てんかん研究
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16 巻, 1 号
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  • 久郷 敏明, 赤田 幸平, 中村 靖, 小穴 康功, 松浦 雅人, 吉岡 伸一, 山本 光利, 和田 有司, 永田 剛
    1998 年 16 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    著者らは、抗てんかん薬治療に付随する副作用を評価するためにイギリスで開発されたSide Effects and Life Satisfaction (SEALS) を本邦に導入し、日本語版 (SEALS-J) の信頼性と妥当性を多施設共同研究によって評価した。対象症例は、通常の社会生活を営む317例の成人の通院てんかん患者である。さらに、患者群と年齢を対応させた健常者100名を抽出して対照群とした。患者群と対照群にSEALS-Jへの回答を依頼し、検査結果と多彩な臨床特徴との関連を多角的に検討した。SEALS-Jの信頼性は、患者群と対照群のCronbachのa係数と患者群の検査-再検査法による相関係数によって実証された。妥当性は、臨床特徴の差異を検出する感受性によって支持された。SEALS-Jの結果に対しては、てんかん変数 (てんかん類型、発作頻度、併用薬剤数) および心理社会学的変数 (精神症状、就労状況) が統計学的に有意の影響を及ぼしていた。てんかん研究1998; 16: 1-8
  • 管 るみ子, 上島 雅彦, 金子 裕子, 宮本 百合子, 渡部 学, 高橋 留利子, 丹羽 真一, 宍戸 文男
    1998 年 16 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2011/06/03
    ジャーナル フリー
    頭葉てんかん患者40名のIMP-SPECT所見のROI値のLaterality Index (LI) とWAIS-R知能検査の下位項目検査成績を比較検討した。前頭葉、側頭葉、後頭葉のLIは左のROI値から右のROI値を引き、左右のROI値の和で除して求めた。WAIS-R知能検査の下位項目検査成績については、知能水準の高低による影響をできる限り除外した下位項目そのものの影響をみるために、各評価点を全評価点で除して標準化した。結果は左側頭葉低血流群ではLIと算数問題の項目成績において正の相関関係を認めた (r=0.74、p<0.001) 。また左側頭葉低血流群ではLIと単語問題の項目成績において正の相関関係を認めた (r=0.50、p<0.02) 。右後頭葉低血流群ではLIと符号問題の項目成績において負の相関関係を認めた (r=-0.44、p<0.05) 。SPECTにて検出される血流の低下が脳の機能に影響を与えている可能性が示唆された。
  • 主として病名認識に関して
    荻野 竜也, 服部 旬里
    1998 年 16 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    中、高等学校の普通学級に通うてんかん患者69名 (男33、女36) を対象とし、病名の認識を中心とした意識調査をした。病名を知っていると答えた患者は37名、53.6%のみであった。しかも、「てんかん」と認識している患者はこの内9名のみであった。37名中67.6%は病名を教えてもらってよかったと考えていた。病名を知らないと答えた32名の内、自分の病名を知りたいと考える患者は34.4%にしかすぎなかった。病名を知っている37名に病名を教えた人を問うと母親と医師がそれぞれ約半数を占めた。父親と答えた患者は1名だけであった。病名を知っている37名と知らない32名を比較すると、前者では服薬は必要と考える患者が有意に多く治療に対して意欲的であった。しかし、その他には差は認められなかった。病名を認識することの弊害は認められず、思春期のてんかん患者に対しても積極的な病名告知を進めるべきと考えられた。
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