てんかん研究
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13 巻, 2 号
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  • 星田 徹, 榊 寿右, 森本 哲也, 橋本 浩, 黒川 紳一郎, 中瀬 裕之, 平林 秀裕, 川口 正一郎, 角田 茂, Sumio Uem ...
    1995 年 13 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    てんかん焦点の側方性同定のために, MR画像からsoftwareを用いたcomputer-assisted measurement (CAM) による扁桃核や海馬の体積測定が行われ, その再現性と信頼性について報告されている。われわれは29名の部分てんかん患者を対象とし, CAM法と1mm方眼紙上に直接トレースしたdirect volume assessment (DVA) とイメージアナライザーを用いて測定したimage analyzing assessment (IAA) の3つの方法による再現性について比較検討した。1.5mmスライスのCAM法による複数回測定の変動係数は4.8%であった。一方, 1.5mmスライスでのDVA法と3mmスライスでのIAA法では3.1%と3.6%であった。同一患者では, 撮像時期が異なっていても, 体積の左右比を求めるとよく相関しており, DVA法でr=0.843, IAA法ではr=0.877であった。これらの結果から, CAM法より簡便であるイメージアナライザーを用いた扁桃核海馬の体積測定は, CAM法と同様の再現性であり, その左右比で検討することは臨床的に有用である。
  • 大沢 真理子, 猪ノ坂 孝雄, 中川 有, 佐藤 光源
    1995 年 13 巻 2 号 p. 113-121
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    治療前に経験した発作回数がてんかんの難治化要因の一つとするReynoldsらの仮説を扁桃核キンドリングを用いて検討し, ついで, キンドリングにおけるけいれん準備性の増強と海馬の組織学的変化との関係を検討した。低頻度刺激を加えた対照群と3群のキンドリング群を用いた。その結果, 1) 後発射回数の増加とともにけいれん準備性の持続性が増し, それはキンドリング後にも同様であった, 2) 海馬歯状回の苔状線維にみられる神経発芽の程度は, キンドリング群と対照群では有意差がなかったが, 多形細胞数はキンドリング群で減少した, 3) 神経細胞脱落は神経発芽に先行した, などの成績を得た。以上の成績をもとに, 部分発作だけでなく二次性全般化発作の厚復がさらにけいれん準備性を増強すること, 歯状回の神経発芽がキンドリングのけいれん準備性を説明するにたる神経病理学的所見ではないことを指摘した。
  • 栗原 まな, 熊谷 公明, 渡辺 孫衛, 野田 洋子
    1995 年 13 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    当科で経過観察中の131例の重症心身障害 (重障) 児・者のてんかんについて予後を中心に検討を行い, 次の2つの特徴をまとめた。(1) 重障児・者のてんかんの予後においても, 一般のてんかんの予後と同様に思春期前後で発作コントロールの得られる一群がある。(2) 一方, 大部分は発作コントロールが不良である。
    コントロール良好な群の特徴としては (1) 基礎疾患として, 痙性両麻痺とアテトーゼの型の脳性麻痺が多い。(2) 脳障害の既往のない例が多い。(3) 発作型では全般性強直間代発作が多い。コントロール不良な群の特徴としては (1) 基礎疾患として, 重度痙性四肢麻痺の型の脳性麻痺が多い。(2) 成因として出生時・出生後要因による脳障害を有する例が多い。(3) 発作型では混合型発作, ミオクロニー発作, 脱力発作が多い。(4) てんかん分類では未決定てんかんが多い。
  • 浦上 裕子, 四宮 滋子, 永田 貴美子, 高橋 徳恵, 井上 令一
    1995 年 13 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は78歳, 男性。左半側視野に突然出現し, 短時間で消失する陽性の要素性視覚発作;幻視 (犬の親子が笑いかけているのが見える, 色のついた花畑が見える) が長期にわたり反復出現した。CT, MRIで右後頭葉視中枢に梗塞が確認され, 発作間歇時の光刺激と図形刺激による賦活脳波では左または右後頭部に鋭徐波様を示すβtrainが賦活された。VEPでは右後頭葉皮質の異常が示された。右後頭葉内側の一次視覚領 (area17) の周囲にてんかん原性が形成され, この部位と左後頭葉からのてんかん発射が二次視覚領も巻き込み, 頭頂葉や側頭葉にかけて発作発射が伝播し, 複雑な幻視 (complex visual hallucination) からなる陽性の視覚発作が出現したものと考えた。
  • 寺田 倫, 石田 孜郎, 大沼 悌一, 加藤 昌明, 松田 博史
    1995 年 13 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    静脈性血管腫を病因とする特異な一連のてんかん発作を呈する症例を経験したので報告する。症例は25歳の女性。6歳時より、左足底部の異常感覚から始まり、四肢の強直間代けいれんに至る発作が25歳入院時まで頻回に出現していた。強直間代けいれんの間、意識は保たれていることが多かった。画像所見より右頭頂葉の静脈性血管腫が認められ、臨床症状と脳波所見より以下の発作の進展機序が考えられた。右頭頂葉の静脈性血管腫を病因とする左下肢の異常感覚と麻痺性発作が長時間続き (非けいれん性部分発作の重延状態)、その後、瞬時に異常感覚が左下腿、大腿部に広がり (ローランド体性感覚野の感覚性ジャクソンマーチ)、つぎに補足運動野を巻き込み、四肢の強直間代けいれんを生じる補足運動野発作に至ったと考えられた。本例は画像診断学的にも発作の進展機序の考察においても興味ある症例と思われる。
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