てんかんの生化学的基盤におけるG蛋白質の役割について検討するため, ラット扁桃核キンドリングモデルを作成し, 最終発作後24時間 (K-1群) および2週間放置した時点 (K-II群) での両側大脳皮質膜分画における特異的 [
3H] GTP結合能の変化を調べた。データはScatchard解析により分析した。β-adrenergicレセプターアゴニストであるisoproterenol (IPN) 非存在下での特異的GTP結合におけるKI群およびK-II群のB
max値, Kd値は対照群と差がなかった。IPN存在下では, 対照群ではIPN非存在下と比較してB
max値の著明な増大がみられたが, キンドリング群ではK-1群, K-II群ともに, IPNによるB
max値の増大効果が消失していた。以上の結果から, キンドリングモデルにおける発作発現や持続性のてんかん原性の維持機構に, βレセプターと共役するG蛋白質であるGsの機能変化が重要な意義を有していることが示唆された。
抄録全体を表示