動機づけに関連するプロセスを検討した。その結果, 両レベルにおいて, 向社会的目標構造は相互学習を通じ内発的動機づけおよび, 自己効力感と関連することが示された。一方, 規範遵守目標構造は児童レベルにおいてのみ, 有意な媒介効果を示したものの, その値自体は小さなものであった。本研究の研究・教育実践上の意義について論じた。
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  • 尹 成秀
    64 巻 (2016) 4 号 p. 492-504
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究は在日コリアン青年の心理学的問題について, 対人関係における体験に焦点化し検討を行ったものである。在日コリアン青年14名に対してエピソード・インタビューを行い, 得られた語りをグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果, [日本人との関係における体験], [在日コリアン同士の関係における体験]についてのカテゴリー関連統合図が作成された。
     考察では, 在日コリアン青年は日本人との間でも在日コリアン同士の間でも, 相手との差異を認識した際に相手が差異に対して否定的な態度であると想定し, 自身もその差異を望ましくないものとして意味づけている可能性が示唆された。そして, そのために彼らには相手からの評価や相手との関係が悪化する不安, 疎外感, 劣等感が生じる可能性が考えられた。しかし同時に, 在日コリアンであることを知ってもらいたいなどの相反する情緒も生じるために, 差異をめぐる状況で葛藤が生じることが示唆された。また, そうした状況で彼らは自身の認識や気持ちとは異なる相手に合わせた対応を行う場合もあることが見出された。この体験は彼らの対人関係のなかで反復されるものであり, 中核的な問題の1つであると考えられた。
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  • 酒井 厚, 中山 紫帆, 深澤 祐介, 熊谷 好恵, 菅原 ますみ
    64 巻 (2016) 4 号 p. 505-517
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究は, 学校が家庭や地域との連携の核を担うアンカーポイント役割(小泉, 2002)の観点から, 小学校教員が子どもに他者と関わる機会を提供するためにその役割を担うことをアンカーポイント活動と定義し, 測定尺度の開発に基づく構造の確認と関連要因について検討することを目的とした。236名の小学校教員に対して, アンカーポイント活動への積極性, 保護者や地域に抱く信頼感, 勤務校が出身地かどうかなどの項目を含む自記入式の質問紙調査を実施した。教員のアンカーポイント活動への積極性尺度を作成し探索的および確認的因子分析を行ったところ, 「子どもの仲間づくり活動」, 「子どもと地域をつなげる活動」, 「子どもの暮らし・安全を支える活動」の3因子が抽出された。つぎに, 階層的重回帰分析を用いて, アンカーポイント活動への積極性の因子ごとに関連要因を検討した。その結果, 教員が保護者や地域住民に抱く信頼感の高さが, 各活動への積極性の高さを有意に予測しており, 両者間の関連性は, 教員の年齢や教員の勤務地が出身地かどうかによって調整されていた。例えば, 勤務地が出身地の場合に, 教員が地域に抱く信頼感の高さがアンカーポイント活動への積極性の高さをより予測しており, これらの結果から教員のアンカーポイント活動への積極性が高められる状況について議論された。
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  • 三島 浩路, 黒川 雅幸, 大西 彩子, 吉武 久美, 本庄 勝, 橋本 真幸, 吉田 俊和
    64 巻 (2016) 4 号 p. 518-530
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     高校ごとの生徒指導上の問題の発生頻度認知や携帯電話に対する規制と, 携帯電話に対する生徒の依存傾向等との関連を検討した。13の高校に所属する教師約500人と生徒約1,700人を対象に調査を行った。その結果, 生徒指導上の問題の発生頻度認知が高い高校に在籍している生徒ほど, 携帯電話に対する重要度認知が高く, 携帯電話に対する依存傾向が強いことが示唆された。生徒指導上の問題の発生頻度認知が低い高校に関しては, 携帯電話に対する規制の強弱により, 生徒の携帯電話に対する依存傾向が異なることが示唆された。具体的には, 生徒指導上の問題の発生頻度認知が低い高校の中では, 携帯電話に対する規制が強い高校に在籍している生徒の方が, 規制が緩やかな高校に在籍している生徒に比べて, 携帯電話に対する依存傾向が強いことを示唆する結果が得られた。
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  • 神長 伸幸, 大石 衡聴, 馬塚 れい子
    64 巻 (2016) 4 号 p. 531-543
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     視覚文脈を見ながら文を理解する際の処理の逐次性を5歳・6歳児および成人を対象に検討した。実験では, 「緑の猫はどれ」のように形容詞と名詞の組み合わせを含む文を聴覚提示し, 視覚文脈から指示対象となる事物を選ぶよう被験者に教示した。視覚文脈は, 指示対象を形容詞または名詞の提示により特定できる場合があった。課題中の眼球運動測定データより指示対象となる事物の注視頻度と瞳孔径を求め, 視覚文脈と年齢群の効果を検討した。成人群では, 名詞で指示対象を特定できる場合より形容詞で特定できる場合で指示対象の注視頻度の上昇が早かった。しかし, 5・6歳児では, 視覚文脈の注視頻度への影響が統計的に有意でなかった。瞳孔径を指標とすると, 6歳児は名詞で指示対象を特定できる場合に比べて形容詞で特定できる場合に瞳孔径の拡張が早かった。成人では, 名詞で特定できる場合に形容詞で特定できる場合よりも瞳孔径の拡張が大きい傾向が見られた。5歳児は視覚文脈の効果が瞳孔径に現れなかった。これらの結果より, 少なくとも6歳以降は視覚文脈に合わせた形で指示対象を逐次的に特定できると考えられる。ただし, 幼児は眼球運動制御が未熟で, 注視頻度のみから文理解の逐次性を安定的に検出するのは難しく, 瞳孔径が補完的な指標となり得ることが示唆された。
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  • 中西 陽, 石川 信一, 神尾 陽子
    64 巻 (2016) 4 号 p. 544-554
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究では, 中学校の通常学級集団で実施する社会的スキル訓練(Social Skills Training: SST)が, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒の社会的スキルと学校適応感の向上に効果があるかどうかについて検討した。自閉スペクトラム症的特性の程度は, 対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale: SRS)を用いて評価された。SST介入群は, 自閉スペクトラム症的特性の高い生徒9名(Higher levels of autistic-like traits: H-ALT), 低い生徒54名(Lower levels of autistic-like traits: L-ALT)からなり, 全3回のSSTプログラムに参加した。その間, 統制群(H-ALT5名, L-ALT51名)には特別な介入は行わなかった。その結果, H-ALTの生徒に関しては, 統制群では肯定的な変化が示されなかったのに対し, 介入群では有意な社会的スキルの向上と身体的ストレス反応の低下が示された。L-ALTの生徒に対しては, 統制群と比較して介入後に学校適応感の向上が示された。したがって, 本研究でのSSTは生徒の自閉スペクトラム症的特性の水準に応じて異なる効果が期待できる可能性が示された。
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  • 山森 光陽, 萩原 康仁
    64 巻 (2016) 4 号 p. 555-568
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     クラスサイズパズルと呼ばれる, 学級規模が児童生徒に及ぼす影響を検討する研究群で一貫した結果が得られない現象が見られる背景には, 学級規模と学級規模以外の要因との交互作用の存在が考えられる。学級編制基準は学級規模のみならず, 学年学級数の多少も決定するため, 本研究では学級規模の大小, 学年学級数の多少及びこれらの組合せによって過去の学力と後続の学力との関係に違いが見られるかを検討した。そのために, 小学校第4, 6学年4月に実施された国語の学力調査得点についての67校分の2時点のパネルデータに, 対象児童が第4, 5学年時に在籍した学年の学級数及び学級の児童数を組合せ, 階層的線型モデルを適用した分析を行った。この結果, 過去の学力調査得点が低かった児童について見れば, 学級数の多い学年で小規模な学級に在籍した児童の方が, 学級数の少ない学年で小規模な学級に在籍した児童と比べて後続の学力が高いといった学力の底上げが見られた。この背景について, 学級規模と学年学級数によって異なる学級の質, 学年学級数によって異なる教師同士の協同による教材研究等の頻度の点から考察した。
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  • 利根川 明子
    64 巻 (2016) 4 号 p. 569-582
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究では, 教室における児童の感情表出と学級適応感(居心地の良さ, 被信頼・受容感, 充実感)の関連を検討した。児童の感情については, ポジティブ感情(喜び, 興味)とネガティブ感情(悲しみ, 怒り, 恐れ)に着目し, 児童がこれらの感情を表出することの効果と, 感情表出のあり方が異なる学級に所属することの効果を同時に検討した。小学校4・5・6年生の児童1,968名と担任教諭70名を対象に質問紙調査を実施し, マルチレベル分析を行った結果, ポジティブ感情をよく表出する児童ほど学級適応感が高く, ネガティブ感情をよく表出する児童ほど学級適応感が低いことが示された。また, こうした感情表出の効果には交互作用が見られ, ポジティブ感情の表出が多い児童ほど, ネガティブ感情の表出による居心地の良さの感覚と充実感の低下の度合いが低いことが示された。これらの児童レベルの効果に学級間差は見られなかった。学級レベルの効果については, 児童評定値の集計値を用いた場合と, 教師評定値を用いた場合の2つの方法で分析を行い, いずれの方法で検討した場合も, ポジティブ感情の表出が多い学級に所属している児童たちほど学級適応感を強く感じやすく, ネガティブ感情の表出が多い学級に所属している児童たちほど学級適応感を弱く感じやすいことが示された。
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原著[実践研究]
  • 鹿毛 雅治, 藤本 和久, 大島 崇
    64 巻 (2016) 4 号 p. 583-597
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     「当事者型授業研究」とは, 教師集団による協同的な協議を通じて個々の教師の専門性を向上させるために, 当該授業者(教師), 当該学習者(子どもたち), 当該学校の教師集団を当事者として最大限尊重するようにデザインされた授業研究の一形態である。本研究では小学校での実践事例を取り上げ, 当事者型授業研究が教師たちの専門的な学習や成長に及ぼす効果について自己決定理論に基づいて検討した。談話分析, 質問紙法, インタビュー法を組み合わせたマルチメソッドアプローチによる分析の結果, 当事者型授業研究の実践によって, 当該授業の個別具体的な文脈を伴いながら教師や子どもに焦点化された写実的で精緻な情報が交流する協議会が実現するとともに, 教師がそのような協議会を繰り返し体験することを通じて, 授業研究において当事者をより重視すべきだという教師の信念(授業研究観)が形成され, 積極的な協議会参加と授業研究に関する成果に関する自己認識が促進されることなどが示された。本研究の結果は, 当事者型授業研究が教師たちの基本的心理欲求を充足することを通して, 彼らの動機づけや専門的学習, さらにはキャリア発達を促す可能性を示唆している。
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  • 庭山 和貴, 松見 淳子
    64 巻 (2016) 4 号 p. 598-609
    公開日: 2017/02/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 教師の授業中の言語賞賛回数が自己記録手続きによって増えるか検討し, さらにこれが児童らの授業参加行動を促進するか検証することであった。本研究は公立小学校の通常学級において行い, 対象者は担任教師3名とその学級の児童計85名(1年生2学級, 3年生1学級)であった。介入効果の指標として, 授業中に教師が児童を言語賞賛した回数と児童らの授業参加行動を記録した。介入効果を検証するために多層ベースラインデザインを用いて, 介入開始時期を対象者間でずらし, 介入を開始した対象者と介入を開始していない対象者を比較した。ベースライン期では, 介入は実施せず行動観察のみ行った。介入期では, 教師が授業中に自身の言語賞賛回数を自己記録する手続きを1日1授業行った。また訓練者が, 教師に対して週1~2回, 言語賞賛回数が増えていることを賞賛した。介入の結果, 3名の教師の言語賞賛回数が増え, 各学級の平均授業参加率も上昇した。フォローアップにおいても, 教師の言語賞賛回数と学級の平均授業参加率は維持されていた。今後は, 授業参加率が低い水準に留まった数名の児童に対する小集団・個別支援を検討していく必要があると考えられる。
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