従来よりてんかんをもつ子の生活改善のために社会医学的研究を行ってきた。今回は横浜市立全養護学校と一特別区の全小・中学校の学校教職員1, 335名に平成2年6月に調査し904名68%の回答を得たので結果を報告する (12年前の同一の調査では対象の72% 751名の回答を得た。その結果を () 内に示した)。
結果: a) てんかんの印象を多くの教師は危険35% (31%)・不安22% (19%) と回答し, 遺伝・精神病・不治の病との回答は前回より減少し, 教師はより正しく理解していた。
b) てんかん児と健康児とに成績・性格・行動上の差はないとの回答が増加し, 特有な性格をもつとした教師は35%に53%より減少していた。
c) 家族より病名の連絡を受けた経験のある教師は59% (37%) と前回より増加し, 主治医との連絡は18%の教師に経験があり低率だが倍増して, 相互の連携は軽度に改善していた。
d) 修学旅行への参加に39%の教師が主治医の診断書を求めていた。例示した15種目の運動や行事のうち, 50%以上の教師が参加の許可を与えたのは13種目 (7種目) でほぼ倍増し, 各教師の平均許可率は64% (50%) と増加していた。
e) 教師から医師へ467件 (216件) の要望がだされ, 多くは疾病に関する指導, 病名や病状の連絡, 家族への十分な指導に関してであった。
前回と比較して教師のてんかんへの理解が深まり, 教師の立場の違いによる意見の差も減少していた。しかし解決すべき問題は多く, 特に医師と相互の理解が一層求められていた。
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